2008年12月03日

いとう:カピトリーノ(西麻布)

「ICARO」ですか! さとなおさんも早い早い。「ロマンティコ」に若い料理人の方がおられたのはよく覚えています。でも「ICARO」が彼のお店だったとは知りませんでした。さっそくイカネバの娘ですなあ・・・。

さて、ではぼくも引き続いてイタリア料理店です。といっても新生ではなく、王道中の王道「カピトリーノ」を。もうすでにご承知の方も多いかと思いますが「カピトリーノ」は年内で営業を終了します。とても残念だし、今書くなよと言われてしまいそう。ただ、まだ1ヶ月あることと(といっても予約は相当困難になっています。ファンの方が何度も来られているとか)、なんといってもトウキョウイタリアンという名の何なのかよくわからない料理が増殖し続ける中、一皿の力のみでイタリア本国に思いをはせることのできる経験はとても貴重でしょう。

「カピトリーノ」は「アルポルト」や「アクアパッツァ」ができるもっともっと以前から西麻布にありました。西麻布がこうしてイタリア料理店過密地帯に発展したのは、「カピトリーノ」が吸い寄せたといっても過言ではありません。

日本人として最も早くイタリアに渡り修業した吉川シェフは、帰国して開いた「カピトリーノ」を通じ、「トリッパの煮込み」「本場のカツレツ」「サルティンポッカ」「カルボナーラ」「ブッタネスカ」などのクラシックなイタリア料理をぼくたちに伝えました。

野菜を多用し皿の上に色鮮やかな造形を施しながらあくまでも軽く少量に仕上げる・・・。「少量?」以外は(笑)こういった料理もぼくは大好きで頻繁に食べにも行くんだけど、はたして「イタリア」を食べてるんかなあ。久しぶりに「カピトリーノ」のテーブルに着くとそんなことを考えます。

例えば、定番のひとつ「プッタネスカ(娼婦風。黒オリーブ、ケッパー、アンチョビを使ったトマトソースのスパゲティ)」は、まず大量。これほどの量のパスタがシンプルな皿の上にドカンとのっかっていると、ただそれだけでニンマリ。さらにメチャあつあつ。最初の二口ぐらいは熱くて熱くて、フーフーしないと口の中に運べません。自分が「食べること」の原点に立ち戻ったような、そして、イタリアを旅し食した過去の記憶がぐわーっと「カピトリーノ」のパスタとシンクロして体中をよぎっていくような、そんな感覚。

また、お皿がまったく見えないぐらい詰め込まれた前菜の盛り合わせも、付け合せは炒めたポテトのみの力強い肉料理も、流行のトウキョウイタリアンとは、まさに対極に位置しますが、対極があってこそのいいバランスなわけで、それがなくなる・・・というのは本当に寂しいことです。

最近はほとんど食べずにガマンしているデザート(しかも「ティラミス」)にもトライしましたが、これがまた涙が出そうなほどうまかったことも追記しておきます。

食事が終わった後、「カピトリーノ」の吉川シェフから最近のイタリアについていろいろな話を聞きました。あまり長居も失礼なのでそろそろ辞する旨を伝えたところ「大丈夫ですよ、今から大ちゃんが来て食事をしますから」と。

大ちゃんとは「ヴォーロ・コズィ」の西口大輔シェフ。「カピトリーノ」が終わると知り、こうして若い料理人がぞくぞくと食べに来ている様子。仕事が終わって遅くにやってくる料理人を温かく迎える吉川シェフの姿にも感銘を受けました。ぼくたちが日常接しているビジネスの世界ではなかなかお目にかかれない文化の継承ですね。

posted by 伊藤章良 at 21:00| イタリアン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする