2010年07月25日

さとなお:大やきいも(静岡)

お、お得意のハワイですね。
「伊藤さんはコーディネーターよりくわしい」とよく友人から聞きます。ハワイのレストラン・ガイドブック、書いて欲しいなぁ。

ボクは地味に地方がくわしくなっていっていますが、地方は奥が深くて大変ですね。まぁでも楽しいです。今日は最近行った中から、静岡の「大やきいも」を書いてみます。

ここ、店名通りやきいももめちゃうまいのですが(大学いもも良い)、基本的に「おでん」が名物です。静岡おでん(しぞーかおでん、と発音するらしい)。

静岡おでんの特徴は黒スープに黒はんぺんです。
黒スープは濃口醤油をベースに継ぎ足し継ぎ足した歴史のせいだそうです。黒はんぺんは焼津産が主。静岡ではんぺんというと黒はんぺんのことらしいですね。サバやアジ、イワシなどを原料として骨ごと潰してすり身にしたもの。風味が強くて白はんぺんより好きだったりします。

そして具がすべて串にさしてあり、青のりとだし粉(けずり粉)をかけて食べるところも静岡おでんの特徴。あとは牛スジでしょうか。また、静岡で「おでん」と言うと、食事というより駄菓子に近い感覚の食べ物らしいです。駄菓子屋におでんって東京ではあり得ない組み合わせだけど、静岡ではそれが普通だったとか。

静岡人はおでん好きで、戦後すぐにはおでん屋台街が青葉公園通りにあったらしいのですが、都市開発で姿を消し、いまは青葉おでん街を中心に点々と残っているのみと聞きました。ここ「大やきいも」は歴史ある人気店のひとつらしいです。

で、この店、まさに昭和な雰囲気そのままで、そういう感じが好きな方は入店したと同時に「わー!」と声あげてしまうくらい。もう昭和30年代がそのまま残っています。土間にデコラのテーブル、丸椅子、焼き芋の蒸し釜、木の壁、テーブル、などなど、まさに映画のセットのような空間。

大きく目立つのはやきいもの蒸し釜で、おでんは土間の片隅に小さくぐつぐつ煮えています。
牛スジが一本100円な以外はすべて一本60円。すじ、糸こんにゃく、さつまあげ、昆布、白やき、静岡名物黒はんぺん、ごぼう巻、じゃがいも、こんにゃく、たまご、だんご、というラインナップ。季節によってはタケノコなんかもあります(うまかった)。どれもこれもシンプルで懐かしい良い味。慣れている人はセルフサービスで取って、青のりとけずり粉をかけて勝手に食べてます。精算は串の数でするようですね。

ボクたちは慣れないのでおばちゃんに取ってもらい、何度かおかわりをして長居しました(安く長く楽しめる!)。
やきいもと大学いもが、またうまい。やきいもは芋によって数種類。おばさんに聞いて食べるといいですが、焼きたてのホクホクのうまいこと!

他にもおにぎり売ってたり、牛乳売ってたり、ジュース売ってたり、アイス売ってたり、ところてん売ってたり、花売ってたり、と、元々の駄菓子屋な雰囲気がちゃんと残っている店でした。

おばさんたちも親切で、居心地が実によい。こういう雰囲気を喜んでくれる相手とぜひ行ってみてください。楽しいっす。
posted by さとなお at 23:42| 和食(鍋・おでんなど) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月17日

いとう:稲葉(ホノルル)

>今日は本郷の蕎麦屋「森の」を書いてみます。

あ、ここいいんですよね、未訪なんですが。ウワサはよく耳に入ってきます。

といいますか、さとなおさんが、天ぷらや蕎麦、鮨なんぞを語るときって、いつも「やっぱりさとなおは江戸っ子やなあ」とつくづく感じます。お店に対する即決な判断とアプローチ、旬を待つ気性、宵越しの金は持たない食べっぷり(笑)ナドナド。

おっしゃるとおり、本郷ってちょっと場所的には足を伸ばしにくいのが難ではあります。

では、同じ蕎麦屋でも、もっと行きにくい場所ですが(笑)、ハワイはホノルルのそば店を取り上げてみます。「稲葉」といいます。ホノルルで、そんなに積極的に蕎麦が食べたかったわけではなかったものの、現地の仕事仲間がsobaがいいとのことで、大勢に押し切られてしまいました。

今、ホノルルでsobaといえば、日本から進出した「松玄」か「稲葉」なんですよと言われ、もとより「松玄」には行きたくないので(笑)、「稲葉」となったわけです。

ここは、mainland(アメリカ本土)で何店舗か日本料理店やそば店を営業をしているそうで、その流れでハワイにも進出したとのこと。で、「蕎麦は水がいいところではないとおいしく調理できない」と、アメリカにもそんな認識はあるらしく、オアフは水がいいんだよ、とローカルの面々に言われたものの、真偽の程は分かりません。

ただ、なかなかピュアで美しい仕上りに、コシや香りも予想以上。つゆはさすがに東京ほど辛口ではなかったけど、それでも旨味は充分。同じ麺系で、ホノルルには「ジンボー」という有名なうどん屋があるんですが、こちらは自分が子供のころ(大阪時代)を思い出すような、いい意味でノスタルジーな味なんですね。ハワイにてオーブン当初の味を忠実の再現してきたので、全く昔のまま、みたいな感じ。いっぽう「稲葉」がとても現代的な蕎麦なのには驚きでした。

ところで、この店のメニューにバッテラが名物とあったので、バッテラも頼んでみましたが、こちらは、まずいという訳ではなく別の食べ物でした。以前、一応パリで一番オイシイといわれている鮨店で食べたバッテラがとてもこれと似ていて、あの〆た味覚は、外国人には好まれないのかなあと感じた次第。

なお、「稲葉」はリカーライセンスを取得しておらず、酒は飲めません。現地スタッフのクルマで連れられたのに、ビールぐらい飲みたかったかな。
posted by 伊藤章良 at 19:31| 蕎麦・うどん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月11日

さとなお:森の(本郷)

> たいへん大変時間が経ってしまいました。申し訳ありません。

いえ、いつもボクの方が時間あけちゃうので、お気になさらず。

「未能一」、気になっているけどまだ行けていない店のひとつです。
「未だ一に能わず」。気概も考え方もいいですね。でも、実はこういう格言や戒めやモットーを店名にしたり店内に貼ったり飾ったり、というのはあまり好きではありません。そういう考え方は立派だけど、表に出さず隠して欲しい。客に見せるものではないと思います。

特に「いかに苦労してこのスープを作ったか」みたいな言葉や、自分の哲学、かくあるべし論みたいなものを店内に貼ってある店とかは苦手です。なんというか、そういう苦労や哲学的なものって、食べる前から宣言されるべきものではなくて、食べ終わって客が大満足をした上で、客から求められてこっそり明かされるべきものだと思うのです(順序として)。

きっとこの「未能一」はそんなことないだろうし、もっと謙虚な気持ち、もしくは何かの由来で店名つけられたのだろうと思うけど。

さて。
今日は本郷の蕎麦屋「森の」を書いてみます。

ここ、ボクにとっては銀宝(ギンポウ、ギンポ)の店ですね。もう旬はほとんど終わりですけど。
4月のある日に「そろそろ旬だからギンポを食べに行こう」と、先輩と検索しあって偶然入った蕎麦屋なのです。まぁ捌くのに手がかかるギンポをちゃんと置いているという時点で悪い店ではないのがわかりますが、期待せずに入ったのに大当たり。とてもいい店でした。まず仕入れが素晴らしい。能登は七尾産のギンポでしたが、その身の厚みたるや、いままで食べたギンポで最厚でした。市場でケンカして仕入れてきたらしいですが(笑)、この時点で毎年ギンポの旬に通うのは決定!

で、そのとき「6月になったら江戸前産のが手に入ることがあります」とご主人に聞いたので、何度か電話で確かめてから、6月末に行ってきました(そのときの様子)。

これがまたおいしかったな。ギンポの天ぷら(1650円)。七尾産とは別物の香り。うーん、うまひ。あえて言えば衣が少し厚めだけど、でもちゃんと魚の香りがわかるいい天ぷらでした。

と、ギンポの話ばかりになっちゃいましたが、そんな店の蕎麦がおいしくないはずがないですね。
神保町「松翁」で修業した方がやっていて、香り高くしなやかな蕎麦。田舎すぎず都会すぎずのいいバランス。夏は冷や麦もあります。蕎麦と合い盛り(むぎめおと というメニュー名。1050円)でも頼めます。コシのある立派な冷や麦。夏に冷や麦おいている蕎麦屋、好きなんですよねー。

一品もどれもいいです。いただいた中では、鮎の焼き浸し、穴子の煮こごり、焼き茄子、焼き味噌、イチジクの胡麻酢味噌など、どれも過不足なくおいしかったですね。特に焼き茄子が良かったなぁ。最近の焼き茄子体験では出色。頼まなかった中では、鮎の風干しや馬肉のたたき、鴨団子の土瓶蒸しなど気になりました。

日本酒の品揃えもなかなか。「清泉」「出羽桜」「十四代」「鶴齢」などに混じって、「すぎなみき」「姿」「めぐりあい」「大倉」なども置いてあります。鮎をそのまま入れた鮎酒もある。いい感じでしょ? ちなみに日本酒を頼むとお猪口をたくさん持ってきてくれ、選ばせてくれます。

地下鉄の本郷三丁目駅から歩いて5分ほど。こぢんまりと落ち着いたいい店です。懲りすぎず、高すぎず、肩の力が抜けているのにちゃんとおいしい。ご主人と女将さん(?)の感じもいいし、近かったら、ギンポの季節に限らず、頻繁に通うんだけどな。
posted by さとなお at 08:57| 蕎麦・うどん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月04日

いとう:未能一(銀座)

たいへん大変時間が経ってしまいました。申し訳ありません。
凝った名前繋がりでしばし悩んでいたら、公私ともに突然忙しくなり、まったく手付かずのまま時が過ぎていきました。

そして今、仕事でハワイに出張中です。さとなおさんも経験あるかと思うけど、逆に出張中の方が、日本とは昼夜逆転するし時間が取りやすかったりして、やっと更新させていただきます。

さて、

>中目黒の薬膳カレー専門店「香食楽」です。

あ、この店。前を何度か通って気になってました。
ただ、女子としか行きにくい感もあるのて、さとなおさんはどんなシチュエーションで訪れたのか(特に夜)想像してしまいました(笑。オーナーの女性は薬膳も極めた方なんですよね。今度、散歩コースに入れてみよう。

さて、凝った名前の店を色々と悩んで、テーマ変えようかなと思ったものの、過去行った店リストをめくっていて一軒ピンときました。日本料理の「未能一」です。

「未能一」は、この名前で20年以上も営んでおられるそうで、日本料理激戦区銀座にあってミシュランで一つ星も獲得したので、そこそこメジャーでしょうか。

「未だ一に能わず」。たぶん、まだまだ一人前じゃない、といった意味かと思います。若干重いけど、なんだか料理人らしい志を感じる店名です。

銀座の飲食ビル内にあり、路面店でもなく回りや上下は、いわゆるママさんのいる店に囲まれていますが、「未能一」の一角だけは別世界。

入口では靴を脱いであがる段取りになっていて、より和風なテイストを追求したい試みかなあと思いきや、店が狭くてクロークスペースが作れず人手も少ないので、お客様がお荷物やコートをどこでも気軽に置けるようにと靴をお預かりするシステムにしたとのこと。意外と合理的な理由なんです。

カウンターは4席、お座敷もマックス6席ぐらいかなあ。朱が映える趣のある空間で、無口で実直そのものご主人と笑顔が親しげな女将さんの二人で切り盛りします。

メニューはアラカルトもありますが、定番っぽい雰囲気のものが多いのとコースにお得感があったのでそちらを選択。ご主人は今でも関西訛りだし「未能一」との店名から、繊細でやさしい料理もイメージしたものの、テイストは確実に東京。濃い目でメリハリがあり、芯の強さも感じる男の料理。酒がめっぽう進みます。そして、お酒の種類も必要最低限のみ。その潔さもまた酒飲みの共感を誘うでしょう。

「未能一」と名乗りつつも、すでに衒いや迷いは微塵も感じられず、巧みの域です。この店は、すでに一人前でさらにそこから先を目指す大人の集う場所といえるかもしれません。
posted by 伊藤章良 at 12:26| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする