2016年03月31日

いとう:祇園MAVO(京都)

もう少し、ランチ特集で続けてみます。
といっても、店へのアプローチとか陽光とか、ましてや発見感とか、そういったものとは少し違って・・・。しかも12時一斉スタートという、あまりフレキシブル性にも富んでいない(笑。場所は祇園、しかも高名な「浜作」の前。おやおやという感じで恐縮ですが、京都のフランス料理店「祇園MAVO」のご紹介です。

もともとこの店は小田原にあり別の名前で営業していました。小田原時代に友人のsinpさんの誘いで訪れ、きめ細やかな食材へのアプローチや前衛的な料理との向き合いに驚き、共感したものでした。
そのときから、近々京都に移転して新たなコンセプトでレストランをスタートすると聞いており、やっと訪問することができた次第。八坂神社の近く、まさに高名な日本料理店が立ち並ぶエリアへの堂々たる参戦です。

「祇園MAVO」のステキなところは様々にあり、書くと長くなってしまうのですが、今回のテーマ、ランチに適したという面で言うと、ティーペアリングなる試み、つまりフランス料理とお茶のコースが選べるのです。
シェフも、京都で店を開いたからには、京都らしさを出したいとのコンセプトを掲げずっと試行錯誤されて来られたと聞いていたものの、ティーペアリングなる挑戦が、どこまで実現されているのかについては、ハッキリいって半信半疑でした。

ワインとお茶の両方出すコースもあるのですが、とにかくここはノンアルコールでいってみようとティーのみを選択。ちゃんとしたフランス料理の食事でワインを飲まなかったのは恐らく人生初、ですよ。ところが結論から述べると、あまりにも完璧にハマりすぎて、食後感としてはもしかしたら途中でワインを飲んでたのではないかと自問自答したほど。

これから試される方の愉しみをとっておくために中身を詳しく書くことはしません。世界中のお茶を抜群のセンスで何種類かブレンドしたり(それ自体が奇想天外なことですが)、抽出方法や抽出温度、抽出時間を変えたり(それを変えるだけで、まるでお椀のような旨味まで感じられるんです)。なにより特筆すべきは色。ほとんど全て(実は最後のコーヒーまで)ワイングラスで提供され、透明の中に色まで楽しませてくれます。例えば肉料理とのペアでは真っ赤なお茶だったり。

いやー、本当に驚き感激しました。そして、アルコール抜きでもフランス料理を愉しめることに気づかせてくださった、MAVOチームに大感謝です。
聞けば、こちらでブレンドしたお茶を何通りか小さな瓶に詰めて販売する計画もあるそう。酒飲みの妊婦さん、産後すぐのお母さんのために。というか出産のお祝いに今でもすぐにほしいですよ(笑。
また、このティーペアリングのみの店(アルコールを出さないレストラン)を東京に出す計画もお持ちのようで、そんな日が実現したら、また改めて、東京でのランチの名店として紹介させていただきます。

posted by 伊藤章良 at 17:55| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月29日

さとなお:ル・ビストロ・ドゥ・マ(南青山)

> 最近のイタリア料理店は、やっとトウキョウイタリアンの縛りから脱却し、それぞれがキチンとイタリアの地方色を出してくるようになりました

本当にそうですね。
一時期、東京の流行っているイタリアンって画一的でした。まさにトウキョウ風。でも最近は地方色がよく出てきていて食べていて楽しいですね。

あと、ランチ、わかります。

> ディナーの予習的な意味合いとかリーズナブルだからという観点ではなく、その店の個性や立地がランチに訪れたいと思うかどうか

これは意外とない。
ちょっと郊外に出るとわりとあるんですが、オフィス街や繁華街には特に少ないですね。すぐ思い浮かぶのは、築地「魚竹」とか西麻布「三河屋」とかの有名どころになりますが、意外と、駅の近くで老夫婦がやっている小さな定食屋さんなんかもボクにとってはそんな店かな。

去年の夏に、オフィスを乃木坂から骨董通りに引っ越して、まず探したのはそんな小さな定食屋さんです。でもまだ近くには見つかってません。ランチの名店としてはすぐ近くに「ふーみん」があるんだけど、ビルの地下という立地もあって伊藤さんが言う条件にちょっと届かない。

そういう意味で「ル・ビストロ・ドゥ・マ(Le Bistro de MA)」は、そんな感じに近いかもしれません。

 ※2016年にて閉店する予定らしいので、行かれる方はお電話を※

夜も行ったことがありますが、この店はランチかなぁ。
ちょっと天気のいい日の午後遅く、ひとりでふらりと訪れたい店だったりします。

骨董通りを青山通り方面からぶらぶら歩いて、小原流会館越えてスタバ越えて、最近よく行列ができている「クリントン・ストリート・ベイキング・カンパニー」を右手に見ながら左に曲がってひとつめの小道を右。その先に岡本太郎記念館があるのだけど、右に曲がってすぐの右側をよく見ると小さな小さなビストロがあるのです。

本当に小さいし、入り口が全く目立たないので、まず「発見感」があります。
入ってからもそのこぢんまりさに驚きます。小さなテーブルを無理矢理並べて12席ほど作ってる感じなので、人によっては落ち着かなく感じる方もいらっしゃるかもしれません。

混んでると確かに落ち着かない。
でも、すいているといきなり寛ぎの店に変わります。フランスの友人の部屋っぽくてちょっといいんです。耳を澄ますとBGMもフランスのラジオ。薄暗い奥のテーブルに陣取ってゆっくり時間を過ごしたくなります。

この店、素晴らしいことに、ランチを16時までやっているのですよ。
なので、15時くらいに行くとすいています。最近はカフェが増えてこの「午後遅めのランチ」需要を吸収してますが、ちゃんとしたビストロで午後遅いのはありがたいです。

ランチは夜のメニューをピックアップしたもの中心。
キッシュとかラタトゥイユとかの軽いセットがあってそんなに大量に食べたくない遅めのランチでも大丈夫です。
ちなみに夜は典型的なビストロ料理で美味しそうなメニュー名が安価に並びます。うれしいのは「オニオングラタンスープ」が「メインの前後に」という項目で常備されていること。最近ビストロから姿を消しているのでとてもありがたいです。

そして、この店の得意分野はこのあとに待っています。デザートです。

そう、この店、実はデザートがいいんです。
オーナーがパティシエで、もともと梅ヶ丘にあった「レ・トラス・ドゥ・マ(Les Traces de MA)」というパティスリーがレストランになったという経緯らしいので、まぁ想像つきますね。レジ横で焼き菓子やマカロンも売ってます。

でもって、ここのマカロンは「DEAN & DELUCA」でも売ってるとか。
外観が本当にさりげないので、そういう展開も意外性があって、これも「発見感」。

そんなこんなで、幸せな気持ちになってオフィスに戻る。
なかなか充実感ある、いい午後が過ごせます。

posted by さとなお at 22:46| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月01日

さとなお:シェ・ピエール(乃木坂)

伊藤さん、すいません、一日更新遅れちゃいました(最低でも月一更新は死守しようってこの前言ったばかりなのに・・・)。

その東麻布の店、当時よく行きました。当時の最先端でしたよね。そういうチャレンジがとても目新しく感じられる時代でもありました。

さて、では今回はチャレンジつながりで。
1960年代、まだ子供たちが駄菓子に夢中になっている時代、本格的なパンなんて望むべくもなかった時代、日本にフランスパンを広める、というチャレンジをしたフランス人がふたりいます。

ひとりは、関西のフィリップ・ビゴさんです。
芦屋に「ビゴの店」を開いて、それが当たったのでわりと有名ですね。

ボクは関西勤務時代、このビゴさんの本店兼レストランのすぐ近くに住んでました。で、大柄で朗らかなビゴさん自らの給仕をレストランでよく受けていました。なので、いまでも東京とかでビゴの店を見かけると、なんだかとても親密な気分になります。ビゴさん元気かなぁって。

でも、同じく立役者なのにビゴさんほどは知られてないのが、乃木坂の老舗ビストロ『シェ・ピエール』のオーナーシェフ、ピエール・プリジャンさんですね。

ボクは、東京に転勤で戻ってきて、長年勤めた会社から独立して事務所を開いたのが乃木坂でした。
その事務所がある小さなマンションの横が「シェ・ピエール」でした。
日本で、フランス人オーナーのビストロとしては一番古い(1973年創業)、ということは知っていたのだけど、このピエールさんが「日本にフランスパンを広めたもうひとりの立役者」とは知らなかったなぁ。

神戸の老舗(今年で創業110年)のパン屋「DONQ(ドンク)」に、このピエールさんとビゴさんのふたりがいたんですね。ドンクのサイトから引用してみます。

日本ではじめて本格的なフランスパンの製造、販売を開始した1965年当時、フランス産の小麦粉は輸入されておらず、良質のフランスパンを作るのは非常に困難でした。そこで、日清製粉株式会社様がドンクにフランスパン専用粉の開発を申し出、当時ドンクで働いていたピエール・プリジャン氏やフィリップ・ビゴ氏がテストを重ねながら、フランス国立製粉学校の教授レイモン・カルヴェル氏指導のもと、リスドオルと命名されたフランスパン専用粉を完成させました。用いられたのは、日本で手に入れることのできた小麦のみで、フランス産の小麦はもちろん入っていませんでしたが、そのクオリティは高く、はじめてフランスパンを口にした日本人を感動させただけでなく、在日のフランス人たちをも大いに喜ばせたのでした。
小麦が一部自由化された現在においてもリスドオルの評価は高く、焼き立てのパリパリ感と中身のしっとりとした甘さは、リスドオル特有のものといえます。

そう、このふたりが「日本のフランスパン」にものすごく大きく貢献しているのです。
ビゴさんは独立して芦屋に「ビゴの店」を開き、ピエールさんはビストロ「シェ・ピエール」を開いた、ということです。

ビゴ本店の近くに住んでいたのみならず、ピエールの隣にオフィスを持っているとは、なんとなく縁を感じます。フランスパン普及の苦労話をピエールさん本人の口から聞いて以来、ボクの大切なレストランのひとつになりました。

この店、2年前に40周年だったんですね(場所は一度移転している)。
40年、日本でビストロをやっていると、それなりに日本人の舌に合わせてきている部分はあるかもしれません。でも、外観や内装の本場っぽさ(本当にパリっぽい)も相まって、これこそフランスだなぁと毎回思います。

なんというか「ずっとずっと日本にフランスパンやフランス料理を広めるために営業しつづけてきてくれたピエールさんの日々の言いしれぬ努力がすべて入った滋味溢れる味」という感じ。飾らない、素朴で実質的な、でも奥の深い、長い歴史がじっくり煮込まれたようなありがたい味。そういう印象です。

この店でモンサンミッシェルから直送のムール貝とか、日本一のブイヤベースを食べてると、本当に日本にいることを忘れます。ピエールさん本人も頻繁に客席に顔を出してサービスしてくれるのも含めて。

そして、これはマダムのおかげだと思うけど、装飾品も多いのに、清掃が驚くほど隅々まで行き届いていて気持ちがいいです。本当に清潔でコージーな空間なのです。

この店に行くたびに、本質的な意味で「日本のビストロの先駆け」であり、「精神的支柱」なんだなぁ、と思います。新しい店も大切だけど、こういう店にもっともっと敬意を持ちたいですね。

実は昨日、乃木坂から表参道にオフィスを引っ越しました。
「あ、オフィスの場所? 青山葬儀場の真ん前の『シェ・ピエール』の隣のビルの4階だよ」とか、もう人に説明できないんだなー、ランチとかにふらっとピエールさんに会いに行くことももうないんだなー、と思うとちょっと寂しいです。

昨晩、そんなことを想いながら帰路についていたので、今回は「シェ・ピエール」を書いてみました。50周年、60周年と、ピエールさんに元気でいてほしいです。日本の宝です。

posted by さとなお at 06:55| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月31日

いとう;フロリレージュ(外苑前)

そういえば先日、四ツ谷の「ミタニ」の話になり、みんなであーでもない、こーでもないとか話していて、どうも内容がかみ合わないんですね。
挙句の果てに「予約取れないじゃないですか」と誰かがいい、「え、そんなに予約取れなかったっけ」と別のメンツが応える。そう、四ツ谷には鮨とフレンチ、二軒の「ミタニ」があるんですね。ご留意のほど(笑。

ではぼくも、フレンチ繋がりで「フロリレージュ」。
多くの方はご存知かと思いますが、「フロリレージュ」は移転しました。そして、移転してこんなに変わるか、というぐらい変わりました。
以前の「フロリレージュ」は、店のロケーション、エントランスの驚き、料理のホットさ複雑さ濃厚さ等々、間違いなく東京でもっともエッチな店(もちろんすばらしいという意味で)。店を辞した後、下る階段途中でチューしたくならなけれは大人じゃないよ(笑、というぐらい、心底フランス料理というよりフランスのエスプリを感じさせる唯一無比のレストランでした。

そんな店がなくなってしまう、というのもいささか残念でしたが、新生「フロリレージュ」、今度はフルオープンキッチンを新たな舞台として、彼らの動きに眼を奪われ言葉を失ってしまうぐらいの劇場型。この大胆な変革への驚きと、川手シェフの特徴やスペシャリテと言われてきた数々をあっさりと捨て去る潔さ。
フランス以外のフランス料理店を模範とした、というだけあって「NOMA」やシンガポールの「アンドレ」など、今、最先端を走ってる料理店のエッセンスが川手シェフ流に昇華されてぎっしりと詰まっています。

新生「フロリレージュ」の内容については書きません。予め聞いてしまうと楽しみも半減するかなと思うからです。料理の写真はおろか、メニューまで写真に撮って載せている人もいるけど、映画を観に行く人を前にそのストーリーを教えているのと同じ行為。あれはやめた方がいいなあ。

ぼくは、フランス料理店において、料理に手を付けることなくずっとジージー写真を撮っている人、ワインを一滴も飲まない人、その二つはご遠慮いただきたいと願ってきました。きっと川手シェフも同じ気持ちだったんでしょう。というのも以前の「フロリレージュ」では、ここはグラビアアイドルの撮影会場かい?というぐらいのカメラカメラ。そして、酒はほとんど売れることなくソムリエは廃業状態だったかと。

ところが、新生「フロリレージュ」は、このご遠慮いただきたい客がほとんど目立たない(視界に入ってこない)よう、座席のレイアウトやライティングが工夫されているのです。さらにそれらをカバーするスタッフの動きもまた、暗部を隠すことに一役かっています。感服しました。

食事をする自分たち、そして、川手シェフをトップとした目の前で展開されるドラマのような調理シーン。最後に、出来上がった料理を料理人自ら客前まで運ぶ導線の鮮やかさと彼らの情熱的な説明。新生「フロリレージュ」にいると、心無い客から発せられる雑念や自己顕示欲がまったく視野に入らず、純粋に食事を楽しめるんですね。幸せをたくさんもらいました。

食事をしない客、ワインを飲まない客・・・。店側もさまざまな来客を想定しつつ、店全体の士気が下がらないよう雰囲気が壊れないよう様々に工夫する。アイデアは料理にだけではない、ということを新生「フロリレージュ」は感じさせてくれました。

なお、フロリレージュという、フラワーを想起させるようなラブリーな店名にした結果、この店が本当にやりたい意図も、なかなか伝わりにくいのかなあと思ったりもします。ところがフロリレージュとは、フランスの高級コニャック(お酒)の名前なのです。
posted by 伊藤章良 at 09:38| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月30日

さとなお:レスプリ・ミタニ ア ゲタリ(四谷)

伊藤さん、一ヶ月さぼってしまいました。
すいません。

最近、仕事の状況がいろいろ変化し、余裕がなくなってあまり食べに行けてないこともあり、「ネタがないなぁ」というの半分、そして新刊の執筆にかかりきりで余裕がホントになかったのが半分でした。すいません。

さて、暖かくもなったし、心機一転、また食べ始めようと思いますw

で、今回は四谷の「レスプリ・ミタニ ア ゲタリ」を取り上げます。
難しい店名ですよね。「ア ゲタリ」。スペルは「L'esprit MITANI a GUÉTHARY」です。なぜこの店名にしたのか、聞いた気もするけど忘れてしまいました。ゲタリーはコート・バスクの中心地なので、なにかそこにまつわる由来があったかもしれません(覚えとけよ)。

恵比寿時代の「レスプリ・ド・ミタニ」はわりと通ったのだけど、六本木ヒルズ時代はちょっと高価になったのもあってあまり行かず、「あーでも三谷シェフの料理、食べたいなぁ」とずっと思っていたんですね。そして友人に誘われてようやく四谷の新店に行けました。

以前「カシュカシュ」があったところ。
全体的に渋くてカジュアルな内装で、古いダイナーといった趣き。

で、一番わくわくしたのは、ワゴンでしょうかね。
その日食べられる肉・肉・肉のオンパレードのワゴンがどどんと出てきて、三谷シェフ自ら肉の状態とかを説明しつつ相談に乗ってくれます。この時点でテンション上がる上がる。

どの塊をどう焼くか、シェフといっしょにわいわい考える至福の時間。そういう意味では、食いしん坊の男性のグループで行くのが一番楽しいかもしれない。肉を食らうワクワクが増強される気がします。

もちろん肉以外の一品もおいしいのだけど、やっぱりこの店は肉かなぁ。

四谷といえば、「北島亭」が健在で、肉の塊といえばやはり「北島亭」に行きたくなるのだけど、よりカジュアルで気楽に一品を食べられる的な雰囲気があるので、今後はこの「ア ゲタリ」も候補に入れたいと思います。

posted by さとなお at 23:40| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月30日

いとう:俺のフレンチ神楽坂(市ヶ谷)

「ラ・シャス」、ぼくも大好きです。
あのお二人はご夫妻ではないんですか。それもちょっと驚き(笑。
そして、さとなおさんは海鴨をいただいたんですね。ぼくが訪れた日は売り切れでした。メニューを眺めつつ、もうそこにしか目が行かなかったにも関わらず、ないと言われた時のショックといえば・・・。
そういえば、ぼくも夏に行ったことがありません。どんな感じなんでしょうね。またご報告ください。

さて、今回はちょっと変化球で「俺のフレンチ 神楽坂」
俺の〜チェーンというと、テレビでも何度も取り上げられ今や飲食業界の寵児ですよね。でも、さとなおさんもそうかと思いますが、自分はまったく食指が動くこともなく、というか、逆に並んでしかも立ってフランス料理を食べるというシチュエーションには、天を仰ぎたくなってました。
銀座の「しまだ」が俺の〜チェーンとすれば、ここだけは行ったことがありますが、それ以外の店には生涯行くことももないかな、と思っていたんです。

ところが。
これを聞くと、さとなおさんも一度は行ってみたい!と思うはず。
「俺のフレンチ 神楽坂」のシェフは、元「コム・ダビチュード」の釡谷さんなんですよ。
確かさとなおさんも、かなり中目黒の「コムダビ」ファンだったと記憶しています。あのフルオープンキッチンは本当に爽快でした。イマや焼肉店ですが・・・。

俺の〜シリーズといえば、著名なレストラン出身のシェフを起用して、肩書き好きの日本人にドンピシャのマーケテイングをしていますが、全てをチェックしたわけではないけど、正直、昔の名前の人や所属していた店が単に有名なだけの人ばかり。そんな中、ぼく個人にとっては、本当に実力のある料理人登場というわけ。

もちろん、俺の〜シリーズが予約できることも(ではなぜ並ぶのか)、予約はテーブル席であることも、そして110分で総入れ替え制も知りませんでしたが、その辺の段取りをうまく友人がやってくれて(感謝)、晴れて、久しぶりの釜谷シェフの料理と対面しました。

というか、まず俺のフレンチ全体の印象。サービスはかなり変です。
ボトルで頼んだシャンパンも白ワインも、全て栓を抜いた状態でテーブルまで持ってきます。もちろん、ティスティングもありません。また、今日の〇〇とか本日の××とかいったメニューではなく、グランドメニューの中にも品切れがたくさんあります。これはどーいうことなのか? グランドメニューですらも、あらかじめ出す皿数を限定しているのか。

そして、当然ですが自分たちは「俺の〜巧者」ではない、ということがよく分かりました。回りのテーブルにはどんどん料理が運ばれてくるのに、ぼくたちがフランス料理と認識してふつうに前菜・魚・メインと組み立てて頼んだ料理は、いっこうに運ばれてきません。

ほとんどすべての皆さんが、フライドポテトとかサラダとかを最初に数皿頼み、その後、牛フィレ肉のロッシーニ風をメイン、最後にデザートというパターンなんです。今まで「シェ・イノ」でしか食べたことはなかったですが、俺フレと言えばロッシーニ風ゆえ、ぼくたちも頼んでみました。するとぼくたちのテーブルには、最初にこれが運ばれてきました(笑。

店舗の形態や運営のみを取れば、自分が経験した店の中で一番近いのは「サイゼリヤ」でしょうか。

でもね。魚料理・肉料理は本当に素晴らしかった。ロッシーニ風をのぞけば、一皿のポーションはパリのビストロ並みなんです。特に羊肉などは何本も骨が付いた状態の塊で焼いてくる。でも、魚も羊肉も豚肉も、火の通し方が完璧なんですね。付け合せとかソースの塩加減も絶妙でした。
一同、うまいうまい以外は無言でひたすら食べ、塊の肉があっという間になくなりました。
予約の段取りとか全く分かりませんが、この料理をいただくためだけに再訪したい気分です。

それにしても・・・。
俺のフレンチが連日行列ができるほどの盛況なのに、ココでフランス料理の美味しさ・楽しさに気づき、他のフランス料理店にも行く人が増える、ということには決してならないのが、ニッポンなんですよね。
そこが、食の底辺を広げたいと切望してるぼくにはとても残念でなりません。
例えて言うなら、村上春樹の小説がむちゃくちゃ売れたとしても、日本の他の純文学が読まれるか、というと決してそうではない、というのに似ています。
posted by 伊藤章良 at 11:25| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月31日

さとなお:ラ・シャッス(六本木)

板書が楽しい店、多くなりましたね。

1980年代は素っ気ないメニューの方が本格派みたいな感じがありましたが、1990年代の終わり頃くらいからでしょうか、フレンチでも食材の産地やら生産者やらをメニューに書く店が出てきて、その後ちょっと説明過多の料理名がはやり(これはボクはあまり好きではありませんでした)、近頃いい感じに落ち着いてきたと思います。

あと、板書の字も大切。
これがとっても雰囲気ある字だと、腹が鳴ります。

というわけで、板書、そしてもちろんメニューも「字がめちゃくちゃうまくて腹が鳴る店」をご紹介。

六本木のフレンチレストラン、「ラ・シャッス」です。
一度ここに書いたかな・・・? でもまぁいいか。ボクはジビエの季節(今日までですかね)には毎年1〜2度は食べに行きます。

というか、字がうまいなんて、この店のほんの少しの魅力でしかないですね。

シェフとホールの女性(マダムではないらしい。でももうずいぶん長いです。メニューの美文字もこの女性が書いてます)が自ら狩猟して捕ってくる鴨やキジ、イノシシやエゾジカなどがまぁうまいのなんの。

彼らが自ら捕ってくるから、メニューにはたとえばこう書いてあります。
「北海道で仕留めた蝦夷鹿」「佐賀有明海で仕留めた真鴨」「千葉で仕留めた日本きじ 胸肉のポトフ仕立てとモモ肉の炭火焼き」

ね、「仕留めた」と書いてある。
彼らの一人称なのですw すごいよねー。

でも、彼らが仕留めて下ごしらえをして、丁寧に調理して出してくれることに価値があると思うのです。殺すところも含めて、「命」をいただく過程すべてに彼らが関わっている。そんな彼らの調理やサービスは「調理するだけのレストラン」と少しスタンスが違う気がしてなりません。

いろいろと印象深い料理があるのだけど、たとえばボクはこの店の海鴨が忘れられません。
鴨なんだけど、ぐっと噛みこむと海の海苔の香りがする。海の香りと鴨の香りとジビエ独特の肉汁感とが混ざり合い、書いているいまでも陶然となります。

ここのヒグマも忘れられません。
熊は猟師から購入しているようだけど、小熊も親熊もいつもとてもいいものを仕入れていると思います。ここのヒグマを食べた夜は必ず朝3時くらいにドキドキと動悸がして目が覚める。そのくらいの強壮剤なのでしょう。

わかりにく立地にあり、ドアを開けるのも憚られるような雰囲気なので、以前は超隠れ家だったのだけど、いまではすっかり有名人気店になりました。

野菜料理がほとんどないのと、ワインの値付けが高めなのを除けば、(その薄暗い洞穴みたいな、ワインカーブみたいな雰囲気も含めて)とてもいい店だと思います。

そうそう、その字がうまい女性がまた美しく、気っぷのいいサービスをしてくれて、それも気に入っています。

ジビエの季節の定番レストラン。
そういえば夏に行ってない気がするので、今度は夏に行ってみよう。
posted by さとなお at 19:42| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月28日

いとう:ルブトン(西麻布)

インフルエンザ、大変ですよね。
体調は戻っても、感染の可能性がある間は動けないし・・・。
ぼくは人生でまだ一度もかかったことがないんですが、いつかはその洗礼を受けるんだろうなあ。

軽井沢のフランス料理店、とても楽しまれた感じが伝わってきました。レストランを構成する要素は料理の味だけじゃない、ということを改めて認識します。

最近の東京のフランス料理のハヤリというと、ビオワイン、炭火焼、クラフトビール等々と、本来の手間や原価率がかかるという概念から、瞬間的に飛びつく目新しさの方に向いてる気がして、ちょっと残念に思うことがあります。それらをウリにしている店も決して悪いわけではなく(というか、それぞれに素晴らしくて)、ぼく自身は楽しんでいるものの、やはり同じような狙いの店ばかりがドンドン増えだすと、少し抵抗を感じてしまうんですね。

そこで今回は、個人的に今とても大好きなフランス料理店「ルブトン」を紹介します。
この店の位置づけもビストロなんですが、創造性あふれるシェフの個性でぐいぐいと押しまくるタイプ。そこに、標準化とか原価率みたいなビジネス要素が全く見え隠れしない、本当に料理を考えたり作ったりするのが大好きで、おいしそうに食べて飲んでいる客と接するのが一番幸せ、そんなシェフ。そして、温かくて柔らかい、けどワインについて押しは強いソムリエールの二人で構築しています。

場所は、西麻布から根津美術館へと上っていく坂の途中。外苑西通りを挟んだ六本木側が、昨今大衆化・チェーン店化していて昔のクオリティがどんどん下がっているのに対し、渋谷側は、ポツポツと興味を惹かれる店が相変わらずオープンしています。

「ルブトン」は路面店ではありますが、外観は渋い小物のセレクトショップを思わせる雰囲気もあり、初回訪問時は通り過ぎてしまいました。店内はカウンターとテーブルが2卓。できれば少人数で訪れカウンターに陣取りたいですね。

メニューは板書されたもののみですが、まーこれが楽しいこと。確実に上から下まで全て食べたくなります。また、そんな客の表情を知ってか知らずか、シェフからは、実はメニューに載せてないものも・・・、みたいな提案も出てきて、胃袋がいくつあっても足りません。
裏メニューは来店時のお楽しみとしても、凝り性のシェフらしく、例えば市販されているようなソースの類も全てオリジナルで作ってしまう。となると、そこから様々な副産物や展開が生まれてくるのです。

「ルブトン」のような店ほど、何か月も予約が取れない状況にはなってほしくない、思い立ったらすぐに行きたい店なんです。でもここは、ハヤリものに飛びつく人種や食べロガーが集まるような系統の店ではないと確信しています。
posted by 伊藤章良 at 17:38| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月10日

さとなお:レストラン・トエダ(軽井沢)

伊藤さん、すいません、ちょうど1月末にインフルエンザになり、1月分の更新をできなくなってしまいました。申し訳ありませんでした。

すっかり治った、と言いたいところですが、咳が残り、しんどいです。
そんなこんなで遅くなりました。

というような体調なので、ここんところあまり外食に行けてないのですが、1月に出色のレストランに行けたので、そこを書こうと思います。

軽井沢のフレンチ、「レストラン・トエダ」

ここ、たぶん伊藤さんも好きですよ。

若いご夫妻がやっている、まだ開店して2年のフレンチなのだけど、おいしくて、美しくて、親密で、清潔で、温かくて・・・そんな「いいレストランに求められるもの」がすべていい感じに同居・調和しているんです。

決して高級ではありません。
なにせ夜のコース6500円からなので、どちらかというと安価ですね。

「キノコのコンソメ トリュフの香り」も「スモークサーモンと野菜のジュレ」も「柔らかく蒸し上げた蝦夷アワビの瞬間燻製」も「蝦夷鹿ロース」も「信州牛フィレ肉のロティ」も忘れがたし。

素材の味わいを消さず、オリジナルな創意工夫もちゃんと利いていて、そのうえ、お客さんがテーブル上で「わあ」とうれしくなるような見た目がある。これ、意外とありそうでないです。

それにプラスして、温かくて距離感のちょうどいいサービスがあり(奥さま)、清潔で親密な空間もある。軽井沢にありがちなファンシーさがなく、とてもモダンな空間でした。

なにより、楽しくていい時間でした。おすすめです。

posted by さとなお at 16:50| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月29日

いとう:イバイア(東銀座)

さとなおさん、こちらこそよろしく。
時々読み返すんですが、すでに対談した店もかなりの数に上っていて、それだけでも財産です。
元々「おいしい店リスト」で名を馳せたさとなおさんですから、特にオールドファンは、食べ物について語ってほしいと真に思ってます。

シャオヘイくんも、以前ほど食べ物しなくなった感じだけど、元気でなにより。友人から「広島に行くので、どこかいいお店を紹介して」と頼まれ、店じゃなくとヒトを紹介するよと、カレに一任しました(笑。

さて、相変わらず地方のお店は思いつかないので、肉中心のうまいもん屋つながりで。まさに「男たちが数人で食べるにふさわしい」店、東銀座の「イバイア」を紹介します。と聞いても、さとなおさんも読者の方もほとんどご存じないかと思いますが、肉で有名なビストロ「マルディ・グ」の元マダムが出した店、といえば、なんとなくイメージがつくかな。

実は不思議なご縁で、フラワーコーディネーターの妻のところに、オープン祝いの胡蝶蘭のオーダーが入り、「イバイア」の存在を知りました。妻が花を届けたレセプションの日には、銀座の有名なバー「オーパ」や「マルディ・グラ」からもお手伝いの方が来られていたようで、なかなか銀座らしい門出だった、とのこと。

場所は東銀座。裏歌舞伎座(そんな言葉はあるのか 笑)といいますか、マガジンハウス裏。廉価で良質なこぢんまりとした飲食店が密集するエリアで、確かこの場所は以前、中華料理店だったような。近くにある「スモールワンダーランド」も以前は中華料理店だった記憶があり、なんとなく歌舞伎座のリニューアルに向けアフターシアターにふさわしい店が出来始めたかなと、少しうれしくも思います。
ちなみに朗報ですが、「イバイア」もそれを考慮に入れてか、日曜夜も営業されています。

「イバイア」という、スペインっぽい語感からも想像されるように(ちなみに、IBAIAで検索すると、フランスとの国境付近にあるホテルが一番にヒットします。2013年8月現在)、バスク地方の料理を中心としたビストロ、とのこと。
シェフも、「マルディ・グラ」のオープンからずっと和知シェフの元で肉焼きを学んできたツワモノ。メニューに並ぶ肉々のおいしそうなこと。最初にオーダーしたシンプルなハムから、おいしくてあっという間になくなりました。

そして、料理の感じも「マルディ・グラ」なものを少し想像して訪問したんですが、ハーブの使い方や焼いた肉の塊などに片鱗は感じられるものの、バスクを意識したソースの展開やマダムのご実家から送られるという野菜の扱い等に、早くも「イバイア」らしさが存在していて頼もしい限り。

ワインリストは、もう少し種類に幅があればもっといいかなと感じますが、それはこれから徐々に増やしていかれるかと期待します。

お盆の時期のように強烈に暑いと、肉塊という感じではないかもしれませんが、これから近づいてくる食欲の秋には、恰好の一軒となることでしょう。
posted by 伊藤章良 at 15:09| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月26日

いとう:エスキス(銀座)

>さて、ではボクは伊藤さんも言及された「縄屋」を書いてみます。

ぼくの行きたい店リストの中でも、ずっと上位にいる「縄屋」なんですが、未だ訪問がかないません。ツイッターでさとなおさんが「縄屋」に向かっているつぶやきを読んで、正直「誘ってよ!」と思いました(笑。

こういう店こそが、本来タイヤメーカーの販促目的だったミシュランガイドが選ぶべき三ツ星店かと、思ったりもします。

さて、「縄屋」に対抗できるようなトコロには、最近、東京と大阪往復ばかりの日々が続いているぼくには見当たらず、真逆に東京の中心、銀座のフランス料理店「エスキス」を紹介します。

銀座並木通りで、比較的高級な飲食店ばかりが入っているビルの上層階。
2012年にオープンした高級フランス料理店の中でも、シェフ、ソムリエ、パティシェに3人のスタープレーヤーを集めた話題のレストランです。以前立ち読みした「東京カレンダー」の予約の取れない店特集に載っていたので、満席かなあと思いきや、金曜の夜なのに5割程度。

各スタープレーヤーwの仕事は、以前の環境で別々に体験したことはあったのですが、「エスキス」では、逆にそれぞれの個性を押さえ、融和や流れを重んじた印象を受けました。最高級の料理やワインやお菓子だからこそ、何か一箇所だけが突出している訳ではないので、それを理解している面々による構成やマリア―ジュは、バランスがよく優雅で、すばらしいものでした。

よく言われるフランス人シェフの和テイストは、「春の苦み」を幾層にもたたみかけてくる創意と工夫にあふれ、日本人でありなからも驚きの連続。合わせるお酒も、こちらは若干セオリー通りですが、日本酒の「獺祭 磨き二割三分」が登場。

デザートもおいしかった。特に、ミニャルディーズを全て残さず食べたのは、フランス料理店ではほとんど記憶にないぐらいです。

それにしても、こういった和のエスプリさえも感じられるフランス料理を体験すると、いかにフランス料理店のバリューが高いかを改めて認識します。同じレベルの食材や手を加えた料理を都心の日本料理店でいただくと、料理だけで1.5倍ぐらいするのでは、とも思いますね。料理以外のスタッフや内装の経費も考えると、高級フランス料理店の経営も大変だなあと、そんなことも感じてしまいました。

唯一残念な点。
ぼくは、客それぞれのプライバシーを最大限に配慮することが、一流レストランとしての証だと考えています。ゆえ、「カンテサンス」や「京味」のような店を例にとっても、メインダイニングにカメラを持ち込ませず、写真撮影を禁止にしています。
「エスキス」でも、食べログの「エスキス」のページを見ると、個室以外は原則として写真撮影禁止と記されていたんですが、ずっと奥のテーブルで、ピッ、シャカッ、ピッ、シャカッと、写真を撮る大きな音が響いてました。

料理もワインもデザートも一流ですが、惜しむらくは、サービスのみ一流と言えないところが、満席に届かない理由かもしれません。
posted by 伊藤章良 at 17:57| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月28日

いとう:レストランマノワ(広尾)

スウェーデンの料理って、近々ではIKEAの中にあるレストランで食べたっきりの記憶しかありませんが、やはりそこでもミートボールでした。ただIKEAでは全く特徴のない味だったので、本場のミートボールぜひトライしてみたいです。

そしてニシンの酢漬けと言えば、つい先日お目にかかったロシア料理店のシェフと、どうやって仕込みをするかについて盛り上がったばかり。ゆえ、北欧繋がりでそのロシア料理店も紹介したいんですが、今回は、さとなおさん思い入れの店がリモデルというか全く違うレストランとして生まれ変わったので、そちらを取り上げてみます。

さとなおさんが20世紀最後の日に訪れた北海道のオーベルジュ「ヘイゼルグラウス・マナー」の姉妹店として、以前こちらでも紹介していた「ブラッスリー・マノワ」ですが、「レストラン マノワ」として、2011年11月に新たにオープンしました。

後を引き継いだのは、つい先日まで人気店「アニュ」でソムリエを務めていた方。それ以前も「ラブレー」や「ブルギニオン」等、さまざまな東京のフランス料理店でサービスやソムリエとしての研鑽を積んでこられたとのこと。

店内は、以前とは大きく変わらないウッディで重厚な趣きですが、「狩猟の館」というよりはデコラティブな部分を整理して落ち着いた感じ。特に、カウンターは一人客の需要も考慮に入れてスッキリしました。

エントランスを入ってすぐにテーブルがあるダイニングのレイアウトがビストロっぽさを醸し出すものの、料理もワインもサービスも格段に洗練された大人の空間。料理は、前菜二皿、魚・肉・デザート・コーヒーで6000円のプリフィックスコースと、シェフのお任せコース10000円の2種類。プリフィクスでは、前菜と肉料理に多彩な選択肢があって、かなり惑わせます(笑。ぼくは少々頼み方を間違えて、野菜ばかりのコースになってしまったのが少し残念だったんですが、次につながる楽しみも増えました。

そしてなにより、ソムリエがオーナーということもあって注目すべきはワインですね。実は、以前の店からの置き土産も多く残されていたそうで助かってます、との言葉通り、リストの充実度合や値付けのバランスがすばらしいんです。特に最初のページからノンヴィンテージのシャンパンが7000円でずずーと並んでいるのは圧巻。好きなシャンパンを7000円で飲み放題という選択肢もあります。

また、最近のフランス料理店での楽しみの一つになってきた、それぞれの皿に合わせたグラスワインをシェフソムリエがチョイスする、という形もOK。ただ、このスタイルでワインを頼むと、料理を食べ終わるよりも先にワインがなくなってしまって後悔することも多々あるんだけど、「レストランマノワ」では、「ワインは飲んでいただくためにあるんです」というウレシイ言葉とともに、ナミナミと注いでくださる喜び。

ご承知の通り、バスがビュンビュン走っている明治通り沿いから少し奥まった立地で、大きなマンションの1階にある店舗は、意外と隠れ家感があるのと、とてもパリっぽい。以前の店に訪れたときも、この店ってパリっぽいなあと感じていたことを改めて思い出しました。でも、以前の訪問ではそのニュアンスになかなか気づかなかったんですね。今回で、お店のスタッフともそんな話をしていて、やっとぼくのイメージがクリアになりました。
posted by 伊藤章良 at 23:44| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月05日

さとなお:レ・マリアージュ・ドゥ・ガク(恵比寿)

なんか五十嵐シェフ門下と聞くだけで方向性がちょっとわかるのがいいですね。
もちろんそれぞれ個性があるとは思うけど、集団として色がついているのがある意味素晴らしい。「スゥリル」行ってみたいと思います。あの方向性ならボクは好きなはず。

さて、門下というか、一応系譜つながりで。
「銀座レカン」出身の和久井学シェフが出したカジュアルな佳店。恵比寿の「レ・マリアージュ・ドゥ・ガク」です。

シェフの名前が「学」だから「ガク」ですね。彼は「銀座レカン」では肉料理をまかされていたということで、メインの肉料理はさすがなもの。店の規模はビストロちっくなんだけど(カウンター6席にテーブル4つ)、料理の佇まいはレストランのそれです。とても美味しく親密な時間を過ごせました。

コースは5250円のプリフィクスで、アミューズ、前菜、本日のお楽しみ、メイン、ご飯か麺、デザートという流れ。

「マリアージュ」という店名通り、食材同士、そしてワインとのマリアージュもしっかり考えられたいい構成でした。
契約農家である埼玉の星野農園(シェフが惚れ込んだ農園のようです)から仕入れた有機野菜と厳選された日本ワイン。最近日本のワインが充実している店が多くてうれしい限りですが(今回書こうか迷った「ラ・ブーシェリー・デュ・ブッパ」も日本ワインが充実している)、なんか日本ワインが充実してくると、日本産同士のマリアージュという新しい楽しみができていいですね。

前菜で取ったソーモン・フュメ(火入れ)は、ランスの「レ・クレイエール」の絶品ソーモン・フュメの記憶が(すっかり忘れていたのに)急に蘇った逸品。「本日のお楽しみ」は泡を使ったスープ。演出重視に思えるけど、味もしっかり焦点きてました。そしてメインの肉は「骨付き仔羊」「イベリコ豚」「黒毛和牛(イチボ)」から選べ(イチボは+700円)、同行者とわけあって食べたけど、どれも火加減が絶妙で、ちょっとクラシックで、美味でした。モダンとクラシックがいいバランスで調和しているのもこの店の魅力。

メニューで目を引くのはメインの後のご飯or麺ですね。
日本人的にはとても自然な流れで落ち着きます。ご飯はお茶漬け風リゾット(リゾットをスープの中に沈めたもの)。麺は洋風つけ麺(手打ちパスタをソースにつけて食す)。どちらも少量だけどなんだか得した気分だし、なによりそれまでの流れがちゃんとしたレストラン風ということもあって、この突然の「和」な演出は意外性がありました。

そういう意味で、日本とフランスの、和食と洋食の、モダンとクラシックの、食材と食材の、料理とワインの、レストランとビストロの、そして客と客の、と、いろいろなマリアージュがこの店では意識され、演出されている感じです。

和久井シェフがカウンター内でたったひとりですべてを切り回してますが、満席でも実に落ち着いたシェフぶり。かなり段取りがいい(つまり頭がいい)シェフですね。出てくる時間の不具合もなく、とてもいい時間を過ごせました。そういう意味でこの店はカウンターがいいかもなぁ。見てるだけで楽しそう。

サービスもつかず離れず気持ちよく、コストパフォーマンスがいいこともあって、満足度が高い店かと思います。こんなに静かで落ち着いた店が存在するとは思いにくいビルにある意外性も相まって、デートなんかにいいかもしれません。

最近、小さくておいしいフレンチが増えてきましたね。
posted by さとなお at 08:43| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月16日

いとう:スゥリル(中目黒)

>その中からビストロ「モルソー」をご紹介します。

ああ、この店、ずっと行きたいと思ってたんです。
電話してフラれたこともありました・・・。
シェフが女性でとってもステキな方だというウワサ、やはり本当のようでしたね。あの界隈、いい店がどんどん増えてきて今注目です。

ではぼくもフランス料理店で。
中目黒の「スゥリル」です。東日本大震災直後、交通機関の乱れもあって飲食店も落ち込んだようですが、確実に新しい店もオープンして(プランは震災前に出来上がっていたとは思います)、ぼくたちをワクワクさせてくれます。
この「スゥリル」も、震災一か月後ぐらい、目黒川の桜が満開のころスタートしました。

川沿いの道から二本、代官山方面の通り。中目黒駅からだと少し距離があるものの、目黒川沿いの散歩は気持ちいいのでぜひ徒歩で目指してください。辺りは静かな住宅街。「スゥリル」はその一角に溶け込む瀟洒なビルの2階にあり、エレベーターを使う方法と、ビル横の大きな階段を上がるのも素敵なアプローチかと。

ドアを開けると、少し不思議なレイアウト。まずメインダイニングがあって、左側に厨房。そして厨房を望むようなカウンター席。ぼくたちはテーブルに案内されましたが、キッチンが目の前にあるカウンターもなかなか楽しそう。

白と黒のモノトーンで統一したインテリアの中に白い間接照明が映えて、とても落ち着きます(きっと、女性もより美しく見えます)。また、テーブルや椅子が大き目のサイズなので、よりゆったりとした気持ちで食事ができました。

ただ、当然オープンしたばかりということもあり、モノトーンすぎて少し寂しいかな。棚に小物を置いたり絵画を飾ったりと、徐々にデコレートしていけば、さらに温かみのある店内となるように想像します。

シェフは、「マノワール・ダスティン」五十嵐シェフ門下ともいうべき、東京のフランス料理エリート集団の一員(笑。ぼくは「ラ・マリー・ジェンヌ」のころが一番印象的だったかな。
五十嵐門下といえば、やはり「肉」のイメージが強いですが、「スゥリル」も、当然すばらしい肉料理が味わえるとともに、肉に至るまでのストーリー作りがとても巧みに感じました。

フレッシュで香り高い軽い前菜からスタートしてじっくりと味のベースを広げていき、魚に至って「オヤッ、一筋縄じゃないな」と感じさせ、そしてメイン。一段と味も強くなり、丁寧かつガッツリと焼かれた大きな肉でフランス料理の醍醐味を堪能させる。まさに、クレシェンドなコース、といいますか、肉に向かっての序破急な感じが、フランス料理好きにはたまりません。

厨房は二人体制。サービスはマダム一人。マダムはサービス経験を長く積んでこられたという感じではないですが、とても一生懸命で、つかず離れずの距離感もこの店らしいと思いました。

混んでくると、このすばらしい流れやタイミングが維持できるかどうか少し不安なところもありますが、今年期待の一軒であることは間違いありません。
posted by 伊藤章良 at 23:07| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月24日

さとなお:モルソー(目黒)

東日本大震災についてのもろもろの活動をしているうちに、あっという間に1ヶ月が経ってしまいました。
すいません、4月は一回の更新になってしまいますね。なんとなく「あっち」から心が帰ってこず、おいしいものを食べていても上の空というか。

でも、そろそろ復活しようと思います。
いくつか新しい店にも行きました。
その中からビストロ「モルソー」をご紹介します。

この店、なんと3月11日、あの震災の当日の夜に予約をしていたんです。
で、その夜は仕方なくキャンセル(お店の方もその日はクローズしたそうです)。だけどずっと気が残っていて。ようやく3月末、その予約した相手と一緒に行ってきました。「震災後初めて」のレストラン。

最初はなんだかセンチメンタルに食事を始めたんですね。
311の前と後での「違う世界」を実感しながら。それは「何かが決定的に変わってしまった」という実感。311前に食べていたはずの料理を311後に食べてもなんだか違う味。そんなイメージのスタートだったと思います。

でも、食べているうちに心がほぐれてくる。
そのくらいホスピタリティに溢れたいい料理群、そしてサービス。
この店を選んで良かった。本当にそう思ったですね。

女性オーナーシェフが自らサーブしてくれたり、オススメしてくれたりするんだけど(テーブル席にもどんどん出てくる)、その笑顔と元気さにどれだけ救われたか。客との距離感をひとっ飛びに縮めてくるタイプの接客なのだけど、それがとても家庭的・親友的で気持ちがいい。

料理は量も多く(一皿でふたり分相当)、大食のふたりが行っても3皿くらいで十二分。
自家製ソーセージ抜群。鎌倉野菜のサラダも良かったな。料理はどれも安くておいしくて満足がいくもの。そのうえワインの品揃えは安価。ソムリエもあくまで明るい(明るすぎるところがあったけどw)。

店もこぢんまり親密で落ち着いているし、なんだかとってもいいレストランでした。
そのレストランに入る前と後とでは気分も元気さも違う。そういう体験を(一番弱っている時期に)させてもらいました。語源的な意味での本当のレストラン、ですね。※レストランの語源は、ラテン語で「良好な状態にする」「回復する」の意。

24時までやっているので、夕食時の混む時間を避けて、夜遅めに行くのもいいかもしれません。
また疲れたら絶対行こう。そんな店でした。
posted by さとなお at 11:46| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月22日

さとなお:コントワール・ミサゴ(西麻布)

伊藤さん、遅くなりましたが今年もよろしくお願いします。
もっとゆっくり生きようと年末年始に誓ったのに、仕事が始まったらいろいろな雑事が起こり、あっという間にもう1月も終盤。年末年始にゆっくり休みすぎてペースも狂ってしまってバタバタでした。すいません、更新遅くて。

荒木町や四谷、新宿方面、今年はボクも少し開拓しようと思います。「美鈴」行ってみよ。

さて、カウンターつながり、という無理矢理なつながりで、新年最初はビストロ「コントワール・ミサゴ」をご紹介しましょう。

コントワール=カウンター、ですね。
で、ミサゴというのはシェフの静岡のご実家の寿司屋さんの名前。つまり「みさごのカウンター」という意味で、なんかご実家とのつながりを感じさせます。「みさご」という暖簾の前で笑っているご両親の写真が店内に飾ってあったりしていい感じ。

シェフは、サイトの経歴を見ると、ご実家を出たあと東京の寿司屋に勤め、そして、西麻布「レリノス」〜「ヘイゼルグラウスマナー」〜「ブラッスリー マノワ」と移っています。鮨でなくてフレンチを選んだ時点でいろんな想いがあったと思うのだけど、それらの変遷を経て、独立するときの店名が「みさごのカウンター」というのがなんかいいなぁと。

荒木町の「鮨 てる」も店名をおばあちゃんの名前から取っているんでしたっけ。なんか、両店ともストーリーが感じられてイイですよね。食べていてほっこりします。味になにかがプラスされる感じ。こういうストーリーとかコンテクスト(文脈)って、これからのソーシャルメディア時代、レストランにとって重要な要素かもしれません。

上にも書いたけど、この店、広尾にある「ブラッスリー・マノワ」にいた土切シェフが独立して去年8月にオープンしました。
「ブラッスリー・マノワ」についてはこの対談でも書きました。北海道のオーベルジュ「ヘイゼルグラウスマナー」の姉妹店というか支店です。そこでシェフをやっていた彼が独立したと聞いて行ってみたのです。

「ブラッスリー・マノワ」はボクの中で「北海道直送のジビエの店」という位置づけだったのですが、独立したこの店は特にそういう色があるわけではありません。カウンター中心でテーブルや半個室もある、メニューが黒板に書いてあるような典型的なビストロになっていました。ただしパスタも置いてあったり、スッポンの雑炊やコロッケがあったり、典型的ビストロというより「うまいもの屋」を目指している感じ。

ただ、奥さまが新潟出身で独自のルートがあるようで、ジビエの時季は新潟の網獲り青首真鴨があります。これがうまい。ロースト具合はジビエで鍛えられたシェフの得意分野だし。これはジビエの季節は必須です。魚介は北海道のものが多かったので、北海道ルートも残っているのかも。

釧路産マグロのタルタルと中トロの炙り、燻製ウナギのシュペルポゼ、スッポンの雑炊、新潟産網獲り青首真鴨のロースト、特製モンブラン。と、いただきました。どれもしっかりした味付けとポーション。繊細さを残しつつ力強い感じでなかなかでした。

まぁまだこれからの店だと思うけど、ちょくちょく通って食べてみたいと思います。
ちなみにあえて苦言を呈せば、看板のセンスがちょっと残念w
posted by さとなお at 09:05| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月20日

さとなお:ブラッスリー・ジョンティ(浅草橋)

あぁ「レザミ・ダミ」って「カーザ・デ・ケージョ」の後の店ですか。
「カーザ・デ・ケージョ」は店主の斎藤敏明さんが亡くなって閉めてしまったんですよね。とても残念に思ったのを覚えています。その後の店ですね。しかもモロッコ料理。いいなぁ。行ってみること決定!

ではボクは小さな店つながりで(笑)、アルザス料理の小さな名店「ブラッスリー・ジョンティ」にします。

浅草橋の、こんなところにいい店があるのかなぁ、と不安になるような場所にさりげなくあるこぢんまりした店ですが、まだオープンして1年半なのに(2009年5月開店)、内容がすばらしいこともあって最近一気に人気店になってきました。「こりゃ近くにあったら通うわ」という感じなので地元の方を中心にワッと広まったのでしょう。

店名の「Gentil」とは上級ブレンドワインのこと。アルザスの高貴4品種(リースリング、ゲヴュルツトラミナー、ピノ・グリ、ミュスカ)のうち1品種を50%以上使用しているのが条件のワインですね。いまでは安価なブレンドワインも「ジョンティ」と呼ぶようですが、元々は「最上のブレンドワイン」に用いられていた言葉のようです。

そういう店名をつけるだけあって、まずアルザスワインの品揃えがすばらしい。ボクは特にリースリングが大好きなのでたまらないです。というかここ10年くらい赤より白の方がずっと好き。そういうヒトにはアルザスワインはたまりません。しかも全体に安い。2000円台から用意してあります。

料理もとてもいいですね。
名物は、まぁアルザス料理ですから、まず「シュークルート」。「魚のシュークルート」もあります。そして「アルザス風ピザ(タルト・フランベ)」。カリカリに焼いた極薄のピザ状のもので、これもとても印象的。そして「ベッコフ」。アルザス伝統の鍋料理でジャガイモの最高の食べ方のひとつでしょう。ココットの蓋を開けるとジャガイモだらけ。でも底の方にマリネされた肉がたくさん入ってます。酸味が利いててうまい。ボクが行ったときは底の方にスープが少ししかなかったけど、これがここのベッコフなのかな。

他にも「アルザス風サラダ」とか「アルザス風パスタ」とか気になるメニューが並びます。デザートも「クグロフ」やら「焼きプリン」やら「タルトタタン」やら、いろいろ。

アルザス料理専門店なので、初めての方は全体に「ジャガイモが多いなぁ」と思うでしょう。ソーセージとかシュークルート(ザウアークラウト)とかも含めて、ドイツとフランスの境、というのを感じさせる無骨で飾り気のない、そしてボリュームたっぷりの料理が続きます。でも、食べたら誰でもファンになる。そんな魅力がアルザス料理にはありますよね。アルザスワインもおいしいし、小さくて親密な店だし、サービスも丁寧だし、なかなかオススメです。

ちなみに1階は明るくて相当カジュアルだけど、2階は暗めでシックな作り。用途での使い分けもできると思います。まぁ予約が取れない店になってきているので、用途分けする贅沢は無理かもですが。
posted by さとなお at 08:37| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月29日

いとう:レスカリエ(恵比寿)

>広尾の「エパヌイ」という一軒家フレンチレストランに行ったんです。

あの界隈は、駐車違反や飲酒運転が厳しく取り締まられるようになって以降(というのも不遜な表現ですが)、すっかり活気がなくなってしまった印象があるのですが、「エパヌイ」も、そして名物犬チャーリーも健在。なにより嬉しいですね。最寄に駅がないといっても都心であることに間違いはないし、地代も下がっているでしょうから、もっと秀逸なレストランが集まってきてほしいものです。

ではぼくは、さとなおさん好みの店がなくなってしまったシリーズ第二弾(笑)で。恵比寿西口から山手線の線路沿いに目黒方面へと急な坂を上がったところにあったリストランテ「ダ・ディーノ」が閉店し、そこに新しいビストロ「レスカリエ」ができました。

さとなおさんは、「ダ・ディーノ」の雰囲気や接客が気に入ってよく通っておられたと聞いていたのですでにご存知かもしれませんが、たまたま別件で前を通ったとき、違う店の看板が出ていたので、軽くショック。ただ、相変わらずの好奇心もムクムクと沸いてきて、検索してもまったく情報のない状態で飛び込み訪問してみました。

ところで「レスカリエ」とは階段というフランス語らしいんですが、検索すると同じ名前のフランス料理店が意外とあるんですね。パリのみならずニッポンにも階段が多いということでしょうか。そして文字通り、階段を上がったところに入り口がある恵比寿の「レスカリエ」。看板には、bistro a vins とのサブタイトルもあるので、ワインバー的要素もお持ちの様子。

店内は、ほとんど「ダ・ディーノ」の時と同じ。ただテーブルにクロスが掛かっていないので、あのこぢんまりと落ち着いた雰囲気のリストランテが一気にカジュアルなビストロに変化します。

シェフは「岡部亭」のワインバーとして枝分かれした「Uchiyatei」出身とのこと。「岡部亭」、そして「Uchiyatei」も、もう10年近く訪れていないような気がしますが、改めて、そこから巣立ったシェフとうかがうと感慨もひとしお。

料理のメニューもワインリストも板書のみで、その黒板をサービススタッフが運んでくるスタイル。まだまだ品数は揃わない中で、オッと惹かれたものをオーダーしても品切れなど、オープンすぐの厳しさは感じられますが、いただいた「鮎のコンフィ」や「子羊のロースト」などは、なかなかのもの。

そして特筆すべきは、ワインがバラエティに富みとても安価。
これは、フラッと立ち寄ってビストロ料理をつまみにワインで杯を重ねるにはもってこいの環境。急な坂が難関ですが駅から近いし、それにしては隠れ家っぽい。今後に大いに期待ですね。

posted by 伊藤章良 at 11:23| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月24日

さとなお:エパヌイ(広尾)

伊藤さん、すいません、油断してたらまた間が空いてしまいました。

「ペレグリーノ」「ラ・コロンバ」の跡ですか。
まぁボクにとって「ラ・コロンバ」は九段の一軒家リストランテなので、移転後の西麻布の店には思い入れはないのですが、この店名は魔法のようなもので、聞くだけで遠き大学時代を思い起こさせます。

あの頃を思い起こさせる店名がもうふたつあるのですが、それが、赤坂にあった「ビストロ・サンノー」と、九段にあった「ビストロ・ボンボワザン」です。特に後者はランチによく行きました。学生でもなんとか出せる値段だったですね。本格的フレンチ初体験の店に近いです。この店名を聞くだけで、すぐに25年前の大学4年生に戻れる感じです。

とはいえ、「ビストロ・ボンボワザン」なんて店名、普通に生活していたら絶対聞かないわけですよ。もう十数年前(いや20年くらい前?)に閉店したレストランですから。

それを先日、偶然に聞きました。

広尾の「エパヌイ」という一軒家フレンチレストランに行ったんです。
で、シェフの経歴を伺ったら、なんと、最初の修業(小僧時代)が「ビストロ・ボンボワザン」だと言うではないですか! 思わず握手しそうになりました。突然思いも寄らぬ店名を聞いたので感激もひとしおでした。

お店的には一軒家レストランという敷居の高さはまるでないですね。木造でアットホームな雰囲気。誰かの家の居間にいる感じ。クリスマスでもないのに窓外の木には豆電球が飾られていたり、全体にちょっとファンシーかな。マダム(?)のサービスやメニューの感じもちょっとファンシー。女性を狙っている感じ。

というか、この店の最大の特徴は、ワイヤーヘアード・フォックステリアのチャーリー翁がよちよちと出迎えてくれる、ということでしょうか。
チャーリーはもう足が不自由なくらいのご老体。でも食事中に数回テーブルまでよちよちと遊びに来てくれます。食事中に動物!? と、お嫌いになる方には無理なレストランだけど、気にならない人(特に犬好き)にとっては逆にいい店。

味的には、山芋を使ったスープ・ド・ポワソンとイベリコ豚のローストが記憶に残ってます。
塩をきっちり利かせた料理で、特にイベリコ豚は香りも高く美味。全体に野菜の使い方も上手。盛り付けも美しくて丁寧ですね。

一軒家レストランのわりに値段が安く、コースは4000円くらいからのプリフィクス。前菜ふたつにメインひとつの6000円くらいのコースなんて、かなりお得感あります。量も適量だし。

安価でカジュアルで敷居の低い一軒家レストランとして、知っておくのはいいかなと思います。ちょっとした二次会にも使えそう。
posted by さとなお at 08:26| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月17日

いとう:フロリレージュ(外苑前)

>その店の名は「みよし」。

こちらの店は知りませんでした。かなりそそられる情報ですねえ。
コッソリ教えてほしかった(笑。一年中、鴨で営業されてるんでしょうか。夏など相当暑そうですが・・・。「プアマンズ・トゥールダルジャン」というネーミングも東銀座らしいカッコよさ。いやー、暖かくなる前に行きたいです。

で、ぼくも今シーズン鴨のおいしかった店をいろいろと思い出していたんですが、頭に浮かぶのは過去に書いたことのある場所ばかり。結局、残念ながらあまりレアなネタではない「フロリレージュ」に行き着きました。

「カンテサンス」で修業したシェフ、オープンすぐにミシュラン一つ星と、話題に事欠かないレストランで、いまさら感もありますが・・・。

またここは、ロケーションの見事さも特筆モノ。青山の、いわゆる「スキーショップジロー」裏なんですが、階段を上がった横に位置し、なんとなくミニモンマルトル風(と書くといいように言い過ぎか)。全体が真っ白で入口が分かりにくいところもアクセントになってます。

細長いダイニングはシンプルで心地よさバツグン。シェフを筆頭にサービススタッフも、さすがにイキオイのある店だけに、皆さん洗練されてステキです。

こちらで、今シーズン最後ぐらいのジビエ、尾長鴨をいただきました。
さとなおさんも覚えておられるかと思いますが、年末に某有名フレンチでご一緒した際、この尾長鴨を食べましたよね。で、その時はあまりイイと思わなかったんですが、さすが「カンテサンス」譲りの焼き(というか、厳密には「カンテサンス」とは違うんですが)、しっかり火が通っているのにレア感十分な口当たりと、肉のウマさ血の香りをきっちり閉じ込めて提供されるまで外に逃さない技には、本当に驚かされました。

「カンテサンス」岸田シェフご本人から聞いた話で、現在の厨房では、肉・魚については未だ誰にも触らせず全て自分で火を入れるそうですが、巣立った「フロリレージュ」の川手シェフだけは、その場所も任せられたとのこと。

なお、冒頭にも書いたとおり、「フロリレージュ」は「カンテサンス」出身ということもあって似たような料理や展開方法なのでは、との想像もされそうです。が、同じモダンフランス料理を標榜しつつも、個人的には全く別物と思いました。特に、内臓の使い方やソースの扱いなどにはクラシカルな口当たりも見つかり、昔からの仏料理ファンにとってはホッコリさせられます。

またすぐにでも行きたいなーと思いつつも、超人気店ゆえなかなか希望はかなわないでしょうね。
posted by 伊藤章良 at 16:19| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする