2011年10月24日

いとう:萬屋おかげさん(四ツ谷)

「ら京」、知りませんでした。というか一度聞いたら絶対忘れない名前てすね。らきょう、と読むんでしょうか。もしかして「楽京」だったとするなら、らっきょ?(笑。それにしても「楽しいミヤコ」という名前、いいなあ。

さとなおさんが冒頭に書いていた「おかげさん」。八戸の店だそうですが、東京は四ツ谷にも「萬屋おかげさん」という居酒屋があるので、またまた居酒屋繋がりで、今回はそこにしてみます。

といっても予約がなかなか取れない名店。というのもミシュランで★を獲得した唯一の居酒屋らしいです。札幌より呑兵衛の客人が来るとのことで、迎える店を色々と悩むものの、話題性十分というより酒の種類・料理の双方に極めて個性的な主張があり、全面禁煙なのもいい。店主の魅力からか女性客も多いんですが、その女性すべてが浴びるように酒を飲んでいる、そんなシーンも圧巻。ミシュランの評価は全く信憑性がありませんけど、「萬屋おかげさん」はとてもすばらしい居酒屋なんです。

古い雑居ビルの地下、門構えも決してキレイとはいえません。特にトイレは他店と共同で、できれば使いたくないレベル。それにしても、店内は清潔でキツキツながらも座り心地・居心地がよく、スタッフの皆さんは、全員気持ちのいい接客をします。

そして何よりの特徴は料理かな。

とかく塩辛いものを出して酒量を増やそうと画策する呑み屋が多い中、「萬屋おかげさん」は、酸や発酵系のテイストを使って、ピュアで混じりけのない清酒を誘引しようとする、その仕掛けが実にすばらしく、盲目的に乗っかりたくなります(笑。もっとも唸る点はお造り。ここのお造りはすべて一手間二手間かけてあり、わさび醤油で食べる、いわゆる生魚を切っただけのお刺身は一種類も出ないんです。

加えて、清酒の品揃えは完璧と表現しても過言ではありません。が、それだけではなく、メニューは冷酒用と癇酒用とに分かれていて、始めから冷たくして飲むか燗をすべきかが決められているのです。これは意外とあるようでナイ。というか、よほど清酒に対する見識が高くないと、そういった区分での提供には度胸がいると思うのです。燗も常温のものを湯煎につけた状態で提供されるので、ゆっくりと常温からぬる燗へと変化していく過程を楽しみながら味わえるのです。

そして、〆の炭水化物がニクイほど。
最高にシンプルな塩おにぎりなんですね。アツアツに炊けたご飯をひたすら心を込めておにぎりにする店主の動きを見ているだけでも、「ああ今日も来てよかった」と幸せな気持ちになって帰ることができるのです。

もう少し店が広くてゆったりしていたら・・・、と感じることも多々ありますが、客席のすべてに店主の目が行き届くスペースこそが「萬屋おかげさん」のハイクオリティを保ち続ける秘訣なんだろうな、と納得しています。
posted by 伊藤章良 at 17:14| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする