2012年05月21日

いとう:後楽寿司 やす秀(四ツ谷)

いい鮨屋はないものかといろいろと考えていて、随分時間が経ってしまいました。一応大好きな分野ではありますが、逆に困ってしまうことも多いです。

特に最近、鮨に関して自分に課しているテーマのひとつは、一定レベルを保ちながらも、もう少し安価でチェーンではない店は存在しないのか、という点です。ただ、あまり公表してしまうと、食べログラバーには単にCPのいい店として処理され、思わぬ客層の低下を招く可能性もあるしなあ、とか。

そんなオヤジくさい愚痴をいいつつも、1万円前後で飲み食いして十分満足できる店を紹介します。四ツ谷の「後楽寿司 やす秀」

この界隈って、意外にも銀座なみに鮨店の密集地なんですね。鮨というよりは、超高級海鮮居酒屋の「三谷」に始まり、50mぐらいの間に4〜5軒とひしめき合ってます。そのほとんどが新参なんですが、「やす秀」は少し路地に入った立地も相まってか、もともと安価ないわゆる街場の店的に運営してきた、40年以上の歴史ある店。「北島亭」とかのある道路(しんみち通りというのでしょうか)を歩くと、ランチタイムには「男はちらし 女はばら」と書いてある「後楽寿司」時代のの看板が目を引きました。それでも、料理自体からはさほど強い印象は受けなかったのです。

ただ、そんな硬派で地道な時代を経つつ、アメリカなどで修業をしていた二代目が戻り、基本的には二代目に任せるべく店舗を大改装。見違えるほど本格的な鮨屋空間となり、和とは思えないモダンなエントランスや個室風のテーブル席などもお目見えして、店名も後楽寿司の後に「やす秀」と付け、一気に雰囲気が変わりました。

改装前がどんな感じだったのか、もうあまり記憶にないんですが、料理のほとんどは二代目が担当。メニューも決めておられる様子。コース的な流れは、おきまりとおまかせがありいずれも安価。特に鮨屋でおきまりと言えば、にぎりのみの印象があるんですが、かなりのおつまみも出てきた後にぎりとなるので、満足度も高いんです。

酢飯は、個人的にはもう少し強い方が好みですが、タネはそれなりに吟味や仕事をされていて十分に満足。清酒も数本の地酒を常に揃えていて選びやすいラインナップ。以前からおられたかもしれませんが、接客担当の女性二人も、なかなか艶があって心地よいサービスです。そして、実直すぎるほどのウェブサイトやブログも、人となりが分かって好感度が上がること請け合い。

いっぽう残念なのは、歴史ある「男はちらし 女はばら」のランチ営業をやめてしまったことと、以前からの常連客は、鮨屋というよりは飲み屋として受け止めておられて、ツマミやにぎりがずっと置かれたままになっている状況が悲しかったかな。でも、徐々にそういった客を駆逐して、上質の鮨を安価にいただけるファンが確実に増えると思います。
posted by 伊藤章良 at 18:17| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする