2008年02月15日

いとう:蘭〈あららぎ〉(新潟)

>じゃ、ボクは土鍋ご飯つながり、そして京料理つながりで、
>「祇園さヽ木」(京都)を。

お、いいなあ。「祇園さヽ木」に行かれたんですね。
ぼくも随分むかーしに一度だけ訪問したことがあります。
たぶん前の場所・・・。その時はあまり劇場といった感じはしなかったけど、今はまさに、祇園のすべてを舞台にしてしまう佐々木氏の演出が効いているんでしょうね。

>京都の割烹って意外と真面目すぎる店が多いんだけど、

ぼくは関西人だからかもしれませんが、京都の割烹が真面目そうだとは思わないなあ。どちらかというとアイロニック。トウキョウの店の方がずっと真面目です(笑。

では、地方の日本料理店つながりで。
新潟の「蘭(あららぎ)」を紹介します。

ここ「蘭」は、コツコツと全国各地の日本料理店を食べ歩いている友人に教えていただいたとっておき。特に冬の鴨の季節が最高とのことで、その時期を狙って行ってきました。新潟の一部の地域では鴨を網で獲るそうで、散弾銃で撃ったものに比べ肉に損傷がなく血が回っておらず、たいへん上質。「蘭」のご主人曰く、骨が痛んでいないことも透明で良質なスープを取るための必須条件だそうで(ご主人の流儀では、料理は常に澄んでいる必要があり、濁った瞬間からおいしくなくなるとのこと)、この新潟地方の網獲りは肉も骨も最適な状態なのです。

さてお店の話に戻しますと、こちらは新潟駅から徒歩5分ぐらいのホテルの1階にあります。が、ホテルの経営するダイニングとは違うようで、すでにこの地で20年以上も日本料理店を営まれています。

店内は、そんなフリの客用に広めのお座敷もありますが、ぼくたちが陣取ったのはもちろんカウンター。不要なものは一切置かれていない(ちょうど昨今はやりの鮨店のような)潔さに、期待感は高揚。

ぼくが「蘭」ですごいなあと瞠目したのは2点。まずはそのコースの流れの斬新さ。

いただいたものはこんな感じ。
(実際にメニューを確認したわけではないので料理名はあやふやです)
ふぐ白子の茶碗蒸し
佐渡の蒸し鮑
海老しんじょ
鴨ロース炭火網焼き
鴨鍋
ずわい蟹
お造り(鯛、烏賊、ホッキ貝、甘エビ)
焼き魚(ノドクロ)
佐渡牡蠣汁
鴨雑炊
ほうじ茶のアイスクリーム

このコースだけを見ると、基本は新潟の地物を中心にした郷土料理風。ところが、まず普通の日本料理のお椀のあたりにて、ご主人の前には網焼き用の炭コンロと鴨鍋用の炭コンロが登場。その後、用意された分がなくなるまで他の料理と並行してロース肉が焼かれる。また、ご主人が見守る鍋から各自の小さな椀に配られる鴨スープは、鍋に少しずつ鴨のスープや野菜を継ぎ足しながら最後の鴨雑炊まで椀が空になるたびに延々と注がれます。

そこでご主人曰く、日本酒に一番合うのは実はスープではないか、とのこと。
これはスゴイ。鴨スープと酒の相性はまさにおっしゃるとおりで、少し脂分を含んだスープの柔らかな味わいを口に残しながら日本酒で追っかけると、液体同士が絡みあいすっとキレていく様に唸ります。なおかつ水物をずっと取り続ける結果、悪酔いすることもないわけ。

そして、流れの斬新さで言えばお造りも独創的。まず刺身用の皿とそれに載ったツマとワサビが準備されます。最初に皮目を炙った鯛がおおぶりに切られて2キレ出るのでそれで終わりかと思いきや、その後鴨ロースを焼きつつスープを追加しつつ、ささっと次の魚を切って刺身用の皿に。段取りが分からず最初にツマやワサビをすべて食べてしまったぼくたちは、その後何度も付け足していただく始末。こちらもいわゆる刺盛りではないんですね。見た目の豪華さを重視しつつ鮮度や味が落ちるのであれば、せっかくカウンターなんだから一種類ずつ出せばいい、とそんな発想かと思います。

繰り返しますが新潟でずっと20年。王道の懐石料理とは違うストーリーながら、料理をおいしく最良の状態で提供するにはどうすればいいのかを追究し続けたひとつの姿かと感じました。今では、京都の「川上」や「菊の井」で修業をした息子さんが厨房に参加され、さらなる新しい展開も期待できると確信。再訪を誓った次第です。
次回はさとなおさんもご一緒にどうですか(笑。

願わくば、新潟でもあるしもう少し地酒の種類があればなあ。この地の酒が「鄙願」だけではちょっと寂しいですね。

それと、聞けばここ「蘭」は、お取り寄せの世界では結構名の知れた店だそう。この店独自のレシピによる持ち帰りメニューは数多く揃っており、料理関係の有名人が書いたお取り寄せの本にも何点か紹介されていました。


posted by 伊藤章良 at 18:24| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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