2017年07月31日

いとう:Osteriaあんじゅ(西麻布)

「カフェ・オニヴァ」、すばらしいですね。
読んでいて絶対に行きたくなりました。
徳島って、テレビがNHKと民放一局しか入らないので、それが不満な県民によって一気に新しいインフラが広まったと聞きました。

実は、ぼくは2年ほど徳島に住んだことがあるんです。
そのときは、保守的な県民性を感じながら(例えば阿波踊りのような、爆発的な踊りの文化があるエリアって保守的ですよね)、一太郎のジャストシステムや大塚製薬が生まれる土壌で、すごくワクワクする将来性を秘めていたように覚えていました。

さて、懐かしい徳島の話が出たからではないですが、都内での懐かしい思い出から。
さとなおさんと同姓同名の方がスタッフにおられた、西麻布のポルトガル料理店。
一度、さとなおさんに連れ行っていただいたかと記憶しています。
対談でも姉妹店を紹介されたりしてました。

先日、新しくできた西麻布のレストランにお誘いいただき、地図をたどりながら行ってみたら、なんと、あのポルトガル料理店があった場所。というか、まさかここではないだろうとの先入観が強くて、なかなか目的の店が見つからず右往左往しました(笑。

この7月にオープンしたばかりのここは「Osteria あんじゅ」
オステリアというぐらいだからイタリアンだろう、あんじゅってフランス語かな、となるとフレンチとイタリアンの融合、ということか・・・。などと思い巡らせながら入店。

種明かしをすると、もともと桜新町で「あんじゅ」という日本料理店を営んでいた料理人に加え、自由が丘にある気鋭のイタリア料理店「mondo」で修業したシェフ、そのお二人による競演、いや饗宴が、実は「Osteria あんじゅ」となった訳です。。
「あんじゅ」という名前も、料理長の名前が安住さんで、子供のころからアンジュと呼ばれていたのかもなとか、これは全くのぼくの想像ですが。

最近時々、違うカテゴリの料理人が二人共同でお店を始めるという形態も出始めてますよね。例えばご兄弟だったりとか。今回の「Osteria あんじゅ」は、お二人とも同郷、鳥取県出身とのこと。

まずなにより、この店のデザイン、厨房の造りが素晴らしいんです。
大きなまな板があって冷たいものを用意する場に日本料理担当、鉄板やコンロなど、火を入れる厨房機器の前にイタリア料理担当がそれぞれ立って、彼らを囲むような形でゆったりとしたカウンター席が設けられています。
さとなおさんの記憶にあるポルトガル料理店とは、まったく違うレイアウトです。

そして客は、フルオープンキッチンの中で、時には離れて別の時には重なり合って動く二人の料理人の仕事ぶりを観つつ、次々と出来上がってくる料理に舌鼓を打つという趣向。エンターテイメント性のある楽しい空間で、客も一緒に参加しているような臨場感を味わいながら、時間の経過を忘れます。
とはいっても、昨今の似非劇場型(笑)みたいな、過剰な説明やトークはありません。というか、今はまだそんな暇はない、といった感じでしょうか。

コース料理は、最初ゆっくり日本料理でスタートし、お造りや八寸的なものも登場。時折りその中にイタリアンのエスプリも感じてハッとしたり。後半に至るにしたがって、スープ〜バスタ〜魚料理〜肉料理と、畳みかけるようにイタリアンのテイストが加わり、料理はどんどん洋風へと変化していきます。初めあっさり後半がっつり、日本人の最も好むパターンかなと思える展開。さすがにすごい量となるので(ぼくは満足でしたが 笑)、前菜だけをコースにし、あとはアラカルトでメインを選ぶことも可能。もちろん料理のキャラクターに合わせた自然派ワインも日本酒も完備。

もう一つ特筆すべきは、冒頭にも書きましたが店全体に流れるデザインのすばらしさ。変則的な形のカウンターだけではなく、カウンター席とテーブル席の間仕切りや天井など細かいところまで木を多用。持ち味である温かみがふんだんに放出され、料理人・ソムリエールの人柄と重なります。

加えて器。こちらも、店のデザインとうまく調和しつつ、時には強い色合いで全体を引き締める役割も果たしています。見た目と異なり驚くほど軽やかなものもあるので、ぜひ手に取っ手いただきたいです。
優れたデザインがここまで寛ぎに結びついていることに改めて嘆息。超一流のプロの仕事だよなあと感心しきりでした。

二人の料理人のぶつかり合いや融合は、まだ始まったばかり。多くの引き出しを持つであろう二人の今後がさらに期待できそうです。
posted by 伊藤章良 at 21:10| イタリアン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする