2016年11月30日

いとう:角屋(西麻布)

断片的ではあるものの、昨今のさとなおさんの料理店に対する見方に接すると、自分自身の考えが軌道修正されていく様子がよく分かります。
SNSにしても、自分のタイムラインにはファインダイニングや予約の取れない店での会食の様子ばかりが延々と連なるので、日々ブラウジングしているとその状態が普通のように思えてきますよね。それが今一つ納得できず、昨今はほとんどタイムラインを追っかけなくなりました。

食通というあくまでマイノリティな存在が飲食業界を左右するようになってしまっても、それはいびつで不健康に他なりません。そんな意味でも、さとなおさんからの居酒屋つながりでも、健康的な、そして「東京十月」とはちょっと趣が異なりますが、やっぱりオシャレな居酒屋「角屋」を今回は紹介します。場所は西麻布なので、さもありなんですが。

居酒屋と書きつつ、分類的には日本酒バルとかになってるみたい。だいたい日本酒バルって何なのか。というより、あまりにも本格的な日本酒の勢ぞろいと酒飲みの心を震わせる的を射た料理やつまみが多数あり、バルといった軽い言葉で押し込めてしまうにはもったいない良店なんです。

場所は西麻布の広尾側。「葡呑」の隣りかな。「角屋」の字のごとく角にあり、外に向かってフルオープンなので混雑ぶりなど中の様子もよくわかり、まず第一に入りやすい店。
店内は決して広くなく横に長いL字のカウンターと小さな向かい合わせのテーブルがいくつか。そんな環境ながら、ゆったりとしてスペースに過不足を感じさせず、ゆとりさえあります。

客のダイニングスペース以上に狭いのがカウンターの中。にもかかわらず、どこに入れてあるのか相当な種類の日本酒が脱兎のごとく出てきて、しかも蔵への愛情だっぷりかつ的確なポイントを突いたコメント。多くのソムリエや利き酒師、ひいてはやたら説明の長い鮨職人までも、ここのスタッフの日本酒解説を参考にするべきかと感じます。

加えて特筆すべきは、燗つけのうまさ。少ないスタッフで回してるので本当にバタバタなんだけど、その中においても、きっちりと温度を合わせた最適な状態での提供ぶりに驚き、日本酒がここまで膨らむものかと幸せになります。

料理も実はとても充実してまして、バックバーの黒板にびっしりと書かれたメニューの豊富なバリエーションにも瞠目。いわゆる珍味の盛り合わせに始まり、唐揚げ、さつま揚げのような揚げ物、そして野菜・魚介類の炒め、〆の蕎麦やカレーまでとどまるところを知りません。というのも、この店はすぐ近くにある「旬味 森やま」の姉妹店で、レシピや食材もそこと共有しているとか。

何しろ居心地がよくて、スタッフの皆さんの対応がとても気持ちいい。さらに銘酒と美味が揃っている。西麻布だし、表から見るとあまりそんな感じに見えないんですが、かなり中身の濃いところが、やはりバルではなく愛すべき居酒屋としたい所以なのです。
posted by 伊藤章良 at 16:57| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする