2017年01月31日

いとう:メゼババ(亀戸)

2017年、一回目ですね。今年もゆっくり続けていきましょう。
昨年の暮れにさとなおさんが書かれていることは、逐一納得ができて、自分自身も、おおかたの期待を裏切りながら(笑、まさに同じような感覚のお店選びになりつつあります。

「美食家」という言葉にも、挨拶代わりに「どこが一番オススメ?」と聞かれるのも、そこに軽い嘲笑が入ってると感じることも多く、そんな自分たちは確かにマイノリティなんです。

で、さとなおさんが言う「今日の気分に合う数店」。実は2017年の今、そんな店の確保が一番難しくて、ガイド本やサイトも皆無。ただぼくとしては、今日の気分に間に合う店(今夜の予約が当日取れる店)をどれだけ知っているかが最近の一番の関心事だったりします。

と同時にぼくは、予約が全く取れなくなってしまった店は興味も失います。答えは単純で、予約が取れなくなった時点でお店はその場に安住し自分のスタイルに疑問を持たなくなり、変化や発展、進化は見込めない可能性が高いからです。
もちろんそれを責めているわけではなく、逆に頂点に至るまでの過程はすばらしいと思うし、イチローのような強靭な精神力の持ち主ではない限り、そこまで自分に厳しくはなれないでしょう。

ただ、一年ぶりに行った「メゼババ」は進化をしていて、持論に自信を失いました。亀戸のイタリア料理店「メゼババ」もご承知の通り大変な人気店。さらに、客を選んでいる食べログ掲載も拒否と、外敵というか他からの意見すら耳にしない状態。にもかかわらず、きちんと体系だってイタリア料理の情報入手や勉強を続け、イタリア本場からの仕入れの工夫をし、提供するワインについてもかなり入念にセレクトしている様子を感じたんですね。

「メゼババ」は自著でも紹介をしているお気に入りの店だったものの、ここまで予約が取れなくなると行く機会もないかなとあきらめていたところ、ひょんなことでお誘いをいただき訪問。相変わらずシェフひとりで、慌てず動じずマイペースでしたが、逆に客に迎合しないご自身の流儀での仕事ぶりが、進化につながっているのかなあと気づいたんです。

「メゼババ」は、皆がいうところのイタリア本場な塩辛さ(それが正しいかどうかは別として)が特徴の一つでした。過去には頬をすぼめるぐらいの塩辛さに驚くこともあったけど、その個性は守りつつも、胡椒、唐辛子、ハーブ、カラスミなどを使って塩味を起点とするベクトルがさまざまな方向に伸び、すでに塩辛さにすら気づかない完成度になっていました。

なんだかすごくうれしくて、そして、予約の取れない店にも労をいとわず行くべきだと自戒。さとなおさんにもお伝えしたいと思った次第です。
posted by 伊藤章良 at 17:00| イタリアン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする