2016年09月30日

いとう:方哉(恵比寿)

「天春」、ここもぼくにとっては、さとなおさんのイメージなんですよね。
この界隈はぼくの基本的なら生活圏なので、店の前を通るたび、「あ、さとなおさん、どーしてるかなあ」とか思います。

それにしても、あのしじみ汁の、しじみの数を数えたんですか。
やっぱり、そこに挑戦してみようという人はいるんですね。
数えている間に冷めそうな(笑。

さとなおさんは東京の人なので、「天春」を昭和という表現を使われてましたが、ぼくにとっては「天春」は、古き東京のイメージもあります。天丼に載っている海老天が小さいのも、いかにも江戸前な感じ。
ただ、ぼくが東京に暮らし始めたとき、東京生まれ・育ちの先輩が、東京の人間は、しじみ汁のしじみは食わないんだよ。あれはダシを味わうものだからね。と言われて信じらないなあと思った記憶が(笑。

油についての論説も、ぼくたちにとっての朗報とともに、確かにその通りですよね。油自体の改良もあるし、店側のプレゼンテーションも変わってきました。
油ギトギト、なんていうのは、もう死語がもしれません。
そんな意味で、天ぷらやトンカツとともに、油ギトギトの代名詞だった中華料理も変わってきました。中華料理と中国料理を、日式大陸式としてすみ分けるという人もいるようですが、そんな話はまた長くなるので・・・。

今回は中国料理店を紹介します。恵比寿の「方哉」
中国料理らしくない店名、おや、中国にこんな地名はあったかなあとか、ふと考えていしまいますが、オーナーシェフのファーストネームとか。
子供のころから、まさやとは呼んでもらえなかったみたいで、逆に思い入れがある、みたいなお話しでした。

恵比寿は、もともとイタリアン・フレンチのイメージが強かったですが、最近中国料理店がポツポツと増えてるような気がします。
さとなおさんも、こちらで「廣安」を紹介されてましたけど、最近の中国料理店は、大陸のさまざまな地域、広東とか四川とか、はたまた台湾とか、それぞれ特徴をだして、専門料理店化してますし、それがある種の信用を得ている気もします。
ただ、恵比寿にできる店は、なぜかオールマイティなアプローチが多い。古老肉も黒酢で決めて、麻婆豆腐はがっつり辛く、点心や麺も多種類あったりと、オールラウンダーながら、いずれも特徴をとらえておいしく仕上げている。と、そんな感じ。

最近急激に飲食店が増えてきた、通称ビール坂と言われる通り沿いのビルの二階。このビルは少し前からあり、通りから奥まっていてこぶりな感じなので、飲食ビルとしてはなかなかのロケーションなんですが、どうも全体的には苦戦してる模様。この「方哉」が新風を巻き起こすかな、といった風情です。

クラゲとかローストポークとか、そういった前菜も、一つ一つ丁寧に味わい深く作ってあって、いいサンマが入りましたのでというオススメで試してみた中華風の刺身も、これまたピュアで白ワインが進む感じ。
炒め物をと思ってお願いした青菜も、火の入れ方が絶妙で修業の底力を見せてますし、その青菜のみずみずしさや苦みから、食材の仕入れにもかなり吟味をされているようです。それは前菜でいただいたサンマからも見受けました。

麻婆豆腐はお得意だとのシェフの話で、思いっきり辛いものを特別注文したら、調理の最中からダイニングのぼくまで目が痛くなるぐらいの利かせよう。ただ食べてみると。単に辛さが強いだけではなく、コクやうま味も十分にあって、ああおいしー、うわ辛いの繰り返し。さすがにお得意というだけの説得力がありました。

最後に、お会計を手にしたときの第一印象がとてもリーズナブル。
これは本当にありがたいことで、シェフの努力がしのばれます。
恵比寿が、ということではありませんが、最近、強烈に高い中国料理店が増え始め、中華がリーズナブルだという時代は終焉し、鮨のように天井知らずの高額化が進むのかなあと危惧しています。
そんな中で、ぼくたちは「方哉」のような店の登場を待望していたのかもしれません。
posted by 伊藤章良 at 20:52| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月30日

さとなお:ふーみん(表参道)

ティーペアリングって面白いですね。
ブレンドしたり抽出方法・温度・時間を変えたりするのって、ありそうでなかったし、それをフレンチに合わせる&ワイングラスで出すなんてことも、まったく発想しませんでした。なるほどー。しかもきっとここに書かなかった驚きも多いのでしょう。近ければすぐにでも行くんだけどな・・・すばらしい店のご紹介、ありがとうございます。

では、広い意味でのペアリングつながりで。
今回は表参道は骨董通りの「ふーみん」を書いてみようと思います。

表参道や骨董通り近辺の方で知らない人はいないくらい有名な中華風家庭料理のお店ですね。ボクは通い始めて10年ほどでしょうか。30年以上も通っている人が多い店なのでまだまだヒヨッコです。

店名は、オーナーシェフの斎風瑞(さい・ふうみ)さんの名前から取られています。
台湾出身の彼女、もうかなりのご高齢のはずですが、毎日キッチンのど真ん中に立って背中を丸めてせっせとフライパンを振っています。この姿を見るのが好きなので、ボクは、開いていれば、カウンターの一番左端に座って、食べている間ずっとキッチンを眺めています。

夜ももちろんいいのだけど、ここはランチが特にいいですね。
16時までやっているので遅いランチにも便利ですが、とにかく美味い。美味いので混んでいて、15時すぎでも行列なことがたまにあるほど。12時〜13時のラッシュ時は推して知るべしです。

人気の定番メニューはいくつかあって、「豚肉の梅干煮定食」(超定番)、「納豆ごはん」(納豆チャーハンなのですが、これが癖になる味)、「中華丼」(盛り沢山でとてもうまい)、「五目うまにそば」(具だくさんで濃厚)などをよく食べます。あとは「日替わり」「おこわ」「ふーみんそば」「ワンタンメン」かな。毎回とても迷います。美味いので。

中でひとつ、と言われたら、中華丼が好きですね。
ふーみん超初心者には勧めません。他に特徴ある美味しい料理が多いから。でも、慣れてくると勧めます。なんか満足度が異様です。ほんとクセになる。あぁ食べたい。

で、ペアリング、です。
別に一品一品になにかペアリングがあるわけではありません。
この店のペアリングは「ザーサイ」なんです。

昼はザーサイの大きめの器がテーブルにどんと置いてあり、取り放題なのですね(夜は別料金)。
このザーサイの味が「ふーみん」を象徴していて、入店するとまずテーブルのザーサイを小皿にとって食べながら料理を待つわけです。で、ザーサイを食べた途端「あぁ〜、ふーみんだ〜」と脳と胃袋が「ふーみん化」するわけですね。これは料理にも影響を与え、どの料理もこのザーサイによって「ふーみん化」します。

こういう「一定のペアリング」って、ボクはすごく有効だと思っています。
ザーサイをどっかで見るたびにふーみんを思い出すし、ふーみんの味付けのザーサイを食べたくなります。メイン料理もバラエティ富んでいるのに、ザーサイという副菜で味がふーみん方向に変わり、独自の「統一された個性」になります。

この「いつ来てもあり、必ず食べる同じ味の副菜(前菜)であるザーサイ」は、実はこの店の裏主役だと思っています。
どの料理も、このザーサイによって「ふーみん化」する。料理ごとにいろいろ味のマリアージュを作ってくれるのもうれしいけど、常に同じ味で迎えてくれるのも得難いペアリングかなと思います。

posted by さとなお at 12:07| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月27日

いとう:Nomka(赤羽)

さとなおさん、拙著に対する身にあまる評価、ありがとうございます。
ブログでの書評、楽しみにしています(笑。

前回のさとなおさんの紹介店「Veggiecups」は、すごく魅力的かつ神秘的で、なによりカラダによさそう。飲食の業態も個性化してきましたよね。かなり興味深いです。少人数で集まる機会にぜひとも覚えておきたいお店です。

さて、ぼくも、中国料理店ながら油が軽くヘルシーで、野菜も豊富なお店を紹介します。
またまた拙著を持ち出して恐縮なんですが、東京百年レストランI、東京百年レストランIIとシリーズを重ねていくなか、紹介したうち2店舗のみ休業をしている店がありました。一店は「ル・ベルクレイ」。現在、アメリカでの開業を目指して準備中です。もう一店は「艇家」。日暮里からも鶯谷からも少々遠方の不便な場所にあり静かに営業をされていたのですが、急にブレイクしてとんでもない人気店となりました。決して店主はそれを望んでいなかったかと思うし、様々に心労もあったのでしょう。「艇家」は、しばし休業に入っていました。

そしてついに、またまたひっそりと、今度は赤羽にて、百年目指して(笑、再スタートされました。
「Nomka」といいます。Nomi(飲み) - teika(艇家) をギュっと縮めて「Nomka」だそうで、真面目一徹なご夫妻からは少し想像がつかない、ユーモアあふれる店名です。
今度の店は、ビルの地下のいわゆる飲食店街。課題だった駅からは近いものの、ひっそり感は以前にも増してかな。

店内はカウンターのみ8席ほどでしょうか。入ってすぐ左にワインセラーがありますし、中華の雰囲気はあまり感じませんが、にこやかでいつも腰の低いご夫妻と対面して、「艇家」の片鱗が蘇ってきました。

メニューには、小さく「写真を撮らないでください」とあったのでメニュー名は記しませんが、冷たいおつまみと温かいおつまみとに分かれていて、小さな皿からお腹を満たす麺類まで、キチンと揃っています。どれを選ぼうかと考えるまでもなく「メニューは、全部いただきます」とお願いしたところ、小気味いいコース仕立てな感じで、テンポよく登場。

どの料理も、食材の組合せや盛り付けに驚きがあり、口にするとほんのり優しくて笑みが止まらない。と、そんな連続。それこそ一巡ののち、何点かは改めて追加で(笑。

ワインと紹興酒も、「艇家」の当時は勉強中と言っておられたマダムのセンスと個性が映えるラインナップ。リストの見せ方も相変わらず秀逸です。赤白ワイン、紹興酒とどちらも飲みましたが、料理に合わせて飲み分けるのも面白いと思います。どちらかというと、「Nomka」ではワインが優勢でしょうか。

ぼくが訪れた日は、拙著「東京百年レストラン」で「艇家」を知って通い始め、
新規オープンを心待ちにしていたという方にも出会いました。ぼく自身も本当にうれしかった。
末永く、騒がずゆっくり通いたい店だと思います。
posted by 伊藤章良 at 17:41| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月30日

さとなお:上海四川料理 廣安(広尾)

伊藤さん、こんにちは。
最近あまりリアルで会えてないですね。来年はもうちょい会いましょうw

伊藤さんが前に紹介してくれた「八幡浜ちゃんぽん 莢」、あれから何度か行っています。滋味溢れる味で好きかも。いい店のご紹介ありがとうでした。

では中国料理つながりで。
最近友人に連れて行ってもらった「上海四川料理 廣安」(広尾)を書いてみます。

いま広尾って中国料理激戦区になりつつあるんだけど、そんな中ではわりと普通な佇まいのこの店、友人のお気に入りということで一度行き、その後もう一度行きました。コストパフォーマンスがなかなかよく、満足度高いんです。4000円のコースを頼んで、飲み放題1800円をつけると5800円。これがなかなか満足できる量と味。

最初は「上海四川料理ってなんだ?」と不安になるんだけど、メニューを見てみると、四川料理を中心にフカヒレなどの上海料理が混ざるという感じのようですね。まぁイイトコドリと好意的に解釈すればいいと思うし、このシェフ、どちらも隙なく上手に作ります。

料理的には圧倒的に四川系の印象が強いかな。辛い料理がとっても印象的。

四川唐辛子の山椒炒めと四川麻婆豆腐は、まぁ辛さメインなのでそんなに他店と差が付かないところがあるけど、濃厚な担々麺はさすがな味。

そして、黒酢酢豚がいい。
黒酢酢豚って最近どこの店でも出すようになったけど(昔は「桃の木」くらいしかなくなかった?)、ここの黒酢酢豚の味付け、甘みが強いんだけど、辛いものの後に食べるせいかそれが心地よいんですね。そういえば名物の特製大シュウマイもちょっと甘めに味付けてあったな。そういうバランスがちゃんと考えられている感じ。

他に鉄鍋餃子、酸辣湯なんかも良かったです。

敢えて苦言を言うと、お店全体になんとなく雑然とした感じがあるんですね。
中国料理はどうしても油汚れなんかがついてしまうとは思うのだけど、料理の盛りつけがわりとおしゃれだし、味も値段も満足なので、あと少しを望んでしまうかも。

これからの寒い季節、辛いもん食べてカラダを温めたいときに覚えておくといい店だと思いましたです。

posted by さとなお at 19:48| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月31日

いとう:蔡菜食堂(中野)

さとなおさん、こんにちは。

先日、横浜にぎわい座で落語を鑑賞した後、さとなおさんが紹介していた「第一亭」に行こうともくろんでいたのですが、その日はちょうど日本列島に台風直撃。刻々と関東圏に近づいてくる状況ではオチオチ横浜で食事もしていられず、早々に都内に戻ってしまいました。とても残念。

で、重ねて中国料理繋がりで行きます。今度は中野。実はこの日もなかの芸能小劇場にて落語鑑賞の後、駅の反対側(中野サンプラザとは反対側)の飲み屋街に向かいました。

その店は「蔡菜食堂」といいます。共に落語鑑賞をした友人お墨付きの店で、彼女に案内してもらいながらの移動。JR中野駅からそんなに遠くないエリア。確かこの界隈のもつ焼き系には何度か行ったこともありました。道中は賑やかに飲食店が並ぶのですが、途中で左折して奥に進むと、一回程度の訪問ではなかなかたどり着けなさそうな裏道に、ひっそりと「上海料理」の看板が見えてきます。

中国料理店としては、スペースは小さい部類でしょうか。しかもこれぐらいのスペースだと必ずカウンターを設けている印象があるものの、ダイニングはテーブル席オンリー。あまり中国中国していません。

料理もそれに呼応すべく、シンプルかつフレッシュな印象。野菜の選び方や油の扱いも冴えていて、いくらでも食べられそうなタイプの重くない料理。その辺が上海由来の主張なのかもしれませんが、ここは日本。ちゃんと餃子もあり、その名も青菜の水餃子。青菜のシャキシャキ感が「蔡菜食堂」の個性を出していて、そんな家庭的なヘルシーさ加減が、〇〇飯店とか〇〇軒ではなく、食堂たる所以かもしれません。

店主は蔡さんという中国の方ではあるのですが、なんと高名な焼鳥店「バードランド」に勤めていた経験があるとか。そのときにレシピを教わったというレバーパテもメニューに載っていたりするんですね。
ナンプラーとアンチョビの焼きそばも、アンチョビの塩が強烈で中国以外のテイストを感じました。
中国の家庭料理だけではなく、そんなプロフェッショナルな膨らみもウレシイ、とっておきの場所です。
posted by 伊藤章良 at 15:01| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月30日

さとなお:第一亭(横浜)

伊藤さん、すばらしい店の紹介、ありがとうございます。
四谷四丁目のあそこかー!
去年から四谷三丁目に週一回通っていて、最近この店をみつけ、なんだか気になっていました。そうかー。楽しみだなぁ。

では、麺つながりで、ふたたび野毛を書いてみます。横浜は野毛の中華料理店「第一亭」です。

ここ、地元では有名店。
普通の街場の中華料理店なのだけど、ここの餃子はクレイジーケンバンドのギタリスト小野瀬雅生さんの「生涯最多メシ」(自分の人生で一番食べているメニュー)だったりするし、あの「孤独のグルメ」のロケも行われていたりするし(それ以来激混み)、なにかと話題が多い店なのです。見た目はホント普通な店なんですけどね。

で、ここの裏メニューなのに誰でも知ってる有名料理が「パタン」です。
太めの冷たい麺にたっっっぷりニンニクが入った醤油ダレがかけてある不思議な麺料理で、見た目がシンプルすぎて「ファ?」って感じなんだけど(お皿に麺の塊、その上に薬味のネギのみ)、食べたらニンニクが効きすぎているのが逆に魅力になっていて、なんだか止まらない。特に〆にすると美味すぎる!

これ、もともとは賄いだったようで、いまでもメニューに載ってません。でもみんな頼みますw
中華包丁でパタンと倒してニンニクをつぶすから「パタン」という由来らしい。

ただ、この「パタンの〆」に辿り着くのが大変なくらい、メニューがたくさんあってどれもこれも美味しそうなのがこの店。

シンプルな餃子も、チート炒めも(チートとは豚の胃袋とのこと)、ホルモン炒めも、うまいです。

まぁでも、パタンはさすがにニンニク効きすぎていて、翌日にプレゼンなどがある方にはお勧めできないかもしれません。

野毛方面に行かれたら、翌日の予定表を確認しつつ、どうぞ。

posted by さとなお at 10:22| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月30日

いとう:喜臨軒(池尻大橋)

さとなおさんが一回休みということで、またまたいとうが登場します。
ただ今、仕事でハワイにおりまして、日にちの感覚が少々麻痺しており(汗。
今日がニッポンは月末ですよね。ハワイはまだ日曜なんです(笑。

さて、ずっと西洋料理が続いて来たんで、少し中国料理でも書いてみます。
そういえば、かなり前。
さとなおさんに対し、中華料理と中国料理は違うのだとして、自分たちがやっている中国料理を食べてほしいとのお誘いがお店からあり、ぼくも参加させていただきましたよね。
当時はまだ、中国料理の日本風アレンジとダイレクトな中国の料理との差異が不明確だったような気がしますが、今や「酢豚」などというメニューは中国料理にはないとか、様々なことが分かってきて、日本式にアレンジされた中国料理を中華料理といい、中国大陸本来のレシピで作られる中国料理との差別化もきちんと理解できるようになってきました。

さらに、モダンという言葉で乱暴に片付けてしまう程度しかまだ詳しくはないものの「文淋」や「ジーテン」などがきっかけと思うのですが、油や塩、ニンニク等を多用せず、素材の持ち味を生かしたやさしくて独創的な皿を提供する店も増えてきました。

今回紹介する「喜臨軒」もそんな中の一軒かと。
この店は、田園都市線池尻大橋駅から徒歩数分の好立地にあり、自分たちの料理に隠し事はないと胸を張る日式中華の定番(笑)オープンキッチンに、相対するカウンター、そしてそれらを囲むようなテーブル席。

ぼくが訪れた日唯一残念だったのは、ぼくたちが個室に通されたこと。
ぼくは料理店の個室には、特別の理由がない限り入りたくないんですね。個室だとお店の息吹がほとんど聞こえてこないのと、サービスの目が行き届かなくて後手に回されてしまうのも悲しい。
密談等の目的がないならば、個室で食べるのはホームパーティといっしょやん、と感じてしまうんです。

でも、予約の際ににも確認なく普通に個室に通されました。
また、個室としてしつらえが豪華ならまだいいのですが、ここは以前は倉庫か物置だったのでは・・・といぶかるようなチープな部屋なんです。こんなスペースをわざわざ作るなら、そもそも個室なんて必要ないと思うんですが、東京の民は個室がお好きなんですかねえ。

さて「喜臨軒」の料理は、自ら温故知新中国料理と称するように、最初に出される3種の冷製盛から、ハッとする未体験のものが出てきたり、麻婆豆腐のような定番料理も、豆腐の部分に他の麻婆にはない工夫がされていたり、焼売ひとつをとっても自信を持って提供するとメニューにうたうだけのことはある美味しさだったり。ポーションが比較的小さいので、多くの種類を食べることができるのも実はうれしかったりします。

食べ進むにつれ、どんどんと食欲に火がつくというジレンマ、というか本当は喜びなんだけど。
いつになったら満腹になるのだろうと不安が募るほど胃にもたれないのも、ニクかったです。
posted by 伊藤章良 at 17:30| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月10日

さとなお:御田町 桃の木(三田)

プラハ、いいですね。
ピルゼンにあるピルスナー・ウルケルの工場地下で飲んだ昔ながらの造り方のビール、一生忘れられません。スワリングして香りを楽しんでビールを飲む、という経験は初めてでした。無理に勧めたカタチになったかもですがw、体験を共有できてうれしいです。

さて、プラハとかウィーンつながりで何かないかな、と考えたのですが、ちょうど先々週に中国料理の「御田町 桃の木」に行ったので、いまさらとは思いながら、ウィーンつながりでここを書いてみたいと思います。

ここがなぜウィーンつながりかというと、この店、ボクの中で「オーストリアワインと中国料理を合わせる店」なんですね。

たぶん、この店の初期にそういうイメージがついたのだと思います。あの頃はずいぶんオーストリアワインがあった。そしてオーストリアワインと中国料理を上手に合わせてくれた。

でも、いまはオーストリアワインに限らず、各国の自然派ワインを扱ってます。オーストリアワインを所望したらワインセラーの奥を探してましたから、どちらかというと主流ではなくなってしまったのかも(ちょっと寂しい)。オーストリアワイン、大好きなんです。

でも料理の味は相変わらずとても良かった。
前菜のピータンの揚げ物や、よだれ鶏も素晴らしかったし、アヒルの舌の炒め物も印象的だったし、ナスの揚げたのも実に良かったし、なによりも「鎮江黒酢の酢豚」がやっぱりうますぎます。大きな2粒。黒酢酢豚は最近ふえてますが、やっぱりここのが好きだなぁ。

〆にはハムユイチャーハンをいただき、大満足のディナーでした。
この店、5回か6回くらい来てますが、毎回裏切られないというか、やっぱり相当うまいですね。というか、前よりおいしくなっているかも。

たいてい満席なのでちょっと狭く感じるんだけど、ちょっとバタついたサービスも意外と好感もてるし、なにより料理がいいし、ワインの品揃えもいい。やっぱりいい店だなぁ、と思って帰りました。いまさらこんな有名店書くなよ、という気もするけど、ウィーンつながりで。
posted by さとなお at 23:21| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月29日

いとう:暖(都立大学)

さとなおさん、本当に連日お疲れ様です。さとなおさんの震災に対する活動は今さらここで取り上げるまでもないと思いますが、ぼくも少なからず(特に「食」の面から)支援ができることをコツコツと進めてみます。

さて、少し滞ってしまたものの、対談もゆっくり続けましょう。
こんな時に食べ物の話・・・、という御叱りも受けそうだけど、ぼくはどんな時でも食べ物の話が人を幸せにすると信じているので。

今回取り上げる店は、東横線都立大学にある「暖(だん)」
なんとなく、いい名前でしょ。しかも「みのりの旬菜と鰆鰒鰍鮗」というサブタイトル。かなりそそりますよね。

東横線都立大学駅には、対談でも書いた「わさ」という有名な中国料理店がありますが、ソコとは反対方向に一本道をテクテクと歩きます。そして、かなーり心配になってきた辺りで(といっても「わさ」ほどは遠くありませんが)、やっと灯りが見えてきます。

本当に住宅街のど真ん中。初めて訪れた客は皆、どうしてここに? と店主に聞くに違いない。ただ、そんなウィークポイントも覆すほどの彼の人柄と料理の腕前に、「暖」はとても賑わっているようです。

都立大で食事をしようということで店を探していて、たまたま「暖」に電話をした際、ぜひこちらに行ってみたいと思うぐらい、電話に出たご主人の応対はすばらしいものでした。

「暖」は、元々スナックのような簡素な内装をそのまま居ぬきで引き継いだ風情で、料理店としては少々残念な感じ。加えて調理をするには狭く小さい厨房ながら、ご主人は一人で孤軍奮闘。実に多岐に渡る料理を提供しています。

ご主人の経歴をネット等で見ると、多種の業態を展開している大きな飲食運営会社にて、様々な店で研鑽を積んことが分かります。ご本人の談で、中国料理が一番長くメインとの聞きましたが、黒板に書かれたメニューの上段は、鮮魚のお刺身や和風のツマミ、コロッケなどの和食。そして下段に、中国料理の菜単が並んでいます。

どれもオイシそうなので悩んでいると、まずはお刺身はどうですか?と。ただ、中華のモードで来店したゆえ、鮮魚をできるだけ回したい店主には申し訳ないものの、すかさず遠慮。店主のオススメで選んだ「暖」の名物、「すき焼きコロッケ」や、きっちり仕込んであるツマミ系、そして中国料理の皿を数点。

どれも、狭い厨房でササッと作ったとは思えない出来栄えに酒もすすみます。一通り食べた後、まだまだいけそうなので、というかもっと彼の料理を食べたくなり、「酢豚みたいな、すっぱいくて温かい料理をお願いします」と、微妙な頼み方をしました。

てっきり酢豚を作ってくると思いきや、イカと海老を四川のレシピである宮保(唐辛子炒め)にし、そこに黒酢を加えてみました、という。そのアレンジもさることながら、ぼくが心の中で描いた通りのテイストでニンマリ。

もちろん、都立大駅の反対側にある「わさ」が誇る技の極みとは別物だけど、「暖」の個性を発揮すれば十分に対抗しうる良店と感じました。

ただ、ひとつ残念なのは、土地柄やむを得ないとも思いますが、常連客がカウンターを占拠して近所のスナック替わりになっている点。ほとんど食べずひたすら飲むばかりで、一夜のアバンチュールに興じる嬌声が店内に響き渡る・・・。ご主人の、真摯に料理を提供しようとする気概が空回りしています。

こんな店にこそ、例えば沿線の食べ好きに多く来店していただき、常連に占拠されない料理店へと客同士で作り上げたいと願います。
posted by 伊藤章良 at 15:46| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月06日

いとう:四川一貫(小川町)

>最近では麻味を利かせすぎな店、多くないですか? 
>ちょっとかけすぎと思うことも多いです。

あ、これ同感です。
何でも極端であれば本格的と思っていただける、みたいなアプローチ。
以前ある詳しい方に、麻味よりは醤の深みで味は決まると聞いたことがあって、なるほどと思いました。

>四川料理「同源楼」です。

ここはランチタイムにしか行ったことがないです。夜(特に遅い時間)はよさげですねえ。お昼には酸辣湯の麺入りを食べました。そもそも酸辣湯という具沢山のスープに麺を入れるというやり方が正しいのかどうか詳しく理解しているわけではなく、少なくとも日本以外では食べたことがないです。

酸辣湯ってアメリカとか(hot and sour soupと呼ばれ)海外のチャイナタウンでは定番のスープですが、10年ぐらい前までは日本ではほとんど見かけることがなかったのに、最近急にあちこちで見るようになりましたね。

で、ぼくもさらに四川料理と考えをめぐらせるも、ほとんど紹介してしまったよなあと以前の対談を見直していたら、一軒馴染みの店を書いていないことに気づきました。「四川一貫」です。かなりメジャーになってしまったので、ご存知の方も多いかと思いますが・・・。

ここは都営新宿線の小川町、もしくはメトロの淡路町が一番近いかな。小さな家族経営の店で、一貫の名前どおり真摯にご自分のスタイルを貫く個性的な中国料理が特徴。

「四川一貫」が、最近にょきにょきとできた他の四川料理店とテイストが違うとする方が多いのは、ご主人が台湾で修業をされたところにあるようです(と、ぼくは勝手に理解しているんですが・・・)。

というのも、台北にある有名四川料理店に入った時、そこの「麻婆豆腐」も「宮保鶏丁(鶏の辛し炒め)」も、まさに「四川一貫」と同じ味だったのですね。つまり「四川一貫」の四川料理は台湾経由、ということになるのでしょうか。

そんなことを思いつつ「四川一貫」のご主人からちょっと感動的な話をうかがいました。なんとご主人は、50際を前にして初めて修業のために台湾に渡ったそうなんです。多くの料理人は20代の前半に海外で修業をし、戻って日本で雇われシェフ数年を経て独立、みたいな人生設計が大半の中、そのお年で海外に出て現地の料理を身に付けて、再び元々働いていた店の近くに「四川一貫」をオープンされたというのです。

傘寿を迎えてもなお厨房に立ち続けておられますが、最近はさすがにお疲れの様子。なので修行中の息子さんが全面的に鍋を振る日も近いかもしれません。



posted by 伊藤章良 at 19:22| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月28日

さとなお:同源楼(赤坂)

>それが、本格的な陳麻婆豆腐の出店などを経て、
>いわゆるリアルな四川料理も日本に入ってくるようになりました。
>回鍋肉やエビチリといった料理も、
>普段食べているものと本場のレシピとは異なるんだ、
>ということも分かりました。

ですねー。陳麻婆の出店から10年くらいですか。いわゆる「麻味(マーウェイ):唐辛子の辛み(辣味)と違う、花椒の辛み」を利かせた店が一気に増えました。十年ひと昔。以前の状況がウソのようです。

とはいえ陳建民的な味の四川料理を「本格ではない」と排除する流れは好きではありません。
個人的には花椒の痺れは好きですが、陳建民の繊細なアレンジも偉大だと思っています。それと、ボクは本場に行ったことがないので本場の麻味のバランスがわかりませんが、最近では麻味を利かせすぎな店、多くないですか? ちょっとかけすぎと思うことも多いです。

じゃ、ボクも四川料理を。
赤坂を彷徨っていて通りがかりで入った店、四川料理「同源楼」です。家に帰って検索するまで知りませんでしたが、人気店なんですね。確かにおいしいし安いしなかなかいい。

ビルの2階にあって、1階がよりによって「陳麻家」なのでそちらに吸い込まれる人も多いみたいですが、いろんな意味でこちらの方がいいかも。

というのも、麻婆豆腐以外の料理がとてもいいから。
麻味を利かせすぎておらず、全体にバランスがいい料理が多いです。四川料理ってメニュー名がよく覚えられないんだけど、「辣子鶏」と「旬の魚の四川香り熱油仕立」は見た目がインパクト強いメニュー(唐辛子だらけで出てきます)。でも実際の味は辛みが程よく押さえてあり、とてもいいバランス。

芝エビと蒸したジャガイモを炒めて和えた「蝦仁土豆泥」(←うまかったのでこれだけ漢字で覚えた)は全く辛くない一品で、痺れた舌をさますのにいいです。「クレソンと香菜の四川風サラダ」もうまかったな。辣油にどっぷり浸かった「茹で豚」、「トリッパの葱・香菜・辛味和え」など、どれもおいしいものでした。

ここで時間切れ(遅い時間に行ったので)、だから〆に辿り着かなかったけど、「醤油チャーハン」「担々麺」「土鍋麺」もとてもうまそうでした。次回はもっと時間を計算して食べよう。

サービスは「いかにも中国」で、無愛想なもの。まぁでかい液晶テレビが壁にかかっているカジュアルな店なので、サービスに誰も期待しないでしょうし問題なし。

なにより安いので、出店時の満足度はとても高くなります。赤坂って意外と店に迷うのだけど、いい候補を手に入れることが出来ました(人気店らしいので予約必かもですが)。
posted by さとなお at 10:11| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月24日

いとう:龍滕(六本木)

>四川料理の「峨眉山」(がびさん)。

さとなおさんも言われているとおり、最近では辛い本格的な麻婆豆腐をはじめキッチリとした四川料理を食べさせる店が増えましたが、「峨眉山」はそのハシリの一軒のような記憶があるなあ。

>それと「麻婆白子」。この店、麻婆豆腐が有名な店のようですが、
>その豆腐の部分が白子になっているという魔の一品(笑)。

そう、「麻婆白子」は浅草の「龍圓」でもいただいたことがありますけど、豆腐の代わりというところが贅沢ですよね。ちょっともったいない気持ちを抑えつつ食べると、これがまた余計にうまい。

では、ぼくも四川料理続けます。「龍滕」ロンタンです。住所は赤坂ですが、場所的には東京ミッドタウンの裏。六本木から赤坂方面に抜ける道沿いで、飲食店が途切れて少し静かになったあたりにあります。資本は中国本土や台湾に出店している飲食グループのようで、地下から2階まで形態を変えての中国料理を展開。

だいたい「滕」って日本語としてパソコンで出るんですね。あまり見る機会のない漢字なので、いかにも中国料理店らしい個性が出てます。

日本における四川料理って、いわゆる"鉄人" シェフの一族がその礎を築かれたことについては異論がないんですが、日本人の口に合うようアレンジしたり、客単価を上げるために四川では使うことのない高級食材を使用したりと、市井では、ある部分誤解も生まれてます。

それが、本格的な陳麻婆豆腐の出店などを経て、いわゆるリアルな四川料理も日本に入ってくるようになりました。回鍋肉やエビチリといった料理も、普段食べているものと本場のレシピとは異なるんだ、ということも分かりました。

「峨眉山」もそうですが、そんな陳一族ではない四川料理と出会うと、「ああ、やっと少し成都に近づけたかな」、という気になりますね。といっても、御茶ノ水にある「川菜館」や今回紹介する「龍滕」も、四川地区からの出店ではなく、上海や北京などの大都市を経てきているわけで、その意味ではまだまだ日本で味わえる成都は遠いのかなあ・・・。

話はそれましたが、「龍滕」は昨年の秋にオープンしたばかり。3フロアで展開する中でも地下にあるわりに、天井が高く広々としているので閉塞感は感じません。
しかも厨房がオープンなので、ジュウジュウシャカシャカという音や活気が伝わってきます。大人数で訪れる辛くておいしい中国料理店としては、場所柄隠れ家感もあるしニクイ選択肢となるはず。

四川風の辛いタレに漬け込んだ内臓類も、蒜泥白肉(茹で豚肉のニンニクソース)「宮保鶏丁」といった四川の定番料理も、とてもおいしくてしかも、そこそこの量があるのに安価。

それと、まだまだ世間に知られていないのか、空いてます(笑。最寄り駅から少し遠いことを除けば様々な用途で活用できそうな店なので、知られ始めると混むでしょうけど。
posted by 伊藤章良 at 19:03| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月20日

さとなお:峨眉山(四谷三丁目)

祐天寺の「菜香」は行ったことないです。家族でやっている優しい店っていいですね。それと、

> 外観や店内からは、街場の中華料理店よりは少しランク上ながら、
> それに近い感じかなあと想像しますが、
> メニューを見れば、マコモ茸とか黄ニラとか腐乳とか、
> 高級中国料理店で目にする食材がずらずら並んでいて

こういうタイプの店、とても好きです。

では、ボクもそんな感じの中国料理店を。
高級店ではないけど、街場の中華とも違う、ちょうどいいカジュアルさの店を書いてみます。

四川料理の「峨眉山」(がびさん)。
四谷三丁目の交差点から歩いて数分、焼肉の「名門」の手前、荒木町近くのビルの2階にある店です。店名の「峨眉山」とは中国仏教の四大名山の一つに数えられる霊場のこと。聖地ですね。

なんか、いわゆる "鉄人" たちと仲がいいのかな、入り口入ったら道場氏などとの記念写真がいろいろ貼ってありました。すこーしイヤな予感。でも結果的にはおいしかったっす。
店は明るく清潔。街場の中華とは違うけど、でも高級ではない感じ。くつろげます。サービスもとってもカジュアル(お母さんのファンが多いらしい)。

料理は期待以上によかったです。
特に印象に残っているのは「牡蠣とパパイヤ」。軽く下味をつけて揚げた牡蠣とパパイアを炒めたもので、なんともおいしい。それと「麻婆白子」。この店、麻婆豆腐が有名な店のようですが、その豆腐の部分が白子になっているという魔の一品(笑)。山椒のしびれも気持ちよく、なかなかいいですね。
ちなみに普通の味つけだと(辛いのが平気なボクには)わりとマイルドでしたが、辛さの調節は言えるようです。かなり辛くもできるとか。とはいえ最近は都内の麻婆豆腐の味レベルがぐんとアップしたので、そんなにビックリはしないけど、きちんと本格的ではありました。

あとは「四川名菜よだれ鶏」も良かったし、「紋甲イカ茶碗蒸し」は大皿に入ったちょっと珍しい一品でこれも良し。「海老のゆば巻き揚げ」「黒酢酢豚」などもうまし。デザートは「紹興酒入りマンゴープリン」。これまた意外な美味。

全体に料理がいいんだけど、それでいて安価なのもうれしいところ。
まぁあの辺はおいしい店が多いので選択肢が多いんだけど、気楽においしく食べられる中国料理店として手持ちカードにしてください。
posted by さとなお at 19:12| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月16日

いとう:菜香(祐天寺)

>今回は麺つながりで、横浜は伊勢佐木長者町の「華隆餐館」を書いてみます。

ああっ、ここは辛いもの好きの間で密かに評判の店ですよね。行こうよと声をかけていただいたこともあるんですが、なぜか横浜は遠くて・・・(って、そんな言うほどでもないですが)。

坦々刀削麺をうたうのはニッポンだからしょうがないのかもしれませんが、「水煮牛肉」や「白泡香牛肉」もちゃんとあるところに惹かれます。ますます行きたい。さっそく調整しよう。

で、同じ中国料理つながりで、ぼくは、ごくごく都内近郊。祐天寺にある「菜香」を紹介します。検索すると「菜香」という中国料理店は全国各地にあるようですが、この祐天寺の店を取り上げている人はあまりおらず、実はかなり穴場。

東横線祐天寺駅から徒歩10分ほど。駅から駒沢通りに出て学芸大学方面に進み、少し路地を入ったところにひっそりとあります。四角いテーブル3卓と円卓ひとつのこぢんまりしたダイニングを、お父さん、お母さん、アルバイトの女性(お嬢さんではないと思う)の3名で切り盛り。ここは一転して上海料理(と店では言ってます)で、素材感をできるだけ壊すことなく仕上げた優しさが持ち味。

厨房をのぞいてみるとその優しさの理由が・・・。というのも、お父さんが仕込みをしてお母さんが鍋を振る。料理ができあがると、「酢豚できあがりました。大変お待たせいたしましたぁ」とお母さんが大声でコール。そして運ばれてくるといった具合。とても家庭的で心底なごまずにはいられません。

外観や店内からは、街場の中華料理店よりは少しランク上ながら、それに近い感じかなあと想像しますが、メニューを見れば、マコモ茸とか黄ニラとか腐乳とか、高級中国料理店で目にする食材がずらずら並んでいて、お値段もそれなりです(といってもトータルでは絶対的に安価ですが)。ただ、何を食べても外れがない。おいしーと間違いなく誰かが声を発する。そんな感じ。

で、中国食材の料理ももちろんですが、いわゆる日本人に定番な、炒飯、ラーメン、水餃子、唐揚げなんかが逆にサプライズなんです。例えばラーメンは、上品に澄み切ったスープに、麺とトッピングはネギと二つに切った煮玉子のみ。それが奥深くて優しくて何杯でも食べられそうなおいしさ。ラーメンフリークの方にも足を運んでトライしていただきたい逸品ですね。

他のメニューについても、ぜひ行ってのお楽しみで。
posted by 伊藤章良 at 16:04| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月11日

さとなお:華隆餐館(横浜)

「づゅる麺池田」という店名、なかなかシズりますね。じゅる、でも、ぢゅる、でもなく、づゅるなんだ(笑)。今度行ってみよう。

最近のラーメン、ボクも塩辛すぎると思います。
ただ、一杯でそれなりにインパクト出すためには必要なのかなと思うのと、料理人がいつも「汗をいっぱいかいてラーメン作っている」ところも大きいのではないかな。あんだけ汗かいて料理つくってると、どうしても調味が塩辛くなりそうな…。

ええと、今回は麺つながりで、横浜は伊勢佐木長者町の「華隆餐館」を書いてみます。

この前、クレイジーケンバンドの長者町「FRIDAY」におけるライブに行ってきたんですが、そのときライブ前の夜ご飯を食べた店。四川坦々刀削麺が名物で、看板にもそう大きく書いてあるのだけど、それ以外の四川料理もかなり本格的でうまいです。ディープな長者町にあるカジュアルな店だけど、わざわざ行く価値あるなぁ。

全体に本格的に辛い。辛いもの好きな人にはたまらん店。
最初にビールのおつまみで取った「噴噴香落花生」がまず異様に辛くて異様にうまい(思い出しても頭頂部から汗が出ます)。もうこれだけで青島ビール5本はいけますね。その辛みをおさめるためにとったピータン豆腐を食べて「おお」と唸り、スープ状の「水煮牛肉」を食べて「むむむ」と驚き、すっぱ辛い「白泡香牛肉」を食べて「こりゃ素晴らしい店なのではっ」と認識した感じ。

その後とった「手作り餃子」もタダモノではなかったし、〆の「四川坦々刀削麺」も実にすばらしい。
特に麺が良かったですね。同行したメンバーの中にボクと同じくうどんにうるさい小石原はるかがいたんだけど、思わず目を合わせて「ここの麺はいい!」と叫び合いました。むちむちのぷりぷりで、歯も舌も喉も全部おいしい麺。意外と刀削麺って柔らかすぎるのが多いと思うのだけど、ここのはむっちり感がとても良かったかも。

辛くない刀削麺として「海鮮刀削麺」や「五目刀削麺」もあって、これは豚骨風味。これもなかなかうまいです。

他にもこの店の名物はたくさんあるみたいで「陳麻婆」「川味辣小鶏」「夫妻肺片」「毛血旺」「香辣羊肉」なんかもすべておいしそうです。そうそう、「地獄刀削麺」ってのもあった。これ、地獄のように辛いんでしょうね(笑)

平日でも深夜2時までやっているし、週末は深夜3時までやってます。
伊勢佐木町のあたりに行ったらまたリピートしたい「華隆餐館」。伊藤さんもそのうちどうぞ。
posted by さとなお at 20:06| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月26日

いとう:欣圖軒(香港)

>で、この「浄水ろくしき」ですが、ここ、博多の居酒屋としては
>かなり薄味です。

おー、個人的には東京でも薄味の日本料理店と出会うことは稀少なので、とても興味あります。というか時代のせいもありますが、最近パタンと地方への出張が減りました。出張できるから今の仕事を選んだ(笑)みたいなトコロもあるのに、なんだかつらいなあ。

特に今の時期、日本海を泳いでくる魚は最高ですね。博多は南国と日本海側のよさを双方持っているところが特にすばらしいとは、よく聞きますよね。

さて、ぼくは最近ほとんど東京から出ることはないのですが、さとなおさんもご指摘の通り割と海外には行っているので(笑)、一気に飛んで香港の店を紹介します。

11月のはじめに香港に食べに行って改めて認識したのは、さすがに香港は中国大陸の玄関口だなということ。誤解恐れず言えば、北京で食べる北京ダックより上海でがっつく上海蟹より、そのいずれも香港で食べる方がウマイ。青森でマグロを食すより東京の方がおいしい、みたいな論旨です。

個人的には、旅行をすればその地のモノそこから発祥した料理を食べたいと思うので、今回も香港で北京ダックを注文するには多少躊躇したんですが、やはりオーダーして正解でした。

ぼくが食べたのは、広東料理の名店「欣圖軒(ヤントーヒン)」。たぶん香港で一番窓からの夜景が美しいとも言われる、九龍のインターコンチネンタルホテル内にあります。昔からの香港ファンは、ここは以前リージェントホテルの「麗晶軒」だったといえば思い出す方もおられるかも(実際に自分もそうでしたし)。

「麗晶軒」時代から北京ダックもよく知られていましたが、席についてメニューを開くまで実は普通に広東料理を何品か頼もうと思っていたんです。でも、前菜、魚介、肉・・・、と選んでも少人数では沢山食べられるわけでもないし、メニューには要予約と書いてあるものの、サービススタッフに尋ねてみると厨房に聞きに行ってくれて即刻OK。

「欣圖軒」の北京ダックは、一般的にイメージされる脂っこくて皮が口の中でとろけるというよりは、しっかりと食感も香りもありつつ脂は軽くていくらでも口に運べる感じ。店のスタッフが伝えてきた人数前の2倍は食べたけど、まったく胃がもたれることもありませんでした。

価格的には豪華ディナーの部類に入るので、滞在中はココという時にぜひ選ぶべき一軒です。特に「欣圖軒」の上のラウンジは、香港有数の美しい眺めを誇るバー。食後の時間帯にはあまりに混み合うので、夕方から日が沈むぐらいの食前での利用も面白いかもしれません。

「欣圖軒」も海には向いているんですが、ホテルのメインダイニングのはずが最高の場所ではなく、なんと同じホテル内にある和食の「NOBU」の方がいいポジションを取っているのが、なんとなく日本人として皮肉っぽく思いました。

なお、「欣圖軒」は日本語のサイトから、テーブルの予約はもちろん北京ダック等の予約もできるのでぜひご利用のほど。

余談ですが、今回ミシュランの香港マカオ版で中国料理で唯一三ツ星を取った「龍景軒」にも行ったんですが、「欣圖軒」の方がいい意味で中国らしい雑然さも兼ね備えていて断然オススメです。
posted by 伊藤章良 at 23:57| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月30日

いとう:龍圓(浅草)

「メゾン・ド・スリジェ」、あの場所はクリーニング店だったんですか。だとすると、場所的にはあまり流行ってなかった(笑)でしょうね。フランス料理店の方がずっとピッタリきます。ダイニングのある2階の山小屋風雰囲気はとても好きですね。個人的にはチョットほっとかれた感があって寂しかったですが、ぼくが行った当時とはサービススタッフも変わっているのかもしれません。

さて、フランス料理店のいい流れになってるし、2009年は不況のどん底ながらフランス料理店の新規オープンラッシュなのでぼくももう一軒と思ったものの、ここは「さなメモ 11/30」との連動企画(笑)とでもいいますか、中国料理の「龍圓」を取り上げてみたいと思います。

「龍圓」
の場所は浅草は国際通り沿い。つくばエクスプレスの浅草駅からすぐのトコロにある、ご家族経営の小さな中国料理店。通りがかって一見すると、浅草ということもあり八宝菜や酢豚といった定番メニューを出すニッポンの中華料理にもとられがち。

ところが実は、素材集めから真剣にこだわり、常に日本の他店(中国料理に留まらず)や香港等の現場から研鑽を積んでいるシェフが、繊細で身体に優しい料理を提供する名店。もしフラッと通りすがりで「龍圓」に入ることがあったとしても、皿が進むたびにお客様の中国料理に対する概念を変えていく、そんなパワーを秘めています。

また、シェフのさまざまな他流試合の経験から、コース料理をおまかせで注文すると、かに玉にトリュフを使ったり春雨にうにを絡めたりと、香港ならミシュラン三ツ星でも取れそうなヌーボー系も楽しむことができます。もちろん、麺や炒飯といった中華料理の定番もキチンとメニューに掲載されていて、その丁寧な職人技に感服。

さらに特筆すべき、といいますかとても驚いたのは、ダイニングが全面禁煙なこと。浅草という土地柄で反発も多いかと想像するも、禁煙という英断が、よりいっそう料理をおいしく食べて欲しい、とのシェフの強い気持ちの表れと確信。いち客として大変助かっています。

なお、人数の多いお客様用に2階にもダイニングフロアがあって、ちょっとした宴席にも便利。2階でもいただいたことがあるんですが、細長いスペースながら、なかなか寛げる環境でした。

posted by 伊藤章良 at 17:18| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月30日

いとう:わさ(都立大学)

>下北沢の「七草」を書きましょう。

「七草」は、何度かトライしようと思うものの、予約が取れなかったり急に予定が変わったりと、想いは募れど縁の薄い店でした。
でもさとなおさんの文章を読んでいて、また行きたい気持ちが湧いてきたなあ。優しい野菜料理をたくさん食べて脂の抜けたいい感じの熟年を目指したいですね。といいつつ、地酒のラインナップにも超注目なんでありますが。

さて、当初は野菜料理の店を紹介しようと思っていたものの、もう一度だけ唐揚げの店を書いてもいい?(しつこい?)。私鉄沿線駅から遠く住宅街の中にある店つながりでもオッケーですけど(笑。

中国料理の「わさ」。最寄り駅は東横線都立大学なんですが、徒歩15分ぐらいはかかるかなあ。土地勘のない人は道中ほとんど飲食店もないし最大に不安になります。やっと見つけても、看板のランプすらついていなくて、「ほんとうにココか?」「営業しているの?」と不安になりつつ店内へ。

厨房を囲むようなL字のカウンターと4名がけのテーブルが2卓のシンプルなダイニング(元々は鮨屋だったらしい)。表の電気を付け忘れるぐらいに料理とお客様に集中している店主と、おだやかな接客が魅力の美しい奥様のお2人から、瞠目すべき高水準の中国(おもに四川)料理が、これでもかと登場。それに釣られてとめどなく料理を注文してしまい、帰りは都立大の駅まで歩く気力もうせるほど満腹。結局、店の前からバスに乗って山手線の駅まで移動しました。

今年2009年は、なぜか個人的には飲食店の当たり年のような気がします。昨年暮れぐらいから今までにオープンした店には、これからもずっと生涯通いたいなあと思わせるところがかなり多いんですね。
(もしかすると自分の年齢的なこともあるかもしれませんが)

ここ「わさ」もまさにその一軒。
まず、各皿の香りがすばらしくいいんです。店主曰く「うちはネギの嫌いな人はだめですね」というがごとく、炒めてよし和えてよし載せてよしのネギ(や香草類も)が各料理にふんだんに使われていて、香りと食感が食欲増進のアクセントとなっています。

また、なにげない「海鮮の四川風炒め」は、いわゆる四川の定番料理「魚香」。「魚香茄子」としてナスを使う場合がポピュラーですが、今回はカツオとツブ貝(もちろんお野菜としてナスも使われています)。この海鮮と魚香のソースの絡みが想像を超えるおいしさで、今記憶をよみがえらせても垂涎してしまいそうです。

そして唐揚げ。「わさ」の料理は全部そうですが、食材の作り置きをせず、肉、魚、野菜もすべて、切るところからその過程を目の前で見せます。唐揚げも鶏のカットから始め、粉を絡めてぐつぐつとした油の中に放り込んでフタをする。揚げというよりは油で煮ている感じ。その後、黒くカリッカリになったチキンを、花椒、唐辛子、ネギ、生姜などとともに改めて炒めなおして味を浸透させる・・・。今まで食べた中でも、もっともカリカリなのにジューシーで、辛くて舌がヒリヒリする、蒸し暑い夏の夜には必ず思い出しそうなテイストでした。

シメの麺や炒飯もすばらしいもので、それだけを中心に食べに来ているご近所の方がほとんど。でも今の時代、遠方であろうと条件が厳しくともうまい店を求める客の動きには全く関係がないので、予約の取れない店となるのは時間の問題でしょう。

そんな話を店主としていたら、「混んでしまったら自分の料理ができなくなるのでつらい」と答えていました。ていねいさがウリでもあるので、満席になるとちょっと回すのが大変かなと心配ではあります。

最後に、とてもほほえましかったのが店主の奥様に対する自然な気使い。サービスを担当する奥様とひんぱんに声を掛け合う姿がとてもステキでいい波長をもらいました。ちなみに「わさ」とは奥様の旧姓とのこと。「こんな店名にしてしまったので、一生家内からは逃げられません」とは店主の弁。
posted by 伊藤章良 at 18:02| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月22日

いとう:クーリーズクリーク(白金)

>そこまで鳥好きなら、例えばこんな店はいかがでしょうか。
>六本木の交差点からすぐのところにある「チキンマン」。

なるほど。「チキンマン」とかが出てくると、やっぱりさとなおさんはクリエーターだなあと思ってしまいます。あそこは確か夜から朝までしか営業していないんですよね。深夜まで仕事してその流れ・・・みたいな感覚じゃないとなかなか足が向かないですよ。
ただ、食べてみたくて上野のアメ横にある支店には行ったことがあります。確実にアメリカーンなんですが、やたらフランス風と書いてあるところが少々複雑な気分でした。

さて、ハワイはオアフ島に「Maui Mike's」という(オアフなのになぜかマウイ)、アメリカンでは究極にウマいローストチキン屋があるんですが、ワイキキから島の中心部に向かってクルマで1時間近く走らなければならず、しかも回りはクルーカットの兵隊さんばかりというタイヘンな場所なので、今回はここではなく、先ごろオープンの「クーリーズクリーク」にていただいた鶏の丸揚げ話を。

「クーリーズクリーク」って、さとなおさんならご存知なのかなあ。30年ほど前まで西麻布にあった伝説のレストランバー(死語?)。「レッドシューズ」(ぼくはかろうじて行ったことのある)とかと並び当時の最先端をいってた店らしい。

もともとそこのスタッフだった方が、30年の時を経て新たに店をオープンするに当たり「クーリーズクリーク」という名前をよみがえらせた、とのことです。経営的にはさとなおさんLOVEの「アダン」姉妹店で、こりゃもう、聞いただけでもでもいいでしょ。

古川橋交差点からすぐの、大通りから一本入った静かな通り沿いの一軒家。1、2階は中国料理を出していて3階はバーとなってます。だけど、あまりそんな区別はない(というか「アダン」同様、すべてにやさしい感じで)、お皿もどんどん3階に運ばれてました。

料理はかなり真剣に四川料理を追求。宮保や魚香といった四川の代表的調理法とメインとなる食材を選ぶメニューがあったり、お約束の陳麻婆豆腐も。そして、箸休めに頼んだサイドメニュー等もかなりビリカラでオイシイ。
※なお、ぼくたちは辛いものばかり頼みましたが、腸詰や酢豚や炒飯(不確か?)もあり料理は四川ばかりではありません。

そしてお待ちかねの鶏の丸揚げ、いわゆる油淋鶏です。これは鳥の唐揚げネギソースかけとも言われますが、読んで字のごとく、じっくりと油を回しながら一羽の鶏を揚げていく料理。一羽、半羽、1/4羽と選ぶことができ、最高においしそうな色をした鶏がぶつ切りにされて運ばれてきました。

骨ごとむしゃぶりついていたら、サッと新しいオシボリが出たりと、お店のホスピタリティも間違いなくいいですが、なにしろ大半の客が渋くてカッコいいオヤジと美しい女性ばかり(女性スタッフも皆さんステキ)で満席の賑わい。今の東京にもこんな空間が残っているんだーと、デジャプというか、時代を引き戻された感が充満していました。

全体にゆるく出来上がっているんだけど、家具も料理もお酒も音楽もスタッフも、すべてに手を抜くことがない本当の大人の店です。

男性は、少なくとも40歳を過ぎてないと浮くかな(笑。
posted by 伊藤章良 at 18:34| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月08日

いとう:覇味薑母鴨(台湾)

先日、新しくオープンした「67餃子」恵比寿店の近くを通りかかったら長い行列が見えて、「もうこんなにー」と驚くも隣りのラーメン店「阿夫利」の待ち人でした(笑)。ここのラーメンは確かにおいしいんだけど、フチが分厚い鉢を使っているせいか、口にあたる部分がいつも冷たくスープも冷めているんですね。豚肉を炙るなどといったパフォーマンスをするなら食器を温めるという料理の原点を見直して欲しいです。

>じゃ、餃子つながりで「昔の支那料理屋 開化亭」を。

ここは何度か前を通ったことがありましたが未訪でした。看板の文字からもっとポップなイメージを想像していたんですが・・・。

>たまにはこういう肩の力を抜けさせてくれる懐かしい味が食べたいです。

同感です。「餃子の王将」が売上げを伸ばして話題になっていますが、流行る要因はそんなところにもあるような気がしています。
というか、GW前半に台湾へ食べに行っていたこともあり、純粋に今一番食べたい中華かも(笑。

さて、せっかく台湾に行ってきたので、少しだけ台湾料理の話をさせてください。今回は行く直前にいろいろと調べたり現地在住の友人にリクエストしたりして、初ものばかりの楽しい食旅になりました。

台湾では、すでに暑い季節にもかかわらずスープ(鍋料理)を何度も体験しました。台湾の人は体を冷やすことを嫌い年中スープを食べるのですが、そんな中でももっとも体が温まるスープ(鍋料理)として知られるのが、今回紹介する薑母鴨です。

薑は、日本語でもはじかみと読み生姜の意味。つまり生姜と鴨のスープです。聞いただけでもパブロフの法則で温まってきそうでしょ。薑に母をつけて二文字で表現するのは古い台湾語とのこと。台湾では広く薑母鴨が食べられるそうですが、ぼくが行ったのは地下鉄石牌駅の近くにある「覇味薑母鴨」。味覇という有名な中華スープの素があるのでオヤッと思うも(笑)、そんな小手先なことは微塵も感じさせない豪快な店先。テーブルで鍋をぐつぐつ煮るからだろうけど完全なオープンエアで入口はありません。

台湾在住友人の中国語の先生による解説では、骨付きの鴨肉(彼女はアヒルと言ってましたが)と生姜をごま油で炒め、それを鍋に放り込んでスープや高粱酒、さとうきび、薬膳等を加え強烈に煮る。火鉢の置かれた各テーブルでこの鍋と一緒に炊く材料は、最近日本でも大ブームの火鍋と同様。野菜やきのこや練り物といった類ですが、スープの深みや香りが圧倒的に違うので同じ鍋料理とは思えず。しかも具材がその歴史的旨味をしっかりと吸い込んでふくらみ、とても幸せな食べ物になります。

いっぽうスープ自体は薄味なので、つけタレには塩分の強い腐乳を使用。腐乳はさとなおさんよくご存知の「とうふよう」に近いテイストで、中国では調味料としてもよく使われるようです。一見するとゴマダレみたいなんだけどまったく別物。イヤな甘味がなく、強い塩味と酸味、適度な腐臭が食欲をそそります。「覇味薑母鴨」では、そこに比較的塩分控えめな台湾の醤油を加えて、大豆発酵系をこね回すオリジナルタレを教わりました。

一番感心したのは、こちらの店、秋から春にかけては毎夜午前4時ごろまで無休で営業し、夏の間は5ヶ月ぐらい連続で休むらしい(日本のふぐ料理店にもそういった店はありますが、それはあくまで食材の都合によるものだし)。そんな人生もいいなあ・・・とか、台湾の夜空を眺めつつ考えてしまいました。
posted by 伊藤章良 at 17:14| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする