2013年02月24日

さとなお:縄屋(京丹後市)

>カタログ的な店ばかりが乱立してしまい、

その通りだと思います。
マーケティングされた店はつまらないですね。最近特にそういう思いを持ちます。少々品揃えが少なくても、ほとんど高級食材を使ってなくても、全然サービスが洗練されてなくてもいいんです。もっと別のところに感動の在処がある。

でも、それをちゃんと評価する大人が減っているんでしょう。

ただ、少しずつ元に戻りつつある気はしています。「そういうマーケティングされた店を追うこと」に疲れ始めた人が増えてきてますよね。

さて、ではボクは伊藤さんも言及された「縄屋」を書いてみます。

立地がありえない店、というのもわりと多く行きましたが、この店はその中でも最右翼のひとつでしょう。

一応、京都府なんだけど、京は京でも京丹後市。丹後半島の真ん中にあります。しかも店までの道が真っ暗。寂しい国道からさらに横道に入り、「まさかこんなところに?」と疑いも最高潮に達したあたりにポツリと高級割烹があるのだから驚きます。

暗い暗い細道にぽつりと小さな行灯みたいなものが置いてある。目印はそれだけ。
地元の人と一緒に行ったのだけど、その人が「ここです」とクルマを止めてもなかなか信じられないようなロケーションでした。これはよっぽど腕に自信がないと店を出せない立地だなぁ。

そして店に入って二度目のびっくり。
この立地にはありえないくらいモダンなんですね。もうちょっと田舎風日本家屋かと思っていたら、実にお洒落でセンスがいい。窓を大きくとってあり、天井も高く部屋も広い。とても伸び伸びした空間。ニューヨークのロフトを割烹に改装したようなイメージを想像していただくといいかもしれません。

どうやらご主人の出身地らしく、もともとご実家が仕出し割烹をしていた場所らしいですが、それにしてもこれをこの立地で新築したのかー、と驚きます。

ご主人はまだ若く、30代。白衣ではなくボタンダウンで現れました。料理人というより美大出身の絵描きという感じ。
室町和久傳で修行したあと、ここに2006年に店を開いたとのこと。和久傳かーと正統な割烹を想像して待っていたら、料理で三度目のびっくりでした。

なんというか、足かせがない自由さというか、「枠」がないですね。
もちろん日本料理なのだけど、基礎をしっかり固めた上で(創作料理みたいな薄っぺらいものではない、という意味)、いろんな変化球を投げられました。

それを支えているのが丹後の海の恵みと畑の恵み。
たぶん昔からの仕入れルートなのでしょう。地元の漁師・農家と信頼関係がないと成り立たないようなすばらしい食材が次々に並び、卓抜なセンスでそこから持ち味を引き出していきます。

美味しいなぁ。
今回に限っては焼き物がほんのちょっとだけ不満でしたが、椀物の素晴らしさ、ご飯までの流れの隙のなさ、野菜の使い方のセンスの良さなど、再訪を誓わせる素晴らしい料理群でした。

また行こう、と迂闊に言えない立地ですが、でもまた行こう!

posted by さとなお at 19:52| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月28日

いとう:うを徳(神楽坂)

さとなおさん、今年もよろしくお願いします。
そういえば、「縄屋」に行っておられましたね。新年早々さすがのフットワークです。

>二子玉川の「すしき邑」(きむら:きは七が3つ)。

いやあ、ここはいい店ですよね。
天ぷら店でも修業をしたという個性派で、その天ぷら店から紹介されて、ぼくも行きました。実は「東京百年レストランII」で紹介させていただこうかどうか迷いに迷い、ある事情で断念したんですが、直後にミシュラン初登場二つ星。ぼくが星を逃したような気分でしたw。

さて、さとなおさんのお鮨紹介に対抗して、ぼくもお鮨にしたいなあと想いをめぐらせていたんですが、なかなか取り上げたい店に出会わず・・・。ちょっと遠いものの、同じく江戸前つながりで、明治時代から続く神楽坂の料亭「うを徳」を取り上げます。

「うを徳」は、神楽坂から一本水道橋側、軽子坂と呼ばれる通り沿い。神楽坂から本多横丁を折れて軽子坂に出たら右折すぐ。軽子坂には居酒屋「ちょうちん」をはじめ馴染みのお店が多いのですが、回りとは一線を画する「うを徳」の荘厳な玄関は、いつも前を通りながら「こんな店にどんな人が来るのだろう・・・」とか考えていました。

ところが、ひょんなことで「うを徳」の女将さんと知り合いになり、とても気さくな方だったし、せっかくのご縁と思って予約を依頼。10年来続く食べ仲間との新年会となりました。

こういった料亭の引き戸を開ける瞬間って本当にワクワクしますが、さらに、洋服姿しか存じ上げなかった女将さんが、もちろん着物でびしっと正座して玄関で待ち構えておられる姿を見て、「やっぱり、違うなあ・・・」と嘆息。時が止まったような二階の大広間に通されて、食事がスタート。

「時が止まった」という表現は、感動のニュアンスとして料理にも当てはまります。しっかりとした味付け、迷いのないストレート香り、十分な量。
それぞれ全ての皿が、ブレのない潔さといいますか、代々受け継がれてきた東京の味とでも表現するか。そこには、ネットやマスコミの餌食にはならなかった孤高の強さや伝統が脈打っています。東京の日本料理も新しい世代に入って発展目覚ましいですが、こうして「うを徳」の料理に接すると、やはりそれらは京都の模倣でしたないんだなあ、とまで感じさせられました。

聞けば、他から人を雇うことなくずっと家族経営で、親子で代々引き継がれた味を守っておられるとのこと。清酒もワインも一種類ずつしかないし、料理はコース二種類のみ。不器用な経営といってしまえばそうなのですが、「うを徳」に清酒やワインが何種類もあっても、それは余計でしかない。というか、一時代前って、どんな店もたいていそうだったような気がします。ところが、店のコンセプトを理解しようとせず、「ここには鍋島を置かないのか」みたいなことを平気で言ったり書いたりしてしまう生半可な知識の持ち主が増えた結果、カタログ的な店ばかりが乱立してしまい、逆に「うを徳」のようなやり方が希少で貴重になった。そんなことを考えさせられました。

実体のないスピリチュアルな話を飲食店に対して持ち出すのは個人的に「否」としつつも、いつも以上に会話も弾み楽しい夜となったのは、「うを徳」に漂う「気」のようなモノが、ぼくたちを心底リラックスさせてくれたのではないか、と密かに感じて納得しています。


posted by 伊藤章良 at 22:27| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月23日

さとなお:すし㐂邑(二子玉川)

伊藤さん、「東京百年レストラン ll」出版おめでとうございます。

前作同様、すばらしいと思います。
少なくともボクは名作だと思うなあ。こんな本の巻末に対談出演させていただき、光栄でした。ありがとうございました。

あと、「香住 北よし」も良さそうですね。
香住っつうとすぐ「カニ」を想起しますが、干物とへしこがうまいのがいい。へしこだけで5合くらい飲めますw

さて、ボクは久しぶりに鮨屋を書いてみようと思います。

二子玉川の「すし㐂邑」(きむら:きは七が3つ)。

京都の飯尾醸造の富士酢はボクの家の愛用品でもありますが、こちらの五代目と話しているときに「東京でうちのお酢を使ってくださっているお店」ということでいくつかご紹介していただいたお店のひとつ。

この店、なんと富士酢に出会って酢飯を根本から作り変えたそうです。
酢飯の味を根本から変えるって握りの味の方向性を変えること。大変なことです。そこから数年は試行錯誤して苦労したけど富士酢を使い続け、ようやく最近、思ったような味にまとまったとか。

白酢と赤酢をブレンドした酢で握った酢飯がこれまた驚きのアルデンテ。
このくらい固く仕上げてある酢飯は、数年前の蔵前「松波」くらいしか記憶がありません。そして「握りを食べ終わった後、三粒口の中に残ることを目指しています」とご主人が言われるように数粒だけ最後に口に残る量。この名残の数粒をぷちぷち食べる喜び(当初は十粒くらい残ったのでそう伝えたらすぐ修正されました)。

きれいにパラけると同時に歯がうれしい固さ。
固めの酢飯が好きなボクとしては堪えられない握りなのでした。

タネはタネでほとんどすべて「熟成」を考えられており、ぎりぎりまで寝かしてあります。
腐る寸前まで寝かし(何度も失敗して魚を捨てないといけなくなったとか)、表面を削って中の方だけ握りに使う周到さ。その魚の個性とうまみが最大限絞り出されています。そういうタネに合わせて味が作られた酢飯と合わさって、ほぼ完璧なバランスに仕上がっています。

うまかったなあ。

ちょうど早い時間で貸切みたいなものだったので、ご主人といろんな話ができました。そしてその情熱に圧倒されました。

二子玉川は少し遠いけど、また行きます。

posted by さとなお at 17:45| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月28日

いとう:香住 北よし(大阪・天満)

谷町の「味酒かむなび」、と書くところも、郷愁と幼児体験の違いがあるかもしれませんね。大阪人は、谷四、谷六、谷九といいますが、谷町とは言いません(笑。

この「味酒かむなび」は未訪です。しかもミシュランで★を獲得していることも知りませんでした。これはまた一つ、貴重な情報です。最近仕事の関係で頻繁に大阪に行くので、ぜひ行ってみます。

さて、ここで少し告知をさせてください。
「百年後も、同じ場所にて営業していてほしい」と願う店を綴った本「東京百年レストラン」を2年前に出版し、「さなメモ」にも取り上げていただきましたが、このたび、その2作目「東京百年レストランII」を上梓いたしました。

この本も、コンセプトは前作とまったく同様で、百年続いてほしい店を独自の視点で40軒選び、紹介しています。マスコミもブロガーもレビュアーも、新規にオープンした店ばかりを追っかける今、こういったテーマでの活動も地道に続けていきたいと思っています。
なお巻末には、お忙しいさとなおさんにも協力いただき、佐藤尚之×伊藤章良の対談「外食はどこへ向かうのか?」も収録しました。

そして今回のうまい店紹介。続いて大阪でいきます。
天満にある居酒屋「香住 北よし」。
香住とは、日本海にも瀬戸内海にも接している意外と広い兵庫県の、日本海に面する町。カニでその名を馳せる漁港で知られています。
その香住で、明治12年以来干物店として営業している「北由商店」にて加工された干物類や、香住漁港で獲れた魚介をメインにした店なんです。

と、聞いただけでも、特に関東の食べ好きにはたまらない店だと思いませんか。

天満は、大阪の中心から近く、しかもリーズナブルに飲み食いできる店が集中する幸せなエリア。独自の感覚で立ち上げる新しい店も集まり始めています。
「香住 北よし」は、恐ろしく長い天神橋筋商店街から一本脇に入った路地沿い。カウンター10席ほどの小さな店を、日本料理出身の店主と女性で仕切っています。

なんといってもここでいただく2トップは、干物とへしこ。へしことは、魚の糠漬けのこと。本来は若狭湾の名産とされますが、香住も、隣り町といってもいい陸続き。強めの塩加減と独特の香りを持つこのへしこをつまみに清酒を飲む、という至福は、それはもう何ものにも代えがたいマリア―ジュであります。
そして干物。ぼくたちが東京で普段食べている、熱海・伊豆あたりで産出される干物とは、魚の種類も大きさも味わいも異なる逸品揃い。全体的に小さくて味が濃くて、こちらもまた酒がすすみます(笑。
他にも、サラダ類や干物類と炊き込んだご飯も多種あって、喜ばしい限り。まさに清酒好きには、大阪でも筆頭にあがるべき店でしょうか。

そうそう、清酒については、意外にも人気地酒も豊富に取り揃えるものの、ここでは、同じテロワールの「香住鶴」を。この酒、初体験でしたが、でしゃばらず香住の魚に寄り添う感じが品よく、大ファンになってしまいました。

posted by 伊藤章良 at 11:36| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月29日

さとなお:味酒かむなび(大阪)

なるほど。
ボクは東京生まれ東京育ちで、社会人になってからの大阪経験なので(15年いたけど)、ホルモンとかどて焼きとか串カツとかの幼児体験(?)がないんです。

だから「西成二代目にしかわや」の楽しみ方も、伊藤さんみたいな大阪育ちの人とはちょっと感覚が違うかもですね。郷愁と幼児体験がないと心底楽しめないというか…。そういう感じ、たこ焼きやお好み焼きにも感じます。大阪人のそれらへの熱狂がどこかでわからないところがあります。

とはいえ大阪には15年勤めていたので、ボク的にはかなり大阪への肩入れは強いし、まぁ15年も体験してたら少しは語ってもいいのでは?と思うところはあるのだけど、でも、大阪の奥深さにはいまでもよく舌を巻きます。とても15年くらいでは語れないなぁ…。

谷町の「味酒かむなび」も、そんな奥深さに打ちのめされた一店。
大阪の居酒屋つながりで書いてみます。大阪、深いや…。

というか、谷町六丁目の、谷町筋の裏路地の静かな通りに、ミシュラン一つ星の居酒屋(この店)があり、地元の人には有名だけど大阪キタ方面の人にはそこまで知られていないこの感じがすでに奥深い(笑)。そのうえ実に美味しそうで感じのいい(古い民家を利用した)蕎麦屋さんとカフェも並んでいる。お隣の上町にはお馴染みの「ながほり」もある。底が見えないですw

それにしてもミシュラン、「よくこんな場所のこんな店を見出したな」と感心しました。全然興味がなくて全く読まない本なんだけど、ちょっと見直したです。読者である外国人に喜ばれそうな店では確かにあるけど、そうか、ここを選ぶのか…。

長い長いカウンターが特徴の居酒屋。
きさくで感じのいい若いご夫婦がやっています(よく動く若い職人さんもひとりいます)。

外観も内装もお洒落だけど、お洒落すぎず、人の家にお呼ばれしたような居心地の良さがあるいい店ですね。靴を脱いでカウンターに上がる方式だからかな。入り口横のテーブル席は靴を履いたままの土間になってます。全体に照明を抑えてあってくつろげる。

売りである日本酒の品揃えは素晴らしかったなぁ。
まぁ最近ではちょっと気の利いた居酒屋ではたいてい日本酒の品揃えに凝っていたりするんだけど、ここはその中でも「よく考えられている」とメニューを見るとすぐわかります。メニューに載ってないものもいろいろありそうで、もうボクは最初から白旗を揚げ、すべておまかせでお酒を選んでいただきました。「蒼空」や「奥鹿」とか、うましうまし。

料理もよく考えられているもの。
ド頭にいただいた「塩豆」からして超うまい。9種類の豆を炊いただけのものだけど、程の良さが素晴らしい。あぁこういう料理を出す店なのか、と、その時点で料理にも白旗。おまかせで出していただきました。

うまい、というか、なんだろう、玄米を食べたときに感じるような充足感があるですね。表面的ではない。発酵系が多かったからかな。

どれもこれも美味しかったけど、特に印象に残っているのは、その「塩豆」と、「おばあちゃんの大根ずし」「チーズの三種漬け」「キンキの三五八漬焼」「納豆とゴーヤのチャンプル」。考えたら発酵系ばかり食べているw

「おしながき」は毎日変わって、その日のおしながきが手書きコピーで配られるですね。
どれもこれも美味しそうで、全部食べ尽くしたくて仕方がない(笑)。こりゃまた行かないと! 

ちなみに、ボクはひとり客で、お隣に女性のひとり客もいました。テーブルは宴席だったし、カップルや女性ふたり客もいたり。いろんなタイプの客がそれぞれ静かにくつろいで楽しんでいて、全体に「客がつくるいい空気」が満ちている店でした。

また大阪で定期的に行きたい店が増えてしまったな。
posted by さとなお at 09:34| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月30日

いとう:西成二代目にしかわや(大阪・梅田)

すみません。ぼくも遅くなりました。

先日も少しさとなおさんと話しましたが、さとなおさんの地方ネタは貴重ですね。いつか確実に行くことがあると信じつつ、そのとき迷わないように、たくさん紹介してください。

「鯨のすき焼き」も「カツオの酢〆」も、食べたことがないです。こういった鮮度がポイントな料理は、自ら出向かないとだめなことを実感します。

さて、ではぼくも東京以外の(といっても大阪ですが)居酒屋つながりで、「西成二代目にしかわや」を紹介します。
大阪の面々には、「いまさらなんや」と言われそうで辛いんですが、なにせ席さえ確保できれば、こんなに使い勝手のいい、しかも瞬時に大阪の庶民食文化を知ることができ、そして、JR大阪駅から徒歩圏内(アメリカ村や難波にも支店ができたようです)という便利さ。
というか、古今東西探しても、ここまで巨大ターミナル駅前で、朝9時から翌朝7時まで22時間ぶっ通しで営業していて、しかも休みなし。というのだから、こりゃ、地元だけではなく、旅行者も出張者も覚えていて本当にソンはありません。

かく言うぼくも、日曜昼間の中途半端な時間に店に迷い、思わず飛び込んだ、そんな経緯があります。

西成というのは、東京で言うところの山谷のようなエリア。生活保護を受けている人が一番多い地区との汚名もありますが、反面、安くてウマイ、大阪らしい食文化が生まれる土壌も持っています。

オーナーの西川氏は、多店舗展開にも積極的な、どちらかと言うとビジネスマンかとも拝察されますが、「西成二代目にしかわや」では、先々先代のレシピを忠実に今に再現しているところはサスガ。

まず「西成二代目にしかわや」で惹かれるのは、「大正ホルモン」。もちろんぼくの生まれは、昭和ではあるけどw、子供の頃は、祖母の家の回りにいくつもホルモン焼きの店があって、ものすごいイイ匂いがするんですね。で、入ってみたいと親や祖母にねだるものの、子供の行くところではありません、と言われ、断念した思い出がそのままよみがえってきます。濃くて辛い、まさに子供には食べられない究極の酒のつまみ。

続いてくわ焼き。元々、くわ焼きを食べようと思って探し始めたものの日曜昼に開いているところはなく断念しかかったら、実はここにも(四種類だけですが)ありました。くわ焼きとは串にさした具材を鉄板に載せ、上からコテのようなもので圧着させて焼く、関西独特の料理。東京には、過去には「たこ坊」や「くわ焼きダッセ」など何軒かあったものの、現在は、ぼくの知る限り一軒もありません。

そして、どて焼き。関西のどて焼きは、最近東京の店でも食べられる牛スジの味噌煮なんだけど、「西成二代目にしかわや」のどて焼きは、牛スジを串に刺して煮込み、上から味噌ダレをかける個性的なもの。

最後に、というか、元々この店は串カツ屋ゆえ、玉ネギ、紅生姜、レンコン、チューリップ等の定番をいくつか。メニューを見るとラーメンなどもあって、食べたいものはまだまだ際限なく見つかりそうですが、夜のことも考えてこのヘンで断念。

深夜営業をしていることから、仕事終わりの料理人も多く集まる店だそうで、それを取っても、決して味に手を抜かない姿勢は伝わります。ぼくが訪れた日も、たまたま隣りに座ったオジサンは板前だとか。ここの串カツは良質の油を使っているから美味しくて、胃もたれしないんだと解説。確かにその通りでした。
posted by 伊藤章良 at 17:37| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月26日

さとなお:大衆割烹ときわ(高知)

いやぁスイマセン。
暑さでまいっていたら一ヶ月以上経ってしまいました。危ない危ない。8月がゼロ更新になるところでした。

「酒屋の酒場」、改装してます。前の方がいい感じでしたよね。「丸千葉」は知らなかったなぁ。行ったことありません。でもいい店を教えてもらいました。行ってみます。

では今回は古い居酒屋つながりで、高知の「大衆割烹ときわ」を紹介したいと思います。

まぁここも酒飲みには有名ですが、今回再訪して「やっぱり高知トップクラス」と確信したのでご紹介。

数週間前、よさこい祭りに合わせて高知旅行に行ったんですね。
物部川・仁淀川・安田川の鮎を食べ比べたりしたのですが、同行者が途中で「高知は鯨もうまいんだよねー。鯨すき焼きが食べたい!」と言いだし、高知市内を電話しまくりました。でも、高知の鯨すき焼きは基本的にニンニク葉を使うので、冬の食べ物(まぁ鍋だしね)。ほとんどの店で断られたんですね。

で、ダメもとで「ときわ」に電話してみたら、「ニンニク葉のかわりにネギを使っていいならやるよ」と言ってくれ、念願叶ったわけでした。

「ときわ」は味もいいけど、雰囲気が本当に抜群。
地元の人が溜まっている感じに、ちょっと旅情が加わって、本当にくつろげます。

宵まち横丁にあるのもいいんですよね。雰囲気ある路地です。
すぐ近くには人気の「黒尊」もあるのだけど、あちらはいつも満席。でもこちらならわりと入れる。昭和から長くやっている空気がそこここに染みついていて、実にいい感じ。壁とか柱とか黒ずんでいて年季が感じられます。

で、料理はもう「うまい!」の連続でした。
刺身系よりもちょっと手を加えた一品を多く注文したのだけど、どれも素朴ながらもうなる美味しさでした。

鯨すき焼きは濃厚なアタックがありながらもあっさりした後味。
実は牛肉より鯨肉の方がすき焼きに合うのではないか、とすら思ったですね。

ゆべし、醤油豆、ニンニクみそ、ぬた、カズノコ味噌漬け、カツオせんべいなどの一品もののうまさ。
ゆべしは鮮烈な味だったし、醤油豆はおかわりしてしまった。ぬたもうまかったなぁ。カズノコの味噌漬けは家で再現したい味。

そして名物のカツオ酢〆。
中土佐にて一本釣りカツオを塩たたきで食べたばかりだったけど、この薄造りの酢〆の方がうまいかも。

ウツボたたきもウツボ専門店を超える味だったし、デザートのイチジクのワイン煮も美味でした。

「うまい」「うめー」「うひょー」とか喜んでると、寡黙なお父さん、とても喜んでくれたですね。たまにちょっと笑う。その笑顔がこれまたとても良いのでした。

サービスは必要最低限。とてもいい距離感。そんなところも好みです。
カウンター内の佇まいも、内装も外観も、すべてに美味しそうな雰囲気が漂う名居酒屋。高知に行かれた際は、是非。

posted by さとなお at 22:29| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月19日

いとう:丸千葉(南千住)

「酒屋の酒場」って、改装されて新しくなったんでしたっけ。ずいぶん前の記憶しかなくて・・・。もちろんちゃんとした居酒屋なんだけど、その奥に普通の家庭の居間があったような。
あの店の「イカ焼き」が、とても下町の居酒屋っぽくて強く印象に残ってます。イカのワタで、いくらでも酒が飲めるぞ、みたいなノリで。

では、ぼくは一駅戻って、南千住の「丸千葉」を紹介します。
「丸千葉」も、「酒屋の酒場」同様、いわゆる下町を代表する居酒屋。ただ、「酒屋の酒場」以上にいずれの最寄駅からも遠く、しかも付近のランドマークは泪橋、つまり「あしたのジョー」の世界。この付近は男性でさえも一人で歩く場合には多少の緊張を強いられるらしく、アプローチは駅からのタクシー利用。そんなお客さんが多いのか、タクシーの運転手も心得たものです。というより、「丸千葉」への一行を乗せることに、おらが町の誇り、のようなプライドすら感じました。

もちろん道中は、場末なスナック等がぽつりぽつりとあるだけなんです。でも、その「丸千葉」のみ辺りに燦然と輝いていて、その一角は別世界。極端な例ですが、ブルックリンの「ピータールーガー・ステーキハウス」に行ったときのことを少し思い出しました。

店内は、カウンターとテーブル席に分かれ、カウンターは真ん中にスタッフが入って接客できる、下町居酒屋では王道のU型。隣に座った瞬間に友達! といっても過言ではないコミュニケーションが繰り広げられています。

ぼくは、グループで訪れたのと、まだまだ新参者ゆえテーブル席にて過ごしましたが、ここはやはり少人数でカウンターに陣取るのが楽しそう。と言っても、カウンターの客がテーブルの私たちにまで出張してきて、あれやこれやと教えてくれたので、一体感は店全体ともいえますが。

刺身やぼテサラといった、お馴染みの居酒屋メニューはもちろん、ここは揚げ物がウマイんです。メンチカツ、マグロカツ、アジフライなど、いずれも良質。たくさん食べて、たくさん飲んで。というお店の心意気が伝わってくるような温かさと満腹感。家族で営まれるホスピタリティとも相まって、飲み過ぎ食べ過ぎは必至といえます(笑。
posted by 伊藤章良 at 17:15| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月24日

さとなお:酒屋の酒場(北千住)

そうそう、台風の日に伊藤さんオススメの「くろいわ」に行けたのでした。

男女ふたりの料理人がフル回転で出してくれる料理の数々。
料理ももちろん良かったけど、なんか京都っぽいというか、季節を取り入れた盛りつけにここまで凝った店に東京で久しぶりに出会ったなぁという印象を持ちました。

ボクが行った日は紫陽花のド派手な盛りつけが印象的。
他のお皿もなかなか凝ってますね。鮎は川を泳ぐし、お菓子は初夏の川。器も凝ってるしお酒も130種あるとか。店主がヒゲ(珍しい)なのも含めて、いろいろと面白かったなぁ。また行ってみたいと思います(けど、予約が相当大変そう)。

さてと、今回は居酒屋でも。
まだここでは紹介されてなかったでしたっけね。北千住の「酒屋の酒場」

ずいぶん長い間行ってなかったのだけど、先日たまたま二度続けて行き、あーやっぱりここはうまくて安いなぁと思ったです。

いやー、ここの魚のうまいこと。
仕入れがいいのでしょうけど、そのうまさが値札を見てまたバイアスかかります。

これだけうまい〆鯖で350円とは何ごとぞぞぞ! とか同行者とわーわー歓びながら食べられるのがこの店の一番イイトコロですね。イカ刺し450円。鯛の刺身550円。青柳330円。まぁ北千住では普通かそれ以上の値段に見えるけど、これで量も質もホントすばらしい。だからどんどん売り切れていきます。

手を入れたものでも、イカの丸焼き400円、エビフライも300円台。キンメの煮付けとかなんでこれで420円で出せるんだろう。野菜ものは100円台が並びます。

お客さんが詰め込まれている感じもいいですね。
ガテン系労働者とサラリーマンと引退老人と若いカップルと移民風の人たちが袖触れ合うも多生の縁、みんな仲良しになって話してます。「これ、うまいよねー。しかも安いよねー」とか隣のひとりもんに笑いかけたくなっちゃう店なんです。

なにか趣きみたいなものをここに期待してはいけないけど、気楽でうまくて下世話でいい店です。唯一の欠点は北千住駅から遠いこと。でも遠い分、「大はし」とか「徳多和良」より、客層がより地元っぽくていいかもです。

北千住は名居酒屋ハシゴする街だけど、最近は必ずハシゴの中段あたりに入れている店ですね。

posted by さとなお at 07:11| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月20日

いとう:山灯(四谷三丁目)

昨日は台風の中、大変でしたね。

>代々木八幡の「和食 静流(しずる)」。
>女性ひとりでやっているカウンター割烹です。

あ、そうそう。ぼくもこの店を何かで知ってチェックしてたんです。
対談を見て、早々にだっちが行ってきましたよ。
さとなおさんには、ちと狭すぎるんじゃないかなw、とか言ってましたが。

実は、少し前になりますが、この「静流」並みの低価格で十分に飲み食いできる、というより、きちんとした懐石料理の、最後に炊き込みご飯や甘味まで付いたコースを純米酒の熱燗に合わせて、という日本料理店に行きました。
「山灯(やまびこ)」といいます。

四谷三丁目、いわゆる荒木町と呼ばれた界隈は、一時、昔の色町の活気を失いつつあったんですが、最近、特に若い料理人がここで店を開きイキオイが戻ってきました。もともと大好きなエリアなので、とてもうれしく感じています。特にこの街並みの特徴でもある和系の充実ぶりは、目を見張るものがあります。

「山灯」はそんな中の期待の一軒。山形の鮨店の次男坊として生まれた店主は、キチンと築地の日本料理店で修業をしての独立。すごく若いんだけど、料理にも酒にも、随所に個性を主張する姿は、すでにいっぱしの花板。カッコいいです。

もともとこの場所は、海外での和食店修業経験のある方が営んでいたこともあり、作り自体がモダンな感じだったのですが、それをほとんど居ぬきで引き継ぎながらも、若い店主の立ち姿は、さらに店全体のフレッシュ感を膨らませます。

料理は、本当に八寸から始まるきちんとした懐石料理で、一つ一つ土鍋で炊いたご飯や甘味までで4200円。なんちゃってな和風の低価格コースなら、もしかしたらあるかもしれません。でも、お椀もお造りも、そして米沢牛を使った料理までアリ。

というのも、山形のご実家が料理店を営む関係で、そこから直送されてくる食材を使うことによって、この価格が実現できるとか。まさに、築地に頼らない、若い料理人ならではの展開でしょうか。特に、東北の魅力である山菜を多用して、塩ではなく食材の力で強い料理を表現し、それを彼自身が大好きな、純米酒の熱燗に合わせていく、といったコンセプトなんです。

客によっては、「獺祭」はないのか、とか、「鍋島」を置くべきだとか、香り高い吟醸が好みとか、いろいろと言われるそうです。でも、彼は(今のところ)そういった客のわがままにもぶれることなく、濃い純米酒を熱して提供するスタイルを崩しません。

この低価格で、荒木町という素敵な場所ゆえ、今後は客も殺到し、純米酒が全く出ない・・・、吟醸酒をワインを出せと言われる日々との闘いが待っているんじゃないかと、本当に心配。
でも、ガンバレガンバレと口に出して、カウンターで応援し続けてきましたw。
posted by 伊藤章良 at 10:55| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする