2008年01月30日

さとなお:すだち(銀座)

大阪のフレンチ、元気ですよね。ガツンとしてるし、なにより安い。あんな安価合戦をしていて共倒れにならないか心配になります。

今はなき「ジャン・ムーラン」、懐かしいです。
意外と濃い味でムラがあり、ボクとの相性はあまり良くなかったのですが、ボクもあそこは魚(特に瀬戸内)料理というイメージがあります。それとパティシエが良かった記憶。デザートがかなりおいしかったな。あそこで修行したのなら、わりと鍛えられていそうですね。

ええと、ボクも遠いつながりですが、関西つながりということで、銀座で気楽に京都のおばんざいが食べられる店「すだち」をご紹介します。

正確には「くいもんや すだち」

カウンターとテーブル席ひとつの小さな店ですが、カウンターにズラリと並んだ大鉢に盛られたおばんざいの「程の良い」ことと言ったら。
ここより凝った京都家庭料理を出す店はいろいろありますが、全体の程の良さでは一番です。言い換えればバランスが良い。高級すぎずカジュアルすぎない。敷居が低い味なんだけどちゃんと焦点が来ている。京都風薄味なんだけど東京でも馴染む程度の薄味に仕立ててある。などなど。あ、銀座なのに高くない、というのも付け加えようかな。

すべて、カウンター内で仕切っている店主(お母さん)の魅力から来ています。
料理もすべてこの方が作っていると思うのだけど、料理の進行から客席への目配りまで常に動き回ってチェックしています。一見ちょっと無愛想っぽく見えるのだけど、話せばこちらの誤解とわかります。ちょっと表情が乏しいタイプのお顔なんですね。でも実際は超親切で優しいです。

季節の先取り感もなかなか。
少しずつ先取りして、「へぇ、もうそんな季節か」とか思わせてくれます。とはいえ初冬に「早堀りタケノコ」が出たのには戸惑いましたが…(まぁ四国で採れるんですが)。

大鉢のおばんざいはどれもこれもおいしいので、追加追加としているうちにほぼ全部取っちゃうことが多いですね。
最近行ったときは、「菜の花」「ふき」「聖護院かぶら」「筑前煮」「肉豆腐」「南蛮漬け」「アスパラ焼き」「水菜のハリハリサラダ」「蟹クリームコロッケ」「牡蠣フライ」など。ここの名物に「すだちを振ったアジフライ」がありますが、アジフライ評論家としてはもう少し(笑)

大鉢以外に豊富なメニューがあり、達筆で書かれたそれはどれもこれもまた旨そう…。煮付けや焼き魚などをはじめ、おいしそうな料理が並びます。そして〆はぶぶ漬け。お茶漬けやおにぎりなど。ホッとしますね。

銀座8丁目という立地上、同伴客が多く、19時台や23時台はそういう方々で埋まる可能性があります。狙い目は21時くらい。わりとすいていることが多いようです。
お好みコースみたいのもあり、5000円からという値付けがされているのでもわかるとおり、比較的安価です(銀座としては)。よっぽど飲まなければ1万もあったら十分です。いや、7〜8000円程度かな。そういう意味で、銀座で持っておくと良いカードのひとつですね。
posted by さとなお at 12:57| 和食(小料理・割烹・郷土料理)

2008年01月27日

いとう:ブザンソン(大阪)

>さて、蕎麦つながり、でもないのですが、ボクは金沢の「壽屋」
>(ことぶきや)をご紹介します。

先日、話題に出たことをよく覚えています。
金沢の持つすばらしい文化についてお二人の見解がピッタリと一致した中での象徴のような・・・。

>江戸期の町家を利用しており、雰囲気は抜群。
>外観がまずイイ。いかにもおいしそうだし、センスはいいし、
>なんだかわくわくする外観です。

東京では、外観と店内とのギャップに驚かされる店は多々ありますが、しみじみ外観がイイなあと感じられるトコロはほとんどないですね。こんな店が揃っている街に滞在すると、飲食店に対する見方も変わってくるに違いありません。ウラヤマシイ。

さて、繋がりとしてはかなり薄いですが、東京以外の店ということで、
大阪のフランス料理店「ブサンソン」を取り上げます。京都や金沢を訪れると、当然日本料理なんでしょうけど、最近のぼくは「大阪ではフレンチ」というぐらい、大阪を訪問するたびに一度はフランス料理店に行きます。

「ブサンソン」の店のスタッフもしみじみ言うことに「大阪はまず、安くて量が多くなければならない。その中でフランス料理店はどうやって生き残っていくのか」。そしてひとつのテーマに向かって全てのフランス料理店が切磋琢磨することで、どんどんレベルが上がっているんですね。

東京では7000円〜8000円ぐらいするだろうなあと思われるコースが、大阪では確実に5000円以下。しかも、多くの店でサービス料もとらない。もちろん地代や物価もあるでしょうけど、もともと高額なものなんだ、という現状に甘んじないところがいいですね。

「ブサンソン」は、昨年12月にオープンしたばかりの新星。場所は大阪フレンチの激戦区となりつつある福島界隈。シェフは「ジャン・ムーラン」〜「ペルージュ」と修業し独立。今はなき神戸の「ジャン・ムーラン」と言えば、ぼくが初めて女性と二人で行ったフランス料理店ですよ(笑。

夜のコースメニューは、アミューズ、前菜、魚料理、肉料理、デザート、コーヒーまで全て含んで5000円(8000円もありました)。前菜と肉料理、デザートは複数より選択可能。魚と肉が両方含まれるコースながら、肉も魚もアラカルト並みの量。付け合せも豊富でうまみたっぷりの野菜が嬉しい限り(ぼくの行った日は、春を感じさせる「たらの芽」のフリットが添えられていました)。

「ジャン・ムーラン」というと個人的には魚料理への思い入れが強いんですが(とまあ贔屓目もあるかもしれませんけど)、「マナガツオとホタテのポワレ 赤ピーマンと白ワインソース」は、魚介の無垢で素朴なテイストが赤と白のソースに絡まって特に秀逸でした。

サービススタッフも(大阪の店には比較的共通しているところで)慇懃無礼さがなく、スッとぼくたちの席の会話に踏み込んでくる距離感が心地よいです。

それからもう一つ。最近の大阪フレンチは、店内にカウンター席のあるところが多いように感じます。そしてその向こうに厨房。「これがぼくらの身の丈やし、いちいち隠してもしゃーないしなあ」との声が聞こえてきそうです。
posted by 伊藤章良 at 23:27| フレンチ

2008年01月23日

さとなお:壽屋(金沢)

> といいつつ、沖縄そばは4軒ですか!

沖縄そばはハシゴできますからねぇ。でも2日間の昼ご飯に4軒だからたいしたことないです。数年前は4軒くらいいっぺんにハシゴできたのに、最近は3軒で青息吐息になってしまいます。2軒がちょうどいいかな。歳とりました。

さて、蕎麦つながり、でもないのですが、ボクは金沢の「壽屋」(ことぶきや)をご紹介します。
ここ、大正10年創業の老舗料亭なのですが、コースにもよりますが、「韃靼蕎麦」を楽しませてくれるんです。なので一応蕎麦つながり。

数日前に一緒に会ったシャオヘイさんもこの店のこと言ってました。覚えてますか? そこです。

江戸期の町家を利用しており、雰囲気は抜群。
外観がまずイイ。いかにもおいしそうだし、センスはいいし、なんだかわくわくする外観です。店内も太い梁が美しく交差して趣あります。

個室はそれぞれ、江戸末期の座敷、明治の書院造りの座敷、大正初期の茶室、昭和初期の大広間、蔵を改造したテーブル席など、バラエティに富んでいて、いろんなタイプが楽しめるんだけど、それもウケを狙った感じではなく、とてもいい感じ。庭もさりげなく美しく、着物を着たサービスの人たちの所作もよいです。

料理は精進料理。金沢では珍しいらしいです。
老舗なのに、時代に合わせて努力を怠らず、精進料理にはない新しい感覚を常に取り入れている感じ。
季節ごとにいろんなコースがあり、トムヤンクンなどを取り入れたコースなんかがあったりします。時代におもねっているのではなく、とても真摯に新しい素材や調理法に取り組んでいる空気が感じられるのがいいですね。

ボクがいただいたのは昼のコース(3150円)。
座敷料を315円払うと個室にしてくれます。一通りの懐石で、いただいた中では「牡蛎と貝柱のしんじょ」「京人参と金時草とカボチャ餡のお椀」「むかごご飯」 「黒胡麻と和三盆のおしるこ」が印象に残ってますね。あと「韃靼蕎麦」。どれもきちんとした美味で、なんだか背筋が伸びる感じでした。内容に比してとても安いです。他にもっと安いコースもあるし、コースの選択肢が多いのもうれしいところ。

金沢はいい料亭が多いんですが、格式ある料亭ほど肩が凝らず、気軽に利用できる程の良さがこの店にはあります。気楽に懐石料理が楽しみたい方にオススメかも。
posted by さとなお at 19:52| 和食(小料理・割烹・郷土料理)

2008年01月18日

いとう:一久(千川)

沖縄に行っておられたようですね。
今週本土は強烈に寒いので、体調を悪くされていませんか。
(それにしても、この時期の暖かい沖縄はうらやましい)

>今回はちょっとした個人的プロジェクトのために行ったので
>あまりお店を回れなかったのですが、沖縄そば屋だけは4軒
>回ってきました。

といいつつ、沖縄そばは4軒ですか!
ぼくにとって沖縄そばは、実際のところまだよく分からず。しかも東京で食べる沖縄そばに、おいしいと感じられるお店がないので、現地の味を少しでも多くトライしたい状態です。

では、そば繋がりで日本蕎麦の店を。
千川にある「一久」です。

ここは、池袋からタクシーで10分ほどなんですが、とても場所が説明しにくく、いずれの地下鉄の駅からも遠方。一応お店の方に尋ねると、千川が最寄ということでした。

まさに住宅街にポツンとあります。ただお店までたどり着けば、駐車場も完備され、なかなか立派な門構え。ダイニングはテーブル席とお座敷が2部屋ほどあり、今回は小さいながらも中庭の見える和室でいただきました。

こちらのご主人は、もともとそば粉のメーカーに長く勤められたのち独立。ご家族で蕎麦屋を営まれて15年になります。ところが、ほんの数年前に建てられたのかと思うほど清潔で美しい店内にまず驚かされました。

当日は、もちろん蕎麦を楽しみに来たのですが、最後を蕎麦で〆るコース料理をオーダー。前菜から、そばがき、そばサラダなど、すべてのコース料理に蕎麦をはじめとする麺のエスプリを取り入れたもので、蕎麦に対するこだわりは並大抵ではありません。

いっぽう蕎麦を食材として使うので、どうしても味付けが濃くしかも画一的なダシ系になり、多少too much感もあったけど、なんとかラストの蕎麦までたどり着き、更科と田舎の甲乙付けがたい2種類を堪能。
「どちらかお好きな方をおかわりで」と勧められ、更科の方をもう1枚追加。

蕎麦の特徴は、当然ですがたいへんに強いコシ。コシについてはさとなおさんも書いておられましたが、ぼくは、麺にコシが出るのは、そこまでにかけた数多くの手間の裏返しと考えているので、まさにご主人の熱意のなせる業でしょう。しかも、蕎麦打ちに最適の水を求めて伊豆の山奥まで汲みに行かれるとか。

加えて香りがスゴイ。もちろん今は新そばの時期で当然ですが、香りのいい蕎麦を求め、時期によって蕎麦粉の仕入先を変えるようで、オールシーズンは無理でも、かなりの確率で「一久」では新そばに出会えます。

残念なのは、お酒の種類が少ないことかなあ。
ここまで几帳面に蕎麦を作っておられる方ゆえ、あまりお酒には興味がないのかとも想像しますが、蕎麦屋にこそいい酒がある、というのも江戸前のお約束なので、「一久」でうまい日本酒を飲みたい客を満足させてほしいものです。
posted by 伊藤章良 at 16:55| 蕎麦・うどん

2008年01月14日

さとなお:我楽そば(那覇)

お約束通り、南へ進んで、沖縄を書きます。現在、那覇空港のJALラウンジ。無線LANもようやく普及し始めて便利になってきました。

今回はちょっとした個人的プロジェクトのために行ったのであまりお店を回れなかったのですが、沖縄そば屋だけは4軒回ってきました。
「てぃしらじそば」「シーサー」「我楽そば」「田舎」
伊藤さんとご一緒したバーで勧められた「田舎」は生活系の懐かしい沖縄そばでしたが(とてもホッとするいい味でした)、それ以外の3軒は最近流行りの「若い人が昔ながらの方法で手打ちしている沖縄そば」で、化学調味料は使わないし、丁寧にだしをとるし、麺も凝っていて、たった10年前に「沖縄そばのラーメン化」について強く警鐘を鳴らした(つもり)のボクとしては、うれしすぎるほどうれしいですね(沖縄そばに興味がある方はボクの記事「すばの細道」をお読みください)。

で、この3軒、どれもとても良かったのですが、インパクトという意味では「我楽そば」が一番でした。
まず、完全に透明なだし(スープ)。これはもうほとんど水の透明度。なのにしっかりしたコクがあります。透明系の沖縄そばだと「淡すい」が好きですが、あそこよりも透明なのにあそこよりも味は濃く、しっかりした旨みがあります。

そして麺。これがすごい。これはすでに沖縄そばではなく、オリジナルの「我楽そば」と言った方がいいかと思います。昔ながらの沖縄そばは茹で上げてから油を振って保存しますが(で、独特のボソボソ感が出てくる)、ここのは生麺なので特有のコシと粘りがあります。で、コシが強い。メニューに「アゴたえをお楽しみください」と、歯ごたえにかけた洒落が書いてありましたが、確かにアゴを最大限に使わせる強さ。尋常じゃないですね。思わず香川の「松家(残念ながら閉店)」のさぬきうどん太麺を思い出しました。歯にガツンとくる力強さとムニムニの粘りが両立しています。いやぁ、沖縄でこの手の麺に出会えるとは…。

このようにスープと麺に強い個性があるそばなんですが、ここまで凝っているなら、素そばの方がおいしいだろうと思いました。
具の三枚肉もよく煮込んであって味はいいのですが、この店のスープと合ってません。スープを必要以上に脂っぽくしてしまいます。ネギの苦味もスープの味を濁らせています。肉なしネギなしにするか、八重山風にスープを濁らせないかまぼこにするかした方がいいかなぁと思いました。でも肉を入れないと現地の人からは文句が出るのかな。でもここまでちゃんとやるなら、違う具を研究して欲しいかも。

と、少し提案したくなるくらいは凝っていて、他の店にも影響を与えそうな沖縄そば屋でしたね。
国際通りからすぐの久茂地三丁目に「くーすBARからから」がありますが、そこを昼間だけ使わせてもらって営業しているようです。だから昼のみの営業。国際通り周辺に行ったら行く価値ありです。
posted by さとなお at 15:51| 蕎麦・うどん

2008年01月12日

さとなお:南ヘ進ム

伊藤さん、今年もよろしくお願いします。

ところで、すいません、出版前後のゴタゴタで更新が遅れています。3日おきにはって自分で言っておきながら(笑)

でも、「南進」にかけて「南へ進んで」沖縄を書こうかと思っています。
土日月と那覇へ行ってくるので。

とはいえ、店を回りに行くわけではないから、いい店に当たらないかもしれません。そのときは逆に「北進」しようかな。金沢とか。

ということで、つなぎ投稿。

次もボクが書きます。数日後。
posted by さとなお at 01:02| 雑談

2008年01月07日

いとう:南進(大阪)

あけましておめでとうございます。
というか、さとなおさんは喪中でしたね。
さとなおさんからの年賀状は毎年楽しみなので、
今年は少し寂しい思いです。

さて、タイトルが同じ「ル・ジュー・ドゥ・ラシエット」だったので、しばらく更新されているのに気づかず(笑)、そのまま大阪の方に帰省してしまい、PCと無縁の生活を送っておりました。
(せっかくもう少し書くようにしようと宣言してくださったのにすみません)

>伊藤さんも基本的にそういう嗜好みたいなのに、でもこの店は
>合ったんですよね? んー、そうか、再訪してみようかな……。

はい。その通りです。
フレンチはもちろん、イタリアンに対してもメインの重要性を求めてしまうタイプ。ただ「ル・ジュー・ドゥ・ラシエット」では、多皿少量平板系にあってメインへのこだわりや高まりが、ぼくには感じられたんですが・・・。さとなおさんは、同席された方々との会話が楽しすぎたからじゃないですか(ちょっとうらやましいメンバー)。

>年末は伊藤さんとふたりでしっぽり「ふぐ福治」に行けて良かったです。

こちらこそありがとうございました。
「ふぐ福治」決して安くはなかったですが、でも相当うまかった。おいしいことと同時に、高品位というか高級魚らしい「矜持」を実感しました。

で、大阪に帰省時に、また懲りずに「南進」(フグ料理)へ出かけたので、そのご報告を。「南進」は、大阪のフグの店としては全国区で、よく知られているかと思います。ただ、名店というほどには高級感はなく、狭めの個室には昭和の香りが漂いつつもお運びさんはアジア系。隣の部屋からは子供の泣き叫ぶ声も聞こえ、なんとも庶民的。

いっぽう、ミナミの一等地にありながらフグのシーズンである10月から4月までしか営業をしておらず(そういった関係でちゃんとしたスタッフも雇えないのかなあとも思いますが)、反面新年は1日からオープン。正月の店選びには欠かせないのです。

「ふぐ福治」と同じく天然のトラフグのみしか使わないことを標榜しながらも、価格は「ふぐ福治」の3分の1強。そのリーズナブルさには瞠目しますが、福治直後のぼくの舌には、これは果たして天然なのかなあ・・・と感じてしまうトコロもありました(というか、新年に天然のトラフグをどうやって提供するのかとの疑問も 
笑)。

でも、ゆっくりと新年からフグを堪能できる空間は貴重で、別の意味で大変贅沢。2軒目にバーでもと思いつつも、どこも知った店は開いておらず(当たり前か)、すごすごと帰宅したのは残念でしたが。

ところで、大阪にはミナミという有名な繁華街がありますが、実際には、その界隈の地名は南区から中央区に変わっていて「南」と呼ばれる箇所はどこにもないんですね。なのに「南進」のごとく、お店の名前に南という言葉が付いていると強烈に惹かれるものがあります(大阪人ならでは)。例えば西麻布と呼ばずに霞町と名乗っている、と、そんなイメージかな。
posted by 伊藤章良 at 17:51| 和食(鍋・おでんなど)