2009年12月26日

いとう:欣圖軒(香港)

>で、この「浄水ろくしき」ですが、ここ、博多の居酒屋としては
>かなり薄味です。

おー、個人的には東京でも薄味の日本料理店と出会うことは稀少なので、とても興味あります。というか時代のせいもありますが、最近パタンと地方への出張が減りました。出張できるから今の仕事を選んだ(笑)みたいなトコロもあるのに、なんだかつらいなあ。

特に今の時期、日本海を泳いでくる魚は最高ですね。博多は南国と日本海側のよさを双方持っているところが特にすばらしいとは、よく聞きますよね。

さて、ぼくは最近ほとんど東京から出ることはないのですが、さとなおさんもご指摘の通り割と海外には行っているので(笑)、一気に飛んで香港の店を紹介します。

11月のはじめに香港に食べに行って改めて認識したのは、さすがに香港は中国大陸の玄関口だなということ。誤解恐れず言えば、北京で食べる北京ダックより上海でがっつく上海蟹より、そのいずれも香港で食べる方がウマイ。青森でマグロを食すより東京の方がおいしい、みたいな論旨です。

個人的には、旅行をすればその地のモノそこから発祥した料理を食べたいと思うので、今回も香港で北京ダックを注文するには多少躊躇したんですが、やはりオーダーして正解でした。

ぼくが食べたのは、広東料理の名店「欣圖軒(ヤントーヒン)」。たぶん香港で一番窓からの夜景が美しいとも言われる、九龍のインターコンチネンタルホテル内にあります。昔からの香港ファンは、ここは以前リージェントホテルの「麗晶軒」だったといえば思い出す方もおられるかも(実際に自分もそうでしたし)。

「麗晶軒」時代から北京ダックもよく知られていましたが、席についてメニューを開くまで実は普通に広東料理を何品か頼もうと思っていたんです。でも、前菜、魚介、肉・・・、と選んでも少人数では沢山食べられるわけでもないし、メニューには要予約と書いてあるものの、サービススタッフに尋ねてみると厨房に聞きに行ってくれて即刻OK。

「欣圖軒」の北京ダックは、一般的にイメージされる脂っこくて皮が口の中でとろけるというよりは、しっかりと食感も香りもありつつ脂は軽くていくらでも口に運べる感じ。店のスタッフが伝えてきた人数前の2倍は食べたけど、まったく胃がもたれることもありませんでした。

価格的には豪華ディナーの部類に入るので、滞在中はココという時にぜひ選ぶべき一軒です。特に「欣圖軒」の上のラウンジは、香港有数の美しい眺めを誇るバー。食後の時間帯にはあまりに混み合うので、夕方から日が沈むぐらいの食前での利用も面白いかもしれません。

「欣圖軒」も海には向いているんですが、ホテルのメインダイニングのはずが最高の場所ではなく、なんと同じホテル内にある和食の「NOBU」の方がいいポジションを取っているのが、なんとなく日本人として皮肉っぽく思いました。

なお、「欣圖軒」は日本語のサイトから、テーブルの予約はもちろん北京ダック等の予約もできるのでぜひご利用のほど。

余談ですが、今回ミシュランの香港マカオ版で中国料理で唯一三ツ星を取った「龍景軒」にも行ったんですが、「欣圖軒」の方がいい意味で中国らしい雑然さも兼ね備えていて断然オススメです。
posted by 伊藤章良 at 23:57| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月21日

さとなお:浄水ろくしき(博多)

そうか「アバスク」の前は「レストラン大越」でしたね。なんで思い出せなかったんだろう。あの立地で24年間はすごいです。まぁあそこのすぐ近くでなんと1967年から42年もやっている戸川昌子さんの「青い部屋」には負けますが(笑)

ええと、先週福岡に行ってきたので、ちょっと書いてみたいと思います。
まずは「浄水ろくしき」
居酒屋ですが、料理レベルは割烹に近いかな。

浄水(じょうすい)というと、関西で言ったら芦屋、東京なら田園調布に近い高級住宅地だそうです。
駅で言ったら薬院大通。その近くにこの店はあります。

博多って甘くて辛い濃い味つけが多く、最初はともかく、食べ続けているとちょっと飽きてくる部分がある印象です(個人的には)。
全体にハッキリクッキリしている味。なんか「しゃーしぃ!」みたいな感じで、薄味の細かい味付けなんか喜ぶのは博多っ子じゃない!みたいな雰囲気を感じる(笑)。そんなちまいことしとると、きさん、ぼてくりこかすど!みたいな(←適当な博多弁ですいません)。

また、玄界灘の魚介類も豪快に調理してあるものが多く、若者にはとてもいいけど、ボクくらいの年齢になってくると「もうちょっと薄味で繊細な料理も食べたいな」と思うことが多々あったりするんですね。

で、この「浄水ろくしき」ですが、ここ、博多の居酒屋としてはかなり薄味です。
ほとんど独学で料理を学んだというご主人(まだ若い)が言うには、料理を教えてくれた人が「もっと薄味に」と繰り返したそうで、それを守っているだけ、とのこと。なにか基準があるわけではないんですね。でも独学のわりにと言ったらとても失礼なんだけど、味がちゃんとまとまっていて、きっちりピントが来ているのがなかなかすごい。

最初に菜っ葉のお浸しが突き出しで出たのですが、これの薄味ピントがツボで、実に良かったです。
それと「大根と里芋の昆布茶煮」。実に繊細でカラダが喜ぶ料理。「赤ムツの煮付け」は前回(去年も行った)よりも味が濃い方に転んでいたけど、「そうして指摘していただかないと少しずつ濃くなっていってしまう」みたいなことを言ってました。次回は薄味ピントの煮付けが食べられるかな。
そしてもちろん、玄界灘のお刺身はとっても良かった。

雰囲気は浄水だけあって高級め。カウンター8席くらいとテーブルひとつ。照明も暗めで落ち着いた空間です。でも値段はとてもリーズナブル。東京のだいたい半額感覚。博多の中では高めの部類なのかもしれないけど。
ご主人まじめでいい感じ。ちょっと寄ってカウンターで軽く飲んでさっと帰る、みたいな使い方をしたいいい店でした。
posted by さとなお at 09:15| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月09日

いとう:レストラン大越(南麻布)

>バスク地方は、フランス側、スペイン側などの違いはあるにせよ、美食の宝庫。
>近いうちにぜひ行ってみたい地域です。

いやぁ、同感です。それと「タラのピルピル」は、さなメモを読んで初めて、とても手間のかかる料理だということを知りました。スタンダードな食材のわりには一皿の値段が高いので、なんとなく手が出ないことが多かったんですが、今度から率先して注文しよう(笑。

>青学の裏手、六本木通り沿いの渋谷2丁目の交差点の三角形をした立地にあり、

ということで、今回は少し趣向を変えて「アバスク」と同じ場所つながり。「アバスク」がオープンする以前そこにあった洋食店で、現在は古川橋近くの南麻布に移転した「レストラン大越」を紹介します。

さとなおさんも書かれるように「動線から離れた立地」ながら、1982年から「アバスク」がオープンするまでの24年間、ずっと営業していた「レストラン大越」。この実績は何ものにも替え難いのに、どうして移転されたのか・・・。大得意のお客様が移転したとか、兄弟店(こちらも新装)の近くに行きたかった等諸説あるようで、詳細は存じ上げません。

それにしても(渋谷時代もそうでしたが)、移転先の南麻布も同様に「動線から離れた立地」。最寄り駅からふらっと行く、という感覚ではないなあ。改めて一から集客の苦労をされるのかと思うと頭が下がります。

さて、洋食屋の王道といえばビーフシチュー。「レストラン大越」でも、渋谷時代から南麻布に移転した後も何度もいただいたし、やはり一番印象的です。「24年間変わらぬ味」とメニューに書いあるけど今食べても軽い感じなので、当時はモダンだったに違いありません。「カニクリームコロッケ オーロールソース」も、現在ならオーロラソースと表記するところでしょうか。

ハナシは完全にそれますが、むかし勤めていた会社の近くの洋食屋に「ビーフ・ストロガノ風」というメニューがありました。ずっとずっと「それはビーフ・ストロガノフですよと」言いたかったんですが、最後まで言えず(泣)。すいません。ふと思い出したもので。

お客様の中には、葡萄酒を片手にひとり静かに食事を楽しむ初老の紳士もおられ、南麻布店は新装ではありますが、さすがに永年東京で営業されてきた店としての風格が漂います。ただランチタイムの名物とされている250gのビッグハンバーグは、なんとなく大きさのみで売っているようで、洋食屋さんらしい手づくり感に欠け、唯一個人的にはオススメできないかな。上にかかっているデミグラスソースはバツグンなんですが。
posted by 伊藤章良 at 17:25| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月06日

さとなお:アバスク(青山)

「龍圓」は日曜夜もやっている、というのもポイントですね(月休)。
あの日はちょうど日曜で、行ける店が限られ、「龍圓」がやっていて本当にホッとしました。なんと言っても味が安定しておいしいし。

じゃ、日曜夜やっているというつながりで、今日は「アバスク」をご紹介。

店名は、「アバ(フランス語で内臓:Abats)」と「バスク」のかけあわせ。つまり、バスク料理と内臓料理を主体としたビストロです(ただしメニューに内臓料理は少ない。その点は残念。もっと増やして欲しい)

青学の裏手、六本木通り沿いの渋谷2丁目の交差点の三角形をした立地にあり、店内もちょっと狭めの三角で、それを逆手にとって親密ないい感じの店に仕上がっています。外からガラス窓を通して見る店内はなかなか魅力的。前から入ってみたかったのですが、1ヶ月半くらい前だったか、ようやく行けました。

「ローブリュー」やら「チョコ(TXOKO)」やら、バスク料理の店って東京にいくつかありますよね。バスク地方は、フランス側、スペイン側などの違いはあるにせよ、美食の宝庫。近いうちにぜひ行ってみたい地域です。この店はフランス側のバスク料理を主体としているようだけど、「鱈のピルピル」や「タパス」があったりしたので、まぁ両方からイイトコ取りした感じでしょうか。

印象に残っているのはその「鱈のピルピル」。
これ、個人的には、2年前に金沢に行ったときに「アロス」というスペイン料理店で出会った料理で、とても美味しかったので印象に残っており、東京でもどこかで食べられないかと探していたんです。そしたら「アバスク」にありました。うぉ、うれしい!

この料理、鱈の皮の部分のゼラチン質をオリーブオイルの中に溶け出させ、乳化させていき、見事においしいソースに昇華させるものなんだけど、その過程で料理人は20分から30分、鍋を手でもって火から10センチくらい離し、円を描くように回し続けないといけないんですね。
金沢の「アロス」ではカウンターに座ったので、シェフが鍋をずぅっと回し続ける様を見ることが出来ました。本当に根気がいる作業。というか腱鞘炎もの。大変だなぁ。そして実際に食べたその料理の鮮烈だったこと! その手間がかかる作業を見続けていたことも相まって、なんだかとても記憶に残る味となったのでした。

この「アバスク」では、鍋を回すのではなくかき混ぜて乳化させていくパターンのようだけど(厨房からカシャカシャとかき混ぜる音がする)、いずれにしても、ようやく東京で巡り会えて良かったのでした。うん、この味この味。うまいうまい。
他にもこの店、スープ・ド・ガルビューがあったり(手羽のコンフィが入った野菜たっぷりの料理)、イイダコのバスク風煮込みがあったり、鱈のコロッケがあったり、なかなかメニューが魅力的です。アバスク風キッシュやバスク豚のローストも結構でした。

量が多少ちんまりしているので、もう少しドカンと迫力ある方がバスクっぽいかな。ただ、プリフィクス(3皿のコース4935円)をふたりで分け、アラカルトから数品とる、という食べ方をオススメしてくれたので、全体に安く済み、とても良心的な印象でした。バスク産のワインを安価で提供してくれているのもうれしいところ(4000円前後)。26時までやってるのもいいですね。

お洒落な雰囲気や、動線から離れた立地、珍しいバスク料理なども含めて、ちょっと知っているといろいろ使えそうな店です。
posted by さとなお at 16:32| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする