2016年05月31日

いとう:トラットリア ピッツェリア クチーナ イタリアーナ ウルグス(百合ヶ丘)

なるほど、ザーサイがペアリングの相手ですか・・・。
「ふーみん」のザーサイがどんなテイストだったか、今はもう記憶にないんですが、そこまでさとなおさんに言われると、ザーサイ目的で「ふーみん」に久しぶりに行きたくなりました。

そしてぼくもさらに、ペアリングと言えそうな面白い体験はなかったかなあと、考えを巡らしていたんですが、先日、それよりも先に(笑)お伝えしたい店と出会ったので、そちらを先に紹介させていただきたく思います。というのも、場所が飲食をするには相当外れていて、店舗はもっと奇想天外(なんでここに)。さらなる驚きはそこの料理にアリというわけでして・・・。

場所の説明からしますと、小田急線の百合ヶ丘、もしくは新百合ヶ丘からタクシーでしょうか。あの界隈ってかなりの高級住宅街なんですが、大きなお屋敷の塀を見ながら、タクシーは細い道を巧みに走っていきます。途中、東京の都心がすべて見渡せそうな高台もあり、なかなか眺めはいいですよ。
ぼくが乗ったタクシーは、実はお店のことをご存知でした。お迎えの車の依頼がけっこうあるのだとか。なるほど、帰りもお願いしますといいつつ(笑、店に到着。

坂の中腹といいますか、もともとはガレージだったという話も聞く、そんなお屋敷の一角にある不思議極まりないスペース。入口こそガレージっぽいけど、店内に入ると天井が高くて厨房も広くピザ焼く薪窯も見えたり。意外と席数もある快適なダイニング。ギンガムチェックのテーブルクロスや壁に掛かった絵画のセンスも抜群で、はるばるやってきた感は一瞬で吹っ飛び、その反動と長年のカンで、ここでは間違いなくおいしいものと出会える確信が芽生えてきます。

そんななか、さっきまでサッカーやってました!みたいな感じの青年が一人。彼が「ウルグス」のシェフ。彼ひとりきりでこの店と広い厨房を切り盛りしています。聞けば、シチリア最大の町、パレルモで修業をしたとのこと。
以前、パレルモ近郊の空港からレンタカーでパレルモの中心に向かった際、そのあまりの混沌ぶりと全く英語が通じない環境に青ざめ、いったん空港まで引き返そうかと思った、そんな記憶がよみがえってきました。

まずなんといってもメニューが魅力的。
シェフの手書きゆえ、その文字のクセに慣れるのに少々時間がかかりますが(笑、読み解くにつれ、えええっ、そんな料理がここで味わえるのかと相当アガること間違いなし。イタリア語メニューの横には日本語でも表記されているものの、イタリア語をローマ字読みして注文したくなる、そんな臨場感なのです。

シチリアでとかパレルモのとか、解釈が付け加えられているメニューを目ざとく探して、しかも魚介中心にピックアップしていきます。ブリのカツレツを見つけてシェフに聞くと、本来シチリアならカジキマグロで揚げるところだけど、それをブリでやってみました、という。日本にある食材を工夫しつつも現地のママの味を届ける柔軟性も見えてきます。

最初に瞠目したのは、ピッツァ。
ピザよりはパスタ派で、東京の有名店すべてを網羅するほどピッツェリアは体験してませんが、最初の一口でウマイ!と叫び、その味は過去に東京で食べたどの店よりも好印象。具が載っている辺りの生地が特に薄く仕上げてあり、ソースや具材とのバランスがちょうどいい。薄くて軽い分、食べるピッチもどんどん早くなります。
我こそはピザフリーク、そして「ウルグス」のピッツァを未体験の方はぜひトライしていただきたく。ランチは、ピッツァの週とパスタの週とを交互に行っているそうで、ランチでもこの味は堪能できそうです。

トータルとして、野菜を多用することなく色彩に富む皿でもなく華美なデコレーションもない。まさにトウキョウイタリアンと対極の、小手先や手数でのアレンジは加えない出来栄え。写真に写してもあまりおいしそうには見えないんだけど(笑、食べるととんでもなくウマイ。しかも、これはぼく自身がシチリアで実感したんですが、本場シチリアの料理って意外と塩が強くないんですね。
そして「ウルグス」もまた、塩を利かせるというよりは、ハーブやソースのうま味で食べさせるといった、そんな幸せな仕上がりなんです。

いやはや、久しぶりにあらゆる面で驚きました。
突然、亀戸のイタリアンが流行るような時代。
情報にのみ貪欲な魑魅魍魎の餌食にはならないでと願いつつ、
真のイタリア料理好きには、ぜひぜひオススメです。
なお、シェフ一人の店なので、予約は必須。
そしてラストオーダーが19時30分ゆえ、ご注意のほど。


posted by 伊藤章良 at 17:34| イタリアン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする