2010年10月14日

さとなお:蔵(八戸)

毎回謝っている感じですが、更新できずすいません。
この2週間、本当に忙しくバタバタしてました。貴重な休みの土日も先々週は十勝、先週は八戸で講演。ちょいと疲れてしまいました。

それでも十勝や八戸は、講演の前後に遊べるのでリフレッシュはできました。
今日はその中から八戸の「蔵」を書いてみます。

八戸では「ばんや」をいろんな人に勧められたのですが、あいにくお休み。で、地元の方に南部民芸料理「蔵」という店に連れて行ってもらったのです。南部とは南部藩のことですね。

ビルの中にあるのに内部は完全に一軒家風。南部の民家を再現していて、2階は天井も低い屋根裏になっています。黒くて太い梁が縦横に走り雰囲気は抜群。囲炉裏も再現されています(炭火ではなくガス使用なのが残念ですが)。囲炉裏端にあぐらをかいての食事になります(腰が痛い方には辛いかも)。

料理は郷土料理ですね。
まず、八戸は八戸港がありますから、魚は抜群の質。特にイカ、サバは素晴らしい(沖前サバと呼ぶらしい)。関サバなどに比べると脂質が多いもので、口溶けが官能的。

刺身を盛り合わせてもらって、きんき(現地ではキンキンと呼ぶ)を焼いてもらって、独特の南蛮味噌をつまんで、ホヤ(残念ながら旬は過ぎてましたが、でも上質でした)を味わって、と、これだけでも十分満足な流れなところに、八戸名物せんべい汁、そして蕎麦かっけ。すばらしい。

せんべい汁は、B級グルメ選手権で一気に全国区になった食べ物だけど、まぁちょっと侮ってましたね。これには逆らえないうまさがある。八戸は米どころじゃないせいか、せんべいは米でなく小麦粉で作られます。つまり麺と同じ方向性。ダシが染みこんだもちもちのせんべいは、なんというか、ちょっと「ほうとう」に近い印象でした。うまひ。
蕎麦かっけは、蕎麦のかけら、という意味。蕎麦を薄くのばしたものを「そば切り」にせず、三角形に切って、汁の中に入れて供するもの(ネギや豆腐なんかも入ってます)。まぁそばがきを薄くしたものを想像してください。香りが強くなかなか美味。いいなぁ蕎麦かっけ。

地酒は八仙がおいしかったですね。接客も丁寧で親切。囲炉裏上の板木を鳴らして呼び出します。雰囲気もいいし郷土料理はひと通り揃っているし(いちご煮なんかももちろんある)、観光客も楽しいでしょう。

八戸は奥が深そうだけど、入門編的にとてもいい店だと思うです。
posted by さとなお at 06:49| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月04日

いとう:未能一(銀座)

たいへん大変時間が経ってしまいました。申し訳ありません。
凝った名前繋がりでしばし悩んでいたら、公私ともに突然忙しくなり、まったく手付かずのまま時が過ぎていきました。

そして今、仕事でハワイに出張中です。さとなおさんも経験あるかと思うけど、逆に出張中の方が、日本とは昼夜逆転するし時間が取りやすかったりして、やっと更新させていただきます。

さて、

>中目黒の薬膳カレー専門店「香食楽」です。

あ、この店。前を何度か通って気になってました。
ただ、女子としか行きにくい感もあるのて、さとなおさんはどんなシチュエーションで訪れたのか(特に夜)想像してしまいました(笑。オーナーの女性は薬膳も極めた方なんですよね。今度、散歩コースに入れてみよう。

さて、凝った名前の店を色々と悩んで、テーマ変えようかなと思ったものの、過去行った店リストをめくっていて一軒ピンときました。日本料理の「未能一」です。

「未能一」は、この名前で20年以上も営んでおられるそうで、日本料理激戦区銀座にあってミシュランで一つ星も獲得したので、そこそこメジャーでしょうか。

「未だ一に能わず」。たぶん、まだまだ一人前じゃない、といった意味かと思います。若干重いけど、なんだか料理人らしい志を感じる店名です。

銀座の飲食ビル内にあり、路面店でもなく回りや上下は、いわゆるママさんのいる店に囲まれていますが、「未能一」の一角だけは別世界。

入口では靴を脱いであがる段取りになっていて、より和風なテイストを追求したい試みかなあと思いきや、店が狭くてクロークスペースが作れず人手も少ないので、お客様がお荷物やコートをどこでも気軽に置けるようにと靴をお預かりするシステムにしたとのこと。意外と合理的な理由なんです。

カウンターは4席、お座敷もマックス6席ぐらいかなあ。朱が映える趣のある空間で、無口で実直そのものご主人と笑顔が親しげな女将さんの二人で切り盛りします。

メニューはアラカルトもありますが、定番っぽい雰囲気のものが多いのとコースにお得感があったのでそちらを選択。ご主人は今でも関西訛りだし「未能一」との店名から、繊細でやさしい料理もイメージしたものの、テイストは確実に東京。濃い目でメリハリがあり、芯の強さも感じる男の料理。酒がめっぽう進みます。そして、お酒の種類も必要最低限のみ。その潔さもまた酒飲みの共感を誘うでしょう。

「未能一」と名乗りつつも、すでに衒いや迷いは微塵も感じられず、巧みの域です。この店は、すでに一人前でさらにそこから先を目指す大人の集う場所といえるかもしれません。
posted by 伊藤章良 at 12:26| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月11日

いとう:葡呑(西麻布)

さとなおさん、「極楽おいしい二泊三日」出版おめでとう。
居酒屋とかカテゴリを絞ればいくつかありますが、この旅行グルメ本は、未だかつて誰も実現していない分野への挑戦。とても一人で書いたとは思えません。ソーシャルメディアの中心にいるさとなおさんだからこそできた情報収集力も、流石だと思いました。この本を手にした皆さんが各地に出かけて、ますます飲食が活性化すればいいなあ・・・。

さて、「民酒党」ねえ・・・。
今やV字回復の象徴として絶好調じゃないですか。

それにしても、「亀戸ホルモン」の前にそんな店があるとは、全く気づきませんでした。不覚だったです。しかも30年前からこの名前で営まれていて、次の世代がソムリエールとして引き継いでおられる。

すばらしいですね。ぜひ一度うかがってみたい。でも今は、昨年の9月ごろに匹敵するぐらい混んでいそう。訪問するとしても参議院選挙後かな(笑。

それではぼくも、しゃれの効いている素敵な店名で続けます。
西麻布のワインと和食の店「葡呑」。ブノンと読みます。読んで字のごとく、ワインを飲ませる店。

でも、改めてワインって葡萄を飲んでいるんだなと感じさせる原点回帰な響きですね。

ここは、西麻布交差点近く。広尾方面に少し進んで右に曲がり、ビストロ通りに出る手前。日本家屋の一軒家で、つい1年ほど前までは、別の名前でビストロ料理を出してました。その当時のシェフは、コチラでも紹介しましたが、神泉に「ダム・ジャンヌ」という店をオープン。その後いつの間にか閉店し、オーナーが変わって和食をつまみにワインを楽しむ店になりました。

ここのオーナーは、赤坂で「赤坂湊」を営む料理人であり、ご実家は老舗鮮魚店とのこと。「赤坂湊」といえば、オープン当初フレンチの料理人が始めた日本料理店として評判を呼び、よく通いました。ワインと和食のマリアージュを積極的に取り入れた先駆けでもありますね(田崎氏が元在籍した「吉左右」なんかもそうですが)。

