2012年11月28日

いとう:香住 北よし(大阪・天満)

谷町の「味酒かむなび」、と書くところも、郷愁と幼児体験の違いがあるかもしれませんね。大阪人は、谷四、谷六、谷九といいますが、谷町とは言いません(笑。

この「味酒かむなび」は未訪です。しかもミシュランで★を獲得していることも知りませんでした。これはまた一つ、貴重な情報です。最近仕事の関係で頻繁に大阪に行くので、ぜひ行ってみます。

さて、ここで少し告知をさせてください。
「百年後も、同じ場所にて営業していてほしい」と願う店を綴った本「東京百年レストラン」を2年前に出版し、「さなメモ」にも取り上げていただきましたが、このたび、その2作目「東京百年レストランII」を上梓いたしました。

この本も、コンセプトは前作とまったく同様で、百年続いてほしい店を独自の視点で40軒選び、紹介しています。マスコミもブロガーもレビュアーも、新規にオープンした店ばかりを追っかける今、こういったテーマでの活動も地道に続けていきたいと思っています。
なお巻末には、お忙しいさとなおさんにも協力いただき、佐藤尚之×伊藤章良の対談「外食はどこへ向かうのか?」も収録しました。

そして今回のうまい店紹介。続いて大阪でいきます。
天満にある居酒屋「香住 北よし」。
香住とは、日本海にも瀬戸内海にも接している意外と広い兵庫県の、日本海に面する町。カニでその名を馳せる漁港で知られています。
その香住で、明治12年以来干物店として営業している「北由商店」にて加工された干物類や、香住漁港で獲れた魚介をメインにした店なんです。

と、聞いただけでも、特に関東の食べ好きにはたまらない店だと思いませんか。

天満は、大阪の中心から近く、しかもリーズナブルに飲み食いできる店が集中する幸せなエリア。独自の感覚で立ち上げる新しい店も集まり始めています。
「香住 北よし」は、恐ろしく長い天神橋筋商店街から一本脇に入った路地沿い。カウンター10席ほどの小さな店を、日本料理出身の店主と女性で仕切っています。

なんといってもここでいただく2トップは、干物とへしこ。へしことは、魚の糠漬けのこと。本来は若狭湾の名産とされますが、香住も、隣り町といってもいい陸続き。強めの塩加減と独特の香りを持つこのへしこをつまみに清酒を飲む、という至福は、それはもう何ものにも代えがたいマリア―ジュであります。
そして干物。ぼくたちが東京で普段食べている、熱海・伊豆あたりで産出される干物とは、魚の種類も大きさも味わいも異なる逸品揃い。全体的に小さくて味が濃くて、こちらもまた酒がすすみます(笑。
他にも、サラダ類や干物類と炊き込んだご飯も多種あって、喜ばしい限り。まさに清酒好きには、大阪でも筆頭にあがるべき店でしょうか。

そうそう、清酒については、意外にも人気地酒も豊富に取り揃えるものの、ここでは、同じテロワールの「香住鶴」を。この酒、初体験でしたが、でしゃばらず香住の魚に寄り添う感じが品よく、大ファンになってしまいました。

posted by 伊藤章良 at 11:36| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする