2016年11月30日

いとう:角屋(西麻布)

断片的ではあるものの、昨今のさとなおさんの料理店に対する見方に接すると、自分自身の考えが軌道修正されていく様子がよく分かります。
SNSにしても、自分のタイムラインにはファインダイニングや予約の取れない店での会食の様子ばかりが延々と連なるので、日々ブラウジングしているとその状態が普通のように思えてきますよね。それが今一つ納得できず、昨今はほとんどタイムラインを追っかけなくなりました。

食通というあくまでマイノリティな存在が飲食業界を左右するようになってしまっても、それはいびつで不健康に他なりません。そんな意味でも、さとなおさんからの居酒屋つながりでも、健康的な、そして「東京十月」とはちょっと趣が異なりますが、やっぱりオシャレな居酒屋「角屋」を今回は紹介します。場所は西麻布なので、さもありなんですが。

居酒屋と書きつつ、分類的には日本酒バルとかになってるみたい。だいたい日本酒バルって何なのか。というより、あまりにも本格的な日本酒の勢ぞろいと酒飲みの心を震わせる的を射た料理やつまみが多数あり、バルといった軽い言葉で押し込めてしまうにはもったいない良店なんです。

場所は西麻布の広尾側。「葡呑」の隣りかな。「角屋」の字のごとく角にあり、外に向かってフルオープンなので混雑ぶりなど中の様子もよくわかり、まず第一に入りやすい店。
店内は決して広くなく横に長いL字のカウンターと小さな向かい合わせのテーブルがいくつか。そんな環境ながら、ゆったりとしてスペースに過不足を感じさせず、ゆとりさえあります。

客のダイニングスペース以上に狭いのがカウンターの中。にもかかわらず、どこに入れてあるのか相当な種類の日本酒が脱兎のごとく出てきて、しかも蔵への愛情だっぷりかつ的確なポイントを突いたコメント。多くのソムリエや利き酒師、ひいてはやたら説明の長い鮨職人までも、ここのスタッフの日本酒解説を参考にするべきかと感じます。

加えて特筆すべきは、燗つけのうまさ。少ないスタッフで回してるので本当にバタバタなんだけど、その中においても、きっちりと温度を合わせた最適な状態での提供ぶりに驚き、日本酒がここまで膨らむものかと幸せになります。

料理も実はとても充実してまして、バックバーの黒板にびっしりと書かれたメニューの豊富なバリエーションにも瞠目。いわゆる珍味の盛り合わせに始まり、唐揚げ、さつま揚げのような揚げ物、そして野菜・魚介類の炒め、〆の蕎麦やカレーまでとどまるところを知りません。というのも、この店はすぐ近くにある「旬味 森やま」の姉妹店で、レシピや食材もそこと共有しているとか。

何しろ居心地がよくて、スタッフの皆さんの対応がとても気持ちいい。さらに銘酒と美味が揃っている。西麻布だし、表から見るとあまりそんな感じに見えないんですが、かなり中身の濃いところが、やはりバルではなく愛すべき居酒屋としたい所以なのです。
posted by 伊藤章良 at 16:57| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月31日

さとなお:「東京十月」(南青山)

そうなんですよ、鮨って天井知らずに高くなりましたよね(特に東京は)。

ボクは鮨にずいぶんお金を使ってきた方だと思うけど、もう今の新店トレンドはお財布的に追えません。インバウンドで惜しみなくお金を使う方が増えたのでしょうか。でも超高くても「その価値はある!」って満足できた店、最近一軒も出会えません。いいとこ半額だろ、と思う店ばかりです。ひとり鮨探訪も気持ちが挫けてきました。

中国料理店はボクはそんなに通ってないのでわかりませんが、鮨と同じ流れなんですね。
それは残念だなぁ。
最近では「前々からわざわざ予約して店に出かける」という習慣が(周りの人を含め)急速に減ってきて、前日とか当日に急に集まって出かけることが増えているのだけど、そうなるとなぜか高級中国料理店に行くという選択肢って激減するんですよね。高級な中国料理でうまいのにありつくためには前もって予約してコース組んだ方がいい、という先入観がボクの中で強いからでしょうか。

おいしくて気楽な「方哉」みたいな店、ふらっと行きたいな。でもそういう店は予約が取れないからふらっと行けないんですよねw

さて、10月も今日でおしまいですが、10月のうちにこの店をご紹介。

南青山は骨董通りの「東京十月」

骨董通りの小原流会館の地下にある居酒屋です(ちょっと前に紹介した「ふーみん」と同じ階です)。

居酒屋といっても、ものすごくオシャレなのでハードルは高めです。
内装のディレクションを彫刻家(アンテ・ヴォジュノヴィック)が手がけ、ほの暗い中にオレンジの壁と古民家風木材が浮かび上がってとても落ち着く作り。ホールの中央にその彫刻家制作のでかいテーブルがどんとあり、そこに水が流れている。その水の音と静かな音楽が混ざっていいBGMになっています(ちなみに、ここまで凝るならオーディオももうちょい凝って欲しいとは思いましたが)。

気になる店名ですが、なんか「Autumn in NY」みたいな感じで洒落たのかなと思ったのだけど、店主に聞いたら「いや、東京って十月が一年の中で一番アートイベントなどが行われるんです。そういうところに集まるクリエイティブな方々が集まるような店にしたくて」とのこと。

つまりはそういうコンセプトなので、まぁおしゃれなわけですよ。
だから「ガハハハ!」と楽しむ居酒屋というよりは、低音でこっそり語り合うのが似合う感じ。カウンターがなく、ホールと座敷ふたつなので、男一人でしっぽり飲むには向きません。でもカップルとか、4人くらいの静かで親密な会とかにはとっても良い店ですね。

日本の小さな酒蔵の日本酒と、なぜかアルゼンチン・ワインが揃ってます。
和を基調とした雰囲気の中でワインと和食を楽しめるという意味で、場所柄もあって「外国人接待」に覚えておくといいかもです。

料理は和食と創作和食と無国籍料理がいろいろ並んでいる感じ。とか書くとイヤな予感しかしませんが、でも手を入れすぎておらず芯はしっかり感じられるおいしい料理群でした。そして土鍋ご飯もおいしかったな。

その雰囲気から「きっとかなり高い」と思いがちだけど、まぁ青山なりではあるものの、それほどでもなく、想像の範囲(5000円〜10000円)で収まります。

この店、カウンターがあって無口でおしゃれなオヤジが向こう側に立っていたりしたら、ふらっと飲みに通うのになぁ。。。毎回惜しく思います。ま、いまのボクのオフィスから至近ということもあるのですが。


posted by さとなお at 16:46| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月24日

いとう:酒菜や まつ(阿佐ヶ谷)

さとなおさんのお手元にはすでにあるかなとも思いますが、少しここで紹介を。
東京百年レストランというタイトルで、百年後にも存在していてほしいとぼくが思う店、という縛りだけで選んで紹介しているシリーズの第三弾が出来上がりました。「幸せになれる43の料理店 ―東京百年レストランIII 」です。

第三弾では、以前にもまして、それぞれのレストランから感じる「継承」をテーマに据えて書きこんでいます。ぜひご一読いただければ幸いです。
http://www.amazon.co.jp/%E5%B9%B8%E3%81%9B%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8C%E3%82%8B43%E3%81%AE%E6%96%99%E7%90%86%E5%BA%97-%E2%80%95%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E7%99%BE%E5%B9%B4%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3III-%E4%BC%8A%E8%97%A4-%E7%AB%A0%E8%89%AF/dp/toc/4844376675

さて、今までの流れで中国料理にもっていきたいと思ったんですが、年内に紹介しておきたいなあと思う居酒屋がありますので、そちらを。
阿佐ヶ谷の「酒菜や まつ」です。

この店の主は以前、最近さとなおさんもときどき来られている新宿御苑前にあった「あゆたて」という寿司割烹のような店におられました。新宿御苑前というと、あまりマニアックな店に仕立てても集客に苦労するのか、「あゆたて」は創作和食みたいな飛びつきやすい冠をつけてたんですが、何度か地元のメンバーに連れられて行った際、もっとストレートに「魚」で勝負すればいいのにと思うほど、良質で廉価で高い技にも支えられた「魚」を提供する店だったんです。

「あゆたて」という店はもうないのですが、その方が阿佐ヶ谷に居酒屋を出されたという風のうわさ(笑)を聞いていて、ずっと訪問の機会を狙っていたというわけです。
場所は、阿佐ヶ谷駅からMcDonaldの横を進んだ飲み屋街。いい立地です。
店内は入ってすぐにカウンターとボックス、奥にテーブル席が三卓ほどあります。テーブル席からは厨房が見えないので、混んでくるとこの場所はほっとかれるかなとも感じるけど、じっくり話をしたいときなどは最適でなかなか利便性の高いレイアウトだと思います。

それにしても料理はうまい。寿司をやめて本当に正解だったと感じます。自慢の刺身は大振りの切り口で清酒に合うねっとり感も充実。牛肉を使った肉豆腐のダシ加減には、思わず「これだよ」と叫びました。今の時期なら復興した広田湾のカキをフライをはじめ、カニグラタンコロッケやハムカツなど、揚げもそろってます。
清酒も十分なラインナップで、地方のバランスもちょうどいい感じ。何より、廉価だし価格別のメニューがとても良心的なんです。

そして〆にはラーメンもぜひ。このラーメンは魚介メインのWスープをうたっていますが、市井のラーメン店の多くは腐った魚の匂いがするのに対し、これぞ魚介から滲み出る淡い磯の香りが鼻腔に充満。ぜひラーメンフリークにも一度召し上がってほしいです。

なお、拙著「東京百年レストランシリーズ」で紹介している居酒屋は、ほとんど禁煙の店ばかりだという指摘が愛煙家から多数寄せられましたが(汗、「まつ」も禁煙。やはり秀逸の料理や香り高い清酒を提供する店には、タバコの煙は不要ですね。

posted by 伊藤章良 at 15:45| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月30日

さとう:田中田(博多)

「黒毛七厘」、半年前くらいに行きましたが、やっぱり店名が違和感ありますよねw どう考えても焼き肉店としか思えない。メニューも店内の感じも全然違うので、わりと最後まで違和感ありました。

さて、なんかスペインかメンチorハンバーグつながりあたりで考えたのだけど、特に思い浮かばず。。。今回は博多の居酒屋にしようと思います。

博多はおいしい居酒屋の宝庫で、どこをとっても平均以上な街ですね。
とくに「たらふくまんま」系の居酒屋は、居酒屋レベルを越えている品揃えと味でアタリハズレなく美味しいです。「くーた」「柳町一刻堂」「平」そして今日ご紹介する「田中田」など、「たらふくまんま」系と地元で言われる居酒屋は、どこもレベル高く美味しいし接客も良いです(系列、正確に調べたわけではないので、もし違ってたらごめんなさい)。

逆に言うとどこも似てきてしまっているのが難かな。メニューも店の造り、そして雰囲気までとてもよく似ている。

「田中田」はその中でも人気店。予約困難な店のひとつ。
ボクは2回行ったけど、2回とも満腹の満足。よかったです。長いカウンターで食材見ながら食べるのが特に楽しいですね。

全体に博多特有の甘辛な味付けではあるのだけど、刺身から一品、肉もの、野菜もの、煮付け、ご飯ものに至るまで全部うまい。どれもこれもちゃんとおいしい。そしてカウンター前は食材のディスプレイもよく、思わずどれもこれも頼んでしまう、そんな感じ。〆のカレーに至るまで楽しめました。

入り口はちょっと高級割烹っぽいので、若い人はびびるかも。元気のいい接客もGOOD。あえていえば、料理にそつがなさすぎて少し無個性に感じちゃうのが問題でしょうか。とはいえ贅沢な悩み。居酒屋レベルを越えたいい居酒屋だと思います。

居酒屋のレベルが高い街は民度が高い、と勝手に思ってるけど、博多はまさにそんな街だと思います。ま、言うまでもないことですが。

posted by さとなお at 14:19| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月30日

いとう:男子厨房 海の家(気仙沼)

「我路」とは、昭和なネーミングですねえ。お店の雰囲気も、とても落ち着けそうな感じ。銀座では貴重です。これはメモメモ。

さて、ぼくも同じ居酒屋なんですが、気仙沼の復興屋台村で見つけた「男子厨房海の家」という店を紹介します。

今年のゴールデンウイークに、さとなおさんのこのページを参考にして、宮城・岩手の被災地を回ってきました。さとなおさんがお嬢さんと訪れたルートは、とても分かりやすく写真も入って簡潔で、大変参考になりました。ありがとうございました。
さとなおさんは日帰りのスケジュールゆえ南三陸から仙台に戻られたようですが、ぼくはさらに北上して気仙沼に一泊し岩手の陸前高田まで足を延ばしました。その際、気仙沼の地で一度訪れてみたかった復興屋台村を訪問しました。

気仙沼には、仮設の屋台による商業施設が二カ所あり、ぼくが目指したのは気仙沼横丁。こちらの方がなんとなく飲食店に特化した印象を持ったからです。ただ訪れてみると、残念ながらすべての店が夜の営業をしているわけではなく、雨だったせいもあり人影もまばらで寂しく感じました。一軒一軒のぞきつつも、最初から行こうと決めていた店があって、迷わずドアを。そこが「男子厨房海の家」です。

こちらは、気仙沼で旅館や民宿を営んでいた方が、震災で仕事場やご自宅を失いつつも三人で集まって再スタートされた希望の店。津波でも料理の腕前は流されなかったと自負する面々による、地元の食材を高い鮮度のままに提供する貴重で希少な空間です。テーブル二卓、カウンター6席ほどの店ですが、横丁の外も中もほとんど人影がまばらな中、すでに7割程度埋まっていました。

入った瞬間に、ここはいいなあと感じる空気感。復興屋台村気仙沼横丁として、ある種観光名所的な打ち出し方をしながら、「海の家」は地元の面々ばかりでにぎわっています。中にはケーキを持ち込んで誕生日祝いをするグループも。そんな中で、明らかによそ者のぼくも参加させてもらいました。

というのも、「海の家」スタッフの皆さんは、笑顔を絶やさず温かい接客で、こちらからの料理やお酒に関する質問にも具体的に丁寧に答えてくださる、それはもう快適の一言。
そして、高級魚介を扱うことで有名な漁港の町だけあって、名物料理も豊富。
「モーカの星」と呼ばれる、モウカザメの心臓の刺身は、ピュアな赤い色が目を引き、絶妙の弾力が口の中で踊って強烈にウマイ。さすがフカヒレの本場といった感じ。また、「まつも」なる栄養価の高い海草も美味。高級料亭にしか卸されないものを「海の家」では山盛りで。気仙沼の家庭の味として出された「あざら」は、白菜の古漬けや酒粕等を煮込んだ料理。これもまた酒がすすみます。

仮設の店内ですが、それを感じさせない気仙沼らしいアイテムも目を引きました。特に、地元で「風の広場」というワインバーを営む伊藤雄一郎さんが撮影されたという、気仙沼の被災現場と星空との写真があまりにも美しく忘れられませんでした。
posted by 伊藤章良 at 18:10| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月28日

さとなお:我路(銀座)

エスキス行きたいんですよねー。

でも、会社を辞めて独立してからジーンズにシャツが基本になり、なんとなく高級フレンチは行きにくくなっています(まぁ在職中もジーンズが主でしたがw)。昔はフォーマルっぽい格好して出かけるのが好きだったけど、いろいろ変わりますね(まぁ世の中の流れも大きくカジュアルに向かっていますが)

ということで、同じ銀座のちょっとカジュアルな居酒屋をご紹介します。

三原橋の「我路」。たぶん「がろ」と読みますね。

歌舞伎座こけら落とし公演を観たあとに「近場でどっかないかな」と歩いているうちに見つけ、「まぁここでいいか」とわりと仕方なく入った店です。正直いうと、22時と時間も遅かったのでどこでもよかったんですね。入り口の看板の感じから言って、チェーン店に毛が生えたくらいな感じかなと(失礼!)

でも、入店してすぐ認識を改めました。
いや、かなりカジュアルなことは確かだし、店内も趣きがあるタイプでもない普通の居酒屋風なのだけど、日本酒の品揃えやメニューを見たらすぐ「これは当たりかも!」とわかる感じ。

オーナーはバンダナにジーンズの70年代っぽい親父さん。
若く見えるけどたぶんかなりお年上。でもとても親密で「よく来てくれたー」とニコニコで迎えてくれます。

店は広くはないけど、22時なのに満席で活気溢れ、みんなに愛されている感じが伝わってくるし、頼んだ「野菜のさっと煮」や「ヤリイカの刺身」「さつま揚げ」「あら煮」など、どれもこれも実に真っ当かつ旨い。カウンター内の板前がかなりちゃんとしてますね。いやー意外性もあって堪能しました。

オーナーはポイントポイントで接客に(雑談に)くるのだけど、彼の感じも素晴らしく、あーいい店だなぁと。

日本酒もうまいし、全体に安価。銀座というよりは新宿値段ですね。

銀座でカジュアルで気楽な店を探していたので、とてもいい出会いでした。
なくなってしまったシネパトスから歩いて30秒くらいのところ。二葉鮨の数軒となりです。おすすめ。

posted by さとなお at 20:19| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月28日

いとう:香住 北よし(大阪・天満)

谷町の「味酒かむなび」、と書くところも、郷愁と幼児体験の違いがあるかもしれませんね。大阪人は、谷四、谷六、谷九といいますが、谷町とは言いません(笑。

この「味酒かむなび」は未訪です。しかもミシュランで★を獲得していることも知りませんでした。これはまた一つ、貴重な情報です。最近仕事の関係で頻繁に大阪に行くので、ぜひ行ってみます。

さて、ここで少し告知をさせてください。
「百年後も、同じ場所にて営業していてほしい」と願う店を綴った本「東京百年レストラン」を2年前に出版し、「さなメモ」にも取り上げていただきましたが、このたび、その2作目「東京百年レストランII」を上梓いたしました。

この本も、コンセプトは前作とまったく同様で、百年続いてほしい店を独自の視点で40軒選び、紹介しています。マスコミもブロガーもレビュアーも、新規にオープンした店ばかりを追っかける今、こういったテーマでの活動も地道に続けていきたいと思っています。
なお巻末には、お忙しいさとなおさんにも協力いただき、佐藤尚之×伊藤章良の対談「外食はどこへ向かうのか?」も収録しました。

そして今回のうまい店紹介。続いて大阪でいきます。
天満にある居酒屋「香住 北よし」。
香住とは、日本海にも瀬戸内海にも接している意外と広い兵庫県の、日本海に面する町。カニでその名を馳せる漁港で知られています。
その香住で、明治12年以来干物店として営業している「北由商店」にて加工された干物類や、香住漁港で獲れた魚介をメインにした店なんです。

と、聞いただけでも、特に関東の食べ好きにはたまらない店だと思いませんか。

天満は、大阪の中心から近く、しかもリーズナブルに飲み食いできる店が集中する幸せなエリア。独自の感覚で立ち上げる新しい店も集まり始めています。
「香住 北よし」は、恐ろしく長い天神橋筋商店街から一本脇に入った路地沿い。カウンター10席ほどの小さな店を、日本料理出身の店主と女性で仕切っています。

なんといってもここでいただく2トップは、干物とへしこ。へしことは、魚の糠漬けのこと。本来は若狭湾の名産とされますが、香住も、隣り町といってもいい陸続き。強めの塩加減と独特の香りを持つこのへしこをつまみに清酒を飲む、という至福は、それはもう何ものにも代えがたいマリア―ジュであります。
そして干物。ぼくたちが東京で普段食べている、熱海・伊豆あたりで産出される干物とは、魚の種類も大きさも味わいも異なる逸品揃い。全体的に小さくて味が濃くて、こちらもまた酒がすすみます(笑。
他にも、サラダ類や干物類と炊き込んだご飯も多種あって、喜ばしい限り。まさに清酒好きには、大阪でも筆頭にあがるべき店でしょうか。

そうそう、清酒については、意外にも人気地酒も豊富に取り揃えるものの、ここでは、同じテロワールの「香住鶴」を。この酒、初体験でしたが、でしゃばらず香住の魚に寄り添う感じが品よく、大ファンになってしまいました。

posted by 伊藤章良 at 11:36| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月29日

さとなお:味酒かむなび(大阪)

なるほど。
ボクは東京生まれ東京育ちで、社会人になってからの大阪経験なので(15年いたけど)、ホルモンとかどて焼きとか串カツとかの幼児体験(?)がないんです。

だから「西成二代目にしかわや」の楽しみ方も、伊藤さんみたいな大阪育ちの人とはちょっと感覚が違うかもですね。郷愁と幼児体験がないと心底楽しめないというか…。そういう感じ、たこ焼きやお好み焼きにも感じます。大阪人のそれらへの熱狂がどこかでわからないところがあります。

とはいえ大阪には15年勤めていたので、ボク的にはかなり大阪への肩入れは強いし、まぁ15年も体験してたら少しは語ってもいいのでは?と思うところはあるのだけど、でも、大阪の奥深さにはいまでもよく舌を巻きます。とても15年くらいでは語れないなぁ…。

谷町の「味酒かむなび」も、そんな奥深さに打ちのめされた一店。
大阪の居酒屋つながりで書いてみます。大阪、深いや…。

というか、谷町六丁目の、谷町筋の裏路地の静かな通りに、ミシュラン一つ星の居酒屋(この店)があり、地元の人には有名だけど大阪キタ方面の人にはそこまで知られていないこの感じがすでに奥深い(笑)。そのうえ実に美味しそうで感じのいい(古い民家を利用した)蕎麦屋さんとカフェも並んでいる。お隣の上町にはお馴染みの「ながほり」もある。底が見えないですw

それにしてもミシュラン、「よくこんな場所のこんな店を見出したな」と感心しました。全然興味がなくて全く読まない本なんだけど、ちょっと見直したです。読者である外国人に喜ばれそうな店では確かにあるけど、そうか、ここを選ぶのか…。

長い長いカウンターが特徴の居酒屋。
きさくで感じのいい若いご夫婦がやっています(よく動く若い職人さんもひとりいます)。

外観も内装もお洒落だけど、お洒落すぎず、人の家にお呼ばれしたような居心地の良さがあるいい店ですね。靴を脱いでカウンターに上がる方式だからかな。入り口横のテーブル席は靴を履いたままの土間になってます。全体に照明を抑えてあってくつろげる。

売りである日本酒の品揃えは素晴らしかったなぁ。
まぁ最近ではちょっと気の利いた居酒屋ではたいてい日本酒の品揃えに凝っていたりするんだけど、ここはその中でも「よく考えられている」とメニューを見るとすぐわかります。メニューに載ってないものもいろいろありそうで、もうボクは最初から白旗を揚げ、すべておまかせでお酒を選んでいただきました。「蒼空」や「奥鹿」とか、うましうまし。

料理もよく考えられているもの。
ド頭にいただいた「塩豆」からして超うまい。9種類の豆を炊いただけのものだけど、程の良さが素晴らしい。あぁこういう料理を出す店なのか、と、その時点で料理にも白旗。おまかせで出していただきました。

うまい、というか、なんだろう、玄米を食べたときに感じるような充足感があるですね。表面的ではない。発酵系が多かったからかな。

どれもこれも美味しかったけど、特に印象に残っているのは、その「塩豆」と、「おばあちゃんの大根ずし」「チーズの三種漬け」「キンキの三五八漬焼」「納豆とゴーヤのチャンプル」。考えたら発酵系ばかり食べているw

「おしながき」は毎日変わって、その日のおしながきが手書きコピーで配られるですね。
どれもこれも美味しそうで、全部食べ尽くしたくて仕方がない(笑)。こりゃまた行かないと! 

ちなみに、ボクはひとり客で、お隣に女性のひとり客もいました。テーブルは宴席だったし、カップルや女性ふたり客もいたり。いろんなタイプの客がそれぞれ静かにくつろいで楽しんでいて、全体に「客がつくるいい空気」が満ちている店でした。

また大阪で定期的に行きたい店が増えてしまったな。
posted by さとなお at 09:34| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月30日

いとう:西成二代目にしかわや(大阪・梅田)

すみません。ぼくも遅くなりました。

先日も少しさとなおさんと話しましたが、さとなおさんの地方ネタは貴重ですね。いつか確実に行くことがあると信じつつ、そのとき迷わないように、たくさん紹介してください。

「鯨のすき焼き」も「カツオの酢〆」も、食べたことがないです。こういった鮮度がポイントな料理は、自ら出向かないとだめなことを実感します。

さて、ではぼくも東京以外の(といっても大阪ですが)居酒屋つながりで、「西成二代目にしかわや」を紹介します。
大阪の面々には、「いまさらなんや」と言われそうで辛いんですが、なにせ席さえ確保できれば、こんなに使い勝手のいい、しかも瞬時に大阪の庶民食文化を知ることができ、そして、JR大阪駅から徒歩圏内(アメリカ村や難波にも支店ができたようです)という便利さ。
というか、古今東西探しても、ここまで巨大ターミナル駅前で、朝9時から翌朝7時まで22時間ぶっ通しで営業していて、しかも休みなし。というのだから、こりゃ、地元だけではなく、旅行者も出張者も覚えていて本当にソンはありません。

かく言うぼくも、日曜昼間の中途半端な時間に店に迷い、思わず飛び込んだ、そんな経緯があります。

西成というのは、東京で言うところの山谷のようなエリア。生活保護を受けている人が一番多い地区との汚名もありますが、反面、安くてウマイ、大阪らしい食文化が生まれる土壌も持っています。

オーナーの西川氏は、多店舗展開にも積極的な、どちらかと言うとビジネスマンかとも拝察されますが、「西成二代目にしかわや」では、先々先代のレシピを忠実に今に再現しているところはサスガ。

まず「西成二代目にしかわや」で惹かれるのは、「大正ホルモン」。もちろんぼくの生まれは、昭和ではあるけどw、子供の頃は、祖母の家の回りにいくつもホルモン焼きの店があって、ものすごいイイ匂いがするんですね。で、入ってみたいと親や祖母にねだるものの、子供の行くところではありません、と言われ、断念した思い出がそのままよみがえってきます。濃くて辛い、まさに子供には食べられない究極の酒のつまみ。

続いてくわ焼き。元々、くわ焼きを食べようと思って探し始めたものの日曜昼に開いているところはなく断念しかかったら、実はここにも(四種類だけですが)ありました。くわ焼きとは串にさした具材を鉄板に載せ、上からコテのようなもので圧着させて焼く、関西独特の料理。東京には、過去には「たこ坊」や「くわ焼きダッセ」など何軒かあったものの、現在は、ぼくの知る限り一軒もありません。

そして、どて焼き。関西のどて焼きは、最近東京の店でも食べられる牛スジの味噌煮なんだけど、「西成二代目にしかわや」のどて焼きは、牛スジを串に刺して煮込み、上から味噌ダレをかける個性的なもの。

最後に、というか、元々この店は串カツ屋ゆえ、玉ネギ、紅生姜、レンコン、チューリップ等の定番をいくつか。メニューを見るとラーメンなどもあって、食べたいものはまだまだ際限なく見つかりそうですが、夜のことも考えてこのヘンで断念。

深夜営業をしていることから、仕事終わりの料理人も多く集まる店だそうで、それを取っても、決して味に手を抜かない姿勢は伝わります。ぼくが訪れた日も、たまたま隣りに座ったオジサンは板前だとか。ここの串カツは良質の油を使っているから美味しくて、胃もたれしないんだと解説。確かにその通りでした。
posted by 伊藤章良 at 17:37| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月26日

さとなお:大衆割烹ときわ(高知)

いやぁスイマセン。
暑さでまいっていたら一ヶ月以上経ってしまいました。危ない危ない。8月がゼロ更新になるところでした。

「酒屋の酒場」、改装してます。前の方がいい感じでしたよね。「丸千葉」は知らなかったなぁ。行ったことありません。でもいい店を教えてもらいました。行ってみます。

では今回は古い居酒屋つながりで、高知の「大衆割烹ときわ」を紹介したいと思います。

まぁここも酒飲みには有名ですが、今回再訪して「やっぱり高知トップクラス」と確信したのでご紹介。

数週間前、よさこい祭りに合わせて高知旅行に行ったんですね。
物部川・仁淀川・安田川の鮎を食べ比べたりしたのですが、同行者が途中で「高知は鯨もうまいんだよねー。鯨すき焼きが食べたい!」と言いだし、高知市内を電話しまくりました。でも、高知の鯨すき焼きは基本的にニンニク葉を使うので、冬の食べ物(まぁ鍋だしね)。ほとんどの店で断られたんですね。

で、ダメもとで「ときわ」に電話してみたら、「ニンニク葉のかわりにネギを使っていいならやるよ」と言ってくれ、念願叶ったわけでした。

「ときわ」は味もいいけど、雰囲気が本当に抜群。
地元の人が溜まっている感じに、ちょっと旅情が加わって、本当にくつろげます。

宵まち横丁にあるのもいいんですよね。雰囲気ある路地です。
すぐ近くには人気の「黒尊」もあるのだけど、あちらはいつも満席。でもこちらならわりと入れる。昭和から長くやっている空気がそこここに染みついていて、実にいい感じ。壁とか柱とか黒ずんでいて年季が感じられます。

で、料理はもう「うまい!」の連続でした。
刺身系よりもちょっと手を加えた一品を多く注文したのだけど、どれも素朴ながらもうなる美味しさでした。

鯨すき焼きは濃厚なアタックがありながらもあっさりした後味。
実は牛肉より鯨肉の方がすき焼きに合うのではないか、とすら思ったですね。

ゆべし、醤油豆、ニンニクみそ、ぬた、カズノコ味噌漬け、カツオせんべいなどの一品もののうまさ。
ゆべしは鮮烈な味だったし、醤油豆はおかわりしてしまった。ぬたもうまかったなぁ。カズノコの味噌漬けは家で再現したい味。

そして名物のカツオ酢〆。
中土佐にて一本釣りカツオを塩たたきで食べたばかりだったけど、この薄造りの酢〆の方がうまいかも。

ウツボたたきもウツボ専門店を超える味だったし、デザートのイチジクのワイン煮も美味でした。

「うまい」「うめー」「うひょー」とか喜んでると、寡黙なお父さん、とても喜んでくれたですね。たまにちょっと笑う。その笑顔がこれまたとても良いのでした。

サービスは必要最低限。とてもいい距離感。そんなところも好みです。
カウンター内の佇まいも、内装も外観も、すべてに美味しそうな雰囲気が漂う名居酒屋。高知に行かれた際は、是非。

posted by さとなお at 22:29| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月19日

いとう:丸千葉(南千住)

「酒屋の酒場」って、改装されて新しくなったんでしたっけ。ずいぶん前の記憶しかなくて・・・。もちろんちゃんとした居酒屋なんだけど、その奥に普通の家庭の居間があったような。
あの店の「イカ焼き」が、とても下町の居酒屋っぽくて強く印象に残ってます。イカのワタで、いくらでも酒が飲めるぞ、みたいなノリで。

では、ぼくは一駅戻って、南千住の「丸千葉」を紹介します。
「丸千葉」も、「酒屋の酒場」同様、いわゆる下町を代表する居酒屋。ただ、「酒屋の酒場」以上にいずれの最寄駅からも遠く、しかも付近のランドマークは泪橋、つまり「あしたのジョー」の世界。この付近は男性でさえも一人で歩く場合には多少の緊張を強いられるらしく、アプローチは駅からのタクシー利用。そんなお客さんが多いのか、タクシーの運転手も心得たものです。というより、「丸千葉」への一行を乗せることに、おらが町の誇り、のようなプライドすら感じました。

もちろん道中は、場末なスナック等がぽつりぽつりとあるだけなんです。でも、その「丸千葉」のみ辺りに燦然と輝いていて、その一角は別世界。極端な例ですが、ブルックリンの「ピータールーガー・ステーキハウス」に行ったときのことを少し思い出しました。

店内は、カウンターとテーブル席に分かれ、カウンターは真ん中にスタッフが入って接客できる、下町居酒屋では王道のU型。隣に座った瞬間に友達! といっても過言ではないコミュニケーションが繰り広げられています。

ぼくは、グループで訪れたのと、まだまだ新参者ゆえテーブル席にて過ごしましたが、ここはやはり少人数でカウンターに陣取るのが楽しそう。と言っても、カウンターの客がテーブルの私たちにまで出張してきて、あれやこれやと教えてくれたので、一体感は店全体ともいえますが。

刺身やぼテサラといった、お馴染みの居酒屋メニューはもちろん、ここは揚げ物がウマイんです。メンチカツ、マグロカツ、アジフライなど、いずれも良質。たくさん食べて、たくさん飲んで。というお店の心意気が伝わってくるような温かさと満腹感。家族で営まれるホスピタリティとも相まって、飲み過ぎ食べ過ぎは必至といえます(笑。
posted by 伊藤章良 at 17:15| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月24日

さとなお:酒屋の酒場(北千住)

そうそう、台風の日に伊藤さんオススメの「くろいわ」に行けたのでした。

男女ふたりの料理人がフル回転で出してくれる料理の数々。
料理ももちろん良かったけど、なんか京都っぽいというか、季節を取り入れた盛りつけにここまで凝った店に東京で久しぶりに出会ったなぁという印象を持ちました。

ボクが行った日は紫陽花のド派手な盛りつけが印象的。
他のお皿もなかなか凝ってますね。鮎は川を泳ぐし、お菓子は初夏の川。器も凝ってるしお酒も130種あるとか。店主がヒゲ(珍しい)なのも含めて、いろいろと面白かったなぁ。また行ってみたいと思います(けど、予約が相当大変そう)。

さてと、今回は居酒屋でも。
まだここでは紹介されてなかったでしたっけね。北千住の「酒屋の酒場」

ずいぶん長い間行ってなかったのだけど、先日たまたま二度続けて行き、あーやっぱりここはうまくて安いなぁと思ったです。

いやー、ここの魚のうまいこと。
仕入れがいいのでしょうけど、そのうまさが値札を見てまたバイアスかかります。

これだけうまい〆鯖で350円とは何ごとぞぞぞ! とか同行者とわーわー歓びながら食べられるのがこの店の一番イイトコロですね。イカ刺し450円。鯛の刺身550円。青柳330円。まぁ北千住では普通かそれ以上の値段に見えるけど、これで量も質もホントすばらしい。だからどんどん売り切れていきます。

手を入れたものでも、イカの丸焼き400円、エビフライも300円台。キンメの煮付けとかなんでこれで420円で出せるんだろう。野菜ものは100円台が並びます。

お客さんが詰め込まれている感じもいいですね。
ガテン系労働者とサラリーマンと引退老人と若いカップルと移民風の人たちが袖触れ合うも多生の縁、みんな仲良しになって話してます。「これ、うまいよねー。しかも安いよねー」とか隣のひとりもんに笑いかけたくなっちゃう店なんです。

なにか趣きみたいなものをここに期待してはいけないけど、気楽でうまくて下世話でいい店です。唯一の欠点は北千住駅から遠いこと。でも遠い分、「大はし」とか「徳多和良」より、客層がより地元っぽくていいかもです。

北千住は名居酒屋ハシゴする街だけど、最近は必ずハシゴの中段あたりに入れている店ですね。

posted by さとなお at 07:11| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月24日

いとう:萬屋おかげさん(四ツ谷)

「ら京」、知りませんでした。というか一度聞いたら絶対忘れない名前てすね。らきょう、と読むんでしょうか。もしかして「楽京」だったとするなら、らっきょ?(笑。それにしても「楽しいミヤコ」という名前、いいなあ。

さとなおさんが冒頭に書いていた「おかげさん」。八戸の店だそうですが、東京は四ツ谷にも「萬屋おかげさん」という居酒屋があるので、またまた居酒屋繋がりで、今回はそこにしてみます。

といっても予約がなかなか取れない名店。というのもミシュランで★を獲得した唯一の居酒屋らしいです。札幌より呑兵衛の客人が来るとのことで、迎える店を色々と悩むものの、話題性十分というより酒の種類・料理の双方に極めて個性的な主張があり、全面禁煙なのもいい。店主の魅力からか女性客も多いんですが、その女性すべてが浴びるように酒を飲んでいる、そんなシーンも圧巻。ミシュランの評価は全く信憑性がありませんけど、「萬屋おかげさん」はとてもすばらしい居酒屋なんです。

古い雑居ビルの地下、門構えも決してキレイとはいえません。特にトイレは他店と共同で、できれば使いたくないレベル。それにしても、店内は清潔でキツキツながらも座り心地・居心地がよく、スタッフの皆さんは、全員気持ちのいい接客をします。

そして何よりの特徴は料理かな。

とかく塩辛いものを出して酒量を増やそうと画策する呑み屋が多い中、「萬屋おかげさん」は、酸や発酵系のテイストを使って、ピュアで混じりけのない清酒を誘引しようとする、その仕掛けが実にすばらしく、盲目的に乗っかりたくなります(笑。もっとも唸る点はお造り。ここのお造りはすべて一手間二手間かけてあり、わさび醤油で食べる、いわゆる生魚を切っただけのお刺身は一種類も出ないんです。

加えて、清酒の品揃えは完璧と表現しても過言ではありません。が、それだけではなく、メニューは冷酒用と癇酒用とに分かれていて、始めから冷たくして飲むか燗をすべきかが決められているのです。これは意外とあるようでナイ。というか、よほど清酒に対する見識が高くないと、そういった区分での提供には度胸がいると思うのです。燗も常温のものを湯煎につけた状態で提供されるので、ゆっくりと常温からぬる燗へと変化していく過程を楽しみながら味わえるのです。

そして、〆の炭水化物がニクイほど。
最高にシンプルな塩おにぎりなんですね。アツアツに炊けたご飯をひたすら心を込めておにぎりにする店主の動きを見ているだけでも、「ああ今日も来てよかった」と幸せな気持ちになって帰ることができるのです。

もう少し店が広くてゆったりしていたら・・・、と感じることも多々ありますが、客席のすべてに店主の目が行き届くスペースこそが「萬屋おかげさん」のハイクオリティを保ち続ける秘訣なんだろうな、と納得しています。
posted by 伊藤章良 at 17:14| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月18日

さとなお:ら京(大森)

あの台風の日、伊藤さんもおいしい店に避難してたんですね。考えることは同じですね。

ところで、居酒屋。
ふっと頭に浮かんだ八戸の「わがや」「おかげさん」を書こうともおもったけど(再訪したいなぁ)、東北の店が続いたので、東京の店を書いてみます。

大森の「ら京」
JR大森駅と京急の大森海岸駅の間で、大森海岸駅の方が近いかな。そんなにいい立地じゃないと思うのだけど、なかなかがんばっている居酒屋でした。

魚も野菜も「産地直走」と書いてある。で、そう書いてあるだけのクオリティがあります。
とにかく新鮮。新鮮が必ずしもいいとは思わないし、そういう売りの店もたくさんあるのだけど、この店は新鮮さで頭ひとつ抜け出ている印象でした。そして、特に魚は品揃えがユニークなのがいい。あまり食べたことがない魚がズラリと並んでいて楽しいのです。で、それを盛り合わせとか魚串とかで少しずつ食べられるのもなかなかよいかも。店員がとても親切なので、相談しながら選んだけど、どれも頼んでみたくて困りました。

同じく「産地直走」の野菜もよりどりみどり。
「野菜サラダ」はめっちゃ大きな皿に盛りつけてきて食べ応えあり。糸かぼちゃをそうめん風にして土佐酢で食べるものなど、あまり東京ではお目に掛かったことがないメニューもありました。

お酒の揃えもちゃんと考えてあるし、サワーや梅酒もバラエティ豊か。〆の丼ものやご飯物も充実しています。これだけ揃えて、ひとり4〜5000円もあれば満腹というのはお得感あり。

カウンター前の壁が屹立していて、それが多少圧迫感があるのが難だけど(壁と向かい合って食事している感じになり開放感がない)、まぁテーブル席も多いので大丈夫。

ちなみに、変わった店名ですが、もともと「楽京」だったのが、発音しにくいから「ら京」となったらしいです。

posted by さとなお at 06:46| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月06日

いとう:よよぎあん(代々木)

なんだか急に寒くなりましたね。
大切な「秋」が、今年も短いのかなあとさびしい限りです。

では、場所は東京ですが、同じ居酒屋繋がりで。
代々木の「よよぎあん」を紹介します。

少し前になりますが、東京に台風が直撃して帰宅難民になった日。
さとなおさんは「鮨太一」に行っておられようで、その時ぼくは新宿にいました。丸の内線のみ動いていたこともあり、銀座に突入しようかと心が動いたものの、丸の内線新宿駅の強烈な混雑ぶりを後目に退散。今、この界隈で、どこか行っておくべき店はあるかなあ・・・と逡巡して思い出したのが「よよぎあん」でした。

ここは、一階も二階も「代々木庵」で、蕎麦屋ととんかつ屋。そして地下に居酒屋と、それぞれ親族で営んでいるそうでよよぎあんビルといった風情。代々木には仕事で比較的よく行くのでこのビルの前を頻繁に通るのですが、気になりつつも、よよぎあんビル自体初訪問。

新宿から代々木までは一駅ながらあっという間。新宿駅周辺には大量の人がいてコリャ混んでるかなあと思いきや、「よよぎあん」はカウンターに数名のみと、逆影響を受けた様子でした。

店内は意外と広く、「タコぶつ」とか「冷奴」みたいなツマミが並ぶ大衆酒場風。テーブル席も座敷もあり、テレビ中継がBGM。昔ながらの代々木の雰囲気を残す最後の砦(笑)な感じ。

一方メニューを見ると、まず達筆なのがとても気持ちがいい。そして、ひと手間ひと工夫が冴える名前を見るにつけ、目が釘付けになりつつ、どれにしようかと泳いでしまいます。

まずはウマイと評判のポテトサラダ(日替わりだそうです)、そして煮こみ。いずれも酒を飲ませるために強く塩を効かせる風ではなく、味を重視したやさしい仕上がりです。

清酒は、数を絞ってはいるもののドストライクな品揃えでニンマリ。最近清酒を飲ませる系の居酒屋では定番となりつつある、利き酒用のぐい飲みに注ぐ半合売り。ハイピッチで空けてしまうぼくにはサービススタッフ泣かせかもしれませんが、その日は客が少ないこともあって、間髪を入れずの対応でした。

久しぶりの一人酒ゆえか酔いの回りが早く数分で相当いい気持ちに。慣れない一人酒だったので普段と違うことをしようと思って、〆にラーメンを注文。これは、今まで「よよぎあん」でいただいたツマミとは大きく異なって、強烈にこってり。ただ、市中のラーメン専門店には見られない、迷いや混合せのないストレートな魚介系のスープで、居酒屋としての主張を最後まで感じてきました。
posted by 伊藤章良 at 18:30| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月20日

さとなお:仙台朝市 大黒(仙台)

いや、ボクも入稿地獄で更新が遅れてしまいました。
この対談ブログも、大震災以来、見事に毎月ひとつとかになっちゃってますね。大震災直後はその気にならなかったこともありますが、もうちょい更新増やしていきましょう。

さて、ここんところ原稿に首っ引きだったこともあり、新規開拓も怠っているのですが(「JOJO」よさげ)、復興の願いも込めて仙台を一店書いてみます。

居酒屋「仙台朝市 大黒」

仙台に行くといつも「一心」に行ってしまい(ここの凍らせた「ばくらい」は絶品なので、どうしてもそれを食べたくなる)、新規開拓を怠りがちだったのですが、「一心」定休日の日曜の夜にどこか店を探す必要性に駆られ、いろいろな情報源から聞いてトライした居酒屋です。これが当たりでした。

「一心」はすべてに満足するのだけど、ちょっとお高いんですね。
でも「大黒」は安い。ここでひとり5000円を超えるのは大変だろうなと思わせます。「まぐろカマ焼き」とか、どーんとでかいのが500円だったりするし。その値段だと味的にイヤな予感も漂いますが大丈夫。料理はそれぞれとてもおいしいです。まず刺身がかなりいい。気仙沼の鰹とかとっても良かった。そして一品もグッド。「いぶりがっこのチーズ和え」「シーザーサラダ」「あっさり鶏から」「野菜焼き」「串焼き」「桃太郎トマト」、そして〆の「海苔巻きチャーハン」「石焼イカバター醤油めし」もなかなか。そこそこ大箱な居酒屋なんだけど、全部ちゃんとしています。

日本酒は東北の地酒中心ですが、「もっきり」という注ぎ方で、これがわりと盛り上がります。
よくある、コップの下に酒枡おいて枡まで溢れさす注ぎ方なんですが、店員がみなよく練習していて、表面張力ぎりぎりまでしっかり「もっきり」するんですね(もっきり=盛りきり)。あまりに上手なので何回も頼んでしまいました。

そう、この店の魅力はこの店員たちでもあります。サービスや目配りが行き届いていて気持ちがいいですね。特に女性店員がすばらしい。かわいい上に気配り完璧でした。

雰囲気は黒っぽい古い民家風。漆喰の壁が印象的で落ち着けます。
JR仙台駅から歩いて5分ほど。パルコの真ん前のアーケードを入った右側2階と便利もいいし、日曜にやっているのが旅行者にはうれしいかも。しかも16時30分からやっているので、新幹線に乗る前に、とかいいですね。
posted by さとなお at 05:27| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月27日

さとなお:和さび屋、BAR DE PUERTO(川口)

ネットでラーメンについて意見すると反論がいっぱい来るんですよねw
ネットや携帯と親和性の高い食べ物なのでしょう。層が似てる上に手軽に評論できる食べ物でもあるし。

ボクはもともと蕎麦派で、そのあとさぬきうどんにはまって、12年前に「うまひゃひゃさぬきうどん」なんて本を出し、その後に沖縄そばも本で書いてますので、蕎麦とさぬきうどんと沖縄そばに義理もあって(笑)、ラーメンはほとんど食べません。というか、その3つを食べるのに精一杯でラーメンまで手が回らない。

ただ、さぬきうどん以来の麺フェチなので、ラーメンも「つけ麺」はたまに食べます。
あれは麺を食べる料理だと理解しているので麺好きにはうれしい。ただ、麺をつけることでスープが冷めるのが難かな。

さて、この前、大貫妙子と坂本龍一のコンサートを聴きに、埼玉県は川口に行ってきました。
川口駅って初めて降りたかも。意外と近いんですね。東京駅から30分くらい。そこで2軒、まぁまぁの店に当たったのでご紹介しておきます。伊藤さん、なかなか行く機会ないと思うけど、何かのときにお役立て下さい。

コンサート前に軽く腹ごしらえ、と、駅東口周辺を探し歩き、なんとなく入ったのが「和さび屋」
若い店主がやっている小ぎれいで落ち着いた居酒屋です。いい感じだなぁと飛び込んだのですが正解でした。山形出身なのでしょうか、山形名物がメニューにわりとあり、山形芋煮はとてもいい味でした。あと、おでんが良かった。大振りかつ薄味でとても上品。つくねもなかなか良かったし、全体に好感が持てる店でした。炭火で魚とか焼いてもらってもよかったかも。芋焼酎の品揃えも立派だったし、また機会があったら(あるかな?)ゆっくり来てみたい店です。

コンサート後も軽く、と、東口の繁華なあたりを歩いたのですが、居酒屋チェーンばっかりで埒があきません。
すっかり諦めかけたころ、一軒のスペインバルを見つけました。周りから(いい意味で)浮いている店構え。迷わず入ったけどなかなか正解でした。「BAR DE PUERTO」(バル・デ・プエルト)。

暗い店内は雰囲気もなかなか良く、居酒屋チェーン通りにあるという意外性もあってわりとワクワクしましたね。
有機野菜の盛り合わせは、ちゃんと珍しい野菜を取り揃えて楽しませてくれたし、イワシの酢漬けとかアヒージョとかもちゃんとしてました。ワインも安いものから数多く取り揃えてありました。グラスワインは赤白2種類ずつで、もう少しあるといいと思ったけど。
あまり時間がなかったので食べられなかったけど、イベリコ豚の炭火焼きや煮込み、パエジャなどもおいしそう。焼きリンゴなどのデザートもすべて惹かれるものでした。

こういうとき、ネットで検索して店を探すのもいいけど、初めての街では「歩いて探す」というのがわりとイイですね。街の感じも住んでいる人の感じも少しわかる上に、「なかなか良い店」を見つけたときのワクワク感・満足感が違います。

あっちの方に行く機会があったら、どうぞ。
posted by さとなお at 08:29| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月27日

いとう:まんまる(恵比寿)

東京も一気に寒くなりましたね。

さとなおさんがせっかくやる気になっているのに(笑)、更新遅れてすみません。遅い夏休みを取りフランスの田舎を巡ってました。
日本に戻ってからも休日が続いたので、好きなときに寝て好きなときに起きたりしていたら、ずっと昼夜が逆転のまま戻らずで、体調もイマイチ。久しぶりにキツイ月曜日です。

>銀座7丁目の「飯家くーた」。飯家で「はんや」と読ませます。

7丁目の外れとはいえ銀座で居酒屋、しかも九州は博多から。
食の地図もずいぶんと塗り替えられつつあるなあと感じます。メインストリートにもあれだけ外国人が歩いているんだから、さもありなんとは感じますが。

あの界隈で遅くなったときにぜひ寄ってみたいものの、めっきりあの界隈での仕事がなくなったしなあ。

ではぼくも居酒屋繋がりで。
フランスから戻って満腹中枢がすっかり崩れた状態のころ、遅い時間にでかけた居酒屋「まんまる」です。フランスではもちろん昼夜ともフランス料理しか食べなかったので、当分は「和」を欲して彷徨います。

「まんまる」は、恵比寿と広尾の間ぐらいで白金からもアプローチ範囲。最寄り駅すぐというよりは適度に離れた立地。JR恵比寿駅から白金に抜けるバス通りに面し、隣りは有名な焼肉店「虎の穴」。周辺に飲食店が密集するわけではなく、博多のイキオイというよりは、東京らしい大人の空気感といいますか、場所柄の客層といいますか・・・。

食材や酒のつぼを押さえた、真っ当な居酒屋です。日替わりの鮮魚や焼鳥などの炭火焼、メンチカツやチキン南蛮といった揚げ物まで、すべてきちんと手づくり感のある仕上げでおいしい。「鮮魚のポキ サラダ仕立て」なる創作系のメニューもあり、ハワイローカル料理のポキにはすぐに飛びつきました。ま、まったくポキとは違う食べ物ながら、マリネした魚とライスをうまく組み合わせていて上出来。
つまみ系を頼みすぎて、シメの炭水化物まで至らなかったのか残念ですが、カレーやチャーハンなどもしっかりとあります。

お酒についても、好事家を唸らせるほどまではないものの、工夫してセレクトされた地酒を数種用意。しかも鮮度を大切にするゆえか、清酒については黒板に日替わりで明記されるところも頼もしいです。

なにより、17時から朝5時まで営業ながら、何時に行っても新鮮な野菜や魚肉が食べられる。しかも照明を絞った落ち着いた雰囲気とイケメンの男たちによる切れ味のある接客。覚えておくと意外と重宝しそうです。

なお、「まんまる」って満月のことかと思うんですが、伺った日はたまたま中秋の名月でした。そんなこだわりて訪ねてみるのも面白いかもしれません。me
posted by 伊藤章良 at 18:35| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月12日

さとなお:飯家くーた(銀座)

ようやく朝晩涼しくなってきましたね。今年は記録的な酷暑。33℃や34℃だと「今日は涼しいなぁ」と思っちゃうくらいだったせいもあり、食欲もあまり上がりませんでした。そろそろ食欲の秋。また更新、がんばります(勝手に足引っ張っててスイマセン)。

ラーメンに続こうかと思ったのですが、ご存じの通りラーメンはくわしくないので、居酒屋を書こうと思います。

銀座7丁目の「飯家くーた」。飯家で「はんや」と読ませます。

ここ、博多っ子、もしくは博多好きなら知ってるでしょう。博多の有名な居酒屋の銀座進出店なんですね。博多では「くーた」出身の料理人による店も増えています。

で、「博多なら当たり前」を銀座で実現しているところが素晴らしい。つまり新鮮で安くて量が多い。ついでに博多特有の「濃い味」でもあるのですが、これはこれで郷土料理っぽくていいと思います。

のれそれのお通しから絶品の刺身たち、そして定番の「ごまさば」。このメニューは東京でもかなりお馴染みになりましたが、さすがに本物、うまうま。肉じゃが、炊き合わせ、ぎょロッケ(魚のコロッケ)などの一品も申し分なし。上記の通り、どれも濃い目の味ですが、お酒やビールが進みます。メインでもらった尾崎牛の炭火焼きや旬の魚の焼き物、〆で食べられる塩さば飯、素朴だけどかなりがんばっている味噌汁など、どれもなかなかです。頼んだ物はどれもこれも満足いったなぁ。

そして、ボクは日本酒中心に行ったのだけど、湯飲み茶碗一杯出てくるんですね。つまり一回の量が多量。なのに700円〜1000円くらいの値付けです。博多っぽいなぁ。九州の地酒中心に、「万齢」「捌」「東長」などが700円台で飲めるし、「三千盛 純米」や「菊姫 山廃純米」なんかも湯飲み茶碗になみなみ注がれて750円! 飲み過ぎて酔っぱらっちゃいました。

これから冬に向かって「くえ鍋(あらちり)」もあります。これもひとり5000円を切る値段。

銀座7丁目といっても、銀座中学校の方(朝日新聞の方)にあり、不便といえば不便。でも常に満席です。うまくて安くて大量なので、あっと言う間に人気になったのでしょう。しかも朝4時までやってるし。

ただし、食いっぱぐれた残業メシで深夜に行ったりするとかなり危ないです。メニューを見たら逆上していっぱい頼んでしまいそう。オーダーしすぎ食べ過ぎ飲み過ぎ注意ですw
posted by さとなお at 18:14| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月23日

さとなお:安楽子(長崎)

「婁熊東京」・・・これは読めないですね(笑)
「る」で始まる店名にしたいなら「瑠璃」とか「塁」とか「類人猿」とかいろいろあるだろうに。ここまで読めなくしたということは、逆にクチコミ狙いなのかなぁ。「この店の読み方、知ってる?」みたいな。まぁ単純になにかの思い出とか由来があるのかもですね。

それでは、読みにくいシリーズ&長崎を続けて「安楽子」を書いてみます。
九州は長崎市内にある古い居酒屋というか大衆割烹ですね。

これ、「あらこ」と読みます。
カウンター横に店名を書いた書が飾ってあるので、なにか由来があるのかもと「なんで『安楽子』という店名なんですか?」と女将さんに訊いたら、なにやら遠い目をして「説明すると長くなりすぎるからねぇ…」と軽くスルーされてしまいました(笑)

ここ、居酒屋としては名店の部類に入ると思います。
古びていい味になったタイプの居酒屋で、くすんだカウンターに座っていると思わず時間を忘れる感じ。こういう地元密着型の古い店に行くのは地方を旅する醍醐味ですね。

カウンター上の冷蔵ケースの中がキレイで、どの魚も実においしそう。仕入れと下ごしらえがいいのがすぐわかる感じ。実際に食べてもその印象は変わらなかったです。ここの魚はうまいなぁ。長崎の魚のレベルがいかに高いか、こういう大衆居酒屋に行くとよくわかります。

先月行ったのですが、ヒラス(ひらまさ)、ヒラメ、イワシ、タコ、アジなどどれも絶品だったし、ネギヌタやたいらぎの炙りも実にうまかったっす。

オヤジが似合う古いタイプの居酒屋なので若者は多少入りにくいかもしれないし、女将さんの物言いもちょいと厳しい&せっかちなので、ある程度の年齢が必要な店かもしれないけど、こういう雰囲気が好きな人にはたまらない店でしょう。

敢えて言えば、カウンター内の液晶テレビがうるさいのが玉に瑕。でもまぁそれもご愛敬。16時30分からやっているので、旅人なら早めの空いた時間を狙うのがいいかも。18時とか19時とかはかなり混むらしいです。
posted by さとなお at 17:39| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする