2011年02月02日

いとう:ピエモンテ(荻窪)

「コントワール・ミサゴ」。実は行きたい店メモの上位にランクしているまま、未だ訪問叶わず。なかなかいい感じですねえ。網獲りの鴨、ウラヤマシイなあ。

そうそう、シェフは「ブラッスリー・マノワ」出身とは存じていたんですが、寿司店から今はなき「レリノス」へと移られたんですか。なんかアメリカンだなあ。「レリノス」は、東京でもカリフォルニア料理が華やかだった時代のトップランナーの一軒だったので、昔はずいぶん通いました。懐かしいです。

ということで、コントワーなフランス料理店としては、ぼくがあちこちで書いて絶賛している「Bistro Yebisu」があるんですが、紹介しすぎの感もあるので、今回は、ぐっと歴史あるカウンターイタリアン、荻窪の「ピエモンテ」にします。

この店は、さまざまに語られているように、日本のイタリアンの元祖的位置づけ。客船内のレストランで料理人をし、その後もイタリアで修業を重ねて、1976年豊島園に「ピエモンテ」をオープン。1985年に、現在の荻窪に移転したそうです。

齢80歳になるというシェフ。数年前にずっとお二人で営んでこられた奥様が他界し、一時店を閉めていましたが、「息子が戻ってきてくれた」とのシェフの談にもあるように、今は親子で切り盛りをしています。

文字通り船内のような細長いカウンターと奥にテーブルが一卓のみ。キッチンもそのカウンターに付随したスペースしかないので、かなり手狭ではあります。ただ、30年以上に渡る営業の中で、こつこつと集められたと想像する調理器具が所せましと並んでいて、それを見るだけでも圧巻。

父子で営んでいる、との前情報から訪問すると、息子さんも当然ながら貫録十分で「子供」という感じではありません。でも、シェフであるお父さんがキッチリ目を光らせていて、イタリアにて長く修業されたという息子さんも、ずっと「ピエモンテ」のレシピを守り続けていることが分かります。

料理は、一言でいうと「限りなく重厚」そのもの。特に最近のトウキョウイタリアンを例に挙げれば、まさに対極。同じ国の料理とはとうてい思えません。
重厚なのは、パスタやメインデッシュだけではなく、デザートもしかり。というか、あんなにどっしりとしたデザートと久しぶりに接し、逆に新鮮でした。

一度友人の料理人が、日本で初めて出版されたイタリア料理のレシピ本に基づいた料理を作る、という面白いフェアーを実施したことがありまして、丁度その時のことを思い出しました。

パスタ料理がメインディッシュの後(つまり、炭水化物は最後に食べる日本人的習慣を重視)という、昨今のイタリアンでよく見かけるスタイルだったのですが、すでに「ピエモンテ」で確立されていたんだなあと、改めて感心しました。

最寄の荻窪駅からは、タクシーを利用した方がベターなほどの距離があり、コース料金も決して安くない(といってもそれに見合った食材は使われています)ものの、西麻布や恵比寿のイタリアンに行き飽きたら、また訪ねたくなる、と、そんな風に想いが募るレストランです。
posted by 伊藤章良 at 11:34| イタリアン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする