2008年06月26日

いとう:タンジェ(白金高輪)

今回は伊藤の続投です。さとなおさん勝手いたします。
というのも、先日(6月半ば)訪問したお店をできるだけ早くお伝えしたいなと思いまして・・・。

そこは「タンジェ」なる北アフリカ系フランス料理店。ある方にすすめていただき期待をしての訪問。場所は高輪の住宅街。魚藍坂下から少し脇道に入り、かなり急な坂をしばらく上がった左手にあります。一軒家を改装した造りなので周りと違和感なく溶け込んでおり、ボンヤリと映るTangerのサインがとても渋い感じ。

一歩入るとそこはウェイティングバー。このバーがとてもかっこいいんですよ。ちょっと日本では見つからない地中海沿岸の小さな町にでもありそうな風情。シチリアのパレルモでフラっと入ったバーを少し思い出していました。

ここでイタリアのビールでも飲みたいなと思うもカウンターの向こうには誰もおらず(というか出迎えてくださる方はナシ)。バタバタと階段を降りて来る音がしたので「一杯いかがですか」と声をかけてくれるかと思いきや、予約を確認しつつどうぞお2階へ・・・。

ちよっと失望しながら上がると、2階はダイニングとキッチンになっている様子。ところが足を踏み入れた瞬間から違和感ありあり。ダイニング自体は、薄暗いランプ照明を生かしたムーディでヨーロッパ調のデザイン。決して広々とはしていないけど高い天井とシンプルな装飾が閉塞感を感じさせません。

違和感の原因は、およそこの燻し銀な空気にそぐわないキャピキャピな客層なんですね。しかもほとんどのテーブルはメンバーが未だ揃っていないのに、なぜかあんなステキなウェイティングバーを使わず、暗くうつむいてテーブルで携帯なんかをいじっている。

料理は、すごく突出した皿には当たりませんでしたがそれぞれポーションも大きく、強く塩を効かせてワインを渇望させるタイプ(個人的には大好きです)。ワインも、いい値付けのものが何本か品切れで残念だったけど、代わりにすすめていただいた(名前失念)も良品。

ところが、回りから聞こえてくる「さんざめき」は、ちよいワルおっさんの自慢、合コンの駆け引き、若手社員のヨイショなど、すべて飲み食いは二の次な話題・・・。

まだまだ食べてみたいメニューもあり満腹ではなかったですが早々に退散。別の場所できっちり飲みなおしました。

後で調べたところ、今月発売の東京カレンダーで巻頭に数ページに渡って紹介されていたとか。チェックしなかったぼくが悪いんだけど、さまざまな魅力を秘めたレストランながら、今は決して行き時ではありません(苦笑)。
posted by 伊藤章良 at 09:47| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月19日

いとう:ル・リオン(恵比寿)

さとなおさん、お疲れ様です。
確かに体調が悪い時って「おいしいもの」のこと、書けませんね。同感です。

ぼくは逆に、仕事と仕事のハザマにいて少々ゆるい日々が続いています。ま、それも本日までなんですが。

さて、「Pure Food & Wine」かなりよさげですね。
野菜専門の店はあっても、こういったタイプの店は未だ日本には現れていないような・・・。産直のネットワークが確立されているアメリカだからこそできるのかもしれません。

と、海外の店の話題がでたところで、ぼくは東京の店ですが、とてもとても現地フランスのエスプリを感じてしまったカフェ「ル・リオン」を紹介します。

「伊藤さんってカフェ嫌いだよね」と、かなり頻繁に言われるんですが(苦笑)、日本の一部のカフェやダイニング系レストランのように、同じ場所で5年10年と続けていこうとの意志が感じられないお店を好まないだけです。

「ル・リオン」は、日本風のカフェとは一線を画す、名前のごとくフレンチカフェ。恵比寿の裏通りという立地といい(まあ、バス通りの方がパリのカフェっぽいですが)、過剰にデコラティプにならないフランス趣味といい(特に黒板のメニュー)、自然体でアットホームなサービス陣といい、現地さながらの趣きで申し分のない居心地のよさ。

ここまで徹頭徹尾フランスのカフェを再現していただくと、その潔さに感服しつつ頬がゆるみっぱなしです。

そしてもっとも強く言いたいのが「ル・リヨン」の料理。店名のリヨンというのはスペル的にはライオンの意味なんですが、もちろん食の都フランスのリヨンにも引っかけているのでしょう。料理も現地のテイストそのままなのです。

先日なにげなく(というか大きな期待を込めて)オーダーしたビーフステーキ。サシの入らない固い牛肉を使い、表面を真っ黒くカリっと焼いて中にはジューシーに赤いところを残す。タップリの塩を効かせた上にマスタードをぬってザクザク切ってほうばる。これぞまさにパリのカフェで出会うステークフリットそのままで、久しぶりにステーキで満足しました。ハウスワインも、とてもバランスのとれた良品を用意。しかもおおぶりのグラスにタップリと注いでくれます。

前を何度も通りつつも、カフェだからなあ・・・と毛嫌いして今まで入店しなかった自分を恨みました。さすがにお客さんは女性が多く、お酒を飲んでいない方もいるので、バーのような使い勝手には多少躊躇するところがありますが、それもまた本場のカフェっぽいんですね。

※なお、ジャンルの中に「カフェ」がなかったので(笑)、フレンチに入れておきました。


posted by 伊藤章良 at 15:44| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月15日

さとなお:Pure Food & Wine(ニューヨーク)

伊藤さん、すいません。すっごく間が空いてしまいました。
急に忙しくなったのと、季節の変わり目か体調がいまひとつ。体調が悪い時って「おいしいもの」のこと、書けませんね。すいません。

まだ引き続いて体調最悪なのですが、つなぎとしてニューヨークで面白かった店をもうひとつ書いてみます。

「Pure Food & Wine」というお店。
ユニオン・スクエアのすぐ近く、Irving Placeにあるモダン・アメリカンです。マリオ・バタリの「Casa Mono」の隣と言った方がわかりやすいかもしれません。

いわゆる「RAW(生の) FOOD」の店ですね。
ビジネスカードにも「new york's raw organic restaurant」と書いてあります。

なんでも、新鮮なオーガニック素材を48℃以下の熱で調理をしているらしいのだけど、そう聞くとまずそうでしょ。でもうまい。そんなこと思わせない完成度と味付けで各皿それぞれに驚きがありました。肉も魚も使っていない。野菜と果物、ナッツ系、スパイス系のみでこれだけの料理を作ってくるか…と驚く感じ。

アフターシアターでラストオーダー寸前に飛び込んだのだけど、快く「Chef's Choice Five Course Tasting Menu」($59)を受け入れてくれました。
テーブル単位で注文してくれ、と言われたので一緒に行った4人全員テイスティングコースにしたんですね。当然4人同じ料理が出てくるかと思いきや、4人それぞれ違った料理を出してくれ、シェアして楽しめました。デザートを含めるとそれぞれ6皿。つまり24皿分楽しんだことになります。メニューにあるほとんどの料理は楽しめたのではないかな。ラッキー。

料理はどれも美しい盛りつけと意外と骨太な美味でとてもインパクトがあります。
バラエティに富む野菜を上手に組み合わせて繊細きわまりないながらもきちんと芯があるうまい料理に仕上げてあるんですね。やり過ぎも創作しすぎもなくハイセンス。デザートまでおいしい。オーガニックブームの行き着いたカタチかと。全体にインド料理やメキシコ料理の影響を受けているかな。和食の影響も少し。

この手の店は流行に左右されてすぐまずくなる場合があるけど、長持ちして欲しいレストランです。ちなみにアルコールはワインのみ。ビールは製造過程に加熱があるから使わないらしい(笑)。

店の奥には中庭があり、このテラス席はとても気持ちよさそう。サイトを見るといろんなメニューを確認できます。ぜひどうぞ。
posted by さとなお at 18:57| 海外のうまい店 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月04日

いとう:オーベルジュ・ド・リル・トーキョー(西麻布)

さとなおさん、誕生日おめでとうございます。
いよいよ40代中盤サラリーマンといえなくなってきましたね(ぼく含め 笑)。

さて、あまりいい印象ではなかったので、再訪するまで紹介は控えようかなと思っていたんですが、いろいろと聞かれる場面が多いので、話題の店「オーベルジュ・ド・リル・トーキョー」の紹介を。

ご存知の方も多いかと思いますが、2008年初頭まで営業していた西麻布の「ジョージアンクラブ」が閉店。その後地(というか居抜きですね)に誕生したのが、フランスのアルザス地方でミシュラン三ッ星を40年獲得している「オーベルジュ・ド・リル」の東京初上陸店(日本では、すでに名古屋駅前にあるトヨタのビルに出店)です。ちなみに、トシヨロイヅカと川島なお美が婚約を交わしたのもこのアルザスの「オーベルジュ・ド・リル」だそうです(笑。

で、「ジョージアンクラブ」は間違いなく日本で最も個性的かつ異端なグランドメゾンだったわけですが、エントランスから地下への予想外な演出、ダイニングの妖しさ・あざとさ・艶っぽさ・予定調和など、日本の他のフランス料理店にはない要素はほとんど消えるか角がとれていて、いわゆる超高級レストラン(旧タイユバンロブションが一番近いような印象)になってます。

1階のレセプションから細い階段を上がって(ここの踊り場にあるジョージアンの肖像画は健在)、2階にあった理解しがたい不遜な客室(ちょっといい意味で)も、すべてダイニングの個室としてリノベーションされていて、ああ実にもったいない・・・。

「ジョージアンクラブ」の最大の特徴であるエントランスから二方向にダイニングへと降りていく大きな劇場的階段はそのまま(当たり前か)。ただ残念に思ったのは、その横の左右の壁に、フランス「オーベルジュ・ド・リル」の絵(写真?)が、床から天井にまで達するどでかいサイズで掲げられていたこと。 確かに美しい絵ではあるけど、発想がファミレス的かなあと感じました。
ちなみにダイニングには新たに照明を追加したようで、以前よりは明るくなっています(といっても暗いけど)。

料理は、当然ながら間違いなく高いレベルだし、サービススタッフもひらまつ本社から優秀な人材を給仕長として登用。二番手もひらまつ本店から、と気合は入ってます。でもリルの支店として、アルザスのエスプリが香るかというと、「オーベルジュ・ド・リル」のシェフが来日してフェアーを開催した際にいただいた料理と比較すると、ちょっとつらいかなあ。というより、すでに伊勢エビの料理がオンメニューされているように、日本の食材(特に中部地方)を巧みに使った現代フランス料理店と解釈したほうが理解しやすいかもしれません。

ただ、トータルとして思ったより高くない(というか、当然高いですが「ジョージアンクラブ」よ少し高いぐらいで、昨今オープンしているフランス三ッ星の東京店に比べたら、という意味です)に収まっているのが、少し安心かつ再訪してもいいかなと思う好材料です。

posted by 伊藤章良 at 14:54| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする