2009年10月22日

いとう:サルキッチン(東中野)

>ここでは東京でも意外と置いていない「フリュイ・ド・メール」が
>食べられます。

さとなおさんが、さなメモに「フリュイ・ド・メール」の思い出を書いておられましたが、ぼくも30年近く前にフランスで同様の体験をしました。でもぼくが訪問したその店は今三ツ星になっているんですよ。

そんな話を久しぶりにうかがって、「ブラッスリー・マノワ」に行きたくなりました。あの店は東京のレストランシーンにおいては決してサラブレッドではないけど、店全体からとてもフランスのエスプリが香りますね。きっとオーナーの志向がすばらしいのでしょう。

ではぼくも、ちょっとマニアックなフランス料理店「サルキッチン」を。
こちらは東中野というフレンチにしては異色のエリアで駅からも少し距離があるんですが(道中の渋いモツ焼屋とかに吸い寄せられそうになります)、路面店ではなく、住宅街の方向に曲がると正面に大きなサインが見えて、登場感はなかなか堂々たるものです。

ダイニングはとても狭く4組分のテーブルと椅子でめいっぱい。さらにテーブルのサイズも小ぶりなので前に座った友人の顔が近すぎる(笑。でも、この狭さとギシギシする木造りの感覚は、サンジェルマンデプレあたりのギュウギュウ詰めのビストロを思い出し、決して不快な感じではありません。

こんな「サルキッチン」を、シェフとマダムのお2人で切り盛りされており、どうやって4〜5組の客を待たせずに回していこうかと工夫された結果が若干フシギなメニューとなってます。

アラカルトを選択すると、全ての皿が2人分の量なので2人で2〜3皿ご注文くださいとのこと。であれば、できるだけいろいろな種類の料理を食べてみたいゆえトライするアラカルトの意味はないよなー、というのが当日の仲間との結論。

ゆえに、例によってマダムの推奨以上の皿数をなんとかお願いしてみることに。

結果、当初のかたくななマダムの語り口に反して、2種の料理を一皿に盛ってくれたり、煮込み料理は個別に出していただいたり、シェフが直接厨房から運んできたりと、とてもきめ細かい対応に感激。しかも、ビストロ料理と思いきや、丁寧に仕込み手間をかけて調理された本格フレンチで、それぞれの料理を口に運ぶごとにウナリました。

確かに時間はかかるんですが、ワインのラインナップがなかなかすばらしく安価なので、久しぶりに会う友とゆっくりワインを飲みながら気長に料理を待つつもりで訪問すれば、ぴったりとハマルこと間違いないですね。

なお、「サルキッチン」を検索すると様々な人が書いていますが、トイレがとても面白い。食事中に恐縮なんだけど、トイレに行って戻ってくると、その話題だけでも次の料理までの時間を十分に稼げそうです。
posted by 伊藤章良 at 17:23| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月18日

さとなお:ブラッスリー・マノワ(広尾)

いい店っぽいですねー「達 菊うら」。
新宿はあまり行く機会がないんですが、行ったら行ったでいつも店に困ります(単に知らないだけなんですが)。特に和食は困るので、ぜひ今度ためしてみます。

ではボクは、北海道でシェフが撃ったジビエを東京で食べられるフレンチをご紹介します。

広尾の「ブラッスリー・マノワ」
ここ、北海道の道東は標茶町にあるマナーハウス(荘園主の邸宅)をイメージしたオーベルジュ「ヘイゼルグラウス・マナー」の姉妹店なんですが、まぁあちらが2000年に出来て、こちらが2006年開店ですから、弟分ですね。マナーをフランス語読みしてマノワだと思うし、経営も一緒だと言うし、「ヘイゼルグラウス・マナー」の東京支店に近い位置づけかもしれません。

「ヘイゼルグラウス・マナー」は、ボクが20世紀最後に行ったレストラン(オーベルジュですので泊まりましたが)です。押し迫った2000年12月30日に行きました。
シェフ自らが撃ってきたジビエ料理がなかなかおいしく、美しい雪景色と相まって、とても印象的でした。でもその支店に当たるレストランが広尾に出来ていたとは寡聞にして知りませんでした。出来て3年にもなるのにねぇ。

ブラッスリーと名乗ってはいますが、木をふんだんに使い、ちょっと高級レストランっぽい雰囲気になっていて、とても居心地のいい店です。店の人に聞いたら「狩猟の館をイメージしている」とのこと。なるほど。
カウンターにテーブル席が3つほど。カウンターはパリのきらきらした調度品を置いた古いビストロって感じかな。ギャルソンのサービスもよく行き届き、とても気持ちいい空間になっています。

さなメモでも書きましたが、ここでは東京でも意外と置いていない「フリュイ・ド・メール」が食べられます。例の氷の山に生牡蠣やらムール貝やら海老やらが刺さっているヤツですね。あれ、海外では超お馴染みなのに、日本ではあんまりお目にかかれないメニューですよね。これがちゃんとあるのはうれしいことでした(わりと好きなんです)。これらの魚介類も北海道直送らしいです。

そして、冬のこれからの時季はジビエですね。
「ヘイゼルグラウス・マナー」のゲームキーパー(森番)が撃ち、そこの専用施設で下処理&熟成をしたものを直送するという徹底ぶり。素材は完璧です(フランス産ももちろん揃えています)。味つけはちょっと濃いめという方もいますが(ボクの友人)、ボクが行った夜はそれも感じさせず、ちょうど良かったですね。素材の味を殺さず、実にうまい。行った夜はクスクスを食べたんですが、これがまたうまい。クスクスって香りがないヤツがあるでしょう。きちんと香って歯ごたえもあるクスクスが食べられるとシアワセになります。

ワインも高すぎず安すぎずイイモノを揃えているし、道からちょっと奥まったロケーションもいいし、いろいろ使い勝手がいい店だと思います。今年はもう一度、山ウズラを食べに伺う予定です。全体に春夏より秋冬が似合うレストランです。これからの季節にどうぞ。
posted by さとなお at 21:40| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月08日

いとう:達 菊うら(新宿)

>地方で静かにがんばっている店に行くのってホントに好き。

ホントにそうです。最近(特に出張で)地方に出かける機会が少なくなってしまって、さとなおさんの文章だけで楽しんでいます。また、そういった隠れた名店を引っ張り出すネットワークにもいつも嘆息。

特に瀬戸内の魚のすばらしさを大阪や広島で何度も体験したので、おっしゃることがよく分かります。おこぜはかなり高級魚ですが、西では安価でいいものに出会えますよねえ。それにしても愛媛の地酒はどれも飲んだことがなかった(汗。

ぼくも同じ立場で、東京で静かにがんばっている和食店を考えているうち一軒思いつきました。新宿の「達 菊うら」です。

食の不毛地帯新宿のさらに人通りのまばらな大ガードの先で、予約の取れない良質廉価な日本料理店として確固たる地位を築いた「板前心 菊うら」。その店主菊浦氏が、1年前に同じ建屋の真上のフロアに出したワンランク上の店が「達 菊うら」。満を持して次の極みに「達した」ゆえの店名かと思いきや、店主のお名前が菊浦達さんだからのよう。

さすがに階下の店よりゆったりと広く、高級感のある幅広のカウンター。日本料理店にしては大きめの皿を使うこの店でも、迫力のある料理がドンドンと余裕で並びます。店主菊浦氏もこちらの厨房が主のようです。

料理は、果物と合わせた生ハム、フカひれとウニのあんかけ、松茸&サーロインの炭火焼、トロの握り等、高級食材をそれが一番ウマイとされる定番のレシピで素直に楽しませる流れ。究極のうまいもの屋であり、奇をてらったネオアメリカンっぽい変化球や上から目線の大御所臭さは微塵もありません。この辺の独立独歩な潔さや迫力が、関西生まれでやっはり日本料理は西かなあと思っているぼくにとっては、逆に東京っぽくて心地いいんですよ。

食材の流れからワインも数種類完備されていて、日本酒や焼酎とともにベーシックなものを比較的安価でいただけます。

奥には格調高い個室もあつらえてあって、ダイニングや料理を含む全体は今の時代に多少違和感のあるバブリーさなんです。でも、それがイヤらしくならないのが裏新宿たる所以かもしれません。
posted by 伊藤章良 at 19:08| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月04日

さとなお:わらじや(松山)

>最近、ソムリエやサービスがオーナーのレストランがポツポツと増えてきました。
>(中略)
>オーナーシェフの作った料理がただ運ばれてくるだけのレストランよりも
>2倍おいしいはず、と個人的にも信じていて、

たしかに目の行き届き方が違う気はしますが、サービスなどに比べて料理が負けて感じられること店も多いかな。バランス的にサービスが勝ってしまう、みたいな。そのサービスもオーナー以外はちょっと見劣りしたりして、全体に少し残念な印象になってしまったレストランもありますよね。いずれにしてもバランスは難しいです。

さて、オーナー系でいい店を続けてご紹介できればいいのですが、ちょっと思いつかないので、この前行った愛媛県は松山の「わらじや」をご紹介したいと思います。

愛媛って生まれてはじめて行ったのですが、ほんわかのどかで、優しい感じで、とてもいいところですね。
日本一細長い半島、佐多岬半島の先っぽに行きたい、というのが旅の目的でしたが、佐多岬も宇和島も松山もそれぞれ印象的でした。地方で静かにがんばっている店に行くのってホントに好き。引退したら各都市数泊ずつずっと渡り歩いて食べ回りたいと思ったなぁ。なんか、ものすごく好きなんですね、そういうの。

で、「わらじや」。
創業26年のわりに、あまりネットとかに出ていない店のようですが、メールで教えていただき、予約して出かけました。カウンターのみ(だと思う)の小さな店ですが、ここ、とてもうまかったです。大当たり。

まず魚の質が抜群でした。
まぁ愛媛ってどこに行っても抜群の魚ばかりなんだけど、その中でも群を抜いている印象。当日は、釣りサバとおこぜを中心にいただきましたが、このおこぜがね、もううまいのなんの。いままでの「おこぜ観」(なんじゃそりゃ)を覆す質。瀬戸内ってここまでうまいか、と唸る味。この刺身はいままで食べたおこぜのダントツ一位です。

この刺身があまりにうまいので、次々いろいろ頼みました。名物の「出し巻き豆腐」もよかったですねー。これ、出し巻きの中に豆腐が入っているだけのものなんだけど、名物というだけあってふんわりふわふわの絶品。んまい。あと地酒の品揃えがよいです。「隠し剣」や「城川郷」「賀儀屋」など。愛媛もおいしいお酒が多いなぁ。

ご夫婦ふたりでやっていて、カウンターがいっぱいだと料理が出てくるのがどうしても遅くなりますが、待つ甲斐のある美味が食べられると思います。店は明るく、女性ひとりでも入りやすい感じ。旅人も馴染みやすい雰囲気でした。

松山に行かれたら、ぜひぜひ。
posted by さとなお at 21:18| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする