2009年05月08日

いとう:覇味薑母鴨(台湾)

先日、新しくオープンした「67餃子」恵比寿店の近くを通りかかったら長い行列が見えて、「もうこんなにー」と驚くも隣りのラーメン店「阿夫利」の待ち人でした(笑)。ここのラーメンは確かにおいしいんだけど、フチが分厚い鉢を使っているせいか、口にあたる部分がいつも冷たくスープも冷めているんですね。豚肉を炙るなどといったパフォーマンスをするなら食器を温めるという料理の原点を見直して欲しいです。

>じゃ、餃子つながりで「昔の支那料理屋 開化亭」を。

ここは何度か前を通ったことがありましたが未訪でした。看板の文字からもっとポップなイメージを想像していたんですが・・・。

>たまにはこういう肩の力を抜けさせてくれる懐かしい味が食べたいです。

同感です。「餃子の王将」が売上げを伸ばして話題になっていますが、流行る要因はそんなところにもあるような気がしています。
というか、GW前半に台湾へ食べに行っていたこともあり、純粋に今一番食べたい中華かも(笑。

さて、せっかく台湾に行ってきたので、少しだけ台湾料理の話をさせてください。今回は行く直前にいろいろと調べたり現地在住の友人にリクエストしたりして、初ものばかりの楽しい食旅になりました。

台湾では、すでに暑い季節にもかかわらずスープ(鍋料理)を何度も体験しました。台湾の人は体を冷やすことを嫌い年中スープを食べるのですが、そんな中でももっとも体が温まるスープ(鍋料理)として知られるのが、今回紹介する薑母鴨です。

薑は、日本語でもはじかみと読み生姜の意味。つまり生姜と鴨のスープです。聞いただけでもパブロフの法則で温まってきそうでしょ。薑に母をつけて二文字で表現するのは古い台湾語とのこと。台湾では広く薑母鴨が食べられるそうですが、ぼくが行ったのは地下鉄石牌駅の近くにある「覇味薑母鴨」。味覇という有名な中華スープの素があるのでオヤッと思うも(笑)、そんな小手先なことは微塵も感じさせない豪快な店先。テーブルで鍋をぐつぐつ煮るからだろうけど完全なオープンエアで入口はありません。

台湾在住友人の中国語の先生による解説では、骨付きの鴨肉(彼女はアヒルと言ってましたが)と生姜をごま油で炒め、それを鍋に放り込んでスープや高粱酒、さとうきび、薬膳等を加え強烈に煮る。火鉢の置かれた各テーブルでこの鍋と一緒に炊く材料は、最近日本でも大ブームの火鍋と同様。野菜やきのこや練り物といった類ですが、スープの深みや香りが圧倒的に違うので同じ鍋料理とは思えず。しかも具材がその歴史的旨味をしっかりと吸い込んでふくらみ、とても幸せな食べ物になります。

いっぽうスープ自体は薄味なので、つけタレには塩分の強い腐乳を使用。腐乳はさとなおさんよくご存知の「とうふよう」に近いテイストで、中国では調味料としてもよく使われるようです。一見するとゴマダレみたいなんだけどまったく別物。イヤな甘味がなく、強い塩味と酸味、適度な腐臭が食欲をそそります。「覇味薑母鴨」では、そこに比較的塩分控えめな台湾の醤油を加えて、大豆発酵系をこね回すオリジナルタレを教わりました。

一番感心したのは、こちらの店、秋から春にかけては毎夜午前4時ごろまで無休で営業し、夏の間は5ヶ月ぐらい連続で休むらしい(日本のふぐ料理店にもそういった店はありますが、それはあくまで食材の都合によるものだし)。そんな人生もいいなあ・・・とか、台湾の夜空を眺めつつ考えてしまいました。
posted by 伊藤章良 at 17:14| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする