2008年02月17日

さとなお:吉冨寿し(福岡)

なるほど、大ネタで来ましたね。
なんかすぐにでも行きたくなります。スープと日本酒のマリアージュも試してみたいな。
新潟か…。連載の予定に入れよう(笑)

じゃ、ボクは「地方」と「コースの流れの斬新さ」つながりで、博多の「吉冨寿し」を。

屋台街で有名な長浜市場周辺から程近い、舞鶴にあるカウンター8席の小さな店。入り口からして只者ではない雰囲気。
一見古く寂れているように見えるんだけど、随所に凝った設えが感じられる店です。昼間にフリで入ったので、玄関の待ち合いで待たされたんですが、レトロ風味の待ち合いの雰囲気がすでによいです。

店内は調度品を削ぎ落とし、シンプルでミニマルな造り。
花瓶に花一輪。絵がひとつ。そのくらいしか飾りがない潔い清潔な空間に、柱時計のコチコチという音だけが響き、頭の禿げあがった柔和なご主人がひとりでつけ台に立って迎えてくれます。

と、こう書くと肩が凝りそうな店ですが、さにあらず。実にくつろげる店なんです。それはすべて柔和で親切なご主人が醸し出す空気に寄るのでしょう。無口だけどとっつきにくくない感じ。

特筆すべきはタネ箱に並べられた魚のきれいさ。
ここまできれいかつおいしそうに魚を並べるタネ箱は銀座の「すきやばし 次郎」くらいしか記憶にないですね。こういうところをきちんとする職人さんは期待が持てます。

ということで期待たっぷり食べ始めたんだけど、味もそれを裏切らないものでした。
サウスポーの腕から繰り出される握りは細かい仕事がなされた江戸前で、酢飯がちょっと弱いかなと思わされるものの、バランスは上々。玄界灘の魚を鮮度重視で握る博多の大多数の鮨店とは一線を画すもの。柔和なご主人だけあってどれもこれも柔和で優しい握りです。口の中に静かな幸せを与えてくれる。主張は強くないが印象は強い。そんな握り。

おまかせは、赤ムツにカブを合わせた握りから始まり、エビ、ブリのヅケ、太刀魚を昆布締めにして炙ったもの、貝柱、蒸し穴子、赤貝、ふぐをアサツキと紅葉で合わせたもの、しめ鯖、トロ、イカのウニ乗せ、赤カブの握り、菜の花の握り、と続きました。

どれも工夫がきちんと効果を出していて印象的だったけど、特に記憶に残ったのは、冒頭の赤ムツと太刀魚、ふぐ、赤カブかな。

普通、鮨って味の淡いものから濃いものへと進行することが多いんだけど、ここのおまかせはなかなか斬新でした。
一見バラバラな進行のように見えて、あとで思い返すと味の強弱が見事につけられて、単調にならない流れ。地方の鮨店って意外と単調な流れになることがあるけど、この店は適度に、炙り・蒸し・締め、そして酸っぱい・甘い・辛いなどを混ぜて楽しませてくれました。

13貫食べて5000円。
博多ではどうだかわからないけど、東京の感覚からすると、このクオリティと雰囲気でこの値段は安すぎます。
どうやら夜も基本的にこの値段のようです(これにつまみとか追加とか赤だしとかつくが)。

満足度の高い店でしたね。あぁいい時間だったと嘆息ひとつ。

場所は、長浜の鮮魚市場の真ん前に東芝の高いビルが聳えるが、その正門真ん前。
博多に行くならオススメします。夜は予約で二回転する人気店らしいので予約必です。
posted by さとなお at 20:15| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする