2012年02月20日

さとなお:手島邸(福岡)

「きたうら善漁。」、気になるでしょう?
そのうち、ここで食べるためだけに旅行をしましょう。ここ以外にも宮崎はうまいものだらけ。ぜひご一緒したいものです。

さて今日は同じ九州でもう一軒。
福岡の「手島邸」をご紹介します。早良区の住宅街にポツンとある一軒家レストランです。

ジャンルとしては創作日本料理ですね。伊藤さんもそうだと思いますが、「創作」とジャンルはたいていおいしくない。基礎がしっかり出来ていない言い訳のように使われている場合も多く、恐る恐る伺うことになります。でもこの店は大丈夫。きちんとした日本料理に工夫が加わった楽しい料理が並びました。

ただ、この店の場合、料理より「時間」が主役ですね。

ここがボクがとてもこの店を気に入った理由なのですが、実にゆったりした極上の時間が過ごせるのです。
手島貢という洋画家の一軒家を、趣やアトリエの雰囲気をそのままにリノベーションして利用しており、そこら中に彼の絵が飾られています。彼が生きていたころの空気もそのまま残っています。その一角、庭に面した窓前をカウンターに作り直して料理を提供してくれます。ノスタルジックでアーチスティックでクリエイティブ。とてもいい雰囲気。そして時間。

暗い住宅街の一軒家の階段を上がって小さな玄関に入ると、まずアトリエに通されてウェイティング。
残念ながらすぐにカウンターに通されましたが、このウェイティングで食前酒でも飲みたいくらいいい雰囲気で(たぶん頼めば出してくれる)、カラダがゆっくりこの空間に馴染んでいきます。

カウンターは広い庭が見える場所。庭のライティングをもっと凝ってくれるといいなぁ。
まずは水出しの最高級煎茶をゆっくり飲んで、お任せコースに入ります。

それぞれ工夫に満ちた品々が続きます。全体に繊細で穏やかな料理群。ちょっと印象が弱い部分もあって、たとえばメインの焼き魚なんかはもっと強く印象を残してほしかったりするけど、ここはあくまでも時間が主役。このバランス感は絶妙だと感じました。

ちなみに、ボクは九州の甘い醤油がちょっと苦手なのだけど、この店はわさび漬けを混ぜて刺身を食べさせてくれました。これがとても相性よくて感心。甘い醤油とわさび漬けと刺身。細かいところだけど、こんな発見を教えてくれる。そんな店です。

メインが終わると場所を移して(違う部屋に行って)、ソファでくつろぎながらデザートと珈琲をいただきました。

趣がある部屋がいろいろあって面白いです。
昭和の「ある時間」にタイムスリップして、手島貢という洋画家のセンスある暮らしに溶け込ませてもらった感覚。贅沢ですね。

こういう店、地方にも少しずつ増えています。「きたうら善漁。」も含めて、まだまだ知らない名店が多いんだろうな。ちょっと飽和しつつある東京の食シーンを脱出して、地方でゆったりとした時間を演出している名店たちをもっともっと訪ねてみたいと思いました。

posted by さとなお at 08:50| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする