2009年07月21日

いとう:豚に夢中(外苑前)

>「西尾さん」ですか(笑)

電話が鳴るたび、ご本人が「ハイ、西尾さんです」と出るので、なんだかおかしいです。

「よろにく」も、考えてみたら面白いネーミングですね。なんとなく「さとなお」や「おさにち」と通じるものを感じるのはぼくだけ(笑。

ぼくはただ、「ジャンボ」や新橋の日本料理「京味」といった店は、東京人の焼肉神話・京料理コンプレックスを逆手にとって関西人が大もうけしているような気がして、同じ関西出身としてはなんとなく気恥ずかしいんです。「よろにく」の店主はどちらのご出身かは存じませんが、なんとなく同じ匂いを感じちゃったなあ。だって焼肉って、本来ガハハなものじゃないですか。

さて、さとなおさんが「名前系の面白い店名つながり」に行くとは思いも及ばず、ちょっと迷ってしまいましたが、同じ焼肉・ホルモン系でもあるので(というか、この手の店は面白いネーミングばかりですが)、「豚に夢中」を紹介します。

場所は、青山三丁目交差点を西麻布方向に下り、スキーショップジローも越えてしばらく行った右側。前々から渋い店が散見される一帯ですが、最近では「カンテサンス」の二番手が独立してこの界隈に店を出したりと、ちょっと注目もしているエリアです。

「豚に夢中」は、いまや一大モツ焼チェーンとなっている「い志井グループ」の一角。ココの拡大ぶりは、新丸ビルや東京ミッドタウンにまで出店するイキオイで、それだけ大量に新鮮なモツが確保できるのかどうかいささか疑問ではあります。が、「豚に夢中」もチェーンのコンセプトを踏襲する、食材の豊富さ新鮮さとレトロな内装(「オールウェイズ三丁目の夕日」をモチーフにしたとか)はそのままに、接客もかるーい今風。

と書くと元来いとうの好みではないのですが、「豚に夢中」は青山の底の底にある渋いロケーションが客層を含め功を奏しているのと、お酒のラインナップがとてもすばらしく、チェーン店特有のあざとさを忘れさせます。モツにはやはり焼酎が合うかなと思いますが、そんな焼酎のリストが秀逸。隠れた名品、レアなブランド(ちょっとお高めな「春雨ゴールド」とか)など、数々並んでいて目移りします。

というのも、お酒の豊富さでは都内でも白眉の名居酒屋「ひじり亭」のオーナーとここの店主が親戚だそうで、お酒については「ひじり亭」に監修をしていただいているとか。さとなおさんが以前絶賛していた「村祐」もさりげなくメニューに載っています。といっても「村祐!」と注文すると店員に「はぁ〜」みたいな顔をされてしまって残念でしたが。

それとシメにいただいた、牛スジを煮込んだダシで作ったうどんがうまかったなあ。いつもあるメニューではないようですが。

posted by 伊藤章良 at 23:30| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月16日

さとなお:よろにく(南青山)

「西尾さん」ですか(笑)
いえ、お店には行ったことないのですが、親しい人に西尾さんという人がいて、なんだか可笑しいです。今度、西尾さんを連れて「西尾さん」に行ってみますね。喜ぶだろうなぁ。

そういう「名前系の面白い店名つながり」だと、西麻布の「おすしやさん」をすぐ思い浮かべたんですが、あの店はオススメしにくいので、んんん、と考えた末、面白店名系というつながりで、ベーシックですが「よろにく」を書いてみます。

この店、「ジャンボ」で修業した人が開いたそうですね。でも「ジャンボ」のようなカジュアルな部分はあまりなく、相当高級な店構えと内容です。この高級さを持った上でこういう店名というところが上手だなぁと思います。高級焼肉なのに高級な名前をつけないどころか、ちょっとふざけた腰砕け系のネーミングをするあたり、なかなかプロっぽいな、と。そして「そうは言っても焼肉なのだ」という下世話さと楽しさを担保しているな、と。

切り口もちょっと新しい。
「おまかせ」にするとより特徴が出るんだけど、コースの流れで懐石風に食べさせてくれます。一皿一皿の量も少なめ。少量厳選。上等な肉を少しずつ上手に組み合わせて流れを作ってくれます。特選ミスジでご飯を包んで食べるとかの印象的な変化球もコースの中だと効果的にきいてきます。

そういうこともあってか、わりと新しい店なのにもう東京の焼肉地図でもトップクラスに位置されていますね。知り合いは「いまはここが一番だと思う」とまで言っていました。確かにおいしい。肉も最上級。聞けば「高級和牛専門の老舗、日本橋人形町『日山』の目利きが当店のために選びに選び抜き、更には熟成を加えたA5ランクの最上級の和牛を使用している」らしいです。

でも、赤肉をザクザク音立てて食べるのが好きなボクとしては、全体にひたすら柔らかく脂もとろとろな食感が続くのが少々苦手でした。
というか、逆に少し単調になってしまっているかもと。甘くとろける稀少部位が続きすぎて、せっかくの素材の印象がぼやけてしまうのが残念な感じ。個人的な希望を言うと、コースの途中にもっと強い赤肉を入れ、ホルモンをもうちょっとワイルドにして、メリハリをつけてほしいかな。あ、キムチやナムルももうちょい印象的にしてほしい。

まぁでも若者やサシ好きにはたまらないお店だと思います。
間接照明を多用した店内の感じもデート時などには使えそうです。ちょっと目先の変わったコースでとろけ系稀少部位を存分に味わうのなら、必ず候補に入ってくる店ではないかと。

ちなみに、名物の「金粉つきのほうじ茶かき氷(巨大)」はなかなかのインパクト。鹿児島や沖縄の「白クマ」のほうじ茶版って感じです。ただ、脂がトロリと広がった胃腸にいきなりかき氷を大量に入れるのはお腹が弱い人には要注意かもしれません。
posted by さとなお at 23:02| 焼肉・韓国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月10日

いとう:西尾さん(新宿)

「江ど間」、前を通ったことがあるんですが、こんな個性的なコンセプトの店だとは想像しませんでした。嗅覚がかなり鈍ってきたかなあ(泣。ただ、「鉄板焼き」とのタイトルの店にほとんど興味がわかないので、その文字が見えて興味を閉ざしちゃったのかもしれません。

ウェブサイトも面白いですね。しばし読んでしまいました。異業種交流(出会い系?)まで仕掛けておられるようで(笑。

さて、ちょっとつながりが遠いんですが、ぼくも同じように志の高い居酒屋を紹介します。新宿の「西尾さん」。ここも小さい店ですし、人にあまり教えたくないと訪れた誰もが思ってしまうんですが、結局「王様の耳はロバの耳」じゃないけど、今ではすごい数のネット情報に溢れていて、整理の意味でも書いてもいいかなと。

新宿のはずれ、といってもそんなに外れていないわりには外れ感アリアリの三角州のようなエリア。画材の世界堂の隣りで新宿高校の向かい側というとイメージしていただけるでしょうか。そこの裏路地の狭い階段を降りた地下1階にあって、火事でも起ころうものなら絶対逃げ遅れるだろう(笑)と思うほどいろいろと物が置かれた入口からやっと入ります。そうそう、このエリアには「あいうえお」という新宿ではちょっと名の知れた居酒屋があるんですが、今やすっかり「西尾さん」にお株を奪われた感じ。

ここの店主西尾さんは、「汁べゑ」「くいものや楽」等を展開する楽コーポレーション出身で、イキのいい接客・オリジナル料理・アイデアとメッセージにあふれたポップなメニューなんかも修業先譲り。ただ、何よりすごいのは、店主たった1人でこの店をキリモリしている点なんですね。

さとなおさんはコミュニケーションデザインの専門家ゆえ釈迦に説法かもしれませんが、「西尾さん」では、1人で店を運営する場合どうすればお客様に失礼はないか、また上手にお客様とコミュニケーションが取れるかというアイデアが、あちこちに満ち溢れているんです。

サラダやおでんといった、食べ放題にできたり簡単に数が申告できる(わざとおでんを串刺しにしてあるところもニクイ)ものについては全てセルフで支払いも自己申告。また瓶ビールや焼酎のロック等もセルフにして、自分はできるだけ厨房の同じポジジョンから動かなくてすむように工夫。いっぽう、「八代割り」という炙ったイカの入った焼酎カクテル等、オリジナルの酒はササッと作って手渡す。

料理も、当日の仕入れや「西尾さん」独自のメニューについて、それぞれ丁寧に説明をされるのですが、注文は全て自分で紙に書かねばなりません。そしてなにより、自分1人で相手しきれない不足分については、ありとあらゆる形で文字にして視覚に訴えます。

メニューには、当然ながら料理名だけではなく様々な注釈が書かれているし、店中に「これから暑くなります」とか空調が効きにくいことのいい訳があったり、トイレの中の貼紙(一度入るとナカナカ出られません 笑)、そして最後の会計伝票に至るまで、あらゆる形でしたためられた西尾さんからの様々なメッセージが、客の心をなごませ虜にします。

仲間とでもデートでも工夫された料理や酒を安価で楽しめますが、人を雇わず奥さんやお母さんの手も借りず、自分ひとりで店を開こうと思っている方がいれば必ず行ってみるべきでしょう。

ただ、予約はなかなか取れません(飲んでいる最中もひっきりなしに電話がかかってきますが、その一つ一つにすごく親切に対応されています)。コツは大半の予約客が7時半スタートなので、なんとか時間を作ってオープン直後の5時過ぎに入り予約客が来るまで過ごす・・・。

西尾さんは、その客の動向まですべて読みきっておられるかのように、店の入口には「本日は予約で満席です。わざわざ来ていただのに申し訳ございません」と表記し、横に小さく「7時半までならお席あります」と書かれていることが多いです。
posted by 伊藤章良 at 18:22| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月08日

さとなお:江ど間(五反田)

「七草」は、少し評判が一人歩きしすぎている気はしました。
というか、ああいう「カラダにひたすら優しい家庭料理を出す店」って、ここ1年やけに増えた気がするので、相対的に普通っぽく見えてしまうということかもしれません。ちょっと前なら「素晴らしい!」「こんな店、他にない!」だったのが、いまだと「他にもこういう店あるなぁ」という印象になってしまう感じ。東京ってトレンドへの反射神経が鋭いので、あっという間に似たような店が増えてしまいますね。その辺、家庭料理って不利かも。追いつかれやすいというかなんというか。

ということで、今回は「これからのトレンドになりそうなコンセプト」(もう一部ではとっくにトレンドだけど)として、地産地消を取り上げてみたい思います。

といっても、この店自体は、別にトレンドを狙った店ではなく、真面目に地産地消に取り組んでいるんです。
でも、すぐに「お江戸の地産地消」という考え方をマネする店が出てきそうだなぁ。

五反田にある居酒屋「江ど間」です。
店名横に「江戸野菜居酒屋 おでんと鉄板焼き」と書いてあります。地産地消を志す江戸野菜の店ですね。

江戸野菜、って京野菜のようにはポピュラーではありません。というか超マイナー。東京生まれ東京育ちのボクでもあんまり知りません。
有名なところでは「谷中生姜」とか「練馬大根」とかかなぁ。あと「小松菜」も江戸野菜ですね。
この店で初めて知ったのは「馬込半白胡瓜」。瓜に近い食感と香りでなかなか良かったです。「しんとり菜」も初めて。昭和中期には江戸川区の方でたくさん作られていたものらしいけど、いまではほとんど流通してないとか。あと北区の方で作っている蕪もおいしかったな。ま、実際、そんなに著名な野菜はないのですが、この店はそれらを苦労して仕入れて、特徴を活かして料理してくれます。

行く季節によって出る野菜が違いますが、行った日は「きゅうり食べ比べ(馬込半白胡瓜と普通の胡瓜の食べ比べ)」、「谷中生姜の豚肉まき」、「蕪焼き」、「小松菜おひたし」、「しんとり菜胡麻和え」、「ぬるぬる元気夏野菜」など、どれも鮮烈な味でした。
味的には特に「谷中生姜の豚肉まき」が印象に残ってます。谷中生姜の先っぽに豚肉が巻き付けてあってそれを鉄板で焼いているんですが、これ、相性が非常にいいです。この店一番の人気メニューだそうでした。

厨房に大きな鉄板があるので、鉄板焼きが多いですね。シンプルに野菜の味が出てくるので良いと思います。
鉄板があるせいで(居抜きだったのだと思われ)、お江戸な店なのに、〆には大阪風の「お好み焼き」があります。千住ネギを使うそうですよ。あと、「生太麺の焼きそば」も名物なようで、これには品川の製麺所の太麺を使用しているとか。あとはおでん。千住ネギとか小松菜とか馬込三寸人参とかが煮込んであります(もちろん普通のおでん種もある)。

当然東京出身のご主人かと思ったけど、出身は愛知県だそうです。
個人的にはそれも好ましかったです。がちがちの江戸っ子がストイックにやっているより、なんか客観的で気楽でいいじゃないですか。だからお好み焼きがあるのもなかなかいいなぁと。こういうコンセプトの店だからこそ、ストイックになっちゃいけないと思います。楽しくなくちゃ。

もちろん江戸前の魚も出ます。江戸漬け物とか「並木藪蕎麦のそば味噌」とかも出たりします。ビールも「小江戸ビール」という地ビールがあったり、日本酒は澤乃井や千代鶴、嘉泉、喜正など、東京都のお酒が揃っています。焼酎も東京都中心のめずらしいもの。この辺の一貫した感じはいいですね。

いかにも居酒屋然とした店内は清潔で気持ちいいです。カウンター中心でテーブルがひとつあったかな。小さな店です。
五反田駅前ながら「こんな方に飲食店があったっけ?」というエリアにある店ですが、ご主人の宮城幸司さん含め、全体にとても気持ちのいい店でした。値段もリーズナブル。季節ごとにチラリと行って、江戸野菜をぐるりと食べ切りたいと思います。
posted by さとなお at 08:34| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする