2008年04月06日

いとう:リストランテ・ラ・バリック・トウキョウ(江戸川橋)

「インカント」。ぼくはこの店にイカンとして予約するも、二度もキャンセルする事態になりまして、実は縁がないのかなあなんて少し思っていました。かなりいい感じですね。メニューで迷いまくって同席者とせーので言い合うのが大好きです(笑)。で、意外とみんな同じチョイスだったりして「やっぱり嗜好が似ているなあ」としみじみ思ったりするのであります。

「インカント」はワインにもいろいろといいものがあると聞きますし、料理で迷い・ワインであれこれ考えと、そんなに楽しいことはありません。これはぜひ三度目のトライをせねば。

ではぼくも、イタリア郷土料理つながり、といいますか、ステキなイタリア料理店つながりで、「リストランテ・ラ・バリック・トウキョウ」を紹介します。まーここは、昨年秋のオープン以来相当話題になっており、そうなるのもさもありなんと確信するに足るぐらい、近々にでかけたイタリア料理店の中でも本当に心地よい店。

オーナー坂田さんのご実家をリニューアルした、玄関や欄間のある洋空間も興味深いし、美しいソムリエール(奥様?)に心トキメキます。そして、坂田さんがサービスの修業中に出会い、いつか一緒に店をやろうと誓い合ったというシェフの料理は、素材を見極めその本質を最大限に引き出す力に溢れて、「的を射た」と形容するにふさわしいドンピシャなテイスト。見た目や口にした瞬間はやさしさも感じるんだけど、食べていくうちにさまざまな角が現れて一皿に込められた創意と工夫が五感に染み渡ります。

で、もっともっと月替わりのイタリア郷土料理メニューのことやワインのことも書きたいんだけど、それは溢れかえるマスコミ情報を参考にして下さるとして、なんといっても「ラ・バリック」はオーナー兼ソムリエ坂田さんのお人柄に尽きるんですね。坂田さんは、ぼくの知っているだけで「ア・カーチェ」「ヴィーノ・デラ・バーチェ」「クローチェ・エ・デリツィア」「フォリオリーナ・デッラ・ポルタ・フォルトゥーナ」でサービスやソムリエの修業をされ、その後渡伊。戻って開業準備中に「オフィチーナ・ディ・エンリコ」のオープニングを手伝われたはず(ご本人に確認したわけではありませんが、私の記憶では)。そして、その時々でお目にかかったぼくのことも覚えていて、帰りがけによく声をかけてくださいました。

もしイタリア料理店に興味がおありの方なら、上記4店舗の名前を聞いただけで、これらの門を叩いた坂田さんは、本当にイタリア料理やワインの本質がお分かりで、逆に流行のトウキョウイタリアンとは対極の位置におられたことが理解できるでしょう(ただ、在籍された店がすべて存続しているわけではない事実は、イタリア料理ファンの一人として悲しい限りですが)。

坂田さんは、限りなく多くのイタリア料理ファンと出会い話し薫陶を受け切磋琢磨しつつ「ラ・バリック」をオープンされたわけで、そこにはもうブレや迷いはないはず。そして坂田さんが考えた「ラ・バリック」は、決してボナセーラ系「わてら陽気なイタリアン」ではなく、オシャレでもなく、煙たくなく、華美ですらない。日本人が一番リラクックスしてイタリア料理を楽しめるにはどうすればいいのか、「ラ・バリック」は、現時点での彼なりの結論なのだと思います。

席数も少ないし、ここはいずれ「アロマフレスカ」のようなプラチナシートの店になる可能性は十分にあります。ただ上記4店のようなイタリアンを愛した人たちのために席が用意されている店であればどんなにいいかなあと、密かに願うのですが。
posted by 伊藤章良 at 10:39| イタリアン