今でも赤坂界隈に行くと、こちらの昼時の名物「2種丼(全く違う2種類の丼セット)」を食べに寄ったりします。

そんな方が、「赤坂湊」オープンから15年以上を経てたどり着いた新しい店が「葡呑」です。その間に料理人も育ち、ワインの取引も広がっておられることでしょう。満を持しての都内2店舗目という感じ。

以前はビストロということもあり、テーブルに白いクロスが掛かっていた記憶がありますが、そういった洋風の象徴はすべて取り去られ、「葡呑」は、すっかり「和」。山奥の歴史的な旅館というか、古きよき時代の映画セットに例えるか。そんな雰囲気。特に2階は1階を囲むように吹きぬけになっていて、開放感も抜群です。

また、こちらのソムリエール(兼女将?)がとても素敵な方。割烹着姿でしゃなりと動き回りつつ、濃いワイン談義を各テーブルで繰り広げます。

もちろんワインが中心ですが、素材のよさを損なわないシンプルかつワインにもよく合う料理の数々も魅力的。きっちり食事をするつもりで出かけても充分に満腹になります。

立ち飲みスペースから個室まで比較的キャパも広く深夜まで営業しているので、夜遅くには近隣で飲食のシゴトをする面々の姿もちらほら。意外な出会いがあるかもしれません。
posted by 伊藤章良 at 18:13| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月06日

さとなお:朱欒(長崎)

そうかー。
いえ、なくなったとは聞いていたんです、「ダ・ディーノ」。でもやっぱりないんですね(って情報遅すぎ)。

あの場所、ある意味で都内でもトップクラスの立地だと思うので、がんばってほしいですね。

んでは、どうしよう、この前行ってきた長崎県の「朱欒(ざぼん)」を書いてみたいと思います。

ここは割烹というか家庭料理というか。

長崎市街にある、昭和28年(1953年)創業の古い店なんですが、まったく古さを感じさせない、よく手入れされた外観と店内です。
民芸や骨董がセンスよく最小限に飾られ、実にいい雰囲気になってるんですね。電灯のガラス傘とか、七福神の像とか、古賀人形とか、犬の置物とか、さりげなくとてもいいものが置いてあります。落ち着けるしくつろげる、清潔で掃除の行き届いた気持ちいい空間。

この気持ちよさがきっと料理にもつながっているのだろうと予想したんだけど、まったく予想を裏切らず。上品でシンプルで最小限。押しつけがましさがまったくないこの距離感がすばらしい店でした。

メニューに値段が書いてないけど、どれもそんなに高くないので安心して頼めます。
オススメはまず〆鯖。プリプリした鯖を酢加減もすばらしい。そして障子焼き。これはヒラスの腹身を焼いたもの。上品な脂が口の中でしんなりとろける。うまいっす。さらに、ざぼん揚げ。これは魚のすり身をさつまあげ風に揚げたもの。これもうまかったなぁ。鯛の白子もとてもいい。カウンター内でビンに漬けてある梅干しや果実酒もうまかった。ちなみに冷やを頼んだら八海山だった。この選択もこの店っぽい感じ。

そして〆はカレーライス。牛すじをカタチがなくなるまで煮込んであり、適度に辛くてお腹が落ち着きます。あぁいい夜だ。

女性三代でやっていて、主に二代目の奥さんが相手をしてくれました(初代の孫である三代目は旦那の転勤で2010年夏から東京へ行ってしまうようだけど)。趣味が強く出過ぎるギリギリのラインで守られているのは血が繋がっているからなんでしょう。これからも長くこのセンスで営業してほしいと願います。

長崎に行かれることがあったら、是非。
posted by さとなお at 21:35| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月26日

いとう:日本料理 TAKEMOTO(渋谷)

>後輩たちとの宴会で行った鴨鍋専門店なんだけど、鴨鍋、
>そして雑炊になかなか唸りました。六本木の「はし本」です。

こうも寒い日が続いて春風が遠のいてしまうと、まだまだ鍋の話がありがたいですね。さとなおさんの垂涎の鴨料理の連続にスケジュール調整を試みてしまいましたが、期末・期初はとりわけ忙しい業界なもので・・・。

>ここの鴨鍋は「つくね」が抜群です。

「つくね」がバツグンというのは、さらにいいですね。
鳥料理店では、やはり「つくね」がおいしくないと、それ以外の料理での盛り上がりがウソのように消えてしまいます。

さて、なんと言いますか鴨については「フロリレージュ」でタネ切れ(泣。ということで、鍋について想いを巡らせていたら、小鍋をうまくアクセントに使った日本料理の良店を思い出しました。「日本料理 TAKEMOTO」です。で、なんとか鍋繋がりということで・・・。

ここ最近、老舗の名店からの独立で新たに脚光を浴びる日本料理店ができ始めました。ここ「日本料理 TAKEMOTO」もそんな一軒。場所は、渋谷、代官山、恵比寿のどこからもアプローチできる(逆に言うと、いずれからも遠い)エリア。といっても決して寂しくはなく個性的な飲食店が散見でき、夜でも静かな活気を感じる大人なトコロです。

まあ、このエリアを意識したんだろうと思われる英文字。かなり奇を衒ったエントランス。料理長が金田中出身だと知らなければ、ドアを押すのに勇気が必要な部類のダイニング系を想起させます。

店内も真摯な日本料理店らしいピンとした空気は感じるものの、不必要なほどに花の香りが充満していて若干食欲なくし気味。加えて、どのコースにするかは予約時に決めてあったので、座った最初に「いいカツオが入りましたので、お刺身にいかがですか」とススメられる・・・(たぶんカツオを選ぶとコース料金+αとなったのではないかと拝察しますが確認できず)。

なんとなくスタート時は「オヤッ」と感じたんです。
でも、料理が進むにつれそんな気持ちは霧散。一番リーズナブルな5500円のコースをチョイスしたにもかかわらず、そのバリューは特筆ものでした。とりわけ、安価なコースを提供するためにどうしたらいいかと工夫しつつも手を抜くことなく、いずれの皿も真剣そのもの。そこで小鍋の登場となります。

椀は日本料理の醍醐味でもありますが、おそらく価格的な問題や手間、ボリューム感も含め、あえてソコを外し、料理後半の山場に小鍋にして提供。下手すると温泉旅館の手抜き料理にもなりかねないところを、じっくりと鍋に向き合い煮ている姿を客に見せて待ち遠しさをつのる。小鍋が出るまではトータルとして物足りないかなあと思うものの、小鍋をきっちりさらいご飯をいただければそれなりに満腹。なかなかの巧みな流れでした。

ひとつ難を言えば、安価なコース設定の割りには酒は高いかなあ。小鍋も十分ツマミになるので意外と酒が進み、コース料金ほどのバリューがトータルでは感じられませんでした。

酒を飲まずお茶で、とのお客さんもけっこういたので、なるほど皆さんよく知ってるんだなと感心。







posted by 伊藤章良 at 17:52| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月08日

いとう:達 菊うら(新宿)

>地方で静かにがんばっている店に行くのってホントに好き。

ホントにそうです。最近(特に出張で)地方に出かける機会が少なくなってしまって、さとなおさんの文章だけで楽しんでいます。また、そういった隠れた名店を引っ張り出すネットワークにもいつも嘆息。

特に瀬戸内の魚のすばらしさを大阪や広島で何度も体験したので、おっしゃることがよく分かります。おこぜはかなり高級魚ですが、西では安価でいいものに出会えますよねえ。それにしても愛媛の地酒はどれも飲んだことがなかった(汗。

ぼくも同じ立場で、東京で静かにがんばっている和食店を考えているうち一軒思いつきました。新宿の「達 菊うら」です。

食の不毛地帯新宿のさらに人通りのまばらな大ガードの先で、予約の取れない良質廉価な日本料理店として確固たる地位を築いた「板前心 菊うら」。その店主菊浦氏が、1年前に同じ建屋の真上のフロアに出したワンランク上の店が「達 菊うら」。満を持して次の極みに「達した」ゆえの店名かと思いきや、店主のお名前が菊浦達さんだからのよう。

さすがに階下の店よりゆったりと広く、高級感のある幅広のカウンター。日本料理店にしては大きめの皿を使うこの店でも、迫力のある料理がドンドンと余裕で並びます。店主菊浦氏もこちらの厨房が主のようです。

料理は、果物と合わせた生ハム、フカひれとウニのあんかけ、松茸&サーロインの炭火焼、トロの握り等、高級食材をそれが一番ウマイとされる定番のレシピで素直に楽しませる流れ。究極のうまいもの屋であり、奇をてらったネオアメリカンっぽい変化球や上から目線の大御所臭さは微塵もありません。この辺の独立独歩な潔さや迫力が、関西生まれでやっはり日本料理は西かなあと思っているぼくにとっては、逆に東京っぽくて心地いいんですよ。

食材の流れからワインも数種類完備されていて、日本酒や焼酎とともにベーシックなものを比較的安価でいただけます。

奥には格調高い個室もあつらえてあって、ダイニングや料理を含む全体は今の時代に多少違和感のあるバブリーさなんです。でも、それがイヤらしくならないのが裏新宿たる所以かもしれません。
posted by 伊藤章良 at 19:08| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月04日

さとなお:わらじや(松山)

>最近、ソムリエやサービスがオーナーのレストランがポツポツと増えてきました。
>(中略)
>オーナーシェフの作った料理がただ運ばれてくるだけのレストランよりも
>2倍おいしいはず、と個人的にも信じていて、

たしかに目の行き届き方が違う気はしますが、サービスなどに比べて料理が負けて感じられること店も多いかな。バランス的にサービスが勝ってしまう、みたいな。そのサービスもオーナー以外はちょっと見劣りしたりして、全体に少し残念な印象になってしまったレストランもありますよね。いずれにしてもバランスは難しいです。

さて、オーナー系でいい店を続けてご紹介できればいいのですが、ちょっと思いつかないので、この前行った愛媛県は松山の「わらじや」をご紹介したいと思います。

愛媛って生まれてはじめて行ったのですが、ほんわかのどかで、優しい感じで、とてもいいところですね。
日本一細長い半島、佐多岬半島の先っぽに行きたい、というのが旅の目的でしたが、佐多岬も宇和島も松山もそれぞれ印象的でした。地方で静かにがんばっている店に行くのってホントに好き。引退したら各都市数泊ずつずっと渡り歩いて食べ回りたいと思ったなぁ。なんか、ものすごく好きなんですね、そういうの。

で、「わらじや」。
創業26年のわりに、あまりネットとかに出ていない店のようですが、メールで教えていただき、予約して出かけました。カウンターのみ(だと思う)の小さな店ですが、ここ、とてもうまかったです。大当たり。

まず魚の質が抜群でした。
まぁ愛媛ってどこに行っても抜群の魚ばかりなんだけど、その中でも群を抜いている印象。当日は、釣りサバとおこぜを中心にいただきましたが、このおこぜがね、もううまいのなんの。いままでの「おこぜ観」(なんじゃそりゃ)を覆す質。瀬戸内ってここまでうまいか、と唸る味。この刺身はいままで食べたおこぜのダントツ一位です。

この刺身があまりにうまいので、次々いろいろ頼みました。名物の「出し巻き豆腐」もよかったですねー。これ、出し巻きの中に豆腐が入っているだけのものなんだけど、名物というだけあってふんわりふわふわの絶品。んまい。あと地酒の品揃えがよいです。「隠し剣」や「城川郷」「賀儀屋」など。愛媛もおいしいお酒が多いなぁ。

ご夫婦ふたりでやっていて、カウンターがいっぱいだと料理が出てくるのがどうしても遅くなりますが、待つ甲斐のある美味が食べられると思います。店は明るく、女性ひとりでも入りやすい感じ。旅人も馴染みやすい雰囲気でした。

松山に行かれたら、ぜひぜひ。
posted by さとなお at 21:18| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月06日

さとなお:まえだや(中目黒)

ま、そろそろ後味悪い店はやめましょうか。後味悪いし(笑)

ということで、んー、どうしようかな、今日は「まえだや」を書いてみようと思います。中目黒にあるジンギスカンの店ですね。知るヒトぞ知るというか、まぁ有名か。ブームが終わった後もきっちり生き残っている人気店。ジンギスカンというか羊肉専門店という感じの店ですね。

サッシの入り口と四角い殺風景な店内。デコラのテーブルが4つに素っ気ない椅子…。
ちょっと入店しにくい独特なこの雰囲気は逆に慣れるととても居心地いいですね。昭和時代の街場の焼肉屋さんって感じで。

で、この店のラム肉がいいんです。安くてうまい。香りも適度。
もともとボクは羊肉が異様に好きなので、もっと匂いが強くてもOKなんだけど、香りが適度にあって、厚切りなのに弾力ある柔らかさもあって、全体のバランスがとてもいい羊肉だと思います。こういうの食べるとやっぱり羊肉が一番好きかもなぁと思います。牛も豚もまぁいいんだけど、香りでは羊の勝ちだなぁとか。

あと、生ラムを焼くこの店のスタイルも好きですね。タレに漬けこんだラムを焼くよりもラムの味がよく出てきます。
北海道でも羊肉を食べるとき、生ラム系とタレ漬けこみ系に分かれますが、ここは生ラム系。どうやらご主人が函館出身で(そういえば函館名産イカの粕漬けとかがメニューにあった)、道南地区では生ラムを焼くとのことでした。「ラムネギ塩」とか「ラム肩ロース」とかも生を焼きます。

さて、この店、ジンギスカン以外のメニューも充実しているので、ジンギスカンを食べる前にいろいろ頼むと楽しいです。
サイドディッシュ的にまず「キャベツとニンニクみそ」(450円)、「水菜とラムスモークのサラダ」(800円)あたりを頼んで、ついでに「ラム肉の煮込み」(500円)もいいですね。特に煮込みは滋味深いのにあっさりめでよいです。

次に、上でも書いた「ラムネギ塩」(1200円)を1人前かな。生ラムの上にネギを置いて焼いたもの。わりとうまいですよ。「ラム肩ロース」(1300円)もなかなかよいです。テーブルの上に七輪を置いて網焼きするのですが、弾力あるラムのうまさが味わえます。匂いも少ないのでラムが不得意な人も大丈夫。

待望の「ジンギスカン」は1人前1100円でお安い値付け。
テーブル上にジンギスカン鍋を置いて、最初だけ店員さんが焼いてくれます。少食のふたりなら、これを1人前とったら、あとは〆を食べれば量的にもわりと充分かな。足りない人はジンギスカンのラムや野菜を追加する感じ。
上でも書いたように、タレに漬け込んだ肉を焼くタイプではなく、生のジンギスカンを焼いて醤油で食べるタイプのジンギスカン。ラムの香りが直接味わえるのでラム好きにはたまらないですね。

〆は「キーマカレー」(900円)。ゆで卵のスライスが乗っている家庭っぽいキーマです。
うまいんですよ、困ったことに。ジンギスカン後にキーマって、よいですね。カレーはちょっと濃いという方には「ニラ玉雑炊」(900円)もあります。

痩せていて相当スマートな店員さんたちを見ていると(特に男性の店員さんが痩せている)、「羊肉って太らない」っていうのは本当なのかなと思います。全体にとてもシンプルな店で素っ気ないけど、なんともくつろげていいですね。羊を食べたいときは候補に入れときたい店のひとつです。
posted by さとなお at 21:21| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月10日

さとなお:浦島屋(新潟・魚沼)

>こちらの店のサイトを見てみると、実に創業30年なんですね。
>新橋の盛衰を見てこられた故の「答え」をきっとお持ちなのでしょう。

そうなんですよね。
店がある場所と客層。その客層の懐具合と店に求められているニーズ。それらを熟慮した上での食材や味つけや温度や献立。そこにご主人の腕と志向性が重なって、店には無限のバリエーションが生まれます。当然のこととはいえ、その辺のことがわかってきてから、「どこそこの店の方がうまい」「あの店に比べるとダメ」とかいう相対的な見方のナンセンスさがわかってきました。相対ではなく絶対なんですね、店って。

そういうことがわかってきてから、日本各地の、その土地に根付いた店を訪ねるのが、もっと楽しくなりました。
味だけ相対的に比べるなら、そりゃ東京の店の方がおいしいかもしれない。でも、そのジャンルで味の競争をしているわけではなく、その店にはその店のニーズと方向性があります。それらを嗅ぎ取って地元民に混じって食べることの楽しさよ。この楽しさを知ってしまうと、東京の土地性の薄いエリアの店がつまらなく見えてきます。

たとえば、先月末に新潟県の魚沼市の小出という小さな駅の「浦島屋」という割烹に行きました。

上越新幹線なら浦佐駅が近いかな。上越線小出駅。お米で有名な魚沼市にある駅です。
新潟で講演したあと、小出在住のメール友達(お医者さん夫婦)の誘いで立ち寄ったのですが、まぁそんなこともなければ一生降り立たないような、ローカル線の小さな駅です。

駅から程近いその割烹は、鄙にも稀な佳店でした。
もちろん東京の高い割烹とかと比べちゃうと、少しずつ何かが足りない。東京の南青山の宝飾店でバリバリに働いていたという女将さん(ハキハキした素晴らしい接客)もきっとそのことはわかっています。でも、相対的にではなく、絶対的に「佳店」。

たとえば「カウンターに座る地元の人たちが退屈しないように」と、カウンターの真ん前に大型液晶テレビがドンッと架けてあります。新潟のおいしいお酒と地元の食材に浸りたい旅人にとっては「なんだこのテレビは!」だと思います。せっかくのいい雰囲気(ちゃんとした割烹の雰囲気)もぶち壊しでしょう。

でも、それでいいんですね。それが「この店の今」であり「この土地の人々とこの店の志向性が交差して出来上がった唯一無二のカタチ」。そこを楽しめるか楽しめないかで店の印象はずいぶん変わってしまうことでしょう。

新潟が近いのと、小出にもなかなかいい魚市場があるとのことで、魚はとてもいいものが揃っていました。
海の物もとても良かったのですが、なんといっても小出は目の前に魚野川といういかにも美味しそうな川が流れています。季節柄ここで捕れた鮎が食べられたのはラッキーでした。鮎釣りをかなりやってきたボクなので多少は想像できますが、魚野川、相当いい鮎釣り川です。型も良いし香りも最上級。うるかまでいただき大満足。
他には「空豆と南蛮海老の天ぷら」がとっても美味でした。実に洗練された揚げ方。この一品でご主人のチカラがわかります。さすが。もっといろいろ食べてみたくなる店でした。

もちろん地元の日本酒もズラリと揃っています。どれもこれもうまかったけど、月並みながら、八海山の麓で飲む八海山はうまいなぁ。そうそう、この小出、八海山がとってもキレイに見えるとか。お医者さん夫婦はその景色が気に入って縁もゆかりもないこの土地にわざわざ開業したということでした。

またひとつ、近くまで行ったら立ち寄りたい店が出来ました。
その土地土地に「また行きたいなぁ」という店を得ることで、人生が大きく拡張していきます。ボクのカケラがポツリポツリと分布している感じ。最近はそれが特に楽しいですね。
posted by さとなお at 08:54| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月05日

いとう:わこころ しらかわ(新橋)

>「豚に夢中」って、アラフィフのボクらにはちょっと入りにくい店名ですね。

まさにそうですね。ぼくがこの店に吸い寄せられた動機は、実は店主が浜松町「ひじり亭」の親戚であることを先に知っていた、からなんです。「ひじり亭」は、ぼくの中でも相当好きな居酒屋なので。

>新橋の割烹「以志井」です。

「以志井」ですか・・・、渋いなあ。ここは何度も前を通ることがあるし門構えも印象的なんですが、未だ入ったことがありません。というか、新橋で「以志井」に誘えるような友人とか先輩とかが見つかりそうにないなあ(笑。

こちらの店のサイトを見てみると、実に創業30年なんですね。新橋の盛衰を見てこられた故の「答え」をきっとお持ちなのでしょう。ではぼくは、そんな歴史ある割烹とは正反対、2009年7月新橋にオープンしたばかりの日本料理「わこころ しらかわ」を紹介します。

新橋といっても、浜松町に向かって歓楽街をしばらく歩き飲食店もまばらになってきたあたりで「わこころ しらかわ」は見つかります。以前あった店の名残なのか、外観や入口は少しチェーン居酒屋系の大仰な雰囲気があって「以志井」の燻し銀とは対極。チョット残念なんですが、店内は渋さを残したモダンな日本料理店とも形容できる落ち着いた仕上がり。ただ、こぢんまりした店内なのに段差が多く、客もそうですがお店の方も苦労されるだろうと少し心配。

メニューは、おそらくまだ試行錯誤の状況でしょうけど、ぼくが行ったときは、野菜をメインにした4000円台と、それに魚や肉を加えた6000円台のコース、そしてアラカルト。ぼくぐらいの大食漢だとコースでは少し足りないのでアラカルトを追加してちょうどぐらい。それでも納得の価格です。

お酒も日本酒・焼酎の標準的なものをリーズナブルに(お酒については、オープンしたばかりで、まだいろいろと取り揃えることができないんです、とご主人)。

カジュアルに肩肘張らず食べていただこうとの意図を垣間見るも、ダシの吟味から丁寧に取組まれた本格的な日本料理が楽しめます。ただ、コレも最近の流行りなのか、三浦半島の野菜や宮崎の地鶏といったブランド食材でコースのメリハリをつけようと意図した結果、逆にご主人の持ち味であるペーシックな日本料理からは尖りすぎてしまう傾向があります。特に、コース前半でウマイ野菜を香りの強い洋風ソースで食べさせるんだけど(その料理単体ならとてもおいしいですが)、ソースが強すぎて香りが口に残り、後半邪魔になるような気もしました。

でも、店全体から真摯なひたむきさがつたわってくるイイ店だし、ご主人は北新地の喜川で修業をされたとのことで、上野修三氏に和食の洗礼を受けたぼくとしては、ぜひ応援したいですね。

ランチもなかなかいいので、お近くの方はまずはランチからお試しください。
posted by 伊藤章良 at 18:41| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月02日

さとなお:以志井(新橋)

「豚に夢中」って、アラフィフのボクらにはちょっと入りにくい店名ですね。ボクなら入るのためらうなぁ。いくら酒の品揃えが良くてもちょっと(品揃えがいい店、最近多いですしね)。

さて、何つながりにしようか迷って、いっそのこと「村祐」つながりにしようかと思ったけど、それも狭すぎるかと躊躇し、迷っているうちに日にちが経ってしまいました。すいません。で、ふと「あ、『い志井』つながりがあるじゃん!」と思い出したので、そのお店を。

新橋の割烹「以志井」です。
もちろん「もつ焼き・ホルモン系のい志井グループ」とは関係なし。字も一文字違いますね。たしかご主人が「石井さん」ゆえの店名だと思います。

居酒屋天国な新橋は、意外と「心得た割烹」っていうのが少ないのですが、この店は貴重な一店かと思います。何をとっても「心得ている」感じ。程がいい。素朴なおいしさを残したモダンさがあり、ホッとできます。

例えば「かさごの煮付け」の程のよさ。心得てる感じ。
気取った薄味さがなく、かといっていかにも東京な濃い味でもなく、ちょうといい感じにまとめてある。これ以上薄味だと姿勢を正さないといけないし、これ以上濃い味だとガハハな居酒屋になっちゃう。この辺の微妙な整え方が上手なんです。そういうのが仕事に疲れた夜にはちょうどいいんですね。この辺、サラリーマン天国の "新橋ならでは" 、なのかもしれません。

フグとかクエとかの高級魚も取り揃えている一方(冬に行きました)、居酒屋でも出そうな気軽な一品もいいですね。なんだっけな、九条葱の煮込みみたいな素朴な一品がとても印象的だったです。〆は名物の鯛飯。なかなか豪快に炊き込んでくれます。

酒の品揃えも見事。
蔵元との長いつきあいで分けてもらったらしい稀少なモノが多く、ご主人にまかせちゃうのがコツかも。
行った日も朝日酒造(久保田と造ってるとこですね)の新酒「一三五号」を飲ませていただきました。滅多に手に入らないそういう酒を、ご主人にこにこうれしそうに出してくれます。それでいて決して高くない。それもうれしいですね。

ひのきの一枚板のカウンター、そして奥に座敷が5つほど。
新橋で、「居酒屋でもないし立ち飲みでもないし鮨でもないし、うーんどうしよう」とか迷ったときの手札にどうぞ。
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2009年06月25日

さとなお:七草(下北沢)

「クリーズクリーク」、知りませんでした。
30年前っつうたら18歳。渋谷の路上で遊んでました(渋谷の高校だったので)。西麻布の「に」の字も知らないころですね。

ではボクは、

>なにしろ大半の客が渋くてカッコいいオヤジと美しい女性ばかり

という言葉に反応して、下北沢の「七草」を書きましょう。

この店、美人度高いなと思います。
基本的に女性向けの店なのと、隠れ家っぽい雰囲気がいいのと、野菜中心のメニューとで、下北近辺の美人さんたちがどんどん集まってくる感じです。オヤジも少々。脂の抜けたいい感じの熟年が多いですね。

料理は野菜中心の家庭料理。
メインで名物の「豚バラと大豆の味噌炊き」が出る他は野菜ばっかりでした。そして何故か魚料理は一切出ません。どうしてなんでしょうね。

5000円のお任せコースのみで、珍しい素材と工夫された料理が続きます。
覚えているところでは、セロリとじゃがいものすり流し、白瓜とずいきと岩茸の胡麻酢和え、丸茄子とズッキーニと空豆の湯葉あんかけ、紫キャベツとトマトとパプリカの煮浸し、いちじくの白和え、加賀太キュウリとなんだったかの炊き合わせ(なんだっけ?)、ゴボウ天と焼き枝豆、豚バラと大豆の味噌炊き。〆に胡椒ご飯(茶漬け風)。そしてデザートに、白玉に見える豆腐の寒天。

あと数品あったけど、料理名がわからないし素材は複雑だし、覚えられませんでした。
こういう店こそ、料理と素材の説明つきお品書きを配って欲しいです。

味つけは淡い薄味。とっても繊細でカラダの芯からキレイになる感じの料理群。
特に「セロリとじゃがいものすり流し」「白瓜とずいきと岩茸の胡麻酢和え」「紫キャベツとトマトとパプリカの煮浸し」が印象的でした。
ただ、コースの流れ的に「ゴボウ天」が妙に脂っぽいのが「あれ?」。そして「豚バラと大豆の味噌炊き」だけ異様に味が濃いんですね。コースのバランスがここでいきなり崩れます。これは疑問でした。ここまで濃い味と肉をここに持ってくる必要があるのかな。

お酒は純米酒が揃っています。白岳仙、黒帯、開春、初孫、秋鹿。いい品揃えですね。
他には焼酎とかワインとか。

全体に優しい気持ちになれるいい店です。特に女性同士や熟年夫婦での訪問がオススメですね。若い人にはいろんな意味で物足りないかもしれません。

下北沢駅から歩いて10分ほど。
わかりにくい場所にあるのですが、入り口のところの泰山木が目印です。伺ったときはちょうど白い大きな花が咲いていて見事でした。泰山木の下の小さな階段を下がると蚊取り線香の香りがぷーんとして、いきなり昭和にタイムスリップ。古民家を改装した店内に入ってもそのまま昭和が続きます。

物静かな女性がふたりでやっています。
テーブルふたつ、小上がりひとつ、カウンター6席のみ。BGMもなく静か。たまにはいいですね、こんな店。
posted by さとなお at 23:04| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月12日

さとなお:割烹 牧野(品川)

新宿はボクの行動範囲外にあるので、こういう穴場のお店の紹介、助かります。とはいえ土地勘がないのでいつ辿り着けるか微妙ではありますが。

では逆にボクは伊藤さんの行動範囲外だと思われる品川の店をご紹介しましょう。といってもボクにとってもバリバリ行動範囲ってわけでもないんだけど。
場所的には品川というか、駅で言うと京浜急行の新馬場駅が最寄り。品川駅からでも旧東海道を南に歩いて行って15分ちょいという立地の店です。品川神社のすぐ近く。店の名は「割烹 牧野」

ここ、穴場の名店です。
店名は割烹ですが、感じとしては居酒屋ですね。雰囲気は居酒屋的でかなりカジュアル。値段も居酒屋的。ひとり5000円もあれば腹一杯の大満足です。でも料理レベルが割烹なんです。安くてうまい。だから常に混んでいます。予約必。近くに勤めている知り合いから教えてもらったのですが、大正解の店でした。

まず刺身盛りがいいですね。豪華な入れ物で出てくるんですが、磯盛り(3品)で1800円。7品盛られる大漁盛りで3500円と、地方港町レベルの安さ。しかも魚の質が良く、かなりいい感じ。一匹ものも活け締めで1000円前後で食べられたりして、とにかくお得感があります。活アジのおどり食いなんかなんと800円(一匹そのまま出てきます)。活クルマエビ3本のおどり食いで950円。んー。仕入れ値を想像すると「なんで?」と思えるような値段なので多少警戒心も湧くんですが、食べてみるとちゃんとおいしい。

珍しいのは活穴子です。水槽から取り出した生きている穴子をその場で捌いて七輪で焼くんですが、穴子がぴくぴく動いている状態。この「活穴子の備長炭七輪焼」で1680円です。安ければいいってもんでもないけど、まぁ座は盛り上がりますね。なにしろ穴子の身がぴくぴく動いてるのを自分で焼くんですから。

他の一品もなかなか。おひたし系もまぁまぁだし、サラダも良かったです。ポテトサラダとかもうまいし、漁師のまかない飯(いろんな刺身の切り落としと生卵で食べる)も良かったなぁ。このまかない飯、800〜1000円くらいとっても良さそうなのに680円。安いです。

2階は座敷になっていて、鍋のコースが3500円から。ふぐコースも5300円だったりします。この店の売りのひとつであるふぐ。まだ食べてませんが、時季になったら行ってみたいですね(安いし)。でもコースの中ではお好み鍋コースが魅力的。お通し・お造り盛り合わせ・ふぐ唐揚げ・活穴子の備長炭七輪焼・活車えび七輪・お好み鍋・雑炊セット・香の物で4700円はお得です。

だいたい、鮮度を売りにする店ってもうひとつなこと多いですよね。魚の美味しさは鮮度だけでははかれないし。さらに水槽がある店ってそんなに好きではないんです。水槽の存在と魚の美味しさは比例しないことも多い(逆にまずくなっている場合も多いし)。
とはいえ、この店はすべてがいい方に回転している気がします。しかも場所柄もあって安い。この価格帯ならいろいろ許せちゃいます。日本酒や焼酎の揃えもちゃんとしているし、品川近辺で魚が食べたいときは頭に入れておきたい店ですね。オススメ。

posted by さとなお at 17:58| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月20日

いとう:小いわ(六本木)

>いいな、うらやましいな、「タテル・ヨシノ」で青首鴨。

あ、スミマセン(汗)。で、ちょっと追記を。
さとなおさんもご存知かなあ・・・。以前蕨にあってその後浦和に移転した「肴屋」というフレンチ。地方に根付く料理店として草分けでもありました。今の時期、地場で捕れたジビエを提供してくださる貴重な店との印象も強かった。今はもう「肴屋」はないんですが、そこのマダムが現場に復帰され、芝の「タテルヨシノ」におられます。

さて「ラ・ボンバンス」。
予約が取れない中よく行かれましたね。うらやましいです。

>創作料理でこういう品書きで料理がまぁまぁな店に当たった記憶、
>他にありません…。

同感ですね。店の立地や雰囲気・メニュー・ウェブサイトでの訴求と、料理や料理人の印象がこんなに違う店もめずらしいです。また「福田家」といってもピンとこないような客層なのも不思議な感じ。でも憎めないイイお店だと思います。

ではぼくは、「ラ・ボンバンス」とは全く対象的ながら、カテゴリ的には創作和食ともいえる「小いわ」を紹介します。こちらの板長は「京味」の出身。「井雪」や「笹田」の兄弟子にあたるようなので、もちろんいわゆる創作和食ではないんですが・・・。

場所は六本木から乃木坂に抜けるエリア。東京ミッドタウンの向かい側。叙々苑の角を左折し星条旗通りへと続く道の終点間際に左へ折れます。この辺、なんと表現するんでしょうね。飲食店も散見されますが半分は住宅(個人事務所)街。個人的には「祥瑞」の近く(その日も二軒目は「祥瑞」でした 笑)。

スナックしかないようなジミなビルの2階。隣りのドアの開け閉めまで聞こえる建てつけの悪い環境ながら、新しい日本料理のコースに挑まんとする孤高の料理人が待っています。と、このように書くと強面・角刈りの板前が腕を組んで立っていそうだけど、柔和な笑顔のご主人に迎えられてのスタート。

新しいコースとは、先付け→凌ぎ→椀→向付けと続く懐石は他店でも十分に味わっていただけるので、日本料理の基礎は押さえつつも、流れ自体を変えていきたい。いわゆるコペルニクス的転回とでもいいますか、そんなニュアンス。ただ説明を聞かずに食事を始めたので、1皿目に小さな鍋、2皿目は揚げ物が登場。続くお刺身は鴨の生肉だったりして、最初は少々首をひねるといいますか(ぼくなんかは、すでに「オオッ」とニンマリしてましたが)。

こんなテンポは最後まで続き、お造りもお吸い物も焼魚も炊合せも眼前には並びませんでした(ただそういった料理を作らないという意味ではなく、初めてのお客様には自分の考える流れで食べていただこうとの試みです)。八寸のような美を競う皿も、お客様が盛り込まれたすべての料理を好まれるわけではないという理由で出てきません。なんといっても最大の特徴は、魚介のお造りを出さず、刺身はすべて馬や鴨や牛といった獣の肉のみ(良質のタマゴを溶いた醤油や塩など調味料にも一工夫して)。

※普通の1万円のコースでも、お魚のお造りが出るようです。参考にしてください。TOMITさんのブログより。http://plaza.rakuten.co.jp/tomit/diary/200904240000/#comment

次はなんだろ、どんなだろとワクワクしながら待っている時間も楽しく、「最後のお食事ですが・・・」と、ここだけはお決まりのフレーズが来たときには、テレビマンガを見終わった後の子供のようにガッカリ(笑。

ただ想いが強いゆえか盛り込みすぎかなあと感じるものもあり、お客様の反応を見ながら少しずつ角が取れ研ぎ澄まされていくと、さらにすばらしくなるかなと期待する次第です。

なお、このように書けば変わったものばかり出てくるのではと解釈されがちですが、決してそんなことはなく、あくまでおいしさを追求する日本料理で、量的にも申し分なく満足させていただきました。
posted by 伊藤章良 at 17:18| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月18日

さとなお:ラ・ボンバンス(西麻布)

いいな、うらやましいな、「タテル・ヨシノ」で青首鴨。

なんだか大不況気分が移って来ちゃって、高額店から足が遠のいています。
こういう時こそレストラン好きは「良心的に頑張っている高額店」にお金を使って応援すべきなのでしょうけど、ちょっとずつ財布のひもが固くなっている自分に気がつきます。ダメですねぇ…。業界全体がシュリンクしないように、無理のない範囲でお金を使い続けたいところです(まぁ砂漠に水かもしれませんが)。

さて今日はどうしようかな。
フレンチで紹介できる店を思いつかないので、フレンチな店名の和食にしてみます。

西麻布の「ラ・ボンバンス」
店名はフランス語で「ごちそう」という意味だそうです。でも和食。フレンチのエッセンスを入れつつ意外性を狙った創作和食ですね。どこぞで星をもらってから予約が取れない店になっちゃいました。

階段を下がったところに突然現れるバー的空間(カウンター8席、テーブルひとつ)はとても和食店には見えません。全体に黒いインテリアでうす暗く、黒いカウンターにスポットライトが当たってます。そう、雰囲気は完全にショットバー(居抜きかも)。場所柄怪しい業界人とかが巣くっていそうな感じ。でもよく見ると客層は固い感じの人が多く、カウンター内のシェフはとても腰が低い常識人。こういう違和感は面白いですね。

こういう店はひとつ間違うとコンセプト倒れとなるし、だいたい創作和食に美味しい店は少ないと思いますが、結果から先に言えば「思ったよりちゃんとした料理群」でした。料理の基礎がしっかりしているのでしょう。創作しても軸がぶれない。そこが魅力です。
敢えて言えば変化の付け方が多少やり過ぎで、食後に散漫な印象が残ったのも確か。ひとつひとつのメニューで細かい変化をつけるよりも、もっと大きな流れを意識してコースを構成してほしいと個人的には思いました。あと、味つけの方向が(少なくともボクがいただいた日は)似ていたのも残念。

日替わりの1万円コースのみで1ヶ月ごとに替わるそうです。立地を考えるとがんばっている価格設定かと思います。
ボクが伺ったのは秋。メニューを数品書き出すと「茨城の栗〜のスープ♪ 刻み松茸」「ウニの入った胡麻豆腐 Waからし」「しらすパンのピンチョス」「焼きおこわ牛ロース包み」「フォアグラソテーとメンチカツ」「新じゃが煎餅 るっコラー」「新米とはら子ドン」「伏見青唐オイル焼き マロンチーズ」「土瓶蒸し風鍋」「新そば」と、こんな感じ。

ね、品書きを見るとわかりますよね。コースとしてはちょっと散漫なんです。それぞれは美味しいんだけど。
あと、このメニュー、ちょっとイヤな予感させません? 途中に挿入される♪やコラーやドンなどが特に(笑)。でも味はなかなかいいんですね。不思議だな。創作料理でこういう品書きで料理がまぁまぁな店に当たった記憶、他にありません…。

お酒はワインを中心に料理に合うものを揃えてくれていて、途中、九平次をリーデルのシャルドネグラスで給してくれたり、細かい気遣いもうれしかったです。

料理人の岡元氏は「福田家」で修業したとのこと。
シェフ自らサーブしてくれるので、いろいろ料理のことが話せて楽しいです。穏やかかつニコヤカな方でとても謙虚。話していて気持ちよかったのも○でした。予約さえ取れればいろんな用途で使えそうな店なんだけどな。
posted by さとなお at 14:33| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月08日

いとう:おの寺(神楽坂)

秋田、いいですね。ぼくはフライベートでは一度しか行ったことがないです。桜のシーズンに角館を訪れたのですが大雨で・・・(泣。

山菜・きのこ・日本海の魚と、秋の秋田は、日本の旬を感じさせる食材が山盛りですね。先日新潟で秋田産のハタハタを食べました。子を持っているメスで、身はさすがに痩せ気味でしたがその卵のウマさはたまりませんでした。

>秋田の地酒を中心に、50種類以上の日本酒が最高の状態で
>保存され、料理メニューも酒が進む系ばかり。

このラインナップも凄いなあ。秋田の地酒自体4〜5種類ぐらいしか思い浮かばないので、「酒盃」の棚だけでも見てみたいです(笑。

さて、ではぼくは、東京神楽坂で酒の品揃えがすばらしい日本料理店「おの寺」を。

ここは、飯田橋駅から神楽坂を少し上がった右側のビル2階にあり、L型カウンターとお座敷のみの小さな空間。ご主人と女性スタッフのお二人で切り盛りします。

コース料理6800円のみ(少々の季節のアラカルトあり)。このグットバリューが日本料理店がひしめく神楽坂でも高い魅力で、多くの女性客で賑わっています。でもぼくは、この「おの寺」を、日本の料理に合うすぐれた酒を店主のオリジナルな感性で揃える店として賞賛したいのです。

取り揃える酒には固定メニューを設けておられないようですが、ぼくが訪れた日は、季節がら、宝剣・加茂金秀・鳳凰美田などの冷やおろしを飲み比べたり、白岳仙のライトなスタートから東北泉のずしんと来るしんがりまで、それはそれは食中酒としての日本酒を縦横無尽に楽しみました。コース料理の価格がリーズナブルなこともあって、あれもこれもと日本酒を選ぶのにも拍車がかかってしまいましたが・・・。

お料理についても、盛り付けのひとつひとつは有名京料理店で何十年修業みたいな巧みさは感じないんだけど、食べてみると、不必要な主張がなく、さりとて酒を多く飲ませようとの意図も見えてこない。ただただ素直に料理と向き合っているご主人の人柄がにじみ出る皿。自分を高みに置かず、安価で安心できる食材を工夫と努力で安く提供しようとの高い志も感じ取れ、おいしさがさらに増す秘訣ともなっています。

靴を脱いで上がりゆったりとしたカウンターに座る。盛り付けの合間にご主人が選んだ(ときには自ら注いで下さる)酒をチビリと飲みつつハートのこもった料理に舌鼓を打つ。東京の神楽坂とは思えないアットホームさながら、決して家庭では実現不可能な貴重な時間が「おの寺」にはあります。

ぜひ日本酒好きを自称する同輩にこそ、暖簾をくぐって欲しい一軒です。
posted by 伊藤章良 at 17:25| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月04日

さとなお:ことこと(中目黒)

台北、良かったみたいですね。
「驥園川菜餐庁」も行かれたそうで。あそこの砂鍋地鶏、うまかったでしょう? でも、蛤のスープはそれを超えるんですよね? 次に行ったときは絶対「親親小吃店」だ!

と、流れなので「驥園川菜餐庁」を書こうかと思ったけど、海外の店が続くとつまらない、という友人の言葉を受け(笑)、今回は東京の店を間に挟みます。「驥園川菜餐庁」はまたそのうち。

で、中目黒の「ことこと」
ことこと煮込む、あたりからの店名かな。包丁がまな板にあたる音もイメージしているかもしれません。
そういう音に想いを込めたのがわかるような、親密で丁寧な家庭料理が楽しめる店です。

駅から目黒川を越えた小さな暗い路地にポツンとある普通の民家風の店で、中に入っても普通の家庭のダイニングという感じで少し戸惑います。普通の家庭のオープン・キッチン前に家族が囲めるような大テーブルがあり、テーブル席が5つその周りに配置されてなければ本当に普通のご家庭な感じ。もちろん店内はちゃんとオシャレで清潔なんだけど、適度に雑然としていてもいて、家に帰ったようなくつろぎ感。そんな中、キッチンではちゃきちゃきとお母さん(とはいえまだお若い)が料理を作っています。

家庭料理の店って「なんでわざわざお金を払って家庭料理を食べないといけないんだ」みたいな疑問が頭の隅にこびりつくことが多いのだけど、そんな疑問は料理を一口食べると霧散します。いや、家庭料理の範疇なんですよ。すごい完成度とかがあるわけではない。でも「日本の正しい家庭料理にひと手間・ひと工夫を加えて楽しくして提供しているココロザシ」みたいなものを感じます。
というか、家庭料理というジャンルは都会ではもう家庭で味わえないものになりつつあるので、こうして楽しく家庭料理を出してくれる店は今後存在価値が高まるかもしれません。

パバレゲーノというジャガイモのコロッケ、秀逸。つくね、うまい。水茄子と葱味噌もうまい。茗荷ときゅうりの梅和え、鶏の唐揚げ、クレソンと焼き蕪、ぬか漬けピクルスなんかもとても良い。生姜焼きなんかもあって、もちろん白いご飯にお味噌汁もある。ひとり暮らしの人はもちろん、家庭持ちも妙にうれしくなる、そんなラインナップです。塩加減がハテナな料理もあったけど、全体においしくて安心できて楽しい料理が続きました。

満席になるとさすがに手が回らず、サービスもバタバタになります(サービスを受け持っていた若い男の子は無愛想)。お母さんも殺気だってきて声かけにくかったり。でもそういう「いい意味での気遣いのなさ」も家庭的で、意外と気になりません。そういえば、キッチン前の大テーブルに座った常連さんとおぼしき人が、忙しそうにしているお母さんを横目に勝手に炊飯器あけてご飯よそって食べてました。そういうのが妙にしっくりくる店ですね。

キッチンというより「お勝手」という言葉が似合うような。
親しい家庭に勝手口からお呼ばれした気になるような。
そんな感じの、ちょっといい隠れ家です。
posted by さとなお at 11:58| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月29日

いとう:鈴なり(四谷三丁目)

>では、ボクも神楽坂。割烹の「弥生」をご紹介。

神楽坂ってやはり「割烹」というイメージがしますね。
特に小説家に愛される店は、さとなおさんが言われるとおり、わがままな要求を様々にこなしてこられた歴史があるんでしょう。さとなおさんは、最近そういった店にもちょくちょく行かれているようですが、ぼくはなかなかその域は遠いなあ・・・。

>なんかこういう店で完成度の高いその手の料理を食べるって
>楽しくない?

そうです、そうです。意外と大阪ではそういった店も様々に経験してきたんですが、東京では余裕がないかもなあ。その店のスペシャリテを食べたい、という欲求が強いからかもしれません。

ということで、ぼくは、東京で神楽坂に似た風情も持っている四谷三丁目、というか荒木町から、同じく日本料理の「鈴なり」です。

ぼくはこの荒木町界隈が大好きで時々ひとりでふらつくんですが、交通至便な場所ながらみんなで食事をするにはなんとなく選択肢に入れにくいところがあります(いい食事処にいいバーもあるのに)。そんなこともあってか、最近は夜歩いていても人通りが少なくて寂しい限り。

ただ、荒木町の大人の雰囲気を好む若い料理人が逆にココに集まりつつあるウレシイ傾向も感じていて、「鈴なり」もそんな一店。

いわゆる杉大門通りを入って右に折れ、やくざ映画のロケセットのような細道に入る。「こくている」やさとなおさんも以前書いておられた「羅無櫓」を見ながらもう少し進むと、真新しい和風の壁が見えてきます。

ただ、ココまでの完璧なアプローチを経て店内に入ると、少しガッカリ。ホームページの写真で見るイメージよりかなり雑然としており、テーブル席のコンパ風男女を含んでカウンターもずらっと女性ばかり。デートなどで気合を入れて行くと肩透かしになる可能性は大かな。

そのカウンター席は、幅が狭く様々なモノが鎮座し、椅子が高く(背もたれがなく)少々落ち着かない。と、それも分かるのは、「鈴なり」のコースは4500円からというグッドバリュー。それを一流の日本料理店で修業をした料理人が、八寸やお造りなど鮮やかかつ豪華な盛付けで提供します(カウンターが狭すぎて、その盛付けが今ひとつ生きないんですが 笑)。

コースの流れもきちんと練られてブレがなく、もっと落ち着いた内装のゆったりした店で提供されたら10,000円近い請求をされても納得できそうなというと(言いすぎかな)。カウンターの幅が狭い分板場との距離も短く、料理人の息吹が伝わるライブ感もいいし、照れながらも丁寧に客と応対する板長のキャラもすばらしい。

ただ、安価なだけに客層の乱れは否めなく(多くのフリーペーパー系にも出ているようで)、そのバランスが今後の課題かなあ。最初から大きく構えた割烹にしなかったというのも店主の意図でしょうから、今後の成長や展開も楽しみです。


posted by 伊藤章良 at 22:27| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月25日

さとなお:弥生(神楽坂)

>「ラリアンス」。ここは昔、パラパラの殿堂とかいわれたディスコ
>「ツインスター」があった場所ですよね。

お、そうなんですか?
神楽坂のディスコには行ったことないし、パラパラが流行っている時はとっくにディスコ引退してたので知りません。でもそう言われると店の造りにその名残が感じられますね。

では、ボクも神楽坂。割烹の「弥生」をご紹介。
神楽坂の坂を上がっていって、中程(セブンイレブンの前あたり)を左に入っていったところにある店です。

ここは故山口瞳をはじめ、作家系や出版系の常連さんも多い店で、そのせいなのか、普通の割烹より遊びがあって面白いです。
きっと作家さんたちの「シチューが食べたい」とか「アジフライを食べさせろ」とか「賄いを出せ」とかいう我が儘にニコニコ応えているうちに、そういうのもメニューに載ったのではないかな、という感じ。いわゆる懐石コースもあるんだけど(12000円〜)、そういう懐石からはずれた遊びの一品もとてもおいしく、楽しいです。

その手のメニューは、ボクが試しただけでも、テールシチュー、イワシフライ、アジフライ、魚介のブイヤベース風、アスパラのバター炒め、あとは何を食べたかな…。なんかこういう店で完成度の高いその手の料理を食べるって楽しくない? 創作料理は嫌いですが、きちんと腕がある和食の職人さんが作る洋食とか、意外と好きです。

いわゆる懐石的一品ももちろんイイ。
焦点がちゃんと来ていておいしい。特に印象に残っているのは丸鍋(一人用の小鍋で出してくれる)。スッポン他の具の使いはシンプルなんだけど、ダシがよく、ちょうどいい加減にうまいんです。飲んだあとにちょこっといいですね。

前の店からほんの数十メートル移転して新しくなったのだけど、前の店を知っている人からすると「ちょっと趣がなくなったかな」という感じらしいです。まだ新しい作りで確かに少し「神楽坂的趣」に欠けるかも。でも広いカウンターはゆったり落ち着けるし、料理はおいしいし、なかなか好きな店です。テーブルと個室もあって使い勝手もいい感じ。
posted by さとなお at 09:21| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月29日

いとう:ほりこし亭(恵比寿)

>じゃ、博多続きで、居酒屋「久米」を。

>雰囲気は居酒屋ですが、料理は限りなく小料理・割烹に近い
>レベルの店です。

こういう店ってぼくも好きです。
東京にも何軒か知ってますけど、東京の場合お値段も限りなく割烹に近かったりするので、つらいんです(笑。

「甘めに濃い」福岡の味もいいですが、やはりバランスは大切で、
「久米」は覚えておくべき一軒ですね。

ではぼくは東京に戻って、居酒屋というか小料理というか・・・、の「ほりこし亭」を。

書いちゃていいのかな、と一部のファンに叱られそうですが、恵比寿駅から徒歩2分の至便さ、表の少々入りにくい雰囲気に比して店内の穏かな空気、女将さんの料理に対するこだわりと人柄。こういったタイプのお店に共感していただける同輩には、ぜひオススメしたい一軒。

と書くと、さとなおさんが先日書いておられた「すだち」みたいなトコロかと想像されるかもしれません。が、同じようにステキな店でもポジション的には対極かなと。

恵比寿に店を開いて15年目だそうで、並びにあった長蛇の行列で有名なラーメン「山頭火」と同期オープンと聞きます。すでにその「山頭火」は去り、向かい側にあったフランス料理の名店「レトワール」もなくなり、二軒隣りにテレビでも話題の鯛焼き店ができても、ずっと変わらず同じペースで営業を続けてこられました。

店内はL字のカウンターのみ。ところが、前出の「山頭火」をイメージして入れば意外に広い感じ。少し雑然としている点が逆に恵比寿っぽくなくて落ち着きます。キッチンには女性がおひとり。話してみるととてもサバけた方で、典型的な小料理屋の女将とは少し異なるモダンな印象。

ですが、つかず離れずの接客や様々な話題でのちょっとしたつっ込みなど、とてもテンポがよくてすがすがしく、その日一日の灰汁がススーと落ちていくような安堵感があります。

料理はちいさな黒板に。
すぐになくなってしまう煮込み、季節のお刺身、サラダ、焼き物など、ごくごく普通のメニュー。しかもすべておひとりでまかなうため種類も多くないですが、一品一品とても丁寧に作られていてどの皿も大盛り(これがうれしい)。
「ちまちまと皿に盛るのはキライ」だそうですけど、この量でこの値段!と大感激してしまうグッドバリューも魅力かな。

黒板には〆めの炭水化物系は載っていませんが、ご希望の方は勇気を持って尋ねてみると、裏メニューがあるかもしれません。
posted by 伊藤章良 at 23:23| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする