2008年02月20日

いとう:鮨田可尾(福岡)

>新潟か…。連載の予定に入れよう(笑)

おっ、ぜひ。
「蘭」のあと、寡黙なおばさんが1人でやっている渋い郷土料理の店も行きましたよ。新潟にしかないジューシーで生命力に溢れた女池菜という野菜も食しました。
それと、ついでにハワイもどうですか(笑。

>博多の「吉冨寿し」を。

あ、一度行こうと思ってトライしたんだけど、予約が取れなかった店です。行きたかったなあ。というかぜひ今度こそ行ってきます。

ではぼくの方も福岡の鮨店で「鮨田可尾」
ここは、福岡に出張する際さとなおさんから薦められたような記憶があるんですが、今回の取材対象には入っていなかったようで・・・。有名店ですからねえ。

「鮨田可尾」も、天神の外れというか少し寂しくなって本当にこの辺かなあと不安になるエリア。細い路地の突き当たりに見つかります。

ここは靴を脱いで上がるスタイル。鮨店で靴を脱いで上がるのは少々不思議な感覚。東京でも「すし匠斉藤」とかありますが、くつろげる半面、他人の靴下が目に入る是非とか、板場の方の水まわりはどうなっているのだろうとか、軽い抵抗もあるわけ。

ところが「鮨田可尾」の玄関は、まさに普通の家庭を訪問したような、構えたところのないシンプルさ(それこそ住居を改装されたのかもしれません)。靴を脱いで上がり席に着くことも、ごくごく自然な流れ。

もともと九州の出身ながら帝国ホテルの「なか田」におられた店主のことは多くの方が書いておられるので割愛しますが、ぼくがまず驚いたのは、最初からトントンと続けて出てくる白身のタネがすべて柔らかくて強烈な旨みがあること。なんかこう、理由は分かっているだけど素な気持ちで「やわらかいですね・・・」とつぶやいてしまい、ちょっと照れました。

東京だと、熟成させたことをアピールするがごとく「2日間常温でぎりぎり寝かせた平目でございます」とか勿体つけて出す店も多いですが、熟成をさせるのは「鮨田可尾」では当たり前といった風。そんな白身の展開に、福岡で食べられる江戸前鮨の店というよりは、(少なくとも東京でこんな店を知らないので)地場の個性を強く感じました。

少し店主と話したところ、東京よりも福岡の方が魚は断然面白いとのこと(ただしマグロは除くとの注釈がありましたが 笑)。今は毎日とても充実しているそうです。そんな高い見識と郷土を愛する気持ちとの融合が「鮨田可尾」の最大の持ち味でしょう。

もしや、九州の鮨店がみな同じようなスタイルならすごいことだと、
改めて「河庄」「やま中」等の名店にも行ってみたけど、皆白身に個性を出してはいますが熟成については「鮨田可尾」のみの特徴かと、少々残念かつ貴重に思いました。
posted by 伊藤章良 at 18:06|

2008年02月17日

さとなお:吉冨寿し(福岡)

なるほど、大ネタで来ましたね。
なんかすぐにでも行きたくなります。スープと日本酒のマリアージュも試してみたいな。
新潟か…。連載の予定に入れよう(笑)

じゃ、ボクは「地方」と「コースの流れの斬新さ」つながりで、博多の「吉冨寿し」を。

屋台街で有名な長浜市場周辺から程近い、舞鶴にあるカウンター8席の小さな店。入り口からして只者ではない雰囲気。
一見古く寂れているように見えるんだけど、随所に凝った設えが感じられる店です。昼間にフリで入ったので、玄関の待ち合いで待たされたんですが、レトロ風味の待ち合いの雰囲気がすでによいです。

店内は調度品を削ぎ落とし、シンプルでミニマルな造り。
花瓶に花一輪。絵がひとつ。そのくらいしか飾りがない潔い清潔な空間に、柱時計のコチコチという音だけが響き、頭の禿げあがった柔和なご主人がひとりでつけ台に立って迎えてくれます。

と、こう書くと肩が凝りそうな店ですが、さにあらず。実にくつろげる店なんです。それはすべて柔和で親切なご主人が醸し出す空気に寄るのでしょう。無口だけどとっつきにくくない感じ。

特筆すべきはタネ箱に並べられた魚のきれいさ。
ここまできれいかつおいしそうに魚を並べるタネ箱は銀座の「すきやばし 次郎」くらいしか記憶にないですね。こういうところをきちんとする職人さんは期待が持てます。

ということで期待たっぷり食べ始めたんだけど、味もそれを裏切らないものでした。
サウスポーの腕から繰り出される握りは細かい仕事がなされた江戸前で、酢飯がちょっと弱いかなと思わされるものの、バランスは上々。玄界灘の魚を鮮度重視で握る博多の大多数の鮨店とは一線を画すもの。柔和なご主人だけあってどれもこれも柔和で優しい握りです。口の中に静かな幸せを与えてくれる。主張は強くないが印象は強い。そんな握り。

おまかせは、赤ムツにカブを合わせた握りから始まり、エビ、ブリのヅケ、太刀魚を昆布締めにして炙ったもの、貝柱、蒸し穴子、赤貝、ふぐをアサツキと紅葉で合わせたもの、しめ鯖、トロ、イカのウニ乗せ、赤カブの握り、菜の花の握り、と続きました。

どれも工夫がきちんと効果を出していて印象的だったけど、特に記憶に残ったのは、冒頭の赤ムツと太刀魚、ふぐ、赤カブかな。

普通、鮨って味の淡いものから濃いものへと進行することが多いんだけど、ここのおまかせはなかなか斬新でした。
一見バラバラな進行のように見えて、あとで思い返すと味の強弱が見事につけられて、単調にならない流れ。地方の鮨店って意外と単調な流れになることがあるけど、この店は適度に、炙り・蒸し・締め、そして酸っぱい・甘い・辛いなどを混ぜて楽しませてくれました。

13貫食べて5000円。
博多ではどうだかわからないけど、東京の感覚からすると、このクオリティと雰囲気でこの値段は安すぎます。
どうやら夜も基本的にこの値段のようです(これにつまみとか追加とか赤だしとかつくが)。

満足度の高い店でしたね。あぁいい時間だったと嘆息ひとつ。

場所は、長浜の鮮魚市場の真ん前に東芝の高いビルが聳えるが、その正門真ん前。
博多に行くならオススメします。夜は予約で二回転する人気店らしいので予約必です。
posted by さとなお at 20:15|

2007年03月17日

さとなお:鮨兆(赤坂)

イタリアンって、ランチとディナーの格差が激しい店、多いですよね。
ボクも、夜はいい店なのに意外と残念な結果に終わるランチをよく経験します。なんでだろう。

関テレの近くで「レンドラ」って、なんか連ドラのスタッフが来そうな感じ?(自分で言っていてツマラン)。

大阪ってイタリアン増えてますよね。大阪って本来ラテンな気質だと思うので、はまれば大イタリアン地区になるかも、と期待しています。

さてと、じゃ、ランチつながり。

TBS社員は全員行っている(らしい)、赤坂の「鮨兆」を。

ここの名物ランチ「おまぜ」を初めて経験しました。有名らしいですね。
いわゆる「ちらし鮨」なんですが、タネを細かく切って、ご飯に混ぜ込んでいるから「おまぜ」(おめざ、みたいでちょっと可愛い)。
イクラとエビと赤身と白身とイカと玉子とキュウリとタクワンと青梅と…、と、いろんなものが彩りよく細切れになって入っていて、酢飯は全体に醤油(煮きり)味になっている。それが混ぜられているんだから、なんとなくうまい感じはわかると思います。

で、1500円するんだけど、でもとてもお得感あるんですよ。

大盛りをお願いするとかなりの大盛りで出てくるんだけど、値段が変わらない。
そのうえ、最初に白味噌の味噌汁が出て、食べてる途中に赤だしも出てくるんですよ。
味噌汁の二度攻め。
これは初体験。
でも白味噌で始めて、途中から赤だしを飲むって意外といいですね。塩がよくきいている「おまぜ」に赤だしよく合うし。ちなみに味噌汁はお代わり自由です。

んでもって、食べ終わるとデザート(ボクのときは葛切り)。
そんで、会計時に「どらやき」のお土産までつくんです。

これで1500円。安いと思うなぁ。
全体にもともと量が多いので、大盛りでなくても普通盛りでわりと充分ですね。まぁちょっと味が濃すぎる部分があるのと、店が(夜は高いらしいのに)かなりごちゃついているのと、行列が激しいのが難だけど、赤坂のランチではなかなかオススメな感じです。
posted by さとなお at 23:07|

2006年10月05日

さとなお:鮨の魚政(札幌)

>呆れている方も多いかと拝察しますが、

多いみたいです(笑)
ボクも「少しどうか」と思いました。まぁあと数年ですね、ああいうバカやるのは。

結局札幌には実質2日半いたのですが、15軒行きました。ちょっと多いか。でもスープカレーは5軒しか行けなかった。あと数軒行きたい店があったのですが、スープカレーのハシゴって意外とキツイ…。

行ったのは「プルプル」「木多郎」「マジック・スパイス」「イエロー」「ヴォイジュ」
行きたかったのは「ベンベラ・ネットワーク」「サボイ」「アジャンタ」「らっきょ」「花車」「メディスンマン」……。

まぁ次回もがんばります。

>強烈に熱くて濃い味噌ラーメンも札幌から生まれてきたように、
>スープカレーも当初は暖を取る発想もあったのでしょうか。
>不勉強なぼくはあまり口を挟まず、ご報告を楽しみにしています。

スープカレーの発祥は「アジャンタ」。中興が「スリランカ狂我国」。スープカレーという言葉を初めて使ったのが「マジック・スパイス」という流れは有名なようですが、普及については各説あるようです。ボクもそんなに詳しくはありません。でも「札幌って普通のカレー店がもともと少なかった」というのがわりと言われてますね。ルーカレー文化があまりなく、あいていた白地に一気に広まった、みたいな。でももちろん「寒い」というのもあるとは思います。

スープカレーについてのまとまった意見やお店についてはもう少し消化してからお話ししたいと思います(まだなんだかアタマがまとまらない)。

今日は札幌中央卸売市場の鮨屋をご紹介。

と言っても、札幌市中央卸売市場の場外とかではなく、すぐ隣にあるマルカ(丸果)センターの「鮨の魚政」。まぁ場外市場の一形態みたいな感じの場所です。

ここは朝6時から昼の1時30分までの営業だから、旅の朝ご飯に食べるのをオススメします。市場に勤めていた方から「市場周辺では一番評判が良く、みんなで行っていた」と勧められました。

市場の鮨ってタネの大きさとか鮮度の良さで勝負してくるじゃないですか。
でもこの店はそうではないです。きちんと仕事をしてあり、タネの大きさも適切。なにより醤油皿がなく、煮きりを塗ってくれるのも市場鮨っぽくないですね。

握りは一貫80円からと安いし、北海道の地の魚はもちろん、コハダや〆鯖、煮穴子なんかも揃えてあっていい感じです。途中で青のりの味噌汁を出してくれるのも朝ご飯っぽくていいなぁ。食べてると周りの店から新鮮な素材が届けられたりするシズル感もいいです。

市場鮨ってそんなに好きではないのだけど、この店はわりと気に入りました。バランスや仕事で食べさせる江戸前握りに比べるとずいぶん素朴なタイプですが、鮮度重視のみではない市場鮨として、札幌での定番朝ご飯になりそうです。
posted by さとなお at 22:57|

2006年08月29日

いとう:鮨たかはし(品川)

>あれは関西人(&広島人)のソウルフードであって、日本人全般ではありません。

そうですか・・・。ご飯代わりに食べる、ましてライスを添える場合もあるというのは西の感覚なんでしょうね。逆にぼくは、「やきやき三輪」のようなデートお好み焼店が東京で増殖しているのを少し不思議に感じたりします(嫌いじゃないですけど)。

>そういえば新橋で最近通っている店があります。
「四季ぼう坊」(しきぼうほう:ぼうの字は保の下に火と書きます)

ボウボウとは、そしてさらに土鍋ごはんとは、暑そうだなあ(笑)。ここは名前が個性的なので、何度か前を通った際記憶に残っていますが一度も入ったことがありませんでした。悔しいなあ。
それにしても新橋はまだまだ奥が深いですね。この暑さですが、ぜひ近日中にトライしてみます。

さて、今日は関西人のソウルフードに代わって江戸の食、鮨。
イタリアはミラノ在住の友人から出張で来日するという連絡をもらい、成田に到着する日曜日にスシを食おう、との話になりました。うーん、日曜日にすし希望・・・。さとなおさんならどうしますか(河岸は休みだし、違う料理に変更しようよ、というのが賢明なのもわかりますが)。

ま、一番は新橋の「鮨 しみづ」なんでしょうけど、もう少しリーズナブルな店がいいかなあと考え、最初に渋谷の某店へ電話。ここは日曜日の昼から夜までが通しの営業なので重宝するんですが、その日は貸切とのことでNG。次に、ミラノの友人が横浜に宿を取っているということもあって、できるだけ最寄をと品川の「鮨たかはし」。ここは首尾よく予約が取れました。

最初6時スタートで予約をしていたんですが、イタリアでの晩御飯はたいてい8時か9時ぐらいにスタートなので、そんなに早く腹が減らないよ(笑)といわれ、予約の時間を遅めに変更しようと再TEL。すると、日曜日ゆえ早じまいなので、なるべく早く来てくれと「鮨たかはし」。ま、早く行かないといいネタがなくなるから、と友人をせかして、7時前には清潔感のある居心地のいいカウンターに。

「鮨たかはし」のつまみはもともと定評があるんですが、久しぶりの訪問に、それを再認識。ちょい熟成感のある白身や厚岸の牡蠣、タタキにしたサンマ(サンマの皮は香ばしく串焼きで)、上品に仕上げたサザエのつぼ焼き等、休日を感じさせない工夫の酒肴が途切れなく・・・。
握りも以前食べたときよりもウマく(というか、自分の好みに近く)感じました。ミラノの友人も、おいしいーおいしいーの連発で、やはり日本の本当の食が恋しかったんだなあと思いました。

店の方にも、すごい食べっぷりですねえと感心されましたが、値段は以前より少し高くなったような気もしました(笑)。
posted by 伊藤章良 at 15:29|

2006年06月11日

いとう:たる善、金寿司(札幌)

>イラブー料理は別に「際モノ」ではなく、琉球の伝統高級料理のひとつです。

そうなんですね。確かに気品と風格を感じるテイストでした。そんな伝統料理が絶えることのないよう祈る次第です。

さて、昨日はありがとうございました。さまざまな場面で第一線の仕事をされている皆さんと話をするのは本当に楽しいですね。時間がたつのを忘れました。でも、話が盛り上がりすぎて、大正15年創業のおでん屋さんが閉まっていたのは残念(笑)。

さて、数日札幌に滞在していて気になる鮨店を2軒訪ねてみました。
名店といわれる「すし善」、そして大人の食べ歩きでも紹介した「○鮨」は既訪なので、今回は「すし善」の流れを汲む「たる善」、そして地元の方にも評判がいいという「金寿司」

「たる善」はすすきのにあり、総合的に言うと、「すし善」から肩の力を抜いてやんちゃにした感じ。旅行者として訪ねた「すし善本店」は、個人的にはとても退屈な店だったのです。が、「たる善」はすすきのの中心部、有名なジンギスカン店「だるま」のすぐそばにあって(タクシーの運転手にビル名を告げると、ああ「だるま」に行かれるんですね、と言われました 苦笑)、家族連れ、同伴出勤、サラリーマン、茶髪男ばかりの怪しい集団と、かなり幅広い、かつコアな客層。入った瞬間から独特の空気が漂います。

「たる善」は、丁寧で几帳面な仕事ぶり、というわけではないんですが、ケレン味なくポンポンとつまみやにぎりが出てくるリズムが心地よく、男っぽくていい感じでした。旅行者と知ってか、高級魚はあえて出さずに、貝類やシャコなど今の北海道の旬を並べてくださったのもありがたかったです。

ただ、そんな客層も反映してかなんせ煙い。これには参りました。タネを前にした白木のカウンターでも自重するムードもなく・・・。せっかくいい雰囲気を作っておられるのに惜しいなあ。

一方「金寿司」ですが、こちらは寿司屋というより寿司割烹ですね。L字のカウンターと広いテープルスペースがあり、2階では宴会もやっている様子。寿司も少しずつ手を加えた(江戸前に仕事をしたという意味ではありません)変わりダネ。といっても、まぐろに葉わさびを載せたり、イカに三升漬け(醤油一升と唐辛子一升と麹一升を混ぜ合わせて作られる昔ながらの漬物)といわれる辛味を施したりといった風。ぼくを観光客と思ったのか焼き白アスパラなんかも登場したけど、その辺は十把一絡げにせず、鮨好きオッサンの醸す空気を多少は読んでほしかったなあ。

接客も丁寧で気持ちいい対応ですが、何せ大量の客をさばいている都合上待たされる時間も長く、タイミングが悪くて少々苦痛でした。

で、いずれの店もメインの冷酒を、日本最北端の酒蔵として有名な増毛の「国稀」純米にしてました。これは○鮨でもそうだったので、道産では寿司に合う酒と認められているのかもしれません。

価格的には両店ともほぼ同じぐらいで、軽く飲んで、つまみとにぎりで1万円/1人ぐらいでしょうか。東京の同じレベルからすると3分の2ぐらいの値段かなあ。
posted by 伊藤章良 at 20:00|

2006年05月07日

いとう:千成寿司(大阪 淡路)

ゴールデンウイークは大阪の実家で過ごしています。東京から休暇で大阪や京都に来ている友人と食事をしたり、関西在住の20年来の親友と痛飲したりと、なかなか充実していました。プラチナぐらいかな。

母とも焼肉を食べに行ったり(母はもうぼく以外の方と焼肉を食べる機会がないそうで、ぼくと焼肉に行くのを楽しみにしています)しました。ぼくが朝起きて、今日は対談を書かんとなあ〜、とつぶやくと、「昨日はさとなおさん頭痛でお休みやで」と言うのです。ぼくより先に対談もさなメモもチェックしている母でした(笑)。

「マルディ・グラ」の料理、おとなしくなっていましたか。ぼくはまだ未訪なんですが「ダルマット恵比寿」もおとなしくなっているみたいな報告を聞いています。自分たちが慣れてしまったこともあると思うけど、やはり傾向として保守的になっていくんですかねえ・・・。少し残念。

>GW中なのにちゃんとやっていて、がらんとした銀座で「MG」の看板の灯を見たときは、それはそれは砂漠にオアシスを見たような気持ちでした。

大阪でも、特に北新地などは本当に閑散としていて行く店に困りました。ミナミでも普段は朝方までやっているのにGW中は12時までとか、そんな感じ。ただその中でGW中に果敢に開けている鮨屋があって、やっと訪問できました。

以前ここにも書いた、大阪は淡路にある「千成寿司」。まだ30歳前ぐらいの若い方が一人で板場に立ちます。彼はぼくが昨年のヨーロッパ出張でとても世話になった通訳パトリック君のいとこ。新橋の「しみづ」にも短期修業に来ており、大阪の下町で大胆にも本格江戸前鮨に挑戦する、今後が楽しみな料理人です。

なんか関係がややこしいので整理すると、パトリックのお母さんは日本人で実家が淡路の寿司店。1970年に開催された大阪の万国博覧会でフランス人男性と知り合い、そのままパリで結婚。パトリックはパリ生まれパリ育ちだけど、いとこが淡路にいる、というわけです。

まだまだ手の遅いところや、握りの形が揃わなかったりもするのですが、そういったことは回数をこなしていけば解決するでしょう。というより、ほとんどかやく御飯色にまで赤酢を効かせた酢飯。人肌の温かく好ましい温度。炊き加減もアルデンテの絶妙さ。など、大阪では「なんやこれは?」と言われそうなこだわりを随所に感じて驚きます。まじめで純朴そうなお人柄からは、なかなかそこまでの頑固さを垣間見ることができないのですが、逆境(笑)に耐えて、今のスタイルを大阪の下町でも貫き続けてほしいものです。

機会があればさとなおさんものぞいてみてください。
posted by 伊藤章良 at 14:18|

2006年03月30日

さとなお:八左エ門(新子安)

ホント、西麻布のあたりって鮨屋ふえましたね。って、行ったことある店は少ないのですが。

鮨屋はひとりで食べる夜メシとして最適だし、ひとり夜メシが嫌いではないボクとしては重宝するのですが、西麻布とか六本木の鮨屋でひとり鮨をするのは躊躇します。ちょっとチンピラちっくな人も多いし、品のない団体客に遭遇する確率も高い気がする。ひとり鮨は繁華街をちょっと離れた路地の店とかの方が楽しいですね。

鮨つながりで、今日は新子安の「八左エ門」を。

新子安というと品川と横浜の中間くらいかな。京浜東北線の目立たない駅なのですが、ここに、まだ横浜に「次郎よこはま店」があった当時その次郎と並び称された店(横浜二大名店)が移ってきてるので行こう、と友人に誘われて今月頭に行ってきました。

駅をマリノスグラウンドの方に出て「千草庵」(←なかなかおいしいらしい)という和菓子屋を横目で見て歩いていくのですが、店は表通りからまったくわからないようになっています。看板も気配もない。ビルの3Fにあるので知らないとたどり着けないですね。

で、扉を開けると別天地。
掃除の行き届いた清潔で凛とした空間。白木のカウンターのみ。冷蔵ケースを使わずタネ箱もお櫃も隠されています。超シンプル。シンプルすぎて、お店の人も店主のみ。お茶もお酒もつまみも握りも会計も全部店主ひとりでやるのでどうしても進行が遅くなります。取り回しの人をひとりだけでもいれればいいのに、と思ったけど、どうやら店主が完全主義すぎて若い衆がいつかない模様。そんなことを店主がつぶやいていました。

握りは背が高く細長いタイプ。底の方が厚い台形状。そういう意味ではあまりカタチよくないけど、バランスは良かったです。んでもって酢飯がとてもいい。大櫃から小さいお櫃に移して握るのですが、大櫃を開けるたびになんとも言えない香気が漂ってきて、それだけで至福でした。赤酢ではなくしっかりした米酢を使っているという印象を受けましたが、そんなことをサイトに書いたら「以前は赤酢がベースと聞きました」とメールが来たので、いろいろ混ぜて最適化して使っているのかもしれません。もしくは試行錯誤中かも。

新子安という立地もあるのでしょう。おまかせのみで、タネの種類も少なく厳選されています。コハダ、アナゴ、車海老など、唸る握りもありましたが、一番印象に残っていてリピートしたいと切望するのは干瓢巻き。しっとりしていていままで食べたことない干瓢でした。「松波」「しみづ」「すずき」の干瓢もいいですが、ここのが個人的ベストかも。

わりとたくさん飲んだのですが(進行が遅いからどうしても)、値段はまぁまぁリーズナブルでした(この手の高級鮨としては)。昔はもうちょい高かったそうだけど、とりあえず新子安値段、ということですかね。ボク個人としては、通うまでは行かないにしても、そのうちもう一度行ってみたい店ではあります。干瓢食べたい♪
posted by さとなお at 09:12|

2006年03月29日

いとう:海心(西麻布)

>沖縄そばは「首里そば」と「てんtoてん」がダントツに好きでしたが、ここにきて「淡すい」と「安珍」が加わって、また沖縄行きが楽しみになりました。

「首里そば」と「てんtoてん」は、以前さとなおさんのサイトで見て行ってきました。特に「てんtoてん」は(場所がたいへん分かりにくいんですが)、完成度が高く印象に残っています。そんな店と肩を並べる「淡すい」と「安珍」もぜひ行ってみたいですね。できたら暑くならないうちに(笑。

今日は久しぶりに鮨の新店「海心」。昨年暮れに西麻布でオープンです。
西麻布には、「拓」「まさ」「たか」「真」「廣瀬」「和心」「ゆう田」「笄鮨」「鮨寛」「小笹すし」「こむろ家」と、鮨店が密集しつつありますが、どーもイマイチ決め手に欠ける店ばかり。また行ってみようかなと思う店が少ないわりに、価格だけはどんどん上昇気流に乗って銀座化してます(汗)。
そんな中で「海心」は、にぎりこそ好みとは全く違うんだけど、とってもいい店で久しぶりにホッとしました。

店主をL字に囲んで10席。裏方とサービスは奥さん担当の二人三脚。おすしと酒が好きな人を純粋に満足させたい、という真摯な姿勢がストレートに出ていて、すがすがしい空間です。食事の好みや酒の趣向などを鑑みながら客によって出すものを変えているところなんかも面白いと思ったし、少ないながら日本酒の品揃えも工夫されていて、料理人としてのこだわりを感じました。

親方と酒談義をしながら、つまみを美味しくいただいたんですが、にぎりは、飯が柔らかく酢も薄く温度も一定しておらず、あまりバランスのいいものではありませんでした。ただ、親方の人柄やセンスは悪くない感じなので、これからどんどん変わって行くんじゃないかなと、「しみづ」がオープンして間なしのころと同じ感慨を少し持ちました。

現在はさとなおさんの同業の方々が席を占める(笑)つまみ系の店ですが、弱冠32歳とお若いので何度か顔を出しそんな話もしてみたい気がします。
posted by 伊藤章良 at 16:13|

2006年02月07日

さとなお:鮨とワイン

いえいえ。ボクもしょっちゅう1日飛ぶので、その辺はお互い様ということで。のんびり続けていきましょう。

「寿司幸本店」は赤ワインのヅケとかも出してくるので、赤ワインとかを合わせる意味がありますよね。白もシャプティエだったりするので、なんとなく鮨っぽい(ビオだから、なんとなく)。まぁそれでもワインと鮨の相性はボクはまだわかりません。「おぉ!」と唸ったことがない。

「鮨 水谷」には「ガリ酢割り」という飲み物があります。
水谷さんに聞いたら「小山薫堂さんが来たときにリクエストされ、即興で作った」らしいですが、要はガリを漬けてた残りのお酢で焼酎を割るんですね。これは鮨に合います。というか、マリアージュというより口直し的に相性が抜群(ガリなので当たり前といえば当たり前)。ああいうお酒なら合わせる意味があるけど、ワインならどうなのかな…。ワインよりお酢系の方が合わせる意味があるなぁ…。

たとえば飯尾醸造さんで造った昔ながらのお酢で握りを作り、そこに飯尾さんの果実酢で作ったカクテルかなんかを合わせたらきっと合うのだろうなぁ、とか。
そういうのなら楽しいけど、ワインをわざわざ握りに合わせなくても、とは思っちゃいますね。

あ、でも、「松波」のキャビアの握りなんかは白ワインやシャンパーニュに合うかも。あと、大トロを炙って握ってくれたりするのなんかはブルゴーニュは合うかもですね。握りによって必然性があって合わせるのは楽しいかも。

もしくは、果実酢とかワイン・ビネガーとかバルサミコで酢飯を作って、それで握ったらワインとのマリアージュも出てくるのかもしれません。

もともとボクは「タネに合わせて酢飯も複数炊いたらどうだろう」と夢想してるので、そういうトライをどこかでしてくれるなら、喜んで実験台に馳せ参じるのですが。
posted by さとなお at 19:37|

2006年02月06日

いとう:拓(西麻布)

鶏については、ぼくもいろいろと考えたり調べたり思い起こしたり(笑)する機会ができました。「鳥栄」や「鷹匠寿」といった究極なところは別として、基本はガハハであって欲しいと思っています。味や雰囲気のアレコレを言うよりも。

一日飛んでしまいました。すみません。一昨日オフ会があり、かなりゴキゲンで4時ごろから5軒ぐらい飲み歩き日曜日の実稼働時間が半日となってしまったわけで・・・。
今日は、行ったのはかなり前なんですが、西麻布に新しくできた鮨店「拓」を取り上げてみたいと思います。

この店については少しネガティブな感想を持ったので書くのはやめようかなあと思っていたんですが、実際に客として行かず取材のみで紹介している記事を読んでいると、店の実態と乖離してる部分が散見されるので、やっぱり書いてみたくなりました。

「拓」は、ソムリエと鮨職人が作った店で、店にソムリエがいることを特長としている、みたいな内容をどなたかのブログで読んで、「鮨に行きたいんだけど日本酒は少し苦手」という方との食事に選んでみました。わりとこう、ぼく自身は鮨とワインのマリアージュにほとんど興味がない、というか、米を食べるんだから米から造った酒とあわせて当然と考えています。だけど、ソムリエがいる鮨店というのにも興味をそそられ、鮨職人が出すつまみやにぎりに対して、果敢にワインを合わせてくるなら楽しいなあと想像しました。

と、食べることが好きな人なら誰もがそう考えますよね。究極には銀座の「寿司幸」もありますが、やっぱりかなり高いしなーと腰が引けるので。だけど、「拓」は期待とは違いました。実際には、リストが少なすぎて選べるワインがありません(というかここ程度の品揃えなら、他の鮨店にもありそうです)。選んでももらえません。結局値段的にも味的にも一番無難なものをようやくひねり出して頼むと、品切れといわれてしまいました。

で、中途半端にグラスでワインやシャンパンを飲んだあと、結局焼酎に移らざるを得なくなり、トータルで締まらない印象が残りました。店はスタイリッシュでカッコいいし、カウンターの居心地もすばらしい。スタッフの方の対応も申し分ない。つまみやにぎりも西麻布では、及第点レベルです。ただソムリエのいる鮨屋との選択肢で望んだら肩透かしでしょう。

そして支払いも、「寿司幸」にも行けたかなというぐらい、高額になってしまいました。
posted by 伊藤章良 at 11:54|

2006年01月09日

さとなお:寿司幸本店(銀座)

鮨匠というと、なんか「すし匠」の系譜のように感じますが、「寿司幸本店」出身なんですね。バランス系ならぜひ行ってみたいです。固めの酢飯なら特に。

「寿司幸本店」は、雰囲気がとても好きです。
銀座のあの立地 & 創業100年の老舗なのに、えらくカジュアル。なにせテレビがついてますから。んでもって、店主の杉山さんも全然偉ぶらないし、入口に控えているおばあさんもとてもいい感じだし、なんか気楽に鮨をつまむ雰囲気が充満していて好きですね。
きっと銀座ってもともとこういう店が多い街だったのだろうな、とか想像しながら食べることが多いです。

鮨にワインを合わせる店として有名になってしまったのでなんとなく格好つけたイメージがありますが、その正反対の雰囲気なので、噂を聞いて肩肘張って来たお客さんとかはずっこけると思いますね。

と、基本的に好きな店なのだけど、ひとつだけ個人的な理由で足が遠のいています。

それは「職人さんが多いこと」。

これは仕方ないのだけど、親方の前に座れる確率が実に少ない(1階2階と分かれているし)。
そんなの10年早いかもしれないし、常連になってから言えということかもしれないし、他の職人にも上手なのがいるかもしれないけど、でも、入店してどこに座らされるかでその夜が決まってしまう感じがどうも不安なのです。このレベルの店だとそれなりに高い賭けになりますから。

もし若手の前に座らせられちゃったらちょっと残念だし、値段も変わらないし、そういう賭けをするくらいだったら親方ひとりでやっている小さな鮨屋に行った方がいいかなぁと踵を返してしまうことが多いですね。

フレンチやイタリアンだったら若手が作っても気にならなかったりするんだけど、ここが対面商売の難しさ。
やっぱり(親方に厳しく仕込まれているとはいえ)目の前で若手が握ると「今日はこの若者の練習台か…」とか狭い了見を出してしまいます。すぐ近くで親方が握っているだけに余計に。

若い職人の成長を温かく見守る旦那衆的気分になるにはあと10年くらいはかかっちゃいそうです。

でもある程度食べ慣れてくると、次はそういう次元に上らないといけないのでしょうね。
少しずつ了見の狭さから卒業していかないといけないなぁ。
posted by さとなお at 16:42|

2006年01月08日

いとう:鮨匠岡部(白金台)

もつ鍋、匂いを気にしなければ確かにパワーがつくような気がするし、女性は肌もつるつるになるみたいですね。でも本当に混んでいます。まずその安さが魅力なのでしょうけど。

昨年暮、名店の一つに数えられる中目黒の「鳥小屋」に夜10時ぐらいにフリで行ったら、空席はいくらでもあるのにその時間にして「予約で一杯です」と言われました。「鳥小屋」は中目黒に三店舗ほどあるので、「他店の状況はどうか」と店の方に聞いたら、「勝手に電話して聞いてくれ」と、名刺を渡されました・・・。まあいいけど。

「嵯峨野」、知りませんでした。とてもよさげですね。銀座にふらっと行くことはあまりないので機会は少ないと思いますが、ぜひ覚えておきます。ぼくは学生時代京都で過ごし、当時の京都の大学生は、昼は「王将」か「天下一品」、夜はおばんざいやで飲む、という感じでして、「山口大帝」というばんざいや(今でもあると思います)によく行ったなあ。「鶏だんごと白菜のスープ煮」を「鶏ミンチと白菜のたいたん」とか書いてあると、余計に和むのですが(笑)。東京の人には意味がわからないかな。

さて、またまた鮨です。しかも白金台。少し前に書いた「双輪」という店から、徒歩30秒という至近距離にあります。2005年9月オープンというので、まだまだ新店ですね。最近ぼくの紹介する鮨の新店は評価が甘いのでは? とのご意見が寄せられておりまして、スミマセン。例えば「水谷」のように、オープンしてすぐ有名店の仲間入りができる店なんかは別として、少し「応援したい」気持ちが入ってしまうのかもしれません。

「岡部」は、正直言って入店後シマッタと思いました。外から見るより中は雑然としている。カウンターのみの店かと思いきや奥にテーブル席があってそこでは宴会の様相。カウンターはドクターや編集者といった酒しか飲まない年配のカップル2組・・・。

関係は詳しく聞きませんでしたが、おそらく親方、奥様、20代半ばぐらいの息子さんの3名で営まれている様子。もちろん包丁を握るのは親方のみ。見ていると酒の用意も親方がやっておられて、これではテンポも悪いだろうなと沈みがち。

つまみからで、と聞かれたので、とりあえずその旨伝えると、煮炊きした酒の肴ばかりが出てくる(まあぞんざいに出される割には美味しかったのですけど)。トロにタレをつけて炙ったものが次に出されそうになり、あわてて握りに切り換えました。

握りをお願いすると、小皿を用意されなかったので(つまり煮きりはつけて出されると判断)少し安心。ガリを一口、うまいのでさらに安心。魚の扱いとかを見ていると、荒っぽいようで意外と素早く美しく仕上がっていく。そして握りはというと・・・、美味しかったですよ。さとなおさんの言う「タネ-酢飯・バランス系」を久しぶりに新店で体感しました。

酢飯は、米粒のまわりがねっとりしているに比して中はしっかりと固く芯のあるアルデンテ(個人的にはもう少し酢が利いていてもいいかな)。赤身は薄く切って軽くヅケにし、イカは柔らかいので分厚く塩で。プックリとしたコハダはおぼろをかませ、赤貝はサッと酢を通す。濃厚な穴子は二枚付け。久しぶりに見た老練の江戸前仕事。奥の宴会を面倒見つつ、ぼくのお好み注文に対しても全く淀みがありません。まあカウンターの中年カップル二組は、ずっと酒ばかり飲んでいたのですが。

普段は絶対しないんですけど、どうしても聞いてみたくなり「こちらに出される前はどこで?」と恐る恐る切り出すと「銀座ですよ」との答え。それに納得して席を立とうと思ったら女将さんから、「銀座の寿司幸という店です」と重ねて教えていただきました。

値段はどうか。まあ安くはありません。「しみづ」より高く「水谷」よりは安いかな。カウンターは禁煙でした。
posted by 伊藤章良 at 12:03|

2005年10月28日

いとう:双輪(白金台)

さとなおさんは、もう東京でしょうか。お疲れ様でした。
というか、すでに東京でもビジネスモードに入っておられるような気がします。東京は暖かくていいでしょう(週末は崩れるようですけど)。

ニューヨークの4大カリスマシェフは、Jean-Georges、Alain Ducasse、Daniel Bouloud、Mario Batali なんですね。一応全員の料理を食べたことがあるなあ(といっても、本人が鍋を振っていたかどうか定かではあませんが)。ちょっとウレシイです。Mario Bataliは、「Po」「Babbo」には行ったことがあります。「Lupa」は行こうと思って予約までしていたのに、ニューヨークでの大停電の翌日とかち合ってしまい断念。でも、ダメモトで一応徒歩にて店の前まで行ってみたのですよ・・・。隣の鮨屋は開いていて、繁盛していたのを覚えています。

>こういう店で40代や50代がしっかり楽しんでいる姿がNYだなぁと思います。

本当に同感です。自分も同じ世代として、その場にいっしょにいることがとても幸せになりますね。ただ、ニューヨークの40代や50代が忙しくないか、というとそうではないと思うのです。要は楽しみ方を知っていて、なおかつ楽しむことに情熱と意欲を傾ける「中年」でいられるかどうか、なのかなあ。

ということで、鮨の話題も出たことだし白金台の鮨店。
白金台では今まであまりいい鮨屋と出会えませんでした。場所柄決して客に恵まれないとはいえないけど、プラチナ通りに象徴される洋風のイメージがどうしても付きまとうのでしょうか。
「双輪」は、プラチナ通りの一本目黒側、庭園美術館に沿って走る静かな(タクシーの運転手さんが昼寝をするような)道にポツンとあります。一度前を通って「あっ、こんなところに鮨屋が出来てる!」と目を付けておいて、電話番号を調べやっと訪問してきました。

小さなビルの2階。店主に聞けば、下では理髪店を営業していて、その息子が小さなバーを上に作ったが結局やめてしまい、そこを改装して鮨屋にしたとのこと。カウンターのみ6席を若い店主が一人で守ります。なんとなく鮨屋の原点のような雰囲気も醸していて居心地もなかなかです。

にぎりは、多少酢飯の温度が高いと感じたけど、想像以上に完成されていました。個人的にはもう少し酢の強い方が好きですが。また、おまかせのバランスや江戸前仕事に対するポリシーもしっかりとお持ちのようで好感が持てました。ただ、ぼくたち2人以外の席は埋まることがなく、そうなると魚の仕入れにも苦慮するだろうなあと心配です。日曜日も営業されているようだし、細く長く付き合ってみたい、とそんな風に感じました。
posted by 伊藤章良 at 18:29|

2005年09月28日

いとう:松波(浅草)

いやー、月曜日はかなり飲んでしまいました。ただ、お酒をセープしているさとなおさんは初めて見たなあ(笑)。

「霞町嵐」のマスターが、大崎さんを大崎さんと知らず、果敢にラーメンの話をするところがヒヤヒヤで面白かったです。マスターは、ぼくらが帰った後、大崎さんとは「ラーメン屋さんのチェーン店展開がらみで元親分が弟子を拉致したとかいう事件が以前あって、あのときワイドショーでラーメン業界の構図を語っておられた人」と教えられたそう。マスターも「この人、真面目な顔してすごいこといってる」と覚えてたようで、後で大納得。

あの日の帰りに、大崎さんらしい逸話を語っておられたので再現。
あるラーメン好きの人「うち会社の近くに二郎というラーメン店があるんですが、ご存知ですか」
大崎さん「どこの二郎ですか(二郎って25店もあるんだけどなあ・・・)」
ラ好き「ああ、やはりご存じないんだ。あそこはね・・・(と続く)」


昨日書いておられた「ボン・ヌフ」は前をよく通るのですが、そんな郷愁をそそるメニューがあるんですね。昼にあの界隈に行くので今度のぞいてみます。ぼくもあのケチャップのナポリタンが意外と好きで、ナポリでもその原型「トマトとバジルのスパゲティ」を食べたのですが、日本のナポリタンも負けてなかったです(笑)。
あっ、それと「TITLE」でさとなおさんの石垣牛の話読みましたよ。しかしあんなに牛肉ばかり食べてたんですねえ。読んでるだけでおなか一杯です。

さて、明日からまたしばらく海外ということもあって、久しぶりに浅草の「松波」に行ってきました。いやーうまかったなあ。口に運ぶたびに絶句してました。さとなおさんが以前書いていたアルデンテのシャリ。ズバリ的確な表現ですねえ。「松波」のシャリは、表面は柔らかく噛み込むほどに腰があって最後まで鮨タネと絡んで離れない。親方がタネとのバランスを考えてこの固さにしたと言っておられるごとく(シャリが柔らかいと「握り」が「おにぎり」になってしまいますからとの冗談も)、これほどまでの高い完成度を口の中で感じることは本当に稀なこと。

また厳選された鮨タネも、仕事をしてあるのかどうか注意しないと分からない程度の微妙な味わいや香りがあって、それを探しつつ食べ進めるほどにぐんぐん深みに入っていく、というかタネ一つにも、どこまでも続く奥行きがある、みたいに感じました。柑橘類や塩を使わないのも魚本来の甘さや香りを損なわないため、だそう。反対に酢味噌、梅干し、大根などを使って、日本料理の中に伝統的にある魚とそういった調味料との相性も鮨の中で追究しているそうです。浅草の外れで遠いし相当高いですが、季節ごとには訪れたい名店ですね。

で、その後銀座に流れ「Y&M Bar」に。御大毛利さんが登場したところで彼のオリジナルカクテル「ジャマイカン・マティーニ」を注文。毛利さん曰く「ジャマイカン・マティーニは、ラムとシェリーを使うんだけど、HavanaClubのラムとドンゾイロのドライシェリーじゃないとこの味はでないんだよね。いろいろと他の酒でも試してみたけど、この二つのようにはうまく絡まないんだよ」

くしくも「生魚でも、やっぱりサバには味噌、ブリには大根が合うんですよ」と語っておられた「松波」の親方と毛利さんのその言葉がぼくの中で響きあい、一晩でこんなすごい二人から、食べる・飲むすばらしさを享受していただくことができた、最高に幸福な夜となりました。

さてさて、明日からまた2週間ほどジュネーブ、ミラノ、パリに出張します。せっかく対談の雰囲気が盛り上がってきたところなのにすみませんが、しばらくお休みします。
posted by 伊藤章良 at 18:13|

2005年09月16日

いとう:ひろ鮨(都立大学)

前回「お詫び」だけでしたが対談を書いたので、すっかり自分の番だとは思っていませんでした(笑)。すみません。

さて、都立大学駅から柿の木坂へ向かう途中にある(住所は八雲ですが)「ひろ鮨」に行ってきました。ここは自由が丘の「鮨幸」から独立した若いご主人が、奥様(たぶん)と2005年の7月にオープン。元気で気持ちのいい店との評判を聞いて早速出かけました。

確かに、見かけはとても若いお二人が切り盛りする「ひろ鮨」は、ハイクラスの鮨店としての清潔で凛とした雰囲気と、やんちゃでアグレッシブな面とがうまく共存する居心地抜群の空間。ご夫婦揃っての、まじめで丁寧な接客も好感が持てました。なんというか、きちんと毎朝築地に通い、夫婦でうまく作業分担しながら真っ当な江戸前鮨が出せる店を営んでいこうとの、ひたむきさも魅力の一つかなあ・・・、などと微笑んでしまいました。

鮨タネ以外のつまみを出さないところも(あの場所で鮨タネ一本でやっていくには大変だと思うけど)とても意欲的。おみやげを頼んだ客にも、「おみやげの器を用意していないんでやってないんですよ」との回答です。

で、肝心のにぎりですが、口当たりのやさしい小ぶりの女鮨。お若いので強い男鮨も一瞬期待しましたが、そこまで求めるには酷かなあ。タネにはずらっと光物が並び、しめ鯖、カレイの昆布じめ、煮蛤など、仕事をしたタネも豊富に準備、ただ、出来栄えには多少バラツキを感じました。

「おこのみ」で食べたのですが、サンマを頼んだのにいわしも続いて出たり、ホタテをお願いしたときもそれ以外の貝も握ったりと、もしぼくが几帳面でケチな客なら、どうして頼まないのも出すんだよ、と返しそうですが、ぼくを鮨好きと見てサッと追加で出してくれる呼吸には個人的に高い評価。

おそらく普段の「しみづ」と同じぐらいの量を食べて(お酒は少なかったかも)一人10,000円を切る価格。日曜日の夜も営業しているので再訪意志を強くしました。
posted by 伊藤章良 at 13:02|

2005年07月11日

さとなお:山路(西麻布)

「ハンニバル」の原宿店は、以前サービスをしていた人が厨房に入っているそうなので、その点少し未知数です(彼も料理人らしいですが)。でも、たぶんおいしいでしょう。ボクも近々覗いてみようと思っています。

そうそう、「ハンニバル」って羊料理も多く、ボクは「もしかして羊たちを沈黙させる(殺して食べる)からハンニバル?」とか冗談で店の人に聞きました。もちろんそんな凝ったネーミングではなく、「チュニジアはもともとカルタゴと呼ばれていたんです。そこの名将軍ハンニバルの名を取って…」と世界史を復習させられてしまいました。カルタゴのハンニバルの話はココココで復習できます。

「山路」と聞くとすぐ西麻布の鮨屋を思い出してしまいますね。藤本繁蔵の弟子、館野弘光氏が握る店ですし。正確には二番弟子になるのかなぁ。板橋の「す々木」の鈴木民部氏と同じ時期の修業だったか……忘れましたが、あの西麻布の店にはいろんな思い出があります。

というか、わりと「高級寿司店にひとりで行くぞ!」と気負って行った最初の店だったかもしれない。

鮨屋はもちろんいろいろ行ってたのだけど(「次郎」「きよた」もその時点で経験済みだったと思う)、ひとりで高級鮨屋のカウンターに座って親方と対峙するという経験をまだしてなかったんですよ。噂に聞く藤本繁蔵の弟子(当時はまだ藤本繁蔵なんて名前知っているコアな鮨好きはほとんどいなかったけど)の鮨をぜひ食べたい、と力んでひとり寿司に挑戦したのでした。

あの赤い絨毯を踏みしめて親方の前にひとりで座ったのは約9年前。35歳前後のことだったかな。ちゃんとお金払う客なんだからビビる必要ないんだ、と自分に言い聞かせつつも、「こんな若者誰も来てないじゃん。こえ〜」「やっぱその店に来ていい年齢とかあるよなぁ〜」「それにしてもいくらかかるんだろう。4万円持ってきたけど大丈夫かな」「お好みで食べるとして、どういう順番で頼んだらバカにされないかな」とかとか、いろいろドキドキ考えてたのを昨日のように思い出しますね。

親方(館野氏)は無愛想な人なんだけど、ボクのドキドキを見透かして、次々と「今日はヒラメがいいですよ」「コハダはどうですか?」「煮ハマ、いってみます?」とか語りかけてくれ、上手に緊張をといてくれました。ま、どんなに経験者ぶってどう取り繕ってもカウンターのあちらからは見え見えだったのでしょう。途中からボクもそれに気づいてすべてを親方に任せて食べました。お勘定も14000円くらいでホッとしたし(とはいえ35歳の身には超高額だったけど)、小上がりには芸能人の団体がいたりしてボク自身の自己満足度も高かったし、いわゆる「思い出の店」のひとつですね。

銀座の「山路」は何度も前を通りかかり「あの山路と関係があるのかなぁ」と気になっていたのでした。そうですか、そういう店なんですね。今度機会があったら行ってみたいと思います。一見でも行けるのだろうか。
posted by さとなお at 11:43|

2005年07月06日

さとなお:鮨真(西麻布)

伊藤さん、お帰りなさい。
ボクもちょうど激忙しい時期だったので、更新が空いたのはラッキーでした。先週はホント余裕がなかったし。

とはいえ、鮨には相変わらず行っていて、「鮨真」「與兵衛」に行きました。あんだけ忙しかったのによく行くよって感じですが。「與兵衛」での赤酢談義はさなメモの方にも書きましたが、それ以外にもわりと深く話をして楽しかったですよ。そのうちゆっくりどこかで書こうと思っています。

西麻布の「鮨真」は伊藤さんが「2003年 印象に残った店」で書いてられましたね。
友達に誘ってもらい、やっと行けました。平行な部分がほとんどない不思議なインテリアの店内は、そのせいかとても広く見えると同時に思ったより落ち着け、なかなか良かったです。シンプルできりっとした鮨屋もいいけど、こういう柔らかい空間もなかなかいいなと見直した気分。
親方の真ん前に座りましたが、かなりの強面なので最初は気詰まりでした。でもたまにニコッと笑って、それがとても可愛い(失礼!)ので、やっぱ強面の人の方が得だなぁとか思いましたね。強面の人はたまに笑うだけでそれが値千金になる。いいなぁ。
どちらかというとつまみ中心の店で、感心したお料理もあったけど、正直、全体に印象の薄いつまみだったかも。握りは赤酢でかなり柔らかめに握ってありとても優しい味。バランスはまぁまぁだけど、もうちょっとポイントがほしいと思いました。結局ひとり2万円強したので、それだけするならば、もっと印象が強い握りがいくつかないと苦しい。以前は安かったようですが…。ただ、わりと飲んだしわりとつまんだので、普通に食べたらもう少し安いのかも。

それにしても、そんなに奇を衒ったフレンチとかアニョーとかアニョードレ(くそー!)とか食べたなら、ちょっと丸くなって帰ってきたんじゃないですか(皮肉)。いいな〜アニョードレ。
posted by さとなお at 21:33|

2005年06月22日

さとなお:「鮨なかむら」と「鮨しみづ」

伊藤さん、昨晩はありがとうございました。
サン・カルロ歌劇場のオペラ「ルイーザ・ミラー」最高でした。大量に浴びた波動がまだ身体の中に残っています。

終演後にいっしょに行った六本木の「鮨なかむら」。ボクは初訪問でした。
実はもう少し「おつまみ系」の鮨屋だと想像していたんですね。なんかちょっと「すし昴」的なイメージを勝手に持っていたんです。でも、なかなか志高い鮨でした。やさしく小さな、いわゆる「女鮨」なんですが、やさしいなりにバランスもよく、世界最高峰のオペラを全身で受け止めてハードルがガシンガシンに上がってしまっている舌(というか感性)にちゃんと応えてくれた気がします。
おぼろをかませたコハダ、ゆず味に仕立てたカスゴ、バランスよくネギをきかせたアジ、カステラ状のタマゴにいたるまで(少々やさしすぎる握りはありましたが)、いい流れで構成してくれたと思います。味の流れをきちんと意識してくれる鮨屋はいいなぁ。
店主はまだ相当お若いのですね。少しビクビク気味な物腰が客を不安にさせます。年期を積んでもっと自信が出てきたら、もう少し「強い握り」に成長するかもしれません。期待します。

あそこでも話しましたが、いわゆる「男鮨」の典型みたいだった「鮨しみづ」(新橋)が、最近相当色っぽくなってきていますよ。いい意味で男っぽさがあった握りだったんですが、少しバランスが「やさしさ」方面に傾いてきました。ボク的には少し残念な部分とうれしい部分と両方あるのですが、きっと過渡期みたいなものなのかなと感じています。バランス的にはより良くなったし、時代(流行)にも合ってきている。しばらくこの方向もアリなのかも。
ただ、前々回よりも前回、前回よりも今回、という感じで「やさしさ」が増しているのが少し心配。ある程度やさしさを追求した後、もう一度バランスを男鮨側に返していくのだと想像(希望)しているんですが、このまま流行に合わせて進んでいって最終的に「単なる弱い握り」になったらイヤだなぁ。

ボクは基本的に酢飯は固いのが好きです。
柔らかい酢飯でもタネとのバランスさえ良ければ喜んで食べますが、このごろ全体に酢飯が弱い店が多すぎますね。なんのためにタネと酢飯をわざわざ合わせて握るのか、を考えてくると、あんまり弱い酢飯では握り鮨として成り立たないと思うのですが。
って、わりと鮨の自腹で痛い目に遭うことが多いので、少し愚痴ってみました。
posted by さとなお at 15:27|

2005年04月28日

さとなお:喜よし

「PINOT Provence」は店名が相当スノッブというか狙っているというか…。
料理のボーダレス化(フュージョン化)は本当に激しいですよね。日本ではボーダレス料理(無国籍料理?)を出すのはダイナー系っぽくなっているけど、きちんと志の高いボーダレス料理を食べてみたいと思う昨今。どこかありますか? あまり行かないので知らないのですよ。適当なインスピレーションで作った創作料理ではなくて、きちんと元ネタの凄さを理解した上での組み合わせボーダレス。

ニューヨークでは、たとえばイタリアンなら、「イタリアン・イタリアン」と「アメリカン・イタリアン」と「ジャパニーズ・イタリアン」のみっつに分化しているような印象をうけました。これはボーダレスというよりはフュージョンだけど。でもここにフレンチとかインドとかエスニックとかの影響が入ってくると、逆につまらなくなっちゃうのだろうなぁ。難しいですよね、ボーダレス。

話は大きく変わって、お鮨。
昨日数年ぶりに「喜よし」に行き、これで短い期間に「銀座小笹」「喜よし」「神泉小笹」と系譜を回ったことになりました。
くわしい印象はそのうちサイトで書くと思いますが、男鮨・女鮨で分けるなら、「銀座小笹」>「喜よし」>「神泉小笹」な感じでクッキリですね。下北小笹の故・岡田周三氏が握った鮨に一番近いのはやっぱり「銀座小笹」。「神泉小笹」は小笹系列の匂いがほとんどしない印象でした。「喜よし」は、数年前よりずいぶん大将からも握りからも角がとれた印象です。角がとれたというか、すごくナチュラルになった感じ。このまま「普通の店」になっていくのではないかと一瞬危ぶまれるようなナチュラルさでしたね。いい意味での普通さ、なのだけど。
posted by さとなお at 11:36|