2016年09月30日

いとう:方哉(恵比寿)

「天春」、ここもぼくにとっては、さとなおさんのイメージなんですよね。
この界隈はぼくの基本的なら生活圏なので、店の前を通るたび、「あ、さとなおさん、どーしてるかなあ」とか思います。

それにしても、あのしじみ汁の、しじみの数を数えたんですか。
やっぱり、そこに挑戦してみようという人はいるんですね。
数えている間に冷めそうな(笑。

さとなおさんは東京の人なので、「天春」を昭和という表現を使われてましたが、ぼくにとっては「天春」は、古き東京のイメージもあります。天丼に載っている海老天が小さいのも、いかにも江戸前な感じ。
ただ、ぼくが東京に暮らし始めたとき、東京生まれ・育ちの先輩が、東京の人間は、しじみ汁のしじみは食わないんだよ。あれはダシを味わうものだからね。と言われて信じらないなあと思った記憶が(笑。

油についての論説も、ぼくたちにとっての朗報とともに、確かにその通りですよね。油自体の改良もあるし、店側のプレゼンテーションも変わってきました。
油ギトギト、なんていうのは、もう死語がもしれません。
そんな意味で、天ぷらやトンカツとともに、油ギトギトの代名詞だった中華料理も変わってきました。中華料理と中国料理を、日式大陸式としてすみ分けるという人もいるようですが、そんな話はまた長くなるので・・・。

今回は中国料理店を紹介します。恵比寿の「方哉」
中国料理らしくない店名、おや、中国にこんな地名はあったかなあとか、ふと考えていしまいますが、オーナーシェフのファーストネームとか。
子供のころから、まさやとは呼んでもらえなかったみたいで、逆に思い入れがある、みたいなお話しでした。

恵比寿は、もともとイタリアン・フレンチのイメージが強かったですが、最近中国料理店がポツポツと増えてるような気がします。
さとなおさんも、こちらで「廣安」を紹介されてましたけど、最近の中国料理店は、大陸のさまざまな地域、広東とか四川とか、はたまた台湾とか、それぞれ特徴をだして、専門料理店化してますし、それがある種の信用を得ている気もします。
ただ、恵比寿にできる店は、なぜかオールマイティなアプローチが多い。古老肉も黒酢で決めて、麻婆豆腐はがっつり辛く、点心や麺も多種類あったりと、オールラウンダーながら、いずれも特徴をとらえておいしく仕上げている。と、そんな感じ。

最近急激に飲食店が増えてきた、通称ビール坂と言われる通り沿いのビルの二階。このビルは少し前からあり、通りから奥まっていてこぶりな感じなので、飲食ビルとしてはなかなかのロケーションなんですが、どうも全体的には苦戦してる模様。この「方哉」が新風を巻き起こすかな、といった風情です。

クラゲとかローストポークとか、そういった前菜も、一つ一つ丁寧に味わい深く作ってあって、いいサンマが入りましたのでというオススメで試してみた中華風の刺身も、これまたピュアで白ワインが進む感じ。
炒め物をと思ってお願いした青菜も、火の入れ方が絶妙で修業の底力を見せてますし、その青菜のみずみずしさや苦みから、食材の仕入れにもかなり吟味をされているようです。それは前菜でいただいたサンマからも見受けました。

麻婆豆腐はお得意だとのシェフの話で、思いっきり辛いものを特別注文したら、調理の最中からダイニングのぼくまで目が痛くなるぐらいの利かせよう。ただ食べてみると。単に辛さが強いだけではなく、コクやうま味も十分にあって、ああおいしー、うわ辛いの繰り返し。さすがにお得意というだけの説得力がありました。

最後に、お会計を手にしたときの第一印象がとてもリーズナブル。
これは本当にありがたいことで、シェフの努力がしのばれます。
恵比寿が、ということではありませんが、最近、強烈に高い中国料理店が増え始め、中華がリーズナブルだという時代は終焉し、鮨のように天井知らずの高額化が進むのかなあと危惧しています。
そんな中で、ぼくたちは「方哉」のような店の登場を待望していたのかもしれません。
posted by 伊藤章良 at 20:52| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする