2015年07月31日

いとう:地中海料理「オリーヴァ」〔学芸大学〕

さとなおさんが前回書いておられた店、実はとても興味がありました。このごろ日本の料理人と接していても、ヴーガンを自分の店のメニューの一つとして取り入れたいとする意欲的な話を意外と聞くんです。
さとなおさんが書かれるように、ちょっと「肩凝りそう」とか「宗教的?」みたいな解釈が、いかにも日本人的だなあとも言えますが、食材を絞った結果生まれる面白みも、確実にあると思うんですよね。

それから、さとなおさんが語っていたもう一つのキーワード。レストランにしても人間にしても「自己模倣」が一番の成長の敵。本当にその通りです。そして今回は、その点に最大の個性を感じるといいますか、模倣せず名声にも拘らず、ごく自然な新しい立ち位置からスタートしたレストラン。

具体的に書くことがシェフの本意ではないかもしれないので〔検索すれば分かることですか〕詳しくは書きませんが、新感覚、最新の技法で高い評判や名声を得たイタリア料理店が東麻布にありました。変幻自在で知られる動物の名前を店名にしたところも料理の志向と合致。マスコミ相手にも気を吐く料理人で論争も絶えなかったような記憶があります

そんな料理人があっさり店を閉め、改めて世界中の料理を食べ歩いたと聞きます。そして、そんな店もあったなあと世間の印象もすっかり思い出と変わった今、学芸大学駅からすぐの好立地に、地中海料理と銘打った料理店「オリーヴァ」をオープンしました。

メニューを見ただけでも、エスプーマだの液体窒素だのといった〔記憶はすでに詳細ではありませんが〕過去のスタイルとは決別し、180度振り切ったといいますか、原点に回帰したと表現するのが適切なのか、まったく当時の片鱗を感じさせることはなく、骨太と形容するしか例えようのないドカンとくる地中海の料理。もちろんイタリア料理がベースですが、その殻まで破りたいというコンセプトでしょうか、地中海料理と称する点にも、昔の料理に対する決別を感じます。

くじらのフリットやお魚のミートソース、シンプルなメニューながら、食いしん坊ならたまらず食指が伸びるタイプのメニュー構成。メインは炭火焼ですが、でっかいウルメイワシには、本当に日本の焼き魚とは一線を画する、これぞヨーロッパというか、彼の地でムシムシと白ワイン片手に食べた極ウマなイワシを思い出しました。

この場所の店舗とはご縁もあったと思いますが、以前のカウンターの店とは違い、細長いダイニングエリアからは厨房が見える席も限られていて、多くのシェフが最終系としてカウンターの店を選ぶ傾向が顕著の今、そのスタイルも真逆。

でも、ぼく自身にしてみると、シェフの至った到達点に改めてご一緒できるという同時代感覚が、例えようのない心地よさだったりします。でもシェフは、そんなめんどくさいことをいちいち考えず、ストレートに素直に受け止めてくれという気持ちなのかなとは思いますが。



posted by 伊藤章良 at 23:39| イタリアン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする