2012年03月18日

さとなお:一献(金沢)

「ふしきの」予想外なほど最高そうですね。

寒いうちに行きたかったけど、でも、春のちょっと寒く感じる日に絶妙なぬる燗を呑むのもまた一興。
ぜひ行ってみます。

さて。金沢に数年ぶりに行ってきました。

金沢って料亭はとてもいいし、居酒屋の名店も多いし、鮨もとてもいいけど、気軽に行けるカウンター割烹がもっとあるといいなぁと思っていたですね。

こないだ行った「一献」は、そういう意味では素晴らしい店でした。
でも、人気が出すぎて、いまや「予約が取れない店」らしいので、気軽に行けないのが難ですね。

4年前だったか、金沢市街からちょっと離れた丘陵地の住宅街にある隠れ家風の割烹「玉響(たまゆら)」という店に行ったですね。
そこは店員が美人ばかり、ということで有名な店で、カウンター割烹とバーが合わさったようなイメージ。薄暗く秘密めいた店内には長いカウンターが伸びており、その後ろは全面ガラスで金沢の夜景が一望できるロケーション。料理も良くて「また来たいなぁ」と思わせるいい店でした。たしか本にも書いた気がする。

そこの美人店員のひとりが結婚し、旦那さんと一緒に始めたのが「一献」です。
奥さんとはボクが「玉響」に行ったときにお会いしているそうなのですが、美人ばかりで目移りして覚えていないw でも、そういう文脈とともに店を訪れると印象はより深くなりますね。「一献」ではとてもいい時間が過ごせました。

丁寧で誠意に満ちた料理群。
インパクトこそ強くないものの、滋味溢れてカラダに染み渡ります。
春のこごみ、つぼみ菜、うるい、白アスパラのお皿にはしびれました。焼き物から土鍋ご飯に至る流れも秀逸。全体にうるさいところは何もなく、静かに淡々と進む印象の料理なので、もっと強い印象を求める方もいらっしゃるかもしれないけど、ボクは最近こういう静かな流れが好きです。

ご夫婦ふたりの接客もとてもよく、日本酒も厳選されていて良かったです(地元中心)。

開店直後からこうも人気が出てしまうとその後が少し心配になりますが、あの真面目そうなご主人ならきっと淡々と成長しつづけるんじゃないかな。奥さんと二人三脚で長く続けて欲しいいい店でした。

posted by さとなお at 18:41| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月02日

いとう:ふしきの(神楽坂)

さらなる九州の店、こちらも「きたうら善漁。」と双璧ですね。
(多少、行きやすいでしょうか 笑)

さとなおさんの文脈から感じられる空間の広さや奥行も、地代の高い東京ではなかなか実現しにくいところだし、芸術家のお宅ならではのセンスの良さにも惹かれます。

こんな店に匹敵する、というか繋がる場所がなかなか思いつきませんが、

>ただ、この店の場合、料理より「時間」が主役ですね。

というさとなおさんの言葉に反応して、つい先日、ステキな時間を過ごしてきた「ふしきの」を紹介します。

「ふしきの」は、燗番のいる日本料理店とカテゴライズするのが一番分かりやすいですが、それだけの言葉ではまったく表現しきれていない、すばらしい「清酒とのひととき」を体験させてくれる空間です。
燗番とは、その字のごとくお酒の燗をする人のこと。清酒を提供する店におけるソムリエのような存在。ただ、提供する酒について厳密な温度管理が要求される点で、ソムリエよりもさらに繊細な仕事のように思えます。なにより、ぼくの憧れの職業のひとつであります(笑。

燗番のいる居酒屋として、門前仲町の「浅七」や神楽坂の「伊勢藤」などが知られますが、店のセンターに陣取っている名物親父な存在感は否めず、こだわりゆえか様々な制約もあって今一つ寛げない。

一方「ふしきの」は、所作も話口調もとても柔らかくて上品な燗番が実にきびきびとカウンターの客を仕切り、特に酒を準備する際の動きやその道具の美しさは、ホレボレと見とれてしまうほど。

その燗番の方が作り出す「時間」が、本当に心地よいのです。

場所は神楽坂。メインストリートから少し脇にそれたビルの2階。とても飲食店とは思えない非常階段のようなステップを上がりスチール製のドアを開けた先に、想像もつかない静謐で小さな別空間がつながります。

料理は十数皿用意され、まずは燗番が客の酒量を聞く。そして、それぞれの料理に合う清酒を、各人の酒量に応じて全く違う温度と異なる形の酒器で提供。ときには熱く、ときには冷たく。何度も温めたり冷ましたりを繰り返すことも、二種類の清酒をブレンドしたりも。そうやって、それぞれの酒が持つ最高のポテンシャルが引き出された状態で口に含むたび、どうしてこんなにおいしくなるのだろうかと首をひねることになります。それはもう、空気や時間経過で変化するワインどころではない、驚きの連続。

飲んだ清酒をとりあえず記録しておきます。「みやさか」「遊穂」「喜久酔」「王禄」「扶桑鶴」「高津川」「達磨正宗 辰年ブレンド」「惣誉」「鶴齢」「大治郎」「saika」「悦凱陣」「群馬泉」「竹鶴」「七本槍」「百」

3人で17合。1人6合弱。でもまだまだ飲めた感じでした。

これだけの清酒と、料理とのマリア―ジュを愉しみ、酒の状態・温度・生い立ち、そして酒器の逸話等を燗番と語り合いながら時が過ぎていく。

どうです、最高でしょ。

特に今回印象に残ったのが、滋賀は近江の「大治郎」と鴨との組み合わせ。ここまで鴨と組み合わせてウマイ清酒は初体験でした。うちの鴨と日本酒は合わないよ、という「鷹匠寿」に持ち込みたいなあ(笑。

最後に、「ふしきの」は今月から、1日〜5日をバーディとして、メニューから清酒を選び(普段は癇番におまかせ)、つまみ程度の料理で楽しむ店となるそうです。その理由は、料理人を休ませるため、だそう。そんな対応も、今までの料理店にはなかった試みですね。

posted by 伊藤章良 at 17:09| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月20日

さとなお:手島邸(福岡)

「きたうら善漁。」、気になるでしょう?
そのうち、ここで食べるためだけに旅行をしましょう。ここ以外にも宮崎はうまいものだらけ。ぜひご一緒したいものです。

さて今日は同じ九州でもう一軒。
福岡の「手島邸」をご紹介します。早良区の住宅街にポツンとある一軒家レストランです。

ジャンルとしては創作日本料理ですね。伊藤さんもそうだと思いますが、「創作」とジャンルはたいていおいしくない。基礎がしっかり出来ていない言い訳のように使われている場合も多く、恐る恐る伺うことになります。でもこの店は大丈夫。きちんとした日本料理に工夫が加わった楽しい料理が並びました。

ただ、この店の場合、料理より「時間」が主役ですね。

ここがボクがとてもこの店を気に入った理由なのですが、実にゆったりした極上の時間が過ごせるのです。
手島貢という洋画家の一軒家を、趣やアトリエの雰囲気をそのままにリノベーションして利用しており、そこら中に彼の絵が飾られています。彼が生きていたころの空気もそのまま残っています。その一角、庭に面した窓前をカウンターに作り直して料理を提供してくれます。ノスタルジックでアーチスティックでクリエイティブ。とてもいい雰囲気。そして時間。

暗い住宅街の一軒家の階段を上がって小さな玄関に入ると、まずアトリエに通されてウェイティング。
残念ながらすぐにカウンターに通されましたが、このウェイティングで食前酒でも飲みたいくらいいい雰囲気で(たぶん頼めば出してくれる)、カラダがゆっくりこの空間に馴染んでいきます。

カウンターは広い庭が見える場所。庭のライティングをもっと凝ってくれるといいなぁ。
まずは水出しの最高級煎茶をゆっくり飲んで、お任せコースに入ります。

それぞれ工夫に満ちた品々が続きます。全体に繊細で穏やかな料理群。ちょっと印象が弱い部分もあって、たとえばメインの焼き魚なんかはもっと強く印象を残してほしかったりするけど、ここはあくまでも時間が主役。このバランス感は絶妙だと感じました。

ちなみに、ボクは九州の甘い醤油がちょっと苦手なのだけど、この店はわさび漬けを混ぜて刺身を食べさせてくれました。これがとても相性よくて感心。甘い醤油とわさび漬けと刺身。細かいところだけど、こんな発見を教えてくれる。そんな店です。

メインが終わると場所を移して(違う部屋に行って)、ソファでくつろぎながらデザートと珈琲をいただきました。

趣がある部屋がいろいろあって面白いです。
昭和の「ある時間」にタイムスリップして、手島貢という洋画家のセンスある暮らしに溶け込ませてもらった感覚。贅沢ですね。

こういう店、地方にも少しずつ増えています。「きたうら善漁。」も含めて、まだまだ知らない名店が多いんだろうな。ちょっと飽和しつつある東京の食シーンを脱出して、地方でゆったりとした時間を演出している名店たちをもっともっと訪ねてみたいと思いました。

posted by さとなお at 08:50| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月10日

いとう:鹿角(西麻布)

>80歳まで続けたら膨大なコンテンツになりますしw

いやいや、とても勇気が湧いてくる言葉。まずは、80歳まで健康で文化的なチョットイイ生活が営めることを目標に、こちらこそよろしくお願いします。

>さて、新年一回目は、驚異的体験だった宮崎県延岡市の「きたうら善漁。」

この店はすごいなあ。全く耳にしたこともありませんでしたし、さとなおさんの熱い筆にもおおいに心が動かされました。本当に興味津々です。その店に食べに行くためにのみ旅行をすることも年に何回かあるけど、その中の有力候補にしたくなってきました。というか、またさとなおさんが食べに行かれる時があったら、ぜひぼくにも声をかけてください。

さて、さとなおさんが地方の名店なら、ぼくは東京で食べられる地方料理繋がりにしてみます。西麻布の秋田料理店「鹿角」です。西麻布には通算1000回以上行っている気がしますがw、ここは今回初訪問、しかも、この店の前を通ったこともありませんでした。

場所は、外苑西通りから、青山墓地や星条旗通りへと分かれる多差路の交差点(「かおたんラーメン」がある)を墓地側に進んで最初の道を左に曲がったところ。西麻布ながら、見渡すところ飲食店はこの「鹿角」一軒のみ。といっても、すでにこの地で20年以上営んでおられる実績は只者ではありません。

こういった地方料理の店は、デフォルトとして「民芸風」みたいな外観や内装がつきものですが、「鹿角」はいたってシンプル。清潔で明るゆったりとしたダイニングに、普通にカウンターがありテーブル席が設けてある。美しい女性が待ち構えていると銀座のクラブ風とも言えそうw。そんなテーブルの一角に座ってメニューを見ると、それはもう自分の知っている秋田料理が全て並んでいます。

白マイタケ、セリ、じゅんさい、とんぶり、ハタハタ、比内地鶏、いぶりがっこ、そしてきりたんぽ鍋。もうこれだけでフルコース。酒のツマミとしても、真冬に心から温まりたいときも、そして低カロリーの食材をお腹いっぱい食べたいときにも、このフルコースはすべてに最適。しかも、東京西麻布にいながら、マイタケ、セリ、ハタハタなどの食材は超逸品。普段、ふつうに口にするモノとは生命力の違いを感じます。

なんといっても、この時期のメインデッシュはきりたんぽ鍋。注文をしておくと、女将さんがいい頃合いでじっくりと煮込んでいる様子がすでに視野の中に。お野菜やきりたんぽとともに、比内地鶏の身ばかりかレバーや玉ひも(内臓卵)などもどっさりと入り、素朴で変わらない(アレンジを加えていない)味。寒い地方の食文化にも改めて感謝の気持ちが湧いてきます。

酒は、秋田の清酒が数種類。店名と同じ鹿角という初トライの清酒は、冷や(常温)でとのお店側からの注釈つき。これが秋田料理と絶妙の相性で、やはりその土地の料理はその土地の酒、というのが世界共通ですね。
posted by 伊藤章良 at 17:54| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月29日

さとなお:きたうら善漁。(宮崎県延岡)

伊藤さん、みなさん、いまごろですがあけましておめでとうございます。
伊藤さん、今年もマイペースで更新していきましょう。こんなペースでも、80歳まで続けたら膨大なコンテンツになりますしw

伊藤さんが想像してたとおり、まぁ去年はいろいろあって、ある意味「自分らしくない」一年だったのかなと思います。でも、ものすごく貴重な体験をたくさんしました。というか、一時期「おいしい」という感情から離れてましたからねw 食に向き合えないというか。それはそれで数年経つとボク独自の見方になっているのだろうとは期待したいところです。今年もよろしくおつきあいください。

さて、新年一回目は、驚異的体験だった宮崎県延岡市の「きたうら善漁。」を書こうと思います。「きたうらぜんりょうまる」と読みます。各地から食べ好きがその噂を聞いてわざわざ訪れるという最近有名な割烹です。

延岡というのは宮崎市から北へ電車で1時間半くらいかな。
高千穂に抜ける海沿いにあるのですが、まぁ特に観光地というわけでもありません。駅も小さく、「こんなところに東京からわざわざ食べに来る人がたくさんいる店が??」と疑ってしまうほど不便な場所。九州新幹線も通ってないし、本当に行きにくい町なんですね。こんなところで経営していけてるのかなぁと心配になります。

駅からタクシーで5分ほど。飲食街にひとつだけ超モダンな和風建築一軒家がポツンとある。ここが「きたうら善漁。」です。いや、たしかに、これはタダモノではないかも…という雰囲気を醸し出してます。

中に入ると広いカウンターが6名くらい、奥にテーブル席が4つほど。それと2階もあります。延岡にしたら大箱だと思いますが、とても親密な雰囲気が漂っていて「あぁここは間違いなくいい店だ」とカウンターに座った瞬間にわかる感じ。

メニューは毎日変わるし、お客さんによっても変化をつけているみたいです。
ボクたちは何度か来たことある方と一緒だったので、その方のリクエストも取り入れたコース構成でした。

この日は粕汁から始まりました。
暖まったし新年っぽいけど、でも料理長はこの後いったいボクたちをどこに連れて行こうとしてるんだろうと少し不安になりながらのスターターではありました。

でもこのあとがすごい。メニュー(ひとりひとり刷り物をくれます)に書かれた文章を抄録しながら書いていくと、

尾長ぐれ(硬直の直前を狙い十二時間前に〆た)
サンノジ(あまり注目されない魚をおいしく焼っ切り)
寒ブリ(三日間風干しした活〆を燻し焼き)
白菜(鰹と昆布のお出汁で)
安納芋(低温で二ヶ月寝かせて低温で二時間焼いたもの。マスカルポーネなどと)
吉玉家の豚フィレ(低温で三週間熟成した肉を六種類の熱源で火入れ)
ご飯(無農薬栽培の米を土鍋で)
ぶえん汁(自家製味噌の汁)

どれも素晴らしかったけど、特に印象的だったのは、出汁の味とサンノジと安納芋。そして、なんといっても豚フィレ肉。

この豚フィレ肉、まずは「吉玉家(一部「よっとん」と呼ばれてます)」の豚がすごい。育て方も相当すごいらしいのだけど、味が超繊細で飲み込むのが惜しい感じ。それを六種類の熱源で慎重に長時間火入れしてあるわけです。

ここまで繊細かつ完璧な火入れをする店は、他に白金の「カンテサンス」くらいしか思い浮かびません。そのくらいは繊細だし、そのくらいはおいしい! というか、これはもう和食というかフレンチというか、ジャンルも思い浮かびませんね。盛りつけも含めて、とても都会的なことは確か。

調味料も厳選したものを使っていて安心できるし、日本酒やワインもちゃんとしたものを置いています。従業員の意識も高いし、ご主人もマダムも素敵。いやー、ここ、ホントに延岡?? 

で、驚きは、このコースが5500円であること。
客観的に言って、東京なら12000円のコースだとしても文句はないです。そのくらいレベル高かったし美味かったし楽しかったです。また季節ごとに行かなくちゃ!

地方都市での高級店経営は大変です。お客さんの数もそうだけど、たとえば鮨店なら「酢で締めてるなんて古い魚使ってるんだろう!」とか言われたりすると聞いたことがあります。そういう意味で、こういう店を地方都市でやっていくのは本当に大変だとは思いますが、この日も満席、予約が絶えないそうで、ご同慶の至りです。

なお、以前は善漁丸という船からの仕入れだったそう(いまは大日丸という船からのもののようです)。
延岡を離れないのは、この辺の素材の良さから離れられないから、だそうです。勝手知ったる延岡の魚や野菜や肉。それらと末永くつきあっていくのだ、という気概を店の外観・内装・料理・従業員から感じました。

東京もんには不便だけど、また行きたい良店です。

posted by さとなお at 21:04| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月16日

いとう:つばめ食堂(大阪・梅田)

新しい年が始まりました。さとなおさん、そして読んでくださる皆さん、2012年もよろしくお願いします。

昨年さとなおさんは、果たして美味しいモノにありつけてるんかなあ・・・と、よく考えていました。同士の方との行動や信念のために、自分の楽しみをかなり犠牲にしているんやないかと。ただ、北欧出張の帰りにロシアに寄ったり、新年早々グァムに行ったりと、少しは安心したけどね。

さとなおさんが、どんな風に面白いことを考えたかとか、興味深い動きをしてたかを、まるで自分のことのように垣間見るのがブログ読者の一番の関心事でもあります。ぜひ今年は「食」の世界でも暴れてください(笑。

さて、福島の餃子、全く知りませんでした。ちなみに浜松が日本一ということも。宇都宮にも食べに行ったことがありません。まあ焼餃子自体が日式といっても過言ではない料理なので、ラーメン同様ご当地が生まれてくるのも自然かなあとは思います。

餃子繋がり、という訳ではないんだけど、ほおぅ、というおいしい餃子に出会った店を年始一発目にします。大阪は新梅田食道街の「つばめ食堂」です。

食堂といいつつココは新梅田食道街、8名も入れば満杯の立ち飲みバーで、しかも2011年11月にオープンした新参。とはいえ、古くからの名店・大衆店が群雄割拠する大阪人憩いの場所に、すでにすっかり溶け込んでいます。

それは、ひとえに店主のステキなお人柄。そして、ドイツの生ビール「レーベンブロイ」と世界各地のリースリング(白ワインのブドウ品種)に絞り込んだ酒構成のうまさかなあと感心します。
ドイツの生ビールと単一品種の白ワインのみのバーと聞くと、なんとなく寂しい印象を受けますが、狭いスペースに数多く揃えることのムダ、と同時に、さっと飲んでさっと去る、立ち飲みの原点や愉しさを具現するにはちょうどいいバランスなんですね。

そんな洋風バルで何故餃子かといいますと、おつまみに大変秀逸な焼餃子があるんです。餃子以外にも燻製やポテトサラダなど、提供する酒を考慮して入念にチョイスしたおつまみが揃いますが、やはり餃子はビール狙いでしょうか(笑。

もっともこの餃子、「つばめ食堂」のオリジナルではなく大阪は摂津富田にある「溢彩流香」(未訪ですが、かなり評判の店です)のモノとのこと。日式の餃子よりも、モチモチ感とジューシさに富んでいて、ビールだけではなくリースリングとの相性も抜群でした。

なぜ「つばめ食堂」という名前なのか、という話を店主に振ってみたところ、もともと新梅田食道街は、旧国鉄退職者に対する救済事業として始まった、国鉄とはゆかりの場所。で、やっぱり国鉄といえば、「国鉄スワローズ」じゃないですか・・・とのこと。真偽のほどは不明です(笑。
posted by 伊藤章良 at 17:14| バーなど | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月31日

さとなお:満腹(福島市)

2011年もようやく終わろうとしていますね。

大震災以降、なんか書く気が起こらず、そのままのペースをここにも持ち込んですいませんでした。来年はもう少し書けると思います。ようやく最近「おいしいものを食べ歩こう」という気持ちが蘇ってきました。少し震災に入り込みすぎていたのかもしれません(気持ち的に)

なんか「マノワ」がそういう店になってうれしいですね。
ああいう空間もそんなにないと思うので、再訪するのが楽しみです。再訪、というか、まったく別の店と思った方がいいのかもしれませんが。

さて今年最後の記事は、象徴的に福島県の店を取り上げたいと思います。

福島に頻繁に行くようになって知ったのだけど、福島市の名物って餃子なんですねぇ。
餃子といえば、宇都宮餃子とか博多一口餃子とか大阪餃子で、最近は浜松餃子もよく聞こえてきているけど(浜松は餃子消費量日本一)、福島県で福島市の人と話すと、「福島市の名物は円盤餃子です」と宣う。

円盤餃子 !?

で、さっそくその発祥の店、福島市の「満腹」に連れて行っていただきました。

震災で被害を受けたせいかのかどうかは聞きそびれましたが、ちょっと前に改装したとかで、同行者は改装前の「激しい趣き」をしきりと懐かしがっていました(かなりのボロで趣があったらしい)。いまは清潔で明るい普通の店になっています。暗い路地にポツリとある店だけど、19時をすぎるとどんどんお客さんが入ってきて賑わいます。

さっそく円盤餃子を注文。
1500円で30個入り。キレイに円盤状に並んだ餃子が白いお皿に乗って出て来ます。これ、丸いフライパンで焼くからなんでしょうね。見た目はとてもキレイですし、均等に焦げていて美味しそう…。

具は白菜メイン。にんにくは使わずあっさりしていて野菜の甘みがじゅわじゅわ来ますね。
で、皮が少し厚めで、フライパンで焼いたパリパリ感とその皮のモチモチ感がいい感じで同居している上に、その白菜のシャキシャキ感が加わって、なんとも言えぬおいしさに仕上がってます。

なんだかとてもうまい!

食べている間にすぐ「追加!」となりました。
男4人で30個×4とってちょうどいい感じですね。追加に漬け物(めっちゃ餃子と合う)もオススメです。昔はメニューは餃子のみだったらしいですが、今では数品増えてます。

ちなみににんにくは後付けです。生にんにくをお好みでタレに入れる感じ。女性にはうれしいですね。
女性ひとりで入った場合は1000円で20個のでもいいかもしれません。わりとペロリと行けてしまうので、少なく頼んで待つよりは(混んでくると焼き上がりにそこそこ時間がかかる)、多めに頼んで満腹感に苦しむのが「満腹」の流儀かもしれません。

ということで。
伊藤さん、そして今年も読んでくださった方々、2011年、ありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。

来年はもう少し「食」の世界に戻ってこようと思っています。
posted by さとなお at 07:26| ラーメン・餃子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月28日

いとう:レストランマノワ(広尾)

スウェーデンの料理って、近々ではIKEAの中にあるレストランで食べたっきりの記憶しかありませんが、やはりそこでもミートボールでした。ただIKEAでは全く特徴のない味だったので、本場のミートボールぜひトライしてみたいです。

そしてニシンの酢漬けと言えば、つい先日お目にかかったロシア料理店のシェフと、どうやって仕込みをするかについて盛り上がったばかり。ゆえ、北欧繋がりでそのロシア料理店も紹介したいんですが、今回は、さとなおさん思い入れの店がリモデルというか全く違うレストランとして生まれ変わったので、そちらを取り上げてみます。

さとなおさんが20世紀最後の日に訪れた北海道のオーベルジュ「ヘイゼルグラウス・マナー」の姉妹店として、以前こちらでも紹介していた「ブラッスリー・マノワ」ですが、「レストラン マノワ」として、2011年11月に新たにオープンしました。

後を引き継いだのは、つい先日まで人気店「アニュ」でソムリエを務めていた方。それ以前も「ラブレー」や「ブルギニオン」等、さまざまな東京のフランス料理店でサービスやソムリエとしての研鑽を積んでこられたとのこと。

店内は、以前とは大きく変わらないウッディで重厚な趣きですが、「狩猟の館」というよりはデコラティブな部分を整理して落ち着いた感じ。特に、カウンターは一人客の需要も考慮に入れてスッキリしました。

エントランスを入ってすぐにテーブルがあるダイニングのレイアウトがビストロっぽさを醸し出すものの、料理もワインもサービスも格段に洗練された大人の空間。料理は、前菜二皿、魚・肉・デザート・コーヒーで6000円のプリフィックスコースと、シェフのお任せコース10000円の2種類。プリフィクスでは、前菜と肉料理に多彩な選択肢があって、かなり惑わせます(笑。ぼくは少々頼み方を間違えて、野菜ばかりのコースになってしまったのが少し残念だったんですが、次につながる楽しみも増えました。

そしてなにより、ソムリエがオーナーということもあって注目すべきはワインですね。実は、以前の店からの置き土産も多く残されていたそうで助かってます、との言葉通り、リストの充実度合や値付けのバランスがすばらしいんです。特に最初のページからノンヴィンテージのシャンパンが7000円でずずーと並んでいるのは圧巻。好きなシャンパンを7000円で飲み放題という選択肢もあります。

また、最近のフランス料理店での楽しみの一つになってきた、それぞれの皿に合わせたグラスワインをシェフソムリエがチョイスする、という形もOK。ただ、このスタイルでワインを頼むと、料理を食べ終わるよりも先にワインがなくなってしまって後悔することも多々あるんだけど、「レストランマノワ」では、「ワインは飲んでいただくためにあるんです」というウレシイ言葉とともに、ナミナミと注いでくださる喜び。

ご承知の通り、バスがビュンビュン走っている明治通り沿いから少し奥まった立地で、大きなマンションの1階にある店舗は、意外と隠れ家感があるのと、とてもパリっぽい。以前の店に訪れたときも、この店ってパリっぽいなあと感じていたことを改めて思い出しました。でも、以前の訪問ではそのニュアンスになかなか気づかなかったんですね。今回で、お店のスタッフともそんな話をしていて、やっとぼくのイメージがクリアになりました。
posted by 伊藤章良 at 23:44| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月13日

さとなお:ペリカン(ストックホルム)

伊藤さん、すいません、10月末から11月頭までほとんど死んでました(多忙中の多忙で)。独立してから会社員当時よりさらに忙しくなり、ほとんど「心を亡くして」います。ダメですね。

でも、好都合なことに1年以上前から仕込んでいたプロジェクトで東京を抜け出すことができ、いまスウェーデンはストックホルムにいます。

まぁこっちに来てもネットでいろんな案件が追いかけてくるのだけど、物理的に環境が変わるというのはやはりイイですね。ストレスがどんどん抜けて行っています。

今日は、ちょうど昨晩行ったばかりのストックホルムのレストラン「ペリカン(Pelikan)」を書きたいと思います。

伝統的なスウェーデン料理の店で、こちらでもかなりの老舗。

泊まっているホテル「やすらぎ」のスタッフの方(日本人)に「スウェーデン料理が食べたい」とお願いしたら、即座にここを教えてくれました。

いやー、いい店です。
前の晩に行った「Gondolen」もいいレストランだったけど、旅行者にはどちらかと言えばこちらを勧めるかな。クラシックなビアホール系の造りで、カジュアル。でも、客層はとてもよく、落ち着いたいい雰囲気。

名物は伝統的スウェーデン料理の中でも一番有名なミートボール「Pelikan's meatballs」(182クローネ)。でかいミートボールが4つ。これが非常にうまい。まぁここのを食べれば他のを食べなくてもいいのではないか、という美味しさ。

あとは、これまた有名なニシンの酢漬けもとても美味。
すっぱいの好きなボクにはたまらない味です。この2皿で日本人ならおなかいっぱいになるかも。

多人数で行くなら、巨大なアイスバイン「Boiled knuckle of pork」も良さげ。隣のヒトが食べていたが、胃袋大の肉の塊。シェアするならアリだと思う。あとはニシンのフライである「Fried Baltic Herring」もイイらしいです。

全体に照明が暗く、雰囲気がとてもいい店。
ストックホルムに来たならまた来たい、と思った店でした。
posted by さとなお at 16:12| 海外のうまい店 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月24日

いとう:萬屋おかげさん(四ツ谷)

「ら京」、知りませんでした。というか一度聞いたら絶対忘れない名前てすね。らきょう、と読むんでしょうか。もしかして「楽京」だったとするなら、らっきょ?(笑。それにしても「楽しいミヤコ」という名前、いいなあ。

さとなおさんが冒頭に書いていた「おかげさん」。八戸の店だそうですが、東京は四ツ谷にも「萬屋おかげさん」という居酒屋があるので、またまた居酒屋繋がりで、今回はそこにしてみます。

といっても予約がなかなか取れない名店。というのもミシュランで★を獲得した唯一の居酒屋らしいです。札幌より呑兵衛の客人が来るとのことで、迎える店を色々と悩むものの、話題性十分というより酒の種類・料理の双方に極めて個性的な主張があり、全面禁煙なのもいい。店主の魅力からか女性客も多いんですが、その女性すべてが浴びるように酒を飲んでいる、そんなシーンも圧巻。ミシュランの評価は全く信憑性がありませんけど、「萬屋おかげさん」はとてもすばらしい居酒屋なんです。

古い雑居ビルの地下、門構えも決してキレイとはいえません。特にトイレは他店と共同で、できれば使いたくないレベル。それにしても、店内は清潔でキツキツながらも座り心地・居心地がよく、スタッフの皆さんは、全員気持ちのいい接客をします。

そして何よりの特徴は料理かな。

とかく塩辛いものを出して酒量を増やそうと画策する呑み屋が多い中、「萬屋おかげさん」は、酸や発酵系のテイストを使って、ピュアで混じりけのない清酒を誘引しようとする、その仕掛けが実にすばらしく、盲目的に乗っかりたくなります(笑。もっとも唸る点はお造り。ここのお造りはすべて一手間二手間かけてあり、わさび醤油で食べる、いわゆる生魚を切っただけのお刺身は一種類も出ないんです。

加えて、清酒の品揃えは完璧と表現しても過言ではありません。が、それだけではなく、メニューは冷酒用と癇酒用とに分かれていて、始めから冷たくして飲むか燗をすべきかが決められているのです。これは意外とあるようでナイ。というか、よほど清酒に対する見識が高くないと、そういった区分での提供には度胸がいると思うのです。燗も常温のものを湯煎につけた状態で提供されるので、ゆっくりと常温からぬる燗へと変化していく過程を楽しみながら味わえるのです。

そして、〆の炭水化物がニクイほど。
最高にシンプルな塩おにぎりなんですね。アツアツに炊けたご飯をひたすら心を込めておにぎりにする店主の動きを見ているだけでも、「ああ今日も来てよかった」と幸せな気持ちになって帰ることができるのです。

もう少し店が広くてゆったりしていたら・・・、と感じることも多々ありますが、客席のすべてに店主の目が行き届くスペースこそが「萬屋おかげさん」のハイクオリティを保ち続ける秘訣なんだろうな、と納得しています。
posted by 伊藤章良 at 17:14| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする