2013年02月24日

さとなお:縄屋(京丹後市)

>カタログ的な店ばかりが乱立してしまい、

その通りだと思います。
マーケティングされた店はつまらないですね。最近特にそういう思いを持ちます。少々品揃えが少なくても、ほとんど高級食材を使ってなくても、全然サービスが洗練されてなくてもいいんです。もっと別のところに感動の在処がある。

でも、それをちゃんと評価する大人が減っているんでしょう。

ただ、少しずつ元に戻りつつある気はしています。「そういうマーケティングされた店を追うこと」に疲れ始めた人が増えてきてますよね。

さて、ではボクは伊藤さんも言及された「縄屋」を書いてみます。

立地がありえない店、というのもわりと多く行きましたが、この店はその中でも最右翼のひとつでしょう。

一応、京都府なんだけど、京は京でも京丹後市。丹後半島の真ん中にあります。しかも店までの道が真っ暗。寂しい国道からさらに横道に入り、「まさかこんなところに?」と疑いも最高潮に達したあたりにポツリと高級割烹があるのだから驚きます。

暗い暗い細道にぽつりと小さな行灯みたいなものが置いてある。目印はそれだけ。
地元の人と一緒に行ったのだけど、その人が「ここです」とクルマを止めてもなかなか信じられないようなロケーションでした。これはよっぽど腕に自信がないと店を出せない立地だなぁ。

そして店に入って二度目のびっくり。
この立地にはありえないくらいモダンなんですね。もうちょっと田舎風日本家屋かと思っていたら、実にお洒落でセンスがいい。窓を大きくとってあり、天井も高く部屋も広い。とても伸び伸びした空間。ニューヨークのロフトを割烹に改装したようなイメージを想像していただくといいかもしれません。

どうやらご主人の出身地らしく、もともとご実家が仕出し割烹をしていた場所らしいですが、それにしてもこれをこの立地で新築したのかー、と驚きます。

ご主人はまだ若く、30代。白衣ではなくボタンダウンで現れました。料理人というより美大出身の絵描きという感じ。
室町和久傳で修行したあと、ここに2006年に店を開いたとのこと。和久傳かーと正統な割烹を想像して待っていたら、料理で三度目のびっくりでした。

なんというか、足かせがない自由さというか、「枠」がないですね。
もちろん日本料理なのだけど、基礎をしっかり固めた上で(創作料理みたいな薄っぺらいものではない、という意味)、いろんな変化球を投げられました。

それを支えているのが丹後の海の恵みと畑の恵み。
たぶん昔からの仕入れルートなのでしょう。地元の漁師・農家と信頼関係がないと成り立たないようなすばらしい食材が次々に並び、卓抜なセンスでそこから持ち味を引き出していきます。

美味しいなぁ。
今回に限っては焼き物がほんのちょっとだけ不満でしたが、椀物の素晴らしさ、ご飯までの流れの隙のなさ、野菜の使い方のセンスの良さなど、再訪を誓わせる素晴らしい料理群でした。

また行こう、と迂闊に言えない立地ですが、でもまた行こう!

posted by さとなお at 19:52| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする