2017年10月31日

さとなお:アチェート(京都宮津)

伊藤さん、「やす秀」さん、移転したのはFBで読んでましたが、まだ行ってません。
ここ、応援したくなる鮨屋ですよね。ちょっと最近ご無沙汰していますが(夜が詰まってて…)、毎年定点で通ってみたくなる鮨屋のひとつです。

なんというか、個人的なことだけど、世の中の「モノからコト、コトからヒト」への価値観の変化や、断捨離、ミニマルなどの流れもあってか、最近では「応援したい店」しか、行きたくなくなってきました。

そうはいっても、いろいろなご縁で「話題の新店」とか「星つきの名店」とか言われるところにもそれなりに行っています。
でもおいしいと思えないことが多いし、応援したくなるような店はごくごく少数ですね。やっぱり「ヒト」や、その店の背景が見えてこないと、応援もできない。
また、ここ15年くらいで味レベルが日本全体で劇的に底上げされて、もうどこでも「そこそこうまい」せいもあり、「すごくうまい」店との差異が見えにくくなってきています。つまり、味だけで心を掴むのが難しくなってきているということ。それもあるかもしれません。

今日ご紹介するのは、ボクがこれから人生をかけてゆっくり応援していこうと思っている「アチェート(aceto)」というイタリアンです。

京都の宮津にあります。日本海側、天橋立の近く。京都駅から電車でもクルマでも2時間くらいかかる場所にある古民家リストランテ。そう、遠いんです。東京からなら5時間くらい見ておいた方がいい。

でも、ここ、ボクは毎年ずっと通おうと思っています。

「aceto」とは、イタリア語で「酢」という意味。アセトアルデヒドのアセトですね。酢酸です。
この店、ボクが愛用していて、製品として信頼しきっている「富士酢」の製造元・飯尾醸造の五代目、飯尾彰浩さんが「宮津を日本のサン・セバスチャンにする!」という志のもと、人生を賭けて作ったお店なのです。今年の夏に出来たばかり。

彼は、100年先に、日本の伝統の味を受け継ぎ伝えていくユニット『HANDRED』を、堀河屋野村(醤油・味噌)、白扇酒造株式会社(みりん)、鈴廣かまぼこ株式会社(蒲鉾)、株式会社丸八製茶場(加賀棒茶)、宮坂醸造株式会社(清酒)などの跡取りたちと組んでいて、もともと日本の食に対する危機感や将来性などを考え、率先して様々な活動を熱心にされてきた人です。

というか、そんなことより、彼が作るお酢がうまい!
一度使うともう手放せません。蔵や田んぼの見学も数回行きましたが、お酢を作るためだけに、無農薬の棚田に取り組み(お米鑑定士が日本で三本の指に入ると太鼓判を押したくらいうまい、非売品のお米です)、杜氏を抱えてお酢用にお酒を造り(むちゃくちゃうまい非売品の純米酒です)、それを昔ながらのやり方とお米割合を増やした贅沢な製法で造っているんです。

ここの純米酢も大好きだけど、毎朝かかさず飲んでいるのが紅芋酢。
おかげで、筋肉痛や二日酔いが皆無になりました。いやマジで。

まぁ、そんな五代目です。だんだん「地元宮津」「京都の日本海側」の自然や食材の素晴らしさに注目していくのは必然ですよね。

とはいえ、そこの物産を大都市に出荷するだけではなく。
スペインの美食の町「サン・セバスチャン」みたいに、不便な場所だけどみんなにわざわざ来てもらって、空気も自然も人々も味わってもらおう、それこそが本当のおいしさだ、と数年前に志を立て、苦労を表に見せずニコニコとダジャレばかり言いながら、相当の覚悟をもっての船出第一弾がこの「aceto」なのです。

シェフは都市部からのスカウトですが(そこは飯尾さん、腕が確かな人を連れてきています)、食材はもちろん宮津周辺のうまいもの。古民家を改造して、実に素敵な、わざわざ宮津まで行きたくなるような、そんなリストランテを作り上げました。
スタッフたちもそういう志に共感した人が集まっているので、明るいし楽しそうです。だから漂う雰囲気がとてもいい。宮津の町のよさと相まって、忘れられない食事になること請け合いです。

ボクは今年の夏に泊まりがけで行きました。
古民家の庭先のテラスで夏の星をみながら、飯尾さん自らのサーブでいただいた料理はとても記憶に残るもの。ひと皿ひと皿も記憶に残るけど、それだけではなくて、宮津に来たという旅行体験全体に組み込まれた美味でした。

日本全国に富士酢を使っているレストランはたくさんあります。
きっと、そういう料理人たちが月替わりで来てくれるようなシステムも、彼は考えていると思います。同じ敷地内に鮨屋の建物ももうほとんど出来ていたし、ゆっくり数泊して楽しめる町に、きっと育つと思います。

宮津は宿が充実していないのが玉に瑕ですが、これもきっといろんな波及効果が数年から十年、二十年と出て行くのだと思います。そういう意味で、数年から十年、二十年と、この町と飯尾さんの活動を追っていきたいし、応援していきたいと思っています。
伊藤さんも、いま行けば、変化する最初期の宮津が見れますよ。意外と二十年後にいばれるかもですw

宮津近辺には、もちろん天橋立がすぐのところにありますが、元伊勢籠神社という「伊勢神宮に移る前に神様がいた神社」があって、すごくいいです。
また、食べ物系では、(一時期食べログ日本一だった)名店割烹の「縄屋」や、やたらおいしい「カネマスの七輪焼き」という居酒屋(?)、久美浜には蕎麦「ろあん松田」を擁する素敵なオーベルジュ「HOTEL HOLIDAY HOME」があったり、城崎温泉も遠くはありません。カニの間人も近いです。
意外と京都観光と合わせて数日遊ぶに飽きない立地なんですね。

ぜひ、この志とチャレンジを、伊藤さんも体験しにいってください。
いい店ですよ。そしていい町ですよ。きっと気に入られると思います。

posted by さとなお at 22:34| イタリアン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする