2018年07月30日

さとなお:アニサキス・アレルギー完全確定でした

伊藤さん、一ヶ月あいてしまってすいません。
詳細をここで書くことはしませんが、あれからプリック・テストを受けることができて(基本、アニサキス抗原のプリックテストを日本でやってくれるところはありませんが、つてを辿って、ある病院で受けることができました)、アニサキス・アレルギーが完全確定しました。

皮膚に針を刺してアレルゲンを注入し反応を見る、というテストなのですが、反応がかなり大きく出ました。
本当に微量を注入しただけですが、大きく腫れ上がりました。生のものも加熱したものも、両方で大きく出ました。

つまり、今後も、アニサキス抗原に(アナフィラキシーショックのときと同じように)激烈に反応する可能性が高い、ということです。
二回目にアナフィラキシーになると、なんと20分程度で死に至ることもあるそうです。

前の記事の繰り返しになりますが、アニサキスは、海に生息する(海を経由した川魚も含めて)ほとんどの魚に寄生している可能性があり、また、ボクはその死骸のタンパク質にも反応するので、生はもちろん焼いても煮ても練り物でも反応が出る可能性があります。

そして、20分で死に至る可能性を考えると、少しでも魚が混じる危険があるものを出す店には行くことができません(出汁、貝類、カニの足はどうも大丈夫じゃないかと思われますが、100%ではありません)。

というか、何よりも、もし20分で死んだら、お店と同行者に大迷惑です(一生つらい思いをさせることもあるでしょう)。

なので、やはり「美味しい店」を探求することは、ほぼ叶わなくなったと言ってもいいかと思います。

肉食べればいいじゃん、ビーガンがあるじゃん、川魚や養殖の中には食べられる魚もあるじゃん、など、励ましてくれる方もいらっしゃいますが、まだ、外食に行くこと自体がつらいです(被害者意識みたいのが表面化してしまいます)。気分の調子がいいときは、他人が美味しそうに魚類を食べるのを大らかに見ていられるときも多いのですが、帰ってから落ち込んでしばらく立ち直れなかったりもします。

一時期は、立ち直れそうかとも思ったのですが、魚系がまったくダメだと本当にレストランは限られますし、友人を誘いにくくもなるものです(誘われるのも気を遣います)。大好きな「食べ旅」も、魚がダメだと行く場所が限られるし、海外も、同行する人の食事を限らせてしまうのが申し訳なく、当分行く気はありません。食と旅という最大の楽しみを奪われてしまいました。

ということで、長々書きましたが、当分「うまい店対談」を書く状況ではなく、いつまでこんな調子かも想像がつかない感じです。
なにか盛大に気分が変わることが起きたら別ですが、しばらくは休筆とさせてくださいませんか。
いままでの知見がすべてゼロに戻る感覚なので、ちゃんとオススメすることもできませんし。。。

ただ、別の意味では元気です。
一病息災ですね。食を「美食ではなく『栄養をとるシステム』と考える」とシフトせざるを得ないことで、体重も9キロほど落ち、かなりの健康体になっています。カラダの調子は悪くないです。まぁでも「これが一生続くのかー、味気ないなぁ」という気分ではありますがw

対談というブログなのに、すいません。
このブログ、どうしましょうか?
対談にならないので、なんか申し訳なく。。。


posted by さとなお at 16:39| 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月31日

いとう:ひなた(高田馬場)

さとなおさん、現状についての説明、ありがとう。
食べることが何よりも好きな者として想像の範囲をはるかに越える内容で、正直思考停止してしまいました。
口にするものほぼすべてに憂慮しながらの食事は、つらいし不安の連続でしょう。でも、対談やブログを熟読する限り解決の見込みはゼロではないことも分かりました。また一緒に鮨のカウンターに座れる日を待っています。

何か共有できる食事ってないかなとずっと考えていました。
そしてベタですが、まずはとんかつを思いつきました。ソースも果物からできてるし、トン汁を我慢すればOKかなと。
さとなおさんは、京都発祥の「かつくら」を紹介してくださったり、ニュー新橋ビルに「まるや」ができた当初から通ってた記憶もあります。今や一大とんかつチェーンとなりました。

で、もう行かれてるかもしれないけど、高田馬場の「ひなた」を取り上げてみます。この店、定番はとんかつ定食ですが、15時以降では、部位の食べ比べと称して、とんかつ料理の新しい提案を楽しむことができます。
気分は割烹のおまかせコース。小さな皿で次々と料理が出てきますが、すべてとんかつ(笑。最初に切り落とした段階の様々なパーツ(リブロース、ロース、ヒレ、ントロ等)を見せ、その後一つ一つ揚げて、とんかつとして登場。
すべて、塩(トリュフの塩が添えられる部位もあります)とオリーブオイルで食べるのがオススメ。一切れずつ提供されるので、食事途中ではまだまだ食べられるぞと錯覚しますが、最後のソースカツ丼を平らげると、もう動きたくないぐらいお腹いっぱい。一つ一つは軽めといってもさすが揚げ物のオンパレードです。

アルコールも、日本酒が一番合うとのニンマリする提案で、まさにぴったり。欲を言えば銘柄が少ないので、オーナーが広島県出身ゆえ、広島の酒とか豊富に置いていただければと願うぐらいかな。

とんかつは特にロースの場合、赤身と脂身を同じ温度で同じ時間火を入れる調理ゆえ、有名店でも火の通りにくい脂身が生焼けの状態を時々経験します。
「ひなた」でも、リブロースの脂身には、もう少し火を入れてほしいなあと感じました。ただ、コースのラストにトントロ(豚の首のあたりだそうですが、ほとんど脂身)が出て、こちらは脂身にきちんと火が入った仕上がりで実においしくいただきました。

とんかつ定食としての定番はトン汁ですが、もし味噌汁系が心配であれば、焼き豚のスープを選ぶこともできます。

余談ですが、「ひなた」のすぐ近く、というかまさに道中に「青柳」という居酒屋があります。その店の看板に書いてあるキャッチフレーズが「まずい魚」です(笑。
posted by 伊藤章良 at 16:51| 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月07日

さとなお:アナフィラキシー・ショックになりました(一回パス)

伊藤さん、すいません。
いつからか月一になっているこの対談ですが、とりあえず一回、ひと月分パスさせてください。

ご存じの通り、3月23日(金)の夜に「アナフィラキシー・ショック」になりました。

その夜あるレストランで食べた何かを、ボクの免疫システムが突然「敵」だと誤認し、大量のヒスタミンを放出したのです。おかげで全身真っ赤に腫れ上がり、呼吸困難にもなり、血圧は60-20まで下がり、死の一歩手前まで行きました。わかりやすく言うと劇症アレルギーとでも言うのでしょうか。

生まれてこの方、アレルギーとは縁遠い人生を送ってきたし、ゲテモノを含めてあらゆる食料を口にしてきました。
なので、なぜ突然、免疫細胞がその「アレルゲン」を敵だと誤認したのか、わからないのだけど、いわゆる「コップの水が溢れるようにある閾値を超えるとアレルギーになる」というのは都市伝説らしく、単なる「誤認」が正しいようです。

で。
フェイスブックなどで軽く書きましたが(きちんと正確な情報になるところまで調べた上でブログなどにまとめます)、アレルゲンを調べるIgE検査では「アニサキス」が一番疑われる結果となりました(まだ確定ではないですが、権威ある医師もその判断をしましたからほぼ決まりに近いです)。

つまり、その夜食べた魚(サバ)にいた寄生虫アニサキスのタンパク質に反応するアレルギーに突然なったわけです。

ということは、生きているアニサキスだけでなく、死骸にもカケラにも「反応する可能性がある」ということです。
平たく言えば、「アニサキスがいる魚は、生でも焼き魚でも煮魚でも練り物でもダメ」ということですね。

ざっくり「魚介類全般」が今後まったく食べられない、もしくは「食べるのが命賭けになった」ということなのです。

アニサキスは、ほとんどの魚に寄生しています。
彼らは、哺乳類である鯨やイルカの胃の中で成虫になり、糞とともに卵を海に散りばめます。それをアミ(小エビ)が食べます。で、そのアミを食べる魚に幼虫として寄生して、それらを鯨などが食べて、鯨の胃の中で成虫になるわけです。

アミを餌とする魚はたいへんたくさんいます。
だから、アニサキスがいる魚としてはサバやイカが有名だけど、ほとんどの魚にアニサキスは存在しているわけです。

ただ、胃の中にいるんですね。その魚が生きている間は。
でも、釣って死んだりすると、アニサキスは胃から筋肉に移動します。なので我々が食べる「魚の身」からアニサキスが発見されるわけです。

そういう意味で言うと、釣って(捕って)すぐに内臓を出せば、身にアニサキスがいることはない。
釣ってすぐ冷凍してもアニサキスは胃にとどまります(だから釣ってすぐ急速冷凍するマグロは身にいないことが多い)。
もしくはアミとかを食べないように「厳密に養殖した魚」であれば大丈夫。
あ、海を経由しない川魚も大丈夫ですね。イワナとかアマゴ。
また、アニサキスは魚が新鮮なうちは胃の中にとどまる、という説もあるので、新鮮な魚を扱っている店なら大丈夫なことも多いらしいです。
貝にアニサキスがいるかいないかは、両説あってなんとも言えません。

ただ、これらのような例外があるとしても、100%ではありません。
だから魚を食べるのが「命賭け」になってしまったことに変わりはありません。


おかげで、この日を境に、突然、人生が一変しました。

鮨、割烹、居酒屋、、、いや、和食全体か。
魚を食べられないと、食べられるものがほとんどなくなり、楽しくなくなりました。

生魚だけでなく、焼き魚、煮魚、練り物(おでんなど)がダメだと人生厳しいですね。
鰹出汁も疑いましたが、「出汁は大丈夫」という医師がいるので、そこはもういいのではないかと思いつつ、いまのところ味噌汁なども(そしてうどんなども)食べないようにしています。

冬の鍋も楽しめません。
カレーなどにもエビエキスを入れている店がわりとあり、厳しい。
あと、アミがダメかも知れないので(アニサキスの卵にアレルギー反応するかどうかはまだわからないけど)、キムチなどもダメです。そうなると焼肉屋でも肉だけひたすら食べる感じか・・・。

あと、旅がダメになります。
魚が美味しい地方への旅は楽しくなくなりますし、なにより同行者に対して「行く店に制限かかる」ので、誰かと一緒に行く旅を控えるようになっていくと思われます。そして海外も、同行者のことを考えると楽しめなくなりますね。肉しか食べられません。ひとり旅くらいしか残っていません。

というか、そう考えてくると、誰かと一緒の外食も基本厳しいことになります。
同行者に気を遣わせるのも楽しくないし、食べられる物が極端に減るので同行者に迷惑です。


食や旅はボクの人生のド真ん中でした。
そして、現在、個人の鮨教室に通って魚の捌き方をプロにならっているくらいは、今後の人生でも魚に重きを置いてました。

これらがかなりの確率で損なわれたことは、ちょっと筆舌に尽くしがたいことです。


5月の連休を終え、精神的にはかなり立ち直りましたが、しばらく外食はしたくないし、しないと思います。

対談を続けられるかどうかも含めて、ちょっと時間をいただければと思います。

すいませんが、ご理解のほどをお願いいたします。



ついでなので、基本的なことを追記しておきます。
「アニサキス症」というのはアニサキスに胃壁とかやられるやつ。激烈な腹痛になるやつです。サバとかにいる生きたアニサキスを食べるとなるやつですね。
で、ボクがなった「アニサキス・アレルギー」は、アニサキスという寄生虫に反応するアレルギーでアナフィラキシー・ショックになったりするアレルギーで、アニサキスが少しでもいると反応しちゃうやつなので別物です。


posted by さとなお at 11:46| 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月31日

いとう:SAKE Story (五反田)

スナック、ですか!
最近ちょくちょく、スナックな店増えてますよね。
さとなおさんが書かれていたようなコミュニティ的な店ではないですが、
先日も、西麻布にある「ザ・スナック」という店に連れていっていただきました。
ああいったアナログ感覚の遊びや店のスタッフとの距離の近さに、年配者の郷愁や若者の好奇心がたまらないのかもしれまん。

ただ、ぼくもさとなおさん同様タバコの煙が苦手で、スナックはおろか、大好きだったバーにも行かなくなりました。タバコが吸えないと客が減るなどと時代錯誤な危惧をするなら、煙いから行きたくないとする客の方が圧倒的に多数のような気がします。

では、もうしばらく五反田で続けてみます。
今度は日本酒の店。その名も「SAKE Story」です。
少々気をてらった感じの店名でして、硬派な日本酒党には、おやっと思わせるかもしれません。しかも店主は独立する前、日本酒王子とか言われてた男前。

ところが、日本酒好きは必ず、なるほどと膝を打つ、今まであるようでなかった日本酒専門店。
ストーリーと名乗るだけあって、SAKEだけではなく、酒を取り巻く土地や風土、器や料理まで関連付けて語ってしまおう。「旅するように日本酒を」がテーマなんです。

単純にテロワールや保存のことを考えても正当で、まさしくその通りなのですが、ある一定期間(現在は3ヶ月)を定め、一つの県の日本酒ばかりを集め、その県を代表するような珍味や料理を揃えて、文字どおり旅するように楽しんでもらおうという趣向。
器までも、その県のものを使っているとも聞きました。

酒飲みは、一刻も早く飲みたい、合わせてツマミも欲しいのが常。
最初に出される突き出しはお重に4種類入っていて、まさしくその県の珍味。酒に合わないはずはありません。

こうして説明してくると、少々ガチガチの日本酒店な感じも受けますが、店主のお人柄でしょうか、意外とざっくばらんで、最終的にはただの酔っ払いでいさせてくれるところがまたいいです。
ガチガチではないところで言えば、もちろんビールも焼酎も置いてます。

五反田駅からはさほど遠くはありませんが、ネオンで賑わう通りから数本それた裏道の(マップを見ながら行くと、おそらく最初は建物の反対側に行ってしまいます)2階。アプローチもなかなか絶妙で、ちょっと冒険したいカップルのデートにもぴったりくるかもしれません。


posted by 伊藤章良 at 19:03| 居酒屋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月28日

さとなお:コワーキング・スナック(五反田)

シェリーバー、いいですね。
五反田でシェリーといえば、「シェリー・ミュージアム」も有名かと思いますが、ここの中瀬航也マスターはあの「銀座しぇりーくらぶ」の元マスター。本も書いてられますね。近辺に深いシェリーバーが二軒も。。。ううむ、五反田、深いです。

では、五反田つながりで書いてみるか、と、まだ出ていないところで「グリルエフ」とか「はせべ」とか「とだか」とか「かね将」とか、懐かしの「ヌキテパ」とか「フランクリン・アベニュー」とか、いろいろ考えたのですが、伊藤さんがたぶん行ってないだろうな、というスナックをひとつ。

「コワーキング・スナック CONTENTZ分室」と言います。

ここは、ボクの友人でありラボ・メンバーでもある宮脇淳さんというライターがやっていて、この人、ライター周り(特にウェブライター周り)ではかなり有名な人なのです。ノオトというウェブライターの会社も経営しています。

このスナックは、彼が経営するコワーキング(協働)スペース「CONTENTZ」の分室、という位置づけになっていて、元々はそのコワーキングスペースで仕事していた人が、気楽につながれる場所を作ろうという趣旨で始まったみたいなのですね。
というか、彼自身「ライターを応援する」という立ち位置で生きている人なので、なにかと孤独になりがちなライターたちをつなげたい、助けたい、情報交換の場を作りたい、というような気持ちでこのスナックを始めたのだと思います。

もちろん誰でも入れます。
ただ、上記のような経緯で始まったこともあり、ウェブ界隈のライターがわりと多く集まっています。そうなると、ウェブ上で何かしらトラブルや事件みたいなことが起こると、自然とここに情報が集まるわけですね。すると物見高い人もここに様子を探りに来たりして、あげくここで議論やケンカが起こったりして、そこに宮脇さんとか美人チイママ(彼女らもライターが多いです)が止めに入ったりして、そこにそんな事情を知らない企業の人がライターの友人に連れてこられて巻き込まれたりして、なんだかカオス、っていうような空間になったりします。

何かに似てますね。
そう、昭和中後期の新宿ゴールデン街なんか、完璧にこんな感じでした。
作家やライター、記者たちが入り乱れて、毎晩どこかで議論やケンカが行われ、その議論がどこかに文章として書かれ、フィードバックされ、また議論になり、そこにママさんやマスターが上手に絡み、みたいなサイクルで、まさに「文化」が出来て行きました。

このコワーキング・スナックも、ただのスナックではなく、ちょっと梁山泊的な「文化発信地」に育っていくのではないか、と強い期待があったりします。
ウェブ上やSNS上での議論と、リアルに顔を見ながら、相手を生身の人間と感じながらの議論は「別物」です。ボクは最近、一周回って「顔見にケーション」の時代になりつつあると感じますが、このスナックなど、完璧にそれを先読みしているなぁと思います。そういう意味で、バーでもカフェでも居酒屋でもなく、スナックというのも秀逸な立ち位置ですね。

上ではちょっと物騒な感じに書きましたが、普段はいたって落ち着いたスナックです。
現役ライターのチイママたちも感じがいいし、超ユニークなものを書いているライターさんも曜日代わりでカウンター内に立ってます。
通称「五反田ヒルズ」という怪しいビルの中にあって、初めて行くとあのビルちょっとびびりますが、馴れるとあのビル内でのハシゴも楽しく、みんな店を出たり入ったりしてますね。

料金はとても良心的です。
スナックというと料金が不透明な場合も多そうですが、ここは明瞭。やっている人の顔が見えている店なので、その辺の怖さはまったくないのでご安心を。 
ただ、ウェブ界隈が何かと騒がしい時期に行くと、たまにカオスになっているので、平穏な時期にまずはひと覗きしてみるのがいいかもしれません。


posted by さとなお at 23:41| バーなど | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月31日

いとう:エチュガライ(五反田)

「若ちゃん」、さとなおさんの記事を読んで凄く気になり、さっそく行ってきまいりました。
実は最近、自分の中で五反田がプチブームなんです。週一ぐらいで五反田に出向き、新旧の入れ替わりというか、ごちゃごちゃした猥雑な部分と美しく発展していってる面との境目を楽しんでます。

そんな訳で、「若ちゃん」の情報を一番喜んだのはぼくかも(笑。
大通り沿いにあるとは驚きでしたが、女将さんのお父さんの代からおでん屋さんだそうで、まさに大人の空間。
大振りのおでん種にも、ちょっとしたつまみも、剣菱という酒のセレクトにも感激ですが、さとなおさんの言われるごとく「禁煙」の二文字がスゴイ。お父さんの時代から貫いておられるそうで、まさに五反田にあっては英断ですね。
元々すごい人気店ながら、禁煙にすることをすすめて実践した店が二軒あるんだけど、いずれの店も売り上げが伸び、掃除もメンテナンスも楽になって、いいことばかりと聞いてますが(笑。

そこで今回は、マイブームの五反田繋がりで。
酒場ではなくバー、いやバルなんですが。「エチュガライ」というスペインのバル。もしくはシェリーバーかな。

最近、カジュアルなツマミとワインの店をやたらバルと言う傾向にありますが、以前ダイニングバーと呼ばれた系統がバルと呼称変更しただけ、みたいな。スペインのバルを名乗るなら、やはりシェリーについてもちゃんと知識とストックをお持ちではないと悲しいですよね。

ところで、シェリーは英語なんですが、スペインでは何というかご存知でしょうか。ヴィーノ・デ・ヘレス、つまりヘレスのワインです。シェリーはアンダルシア地方のヘレス・デ・ラ・フロンテーラと、その周辺の町で作られていて、こう呼ばれるようになりました。ただアンダルシア以外でヴィーノ・デ・ヘレスと注文すると、たいてい、シェリー?、とかティオペペ?と確認されますが(笑。

「エチュガライ」のマスターは、東京のスペインバルでは草分け的存在である中目黒「ベネンシア」にもおられたそうで、雰囲気は少し似ていますが、クラシカルながらスピリッツ主体のオーセンティックなバーとは一味違うカジュアルさも備え、とても楽しい店。マスター自ら、何度もスペインに足を運び、シェリーやスペイン料理の研鑚を積んでおられて、シェリーのバリエーションもさることながら、料理もこの店で完結できるぐらい魅力的なものが揃っています。

もちろんスペインワインも各種(ここでワインを飲んだことはないんですが 笑)。なにより、スピリッツほど強くなくワインや日本酒よりは少し厚めな違う口当たりが欲しい。そんな気分ってあると思うし、テンポよくフラメンコが流れ、オレンジ色の灯りの中での欧州体感は、五反田の喧騒とは別世界のくつろぎです。
posted by 伊藤章良 at 17:00| その他欧州料理・洋食 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月31日

さとなお:若ちゃん(五反田)

伊藤さん、今年もお世話になりました。
実質二ヶ月に一度の自分のターンですが、「ここを是非ご紹介したい!」が減ってきています。情報が圧倒的に増えたせいで店のレベルがどこも上がり、70点くらい簡単にとってきます。そういう意味で、昔みたいに歴然たる差を感じなくなったからかもしれません。逆にトキメキも少なくなったなぁ・・・。

さて、今年ラストは、五反田「若ちゃん」にしようと思います。50年以上続く古いおでん屋さんです。若返った街の中でひときわ「古さ」にトキメキを感じるいい店です。

わりと多くのネット・ベンチャーが移転してきたこともあり、五反田は急激に若返りました。ちょっと前の独特のいかがわしさも減っています。面白くなり始めている街ですよね。いい店も増えています。

ネガな部分で言うと、昔からの客や年輩客が通いやすい店が減ってきている部分もあります。オコチャマがウェイウェイ言ってる店が激増している感じ。まだ家賃が安いせいかチェーン店も多い。そんな中で燦然と「オコチャマ拒否オーラ」を放っているのが、(店名に反して)この「若ちゃん」です。

経験値高いおっさんは躊躇なく、いや喜んで入れる店構え。
若っぽい店ばかりの中でポツリとある古い外観。白い暖簾。そして入り口にどんと「剣菱」と書いてあるのもいいんです。わかるでしょ?

で、おずおずと戸を開けるとオコチャマが入店しにくい絶妙な雰囲気が醸し出されています(実際、入ると年輩客がずらっと白木のカウンターを占領してたりします)。
女将さんは総白髪かつポップな雰囲気で(すごくいい人なのだけど)無表情でとっつきにくいところがある。逆に言うと、とてもいい距離感で接してくれます(「つかず離れず」の「つかず」寄り)。この距離感が最近はありがたい。

特筆すべきは、五反田では珍しい「禁煙」の店です。
五反田って禁煙店少ないんですよね・・・ボク、鮨屋の喫煙が一番嫌いですが、二番目に嫌いなのがおでん屋の喫煙なんです。
おでんの出汁の独特な甘い香りとタバコの匂いって、まざると最悪じゃないですか? でもここは「禁煙」ってでっかく貼ってある。五反田の酔客といろいろなトラブルがあったのではないかと推測させる貼り方なんですw 五反田で数十年やってると、禁煙店はいろいろあっただろうなぁ・・・(たちの悪い酔客が何で吸っちゃダメなのかと絡んできますからね)

おでんは関西風の薄味で、素材から出る出汁にプラス塩だけだったかな。熱燗と非常によく合います。
で、具がまた大きい。ふたりで行って、なますやへしこやお新香などをちょっと頼んで(季節の凝ったつまみがたくさんあります)、おでんを3つずつくらいとると意外と腹一杯になります。

変わり種は、牡蠣や白子のおでん。これまたでかい。煮過ぎずちょうどいい熱の通り方(素材ごとに熱管理をかなり細かくされてます)。
それと玉子ですね。殻のまま入れるらしい。で、殻にヒビがいって網目状の出汁の跡がつく。ラーメン屋の煮玉子がはやってから濃い味だらけの煮玉子界ですが、ちょうどいい加減の煮玉子ですよ。

白木のカウンターでは年輩客が楽しそうに酔ってます。若手カップルなども混じりますが、みんなこういう店では謙虚にしている。そういう店、少ないですよね。

昔はこういう大人の店がたくさんあって、品のある年輩たちが無言で若者たちに「大人の振るまい」を教えてました(品のある年輩も少なくなりましたが)。
いまは若者の店に年輩客が肩身狭くいる感じ。まぁ東京とはそういう場所だし、その良さもあるんだけど、特に若者が増えている五反田にこういう店があることをとてもうれしく思います。

ちなみに、女将さん、水泳関係者らしいです。世界水泳に出た錚々たる水泳選手たちからの寄せ書きが貼ってありました。「選手だったんですか?」って聞いたら「いえいえ」と照れ笑いされてました。あ、それと、若ちゃんというのは名前ではなく、名字だって言っていたかな。気持ちよく酔えちゃうので、すぐ忘れるw

posted by さとなお at 20:03| 和食(鍋・おでんなど) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月30日

いとう:珍しく、雑感です。

「応援したい店」だけに行きたいのはぼくも同じ気持ちです。
ただぼくの場合、食随筆家の看板も掲げているので、なかなか難しいかなあ。
でも、1年に3回行ったフランス料理店もあるんですよ。先日突然閉店してしまいましたが・・・。

ぼくも宮津の飯尾醸造に行ったことがあります。雑誌に掲載されました、みたいなノリで、さなメモでこちらを紹介したページが置いてありました(笑。ご一緒した友人がここで購入した紅芋酢を飲み続けたら、本当にコレステロール値が下がり、その後ずっと買い続けているそうです。日本料理の「縄屋」や「竹野酒造」という素晴らしい酒蔵も、同時に訪ねました。

100年先に、日本の伝統の味を受け継ぎ伝えていくユニット『HANDRED』、ですか。「東京百年レストラン」という、百年続いてほしいと勝手に願う店ばかりを集めたガイド本を三冊書いているぼくとしては、大変興味深いです。

九州の方にも日本のバスク構想、みたいなスローガンを立てて国から補助金が出ているとか聞いたことがあります。同様に日本のサンセバスチャンを目指すという目標は、分かりやすくていいですね。
ただサンセバスチャンが美食の町なのは、バルが密集しミシュラン星付きレストランも多く、そこに観光客が集まるというのはあくまで表面的な理由。実は住んでいる人たちが自ら調理して楽しむ、100以上ある美食倶楽部の存在や優秀な調理学校があるからです。
食で町おこしをするには、以前さとなおさんが紹介してくださった徳島のお店のように、そこに暮らす人が美食に興味を持つこと、そしてそこで人を育てることからかなと感じています。
ネット上にあらゆる飲食店情報が落ちてる時代、ヒマな金持ちはいくらでも地方の名店まで行きます。でも金持ちしか来ません。

また、サンセバスチャンが美食の町というのはある種日本人の幻想で、サンセバスチャンにはバスク料理の店しかありません。ちょっとおいしいバスク料理か普通のバスク料理の店だけで、意外と退屈です。
ふらっと飲みに出かけたら、もつ焼き・串カツ・焼鳥・おでん・すし・蕎麦・天ぷら・餃子まである日本の飲み屋街の方がずっと楽しい。

京丹後にイタリア料理店を持ってくるだけで断然ステキだし、蕎麦やオーベルジュ、すぐれた居酒屋もあるならもう十分。飯尾醸造の五代目には、ぜひ頑張っていただきたいです(実は自分が訪れたとき五代目は留守で、四代目のお父様にご案内をいただきました)。
ぼくも必ず「アチェート」に体験に行きます。あ、今度誘ってください(笑。

長くなっちゃったので、今回はこの辺で。お店紹介よりも大変でした(笑。
posted by 伊藤章良 at 17:21| 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月31日

さとなお:アチェート(京都宮津)

伊藤さん、「やす秀」さん、移転したのはFBで読んでましたが、まだ行ってません。
ここ、応援したくなる鮨屋ですよね。ちょっと最近ご無沙汰していますが(夜が詰まってて…)、毎年定点で通ってみたくなる鮨屋のひとつです。

なんというか、個人的なことだけど、世の中の「モノからコト、コトからヒト」への価値観の変化や、断捨離、ミニマルなどの流れもあってか、最近では「応援したい店」しか、行きたくなくなってきました。

そうはいっても、いろいろなご縁で「話題の新店」とか「星つきの名店」とか言われるところにもそれなりに行っています。
でもおいしいと思えないことが多いし、応援したくなるような店はごくごく少数ですね。やっぱり「ヒト」や、その店の背景が見えてこないと、応援もできない。
また、ここ15年くらいで味レベルが日本全体で劇的に底上げされて、もうどこでも「そこそこうまい」せいもあり、「すごくうまい」店との差異が見えにくくなってきています。つまり、味だけで心を掴むのが難しくなってきているということ。それもあるかもしれません。

今日ご紹介するのは、ボクがこれから人生をかけてゆっくり応援していこうと思っている「アチェート(aceto)」というイタリアンです。

京都の宮津にあります。日本海側、天橋立の近く。京都駅から電車でもクルマでも2時間くらいかかる場所にある古民家リストランテ。そう、遠いんです。東京からなら5時間くらい見ておいた方がいい。

でも、ここ、ボクは毎年ずっと通おうと思っています。

「aceto」とは、イタリア語で「酢」という意味。アセトアルデヒドのアセトですね。酢酸です。
この店、ボクが愛用していて、製品として信頼しきっている「富士酢」の製造元・飯尾醸造の五代目、飯尾彰浩さんが「宮津を日本のサン・セバスチャンにする!」という志のもと、人生を賭けて作ったお店なのです。今年の夏に出来たばかり。

彼は、100年先に、日本の伝統の味を受け継ぎ伝えていくユニット『HANDRED』を、堀河屋野村(醤油・味噌)、白扇酒造株式会社(みりん)、鈴廣かまぼこ株式会社(蒲鉾)、株式会社丸八製茶場(加賀棒茶)、宮坂醸造株式会社(清酒)などの跡取りたちと組んでいて、もともと日本の食に対する危機感や将来性などを考え、率先して様々な活動を熱心にされてきた人です。

というか、そんなことより、彼が作るお酢がうまい!
一度使うともう手放せません。蔵や田んぼの見学も数回行きましたが、お酢を作るためだけに、無農薬の棚田に取り組み(お米鑑定士が日本で三本の指に入ると太鼓判を押したくらいうまい、非売品のお米です)、杜氏を抱えてお酢用にお酒を造り(むちゃくちゃうまい非売品の純米酒です)、それを昔ながらのやり方とお米割合を増やした贅沢な製法で造っているんです。

ここの純米酢も大好きだけど、毎朝かかさず飲んでいるのが紅芋酢。
おかげで、筋肉痛や二日酔いが皆無になりました。いやマジで。

まぁ、そんな五代目です。だんだん「地元宮津」「京都の日本海側」の自然や食材の素晴らしさに注目していくのは必然ですよね。

とはいえ、そこの物産を大都市に出荷するだけではなく。
スペインの美食の町「サン・セバスチャン」みたいに、不便な場所だけどみんなにわざわざ来てもらって、空気も自然も人々も味わってもらおう、それこそが本当のおいしさだ、と数年前に志を立て、苦労を表に見せずニコニコとダジャレばかり言いながら、相当の覚悟をもっての船出第一弾がこの「aceto」なのです。

シェフは都市部からのスカウトですが(そこは飯尾さん、腕が確かな人を連れてきています)、食材はもちろん宮津周辺のうまいもの。古民家を改造して、実に素敵な、わざわざ宮津まで行きたくなるような、そんなリストランテを作り上げました。
スタッフたちもそういう志に共感した人が集まっているので、明るいし楽しそうです。だから漂う雰囲気がとてもいい。宮津の町のよさと相まって、忘れられない食事になること請け合いです。

ボクは今年の夏に泊まりがけで行きました。
古民家の庭先のテラスで夏の星をみながら、飯尾さん自らのサーブでいただいた料理はとても記憶に残るもの。ひと皿ひと皿も記憶に残るけど、それだけではなくて、宮津に来たという旅行体験全体に組み込まれた美味でした。

日本全国に富士酢を使っているレストランはたくさんあります。
きっと、そういう料理人たちが月替わりで来てくれるようなシステムも、彼は考えていると思います。同じ敷地内に鮨屋の建物ももうほとんど出来ていたし、ゆっくり数泊して楽しめる町に、きっと育つと思います。

宮津は宿が充実していないのが玉に瑕ですが、これもきっといろんな波及効果が数年から十年、二十年と出て行くのだと思います。そういう意味で、数年から十年、二十年と、この町と飯尾さんの活動を追っていきたいし、応援していきたいと思っています。
伊藤さんも、いま行けば、変化する最初期の宮津が見れますよ。意外と二十年後にいばれるかもですw

宮津近辺には、もちろん天橋立がすぐのところにありますが、元伊勢籠神社という「伊勢神宮に移る前に神様がいた神社」があって、すごくいいです。
また、食べ物系では、(一時期食べログ日本一だった)名店割烹の「縄屋」や、やたらおいしい「カネマスの七輪焼き」という居酒屋(?)、久美浜には蕎麦「ろあん松田」を擁する素敵なオーベルジュ「HOTEL HOLIDAY HOME」があったり、城崎温泉も遠くはありません。カニの間人も近いです。
意外と京都観光と合わせて数日遊ぶに飽きない立地なんですね。

ぜひ、この志とチャレンジを、伊藤さんも体験しにいってください。
いい店ですよ。そしていい町ですよ。きっと気に入られると思います。

posted by さとなお at 22:34| イタリアン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月30日

いとう:やす秀(四ツ谷)

馬込の環七沿いですか。とてもいい響きですね。隠れ家とも出会いそう。
街中華とネーミングされ絶滅危惧種となりつつある日本人による中華料理店。大きな特徴は意外にもオープンキッチンであることなんですが、それは、キチンとした食材を扱っているアビールでもあるんですよね。
個人的には、カレーやカツ丼までこなして定食屋的になっている店は、ちょっと違うカテゴリとも思っているんです。

さて、懐かしさつながり、というほど懐かしいわけではないのですが、以前さとなおさんに案内して、仕事仲間と行ってくださった四ツ谷の「後楽すしやす秀」、ご記憶かと思います。

この店は、親子二代にわたって四ツ谷の地で40年以上営業してきました。
そして9月の初め、少しだけ四谷三丁目寄りに移転オープン。
以前の店は、初代の起こしたいわゆる街場の寿司屋で、ランチにはバラすしを提供。夜も飲んでつまんで、少し握って・・・みたいな展開。ところが息子の代になり、ランチは廃止して夜もおまかせで勝負。様々な鮨の名店や築地の仲卸から本格江戸前鮨の極意を学び続けながら、こつこつと自分流の鮨を完成させつつありました。
ただ二代目曰く、以前の店はトイレが外だったり、つまみ中心でやってきたのでキッチンが狭く空調も効かない状態で、いつか移転したいととずっと探していたそう。

新しい店は、以前にもまして四ツ谷の深い路地裏にあり、表は「やす秀」という小さい看板のみ。近くに「すし秀」なる店があって、そちらに対する配慮とも聞きました。店内に入ると、本人曰くちょっとした仕掛けもあったりと(客はあまり気づかないんですが 笑)、思いが詰まっています。
席数は以前の店より絞って快適さは格段に増し、二代目との距離も、よいバランスで近くなりました。プライスは少し上がりましたが、以前の店が安すぎたので、ようやく適正価格の印象。それでも市井の予約の取れない鮨店と比較したら格段に安価。
新店舗では、酢飯を羽釜で炊くことにこだわり、開店まで羽釜で炊いている店に研修に赴き、その後も何度となく炊いて自分のものとすべく研鑽を積んでいます。
今後がますます楽しみな「やす秀」。さなおさんもぜひ新しい店にも足を運んでください。
posted by 伊藤章良 at 22:27| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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