2015年09月30日

いとう:津之守坂 よねやま(四谷三丁目)

「シェ・ピエール」そんな思い出があったんですね。
ビゴの店からピエールについてのお話、なんとなくとても懐かしく聞かせていただきました。さとなおさんと出会った当初、まださとなおさんは関西に暮らしていて、すでに東京だったぼくに、よく関西の話をされていたことも強く思い出しました。独立して興した最初の事務所に結びついた記憶。決して消えることはないかと確信します。新しいオフィスでも、ご近所にお馴染みができたらいいですね。

ではぼくも、チャレンジつながりで続けてみます。

四谷三丁目と二丁目の、新宿通りから靖国通りへと下っていく坂を津之守坂といます。四谷市ヶ谷千駄ヶ谷と界隈は「谷」ばかりなんだけど、それでもとても坂の多いエリア。そしてまた、その坂のひとつひとつに情緒あるステキな名前がついていて、ぼくはこの界隈を散策するのが大好きなんです。

そしてここ、津之守坂の中腹から少し下がった辺り。ひっそりと、でも10年以上前から「よねやま」という割烹があったことをご存知でしょうか。店の雰囲気からすると、割烹というより小料理屋と称したほうがしっくり来るのかもしれません。オープン当時、価格を抑えつつも本格的な日本料理が味わえる店として評判を呼び、数々のグルメ誌にも掲載されていた記憶があります。

また、津之守坂の風情やお店に至るアプローチがとてもいいんです。
荒木町の映画のセットのようなレトロな雰囲気も好きだし、四谷駅前のごとく雑多な飲食店街も決して悪くない。でも津之守坂は、そのいずれにも属せず、静かで拡張高く、かつ「よねやま」は路面なので、タクシー等での行き来もとても楽。よくまあこんな場所を見つけたなあと、オープン当初「よねやま」の立地に感動を覚えたものでした。

個人的には、現状維持でも十分に継続していけるやに感じていたんですが、店主は、静かに静かに次の展開を考えておられたようで、飲食業界が決して安泰ではないこの時期に意を決してリニューアル。新しく「割烹」らしい割烹として生まれ変わりました。

もともと、ロケーションや佇まいは申し分なかったのですが、店主によると、京都で親父と若い弟子がふたりぐらいで営む、それこそリアルに割烹という言葉がふさわしい店にしたかったとのこと。
個人的には、木屋町の「やました」みたいな店かなあと思いつつ、でも「千花」なんかもイメージしながら、そんな話もふってみたら、当たらずとも遠からず。ぼくの持つ京都の割烹らしさと、店主の考えるこれからの「よねやま」が合致した瞬間でした。

ただ、あくまで東京の日本料理店なので京都のような薄味の料理を出すつもりはないと言い切ります。醤油の風味が利いた、あくまで輪郭のハッキリした料理。目指すもの、すべてのフレームをしっかりと確立させてのリニューアルだったんだなあと、改めて思い至る、そんな感じ。

そんな話を聞いたわけではなく、整然と食器が積み上がった棚を背にし、店主がてぎぱきと動き回る姿に、京都の割烹がシンクロしていました。料理は、ある種日本料理の華である八寸みたいな大仰なデコレーションを組むのではなく、適度な大きさの皿に、一盛り一盛り丁寧に食材を集中させながら、客が食べるペースに合わせて提供するスタイル。美味しさとともに、リズムを重視する流れは、まさに客の立場にたった展開で、本当に心地よい時間でした。

ただ、まだまだリニューアルオープンをしたばかりで、店主も慣れていない部分が少なからずあり、料理を提供することばかりに時間が取られている感じがしました。京都の割烹を目指すからには、京都の旦那筋のような、わがままな要求にをいなしつつ、適度に客とのコミュニケーションを取れるようになれば、晴れて願いの成就となるかなあとか考えています。


posted by 伊藤章良 at 23:50| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月01日

さとなお:シェ・ピエール(乃木坂)

伊藤さん、すいません、一日更新遅れちゃいました(最低でも月一更新は死守しようってこの前言ったばかりなのに・・・)。

その東麻布の店、当時よく行きました。当時の最先端でしたよね。そういうチャレンジがとても目新しく感じられる時代でもありました。

さて、では今回はチャレンジつながりで。
1960年代、まだ子供たちが駄菓子に夢中になっている時代、本格的なパンなんて望むべくもなかった時代、日本にフランスパンを広める、というチャレンジをしたフランス人がふたりいます。

ひとりは、関西のフィリップ・ビゴさんです。
芦屋に「ビゴの店」を開いて、それが当たったのでわりと有名ですね。

ボクは関西勤務時代、このビゴさんの本店兼レストランのすぐ近くに住んでました。で、大柄で朗らかなビゴさん自らの給仕をレストランでよく受けていました。なので、いまでも東京とかでビゴの店を見かけると、なんだかとても親密な気分になります。ビゴさん元気かなぁって。

でも、同じく立役者なのにビゴさんほどは知られてないのが、乃木坂の老舗ビストロ『シェ・ピエール』のオーナーシェフ、ピエール・プリジャンさんですね。

ボクは、東京に転勤で戻ってきて、長年勤めた会社から独立して事務所を開いたのが乃木坂でした。
その事務所がある小さなマンションの横が「シェ・ピエール」でした。
日本で、フランス人オーナーのビストロとしては一番古い(1973年創業)、ということは知っていたのだけど、このピエールさんが「日本にフランスパンを広めたもうひとりの立役者」とは知らなかったなぁ。

神戸の老舗(今年で創業110年)のパン屋「DONQ(ドンク)」に、このピエールさんとビゴさんのふたりがいたんですね。ドンクのサイトから引用してみます。

日本ではじめて本格的なフランスパンの製造、販売を開始した1965年当時、フランス産の小麦粉は輸入されておらず、良質のフランスパンを作るのは非常に困難でした。そこで、日清製粉株式会社様がドンクにフランスパン専用粉の開発を申し出、当時ドンクで働いていたピエール・プリジャン氏やフィリップ・ビゴ氏がテストを重ねながら、フランス国立製粉学校の教授レイモン・カルヴェル氏指導のもと、リスドオルと命名されたフランスパン専用粉を完成させました。用いられたのは、日本で手に入れることのできた小麦のみで、フランス産の小麦はもちろん入っていませんでしたが、そのクオリティは高く、はじめてフランスパンを口にした日本人を感動させただけでなく、在日のフランス人たちをも大いに喜ばせたのでした。
小麦が一部自由化された現在においてもリスドオルの評価は高く、焼き立てのパリパリ感と中身のしっとりとした甘さは、リスドオル特有のものといえます。

そう、このふたりが「日本のフランスパン」にものすごく大きく貢献しているのです。
ビゴさんは独立して芦屋に「ビゴの店」を開き、ピエールさんはビストロ「シェ・ピエール」を開いた、ということです。

ビゴ本店の近くに住んでいたのみならず、ピエールの隣にオフィスを持っているとは、なんとなく縁を感じます。フランスパン普及の苦労話をピエールさん本人の口から聞いて以来、ボクの大切なレストランのひとつになりました。

この店、2年前に40周年だったんですね(場所は一度移転している)。
40年、日本でビストロをやっていると、それなりに日本人の舌に合わせてきている部分はあるかもしれません。でも、外観や内装の本場っぽさ(本当にパリっぽい)も相まって、これこそフランスだなぁと毎回思います。

なんというか「ずっとずっと日本にフランスパンやフランス料理を広めるために営業しつづけてきてくれたピエールさんの日々の言いしれぬ努力がすべて入った滋味溢れる味」という感じ。飾らない、素朴で実質的な、でも奥の深い、長い歴史がじっくり煮込まれたようなありがたい味。そういう印象です。

この店でモンサンミッシェルから直送のムール貝とか、日本一のブイヤベースを食べてると、本当に日本にいることを忘れます。ピエールさん本人も頻繁に客席に顔を出してサービスしてくれるのも含めて。

そして、これはマダムのおかげだと思うけど、装飾品も多いのに、清掃が驚くほど隅々まで行き届いていて気持ちがいいです。本当に清潔でコージーな空間なのです。

この店に行くたびに、本質的な意味で「日本のビストロの先駆け」であり、「精神的支柱」なんだなぁ、と思います。新しい店も大切だけど、こういう店にもっともっと敬意を持ちたいですね。

実は昨日、乃木坂から表参道にオフィスを引っ越しました。
「あ、オフィスの場所? 青山葬儀場の真ん前の『シェ・ピエール』の隣のビルの4階だよ」とか、もう人に説明できないんだなー、ランチとかにふらっとピエールさんに会いに行くことももうないんだなー、と思うとちょっと寂しいです。

昨晩、そんなことを想いながら帰路についていたので、今回は「シェ・ピエール」を書いてみました。50周年、60周年と、ピエールさんに元気でいてほしいです。日本の宝です。

posted by さとなお at 06:55| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月31日

いとう:地中海料理「オリーヴァ」〔学芸大学〕

さとなおさんが前回書いておられた店、実はとても興味がありました。このごろ日本の料理人と接していても、ヴーガンを自分の店のメニューの一つとして取り入れたいとする意欲的な話を意外と聞くんです。
さとなおさんが書かれるように、ちょっと「肩凝りそう」とか「宗教的?」みたいな解釈が、いかにも日本人的だなあとも言えますが、食材を絞った結果生まれる面白みも、確実にあると思うんですよね。

それから、さとなおさんが語っていたもう一つのキーワード。レストランにしても人間にしても「自己模倣」が一番の成長の敵。本当にその通りです。そして今回は、その点に最大の個性を感じるといいますか、模倣せず名声にも拘らず、ごく自然な新しい立ち位置からスタートしたレストラン。

具体的に書くことがシェフの本意ではないかもしれないので〔検索すれば分かることですか〕詳しくは書きませんが、新感覚、最新の技法で高い評判や名声を得たイタリア料理店が東麻布にありました。変幻自在で知られる動物の名前を店名にしたところも料理の志向と合致。マスコミ相手にも気を吐く料理人で論争も絶えなかったような記憶があります

そんな料理人があっさり店を閉め、改めて世界中の料理を食べ歩いたと聞きます。そして、そんな店もあったなあと世間の印象もすっかり思い出と変わった今、学芸大学駅からすぐの好立地に、地中海料理と銘打った料理店「オリーヴァ」をオープンしました。

メニューを見ただけでも、エスプーマだの液体窒素だのといった〔記憶はすでに詳細ではありませんが〕過去のスタイルとは決別し、180度振り切ったといいますか、原点に回帰したと表現するのが適切なのか、まったく当時の片鱗を感じさせることはなく、骨太と形容するしか例えようのないドカンとくる地中海の料理。もちろんイタリア料理がベースですが、その殻まで破りたいというコンセプトでしょうか、地中海料理と称する点にも、昔の料理に対する決別を感じます。

くじらのフリットやお魚のミートソース、シンプルなメニューながら、食いしん坊ならたまらず食指が伸びるタイプのメニュー構成。メインは炭火焼ですが、でっかいウルメイワシには、本当に日本の焼き魚とは一線を画する、これぞヨーロッパというか、彼の地でムシムシと白ワイン片手に食べた極ウマなイワシを思い出しました。

この場所の店舗とはご縁もあったと思いますが、以前のカウンターの店とは違い、細長いダイニングエリアからは厨房が見える席も限られていて、多くのシェフが最終系としてカウンターの店を選ぶ傾向が顕著の今、そのスタイルも真逆。

でも、ぼく自身にしてみると、シェフの至った到達点に改めてご一緒できるという同時代感覚が、例えようのない心地よさだったりします。でもシェフは、そんなめんどくさいことをいちいち考えず、ストレートに素直に受け止めてくれという気持ちなのかなとは思いますが。



posted by 伊藤章良 at 23:39| イタリアン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月30日

さとなお:mique(荏原中延)

「フロリレージュ」、よいですねー。
移転前の店は一度だけ伺いました。ボクの中では「静」のイメージです。しかも周りの雑景が見えない「絵はがき的な静」。伊藤さんのを読むと、今度は「動」なんですね? それは楽しみ。

というか、レストランにしても人間にしても「自己模倣」が一番の成長の敵です。
あれだけ評判だった店の「型」をちゃんと壊して次に向かっているというだけで、スタッフたちの志が感じられます。さすがです。貯金して行ってみよ。

さて、今回ボクは「静」かつ「今年の2月にスタートしたばかり」というお店を紹介しようと思います。これから「動」に向かうポテンシャルを秘めた小さな店です。

荏原中延の「mique(ミケ)」
建具屋さんに嫁いだアートデザイナーが料理人に転じて「ヴィーガン(Vegan)料理」を作ってくれます。

Veganとは、ググればわかりますが、完全菜食とも言われるもので、乳製品なども含む一切の動物性の食品を避けて、可能な限り自然農法や有機農法で作られた食材を使った料理。

と、聞くと、ちょっと「肩凝りそう」とか「宗教的?」とか思いがちだけどさにあらず。
店主の瀬戸さんは、元々超忙しい広告業界にいたせいもあり「食事のときくらい、本当に健康にいいものをゆっくり食べてホッとして欲しい」という願いから、敢えてこの料理を選んだそうです。

だから、ワインもたっぷり飲めるし、全然堅苦しくない。というか、あまり菜食を感じさせないですね。モダンな創作和食という趣き。へー、ほー、と喜んでいるうちに心も身体も満たされます。

ちなみに、この6月7月の献立をご紹介すると(お決まりで3900円税別のみ)、「一ノ皿:作りたて胡麻豆腐&今日の野菜の昆布〆」「二ノ皿:三"種"のサラダ ミントの香り 蕎麦の実・ハト麦・枝豆」「三ノ皿:豆腐と季節野菜の揚げ浸し」「四ノ皿:トマトの炊き込みご飯&冷たい味噌汁」「おしまいの皿:無花果のアイスクリーム&ハーブティ」。

「これだけ〜?」と思う男性も多いかもだけど、実際にゆっくり食べ進めるとちょうどいい腹具合になります。

アートデザイナーだった彼女が手作りで作った空間はとても親密。
中延の昭和な路地にあることも相まって(この周辺の雰囲気サイコー)、なんだか懐かしく、優しい気持ちになれます。

彼女ひとりですべてをまかなうので、5人しか入れない予約制だけど、電話して是非行ってみて欲しいと思います。

posted by さとなお at 16:35| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月31日

いとう;フロリレージュ(外苑前)

そういえば先日、四ツ谷の「ミタニ」の話になり、みんなであーでもない、こーでもないとか話していて、どうも内容がかみ合わないんですね。
挙句の果てに「予約取れないじゃないですか」と誰かがいい、「え、そんなに予約取れなかったっけ」と別のメンツが応える。そう、四ツ谷には鮨とフレンチ、二軒の「ミタニ」があるんですね。ご留意のほど(笑。

ではぼくも、フレンチ繋がりで「フロリレージュ」。
多くの方はご存知かと思いますが、「フロリレージュ」は移転しました。そして、移転してこんなに変わるか、というぐらい変わりました。
以前の「フロリレージュ」は、店のロケーション、エントランスの驚き、料理のホットさ複雑さ濃厚さ等々、間違いなく東京でもっともエッチな店(もちろんすばらしいという意味で)。店を辞した後、下る階段途中でチューしたくならなけれは大人じゃないよ(笑、というぐらい、心底フランス料理というよりフランスのエスプリを感じさせる唯一無比のレストランでした。

そんな店がなくなってしまう、というのもいささか残念でしたが、新生「フロリレージュ」、今度はフルオープンキッチンを新たな舞台として、彼らの動きに眼を奪われ言葉を失ってしまうぐらいの劇場型。この大胆な変革への驚きと、川手シェフの特徴やスペシャリテと言われてきた数々をあっさりと捨て去る潔さ。
フランス以外のフランス料理店を模範とした、というだけあって「NOMA」やシンガポールの「アンドレ」など、今、最先端を走ってる料理店のエッセンスが川手シェフ流に昇華されてぎっしりと詰まっています。

新生「フロリレージュ」の内容については書きません。予め聞いてしまうと楽しみも半減するかなと思うからです。料理の写真はおろか、メニューまで写真に撮って載せている人もいるけど、映画を観に行く人を前にそのストーリーを教えているのと同じ行為。あれはやめた方がいいなあ。

ぼくは、フランス料理店において、料理に手を付けることなくずっとジージー写真を撮っている人、ワインを一滴も飲まない人、その二つはご遠慮いただきたいと願ってきました。きっと川手シェフも同じ気持ちだったんでしょう。というのも以前の「フロリレージュ」では、ここはグラビアアイドルの撮影会場かい?というぐらいのカメラカメラ。そして、酒はほとんど売れることなくソムリエは廃業状態だったかと。

ところが、新生「フロリレージュ」は、このご遠慮いただきたい客がほとんど目立たない(視界に入ってこない)よう、座席のレイアウトやライティングが工夫されているのです。さらにそれらをカバーするスタッフの動きもまた、暗部を隠すことに一役かっています。感服しました。

食事をする自分たち、そして、川手シェフをトップとした目の前で展開されるドラマのような調理シーン。最後に、出来上がった料理を料理人自ら客前まで運ぶ導線の鮮やかさと彼らの情熱的な説明。新生「フロリレージュ」にいると、心無い客から発せられる雑念や自己顕示欲がまったく視野に入らず、純粋に食事を楽しめるんですね。幸せをたくさんもらいました。

食事をしない客、ワインを飲まない客・・・。店側もさまざまな来客を想定しつつ、店全体の士気が下がらないよう雰囲気が壊れないよう様々に工夫する。アイデアは料理にだけではない、ということを新生「フロリレージュ」は感じさせてくれました。

なお、フロリレージュという、フラワーを想起させるようなラブリーな店名にした結果、この店が本当にやりたい意図も、なかなか伝わりにくいのかなあと思ったりもします。ところがフロリレージュとは、フランスの高級コニャック(お酒)の名前なのです。
posted by 伊藤章良 at 09:38| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月30日

さとなお:レスプリ・ミタニ ア ゲタリ(四谷)

伊藤さん、一ヶ月さぼってしまいました。
すいません。

最近、仕事の状況がいろいろ変化し、余裕がなくなってあまり食べに行けてないこともあり、「ネタがないなぁ」というの半分、そして新刊の執筆にかかりきりで余裕がホントになかったのが半分でした。すいません。

さて、暖かくもなったし、心機一転、また食べ始めようと思いますw

で、今回は四谷の「レスプリ・ミタニ ア ゲタリ」を取り上げます。
難しい店名ですよね。「ア ゲタリ」。スペルは「L'esprit MITANI a GUÉTHARY」です。なぜこの店名にしたのか、聞いた気もするけど忘れてしまいました。ゲタリーはコート・バスクの中心地なので、なにかそこにまつわる由来があったかもしれません(覚えとけよ)。

恵比寿時代の「レスプリ・ド・ミタニ」はわりと通ったのだけど、六本木ヒルズ時代はちょっと高価になったのもあってあまり行かず、「あーでも三谷シェフの料理、食べたいなぁ」とずっと思っていたんですね。そして友人に誘われてようやく四谷の新店に行けました。

以前「カシュカシュ」があったところ。
全体的に渋くてカジュアルな内装で、古いダイナーといった趣き。

で、一番わくわくしたのは、ワゴンでしょうかね。
その日食べられる肉・肉・肉のオンパレードのワゴンがどどんと出てきて、三谷シェフ自ら肉の状態とかを説明しつつ相談に乗ってくれます。この時点でテンション上がる上がる。

どの塊をどう焼くか、シェフといっしょにわいわい考える至福の時間。そういう意味では、食いしん坊の男性のグループで行くのが一番楽しいかもしれない。肉を食らうワクワクが増強される気がします。

もちろん肉以外の一品もおいしいのだけど、やっぱりこの店は肉かなぁ。

四谷といえば、「北島亭」が健在で、肉の塊といえばやはり「北島亭」に行きたくなるのだけど、よりカジュアルで気楽に一品を食べられる的な雰囲気があるので、今後はこの「ア ゲタリ」も候補に入れたいと思います。

posted by さとなお at 23:40| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月27日

いとう:Nomka(赤羽)

さとなおさん、拙著に対する身にあまる評価、ありがとうございます。
ブログでの書評、楽しみにしています(笑。

前回のさとなおさんの紹介店「Veggiecups」は、すごく魅力的かつ神秘的で、なによりカラダによさそう。飲食の業態も個性化してきましたよね。かなり興味深いです。少人数で集まる機会にぜひとも覚えておきたいお店です。

さて、ぼくも、中国料理店ながら油が軽くヘルシーで、野菜も豊富なお店を紹介します。
またまた拙著を持ち出して恐縮なんですが、東京百年レストランI、東京百年レストランIIとシリーズを重ねていくなか、紹介したうち2店舗のみ休業をしている店がありました。一店は「ル・ベルクレイ」。現在、アメリカでの開業を目指して準備中です。もう一店は「艇家」。日暮里からも鶯谷からも少々遠方の不便な場所にあり静かに営業をされていたのですが、急にブレイクしてとんでもない人気店となりました。決して店主はそれを望んでいなかったかと思うし、様々に心労もあったのでしょう。「艇家」は、しばし休業に入っていました。

そしてついに、またまたひっそりと、今度は赤羽にて、百年目指して(笑、再スタートされました。
「Nomka」といいます。Nomi(飲み) - teika(艇家) をギュっと縮めて「Nomka」だそうで、真面目一徹なご夫妻からは少し想像がつかない、ユーモアあふれる店名です。
今度の店は、ビルの地下のいわゆる飲食店街。課題だった駅からは近いものの、ひっそり感は以前にも増してかな。

店内はカウンターのみ8席ほどでしょうか。入ってすぐ左にワインセラーがありますし、中華の雰囲気はあまり感じませんが、にこやかでいつも腰の低いご夫妻と対面して、「艇家」の片鱗が蘇ってきました。

メニューには、小さく「写真を撮らないでください」とあったのでメニュー名は記しませんが、冷たいおつまみと温かいおつまみとに分かれていて、小さな皿からお腹を満たす麺類まで、キチンと揃っています。どれを選ぼうかと考えるまでもなく「メニューは、全部いただきます」とお願いしたところ、小気味いいコース仕立てな感じで、テンポよく登場。

どの料理も、食材の組合せや盛り付けに驚きがあり、口にするとほんのり優しくて笑みが止まらない。と、そんな連続。それこそ一巡ののち、何点かは改めて追加で(笑。

ワインと紹興酒も、「艇家」の当時は勉強中と言っておられたマダムのセンスと個性が映えるラインナップ。リストの見せ方も相変わらず秀逸です。赤白ワイン、紹興酒とどちらも飲みましたが、料理に合わせて飲み分けるのも面白いと思います。どちらかというと、「Nomka」ではワインが優勢でしょうか。

ぼくが訪れた日は、拙著「東京百年レストラン」で「艇家」を知って通い始め、
新規オープンを心待ちにしていたという方にも出会いました。ぼく自身も本当にうれしかった。
末永く、騒がずゆっくり通いたい店だと思います。
posted by 伊藤章良 at 17:41| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月31日

さとなお:Veggiecups(麹町)

伊藤さん、新刊「幸せになれる43の料理店」、本当にすばらしく、ブログに書こう書こうと思っているのですが、どう書こうか迷って手が着けられていません。

ホント、すばらしいですね。
いままでの集大成かつ人生観を注ぎ込んで書かれているのがギンギン伝わってきます。ちゃんと向き合える時間を作って感想書きますね。でも、ここまですごいと逆に書きにくい(友人だから言っているのではなく、本当に感心しています)

さて、今日は「Veggiecups」というレストランをご紹介。
カタカナだと「ベジーカップス」でしょうか。いわゆるオーガニック食材・無農薬・減農薬の野菜を出すレストランで、そういう店ってちょっとストイックすぎて楽しめないところがあるんだけど、この店は違いました。

ここ、昼は弁当(基本、菜食系ですがノンベジもある)を売っているのですが、11時から24時まで土日祝日問わず、完全予約制で飲み放題のパーティをやってくれるんです。

で、知り合いが予約してくれて、夜に伺いました。

食事はコースで4320円。
これがねえ、至福のときでした。なにしろ野菜がうまい。野菜だけ食べていてもまったく飽きが来ない。すばらしかったですね。
旬野菜のサラダから、マリネ、グラタンと続いて、鶏モモのローストからパエリアまで。量が多くてお持ち帰りしたほどです。なんかこの手の料理店って小鳥さんに出すような量しか出ないところが多い印象なのだけど、このボクが食べ残しましたからねえ。。。

しかもオーガニックなワイン(なかなか良い品揃え)や自家製のサングリア(すばらしい!)、キリンハートランドなど飲み放題でこの値段なのです。

とても寒い日だったので、ボクはメニューになかったホットワインをお願いしたのですが、自家製サングリアに赤ワインを足して温めてくれ、実に美味でした。そういう対応もニコニコ喜んでしてくれます。

店長のクニイさんは勉強熱心で、オーガニックな視点とビジネスの視点を両方持っていて、ボクは逆に安心しました。オーガニックな視点ばかりが前にでると、なんかNPO的な理想主義に陥りがちだけど(自戒をこめて)、そういうのがない。ちゃんとビジネス考えている。そこも好みでした。

店内の雰囲気もよく、長時間くつろげました。
着席だと18名、立食で28名まで可能だそうですが、8名くらいで貸し切りして楽しむのが一番いいかもしれません。

いやー、胃腸にも肝臓にもお財布にも優しい店だったなぁ。また行こう。

posted by さとなお at 19:55| 無国籍料理・その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月24日

いとう:酒菜や まつ(阿佐ヶ谷)

さとなおさんのお手元にはすでにあるかなとも思いますが、少しここで紹介を。
東京百年レストランというタイトルで、百年後にも存在していてほしいとぼくが思う店、という縛りだけで選んで紹介しているシリーズの第三弾が出来上がりました。「幸せになれる43の料理店 ―東京百年レストランIII 」です。

第三弾では、以前にもまして、それぞれのレストランから感じる「継承」をテーマに据えて書きこんでいます。ぜひご一読いただければ幸いです。
http://www.amazon.co.jp/%E5%B9%B8%E3%81%9B%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8C%E3%82%8B43%E3%81%AE%E6%96%99%E7%90%86%E5%BA%97-%E2%80%95%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E7%99%BE%E5%B9%B4%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3III-%E4%BC%8A%E8%97%A4-%E7%AB%A0%E8%89%AF/dp/toc/4844376675

さて、今までの流れで中国料理にもっていきたいと思ったんですが、年内に紹介しておきたいなあと思う居酒屋がありますので、そちらを。
阿佐ヶ谷の「酒菜や まつ」です。

この店の主は以前、最近さとなおさんもときどき来られている新宿御苑前にあった「あゆたて」という寿司割烹のような店におられました。新宿御苑前というと、あまりマニアックな店に仕立てても集客に苦労するのか、「あゆたて」は創作和食みたいな飛びつきやすい冠をつけてたんですが、何度か地元のメンバーに連れられて行った際、もっとストレートに「魚」で勝負すればいいのにと思うほど、良質で廉価で高い技にも支えられた「魚」を提供する店だったんです。

「あゆたて」という店はもうないのですが、その方が阿佐ヶ谷に居酒屋を出されたという風のうわさ(笑)を聞いていて、ずっと訪問の機会を狙っていたというわけです。
場所は、阿佐ヶ谷駅からMcDonaldの横を進んだ飲み屋街。いい立地です。
店内は入ってすぐにカウンターとボックス、奥にテーブル席が三卓ほどあります。テーブル席からは厨房が見えないので、混んでくるとこの場所はほっとかれるかなとも感じるけど、じっくり話をしたいときなどは最適でなかなか利便性の高いレイアウトだと思います。

それにしても料理はうまい。寿司をやめて本当に正解だったと感じます。自慢の刺身は大振りの切り口で清酒に合うねっとり感も充実。牛肉を使った肉豆腐のダシ加減には、思わず「これだよ」と叫びました。今の時期なら復興した広田湾のカキをフライをはじめ、カニグラタンコロッケやハムカツなど、揚げもそろってます。
清酒も十分なラインナップで、地方のバランスもちょうどいい感じ。何より、廉価だし価格別のメニューがとても良心的なんです。

そして〆にはラーメンもぜひ。このラーメンは魚介メインのWスープをうたっていますが、市井のラーメン店の多くは腐った魚の匂いがするのに対し、これぞ魚介から滲み出る淡い磯の香りが鼻腔に充満。ぜひラーメンフリークにも一度召し上がってほしいです。

なお、拙著「東京百年レストランシリーズ」で紹介している居酒屋は、ほとんど禁煙の店ばかりだという指摘が愛煙家から多数寄せられましたが(汗、「まつ」も禁煙。やはり秀逸の料理や香り高い清酒を提供する店には、タバコの煙は不要ですね。

posted by 伊藤章良 at 15:45| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月30日

さとなお:上海四川料理 廣安(広尾)

伊藤さん、こんにちは。
最近あまりリアルで会えてないですね。来年はもうちょい会いましょうw

伊藤さんが前に紹介してくれた「八幡浜ちゃんぽん 莢」、あれから何度か行っています。滋味溢れる味で好きかも。いい店のご紹介ありがとうでした。

では中国料理つながりで。
最近友人に連れて行ってもらった「上海四川料理 廣安」(広尾)を書いてみます。

いま広尾って中国料理激戦区になりつつあるんだけど、そんな中ではわりと普通な佇まいのこの店、友人のお気に入りということで一度行き、その後もう一度行きました。コストパフォーマンスがなかなかよく、満足度高いんです。4000円のコースを頼んで、飲み放題1800円をつけると5800円。これがなかなか満足できる量と味。

最初は「上海四川料理ってなんだ?」と不安になるんだけど、メニューを見てみると、四川料理を中心にフカヒレなどの上海料理が混ざるという感じのようですね。まぁイイトコドリと好意的に解釈すればいいと思うし、このシェフ、どちらも隙なく上手に作ります。

料理的には圧倒的に四川系の印象が強いかな。辛い料理がとっても印象的。

四川唐辛子の山椒炒めと四川麻婆豆腐は、まぁ辛さメインなのでそんなに他店と差が付かないところがあるけど、濃厚な担々麺はさすがな味。

そして、黒酢酢豚がいい。
黒酢酢豚って最近どこの店でも出すようになったけど(昔は「桃の木」くらいしかなくなかった?)、ここの黒酢酢豚の味付け、甘みが強いんだけど、辛いものの後に食べるせいかそれが心地よいんですね。そういえば名物の特製大シュウマイもちょっと甘めに味付けてあったな。そういうバランスがちゃんと考えられている感じ。

他に鉄鍋餃子、酸辣湯なんかも良かったです。

敢えて苦言を言うと、お店全体になんとなく雑然とした感じがあるんですね。
中国料理はどうしても油汚れなんかがついてしまうとは思うのだけど、料理の盛りつけがわりとおしゃれだし、味も値段も満足なので、あと少しを望んでしまうかも。

これからの寒い季節、辛いもん食べてカラダを温めたいときに覚えておくといい店だと思いましたです。

posted by さとなお at 19:48| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする