2016年08月01日

いとう:よろにく(南青山)

一日遅れてしまいました。
週末、普段になくプライベートなことでバタバタしてしまいまして・・・。
申し訳ありません。

田町〜品川の海側って、もっともっといい店ができてもいいのにと思います。
以前、そっち側にあるレストランの店主に、なぜここを選んだの?と聞いたら、なんたって港区ですから、との回答でした。

レストランを楽しむ要因のひとつに、シェフの容姿や人柄ってありますよね。
チャウチャウに似ているシェフってええなあ(笑。

今回の店、都心だし有名店なんだけど、久しぶりにさとなおさんのいう「芯の太さ」を感じ痛み入ってしまった「よろにく」です。
「よろにく」は以前、さとなおさんも紹介されてましたね。

本当に久しぶりに行ってきました。
あまりサシの入った肉やホルモンが得意ではないけど牛肉は大好きというご夫妻と食事をすることになり、真っ先に頭の中にあがったのが「よろにく」でした。

骨董通りの裏にある立地や店内のスッキリ大人感、シルクロースという言葉まで生み出した和牛の赤身を中心とする品ぞろえ、驚きのデザートなどなど、ご承知の通り焼肉店における革新的なことをいくつも手掛けた店です。
現在ちまたであふれる赤身肉のブームは、ここ「よろにく」から端を発したと記憶しますが、それ以降の店は「よろにく」のコンセプトを拡大再生産することでも人気を博しました。

店主は昨今、日本料理店に通っているそうで、そこでの手法や素材の組み合わせにもヒントを得ているみたいですが、どこでもやってるウニ載せなどのありきたりではなく、魚介類と肉との融合にも瞠目の料理が登場しました。

ただ何より、肉をおいしく楽しく食べさせようというスタッフ全員に共通したサービス精神。食べるだけではなく、肉を通じて様々な驚きや発見までも導くエンターテイメント性は、もはや焼肉店にとどまらず、こんな店こそ日本独自の牛肉料理店として世界に発信したいものだと痛感します。

でも、やっぱり改めて感じたのは「よろにく」らしさ、なんですね。
つまり最初に戻って、芯の太さです。
数々の種類の赤身部位を様々な焼き方、タレ、合わせ技で食べさせる。この店がスタートしたときと基本は何も変わりません。料理もスタッフも、常にさわやかで鮮やかです。でも、その箱の中身は驚くほど進化を遂げているんです。

さとなおさんも乗ってた(笑)20年前のベンツしか見たことがない人が、今のベンツを見ても「あ、ベンツだ」と思える、そんな例えが分かりやすいでしょうか。

posted by 伊藤章良 at 18:49| 焼肉・韓国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月30日

さとなお:ラ・チャウ(田町)

伊藤さん、またまた魅力的な店のご紹介、ありがとうございます。

とはいえラストオーダー1930ってw
まぁでも住宅街ですもんね。

これからはレストランも地域に溶け込んで地域で機能するカタチが理想だと思いますが(そしてそういう店がじわじわ増えている実感がありますが)、東京近郊の場合、どうしても勤めで都心に出る人が多いので地元の専業主婦たちのたまり場になり、雰囲気が ”そちら側” に偏っていく傾向にあると思います。奥様ウケする料理や盛りつけになるというか・・・

まぁそれはそれで需要ですからいいと思いますが、その延長線上にトウキョウ・イタリアンとかがある気がします。芯の太いそのお店の料理が百合ヶ丘という住宅街に根付くかどうか、注目したいです。

では、ボクも芯の太いイタリアンを。
田町の「ラ・チャウ」です。

ここはね、まずシェフの見た目が太いw
これは良い意味です。昨今、こんなに美味しそうなシグナルを発しているシェフはあまり記憶にありません。もちろん太ったシェフは多いのですが、なんだかホント、美味しそうなんです。しゃべり方も笑顔も。

そして、ヒマがあると客席にすぐ出てきます。

ホールを任された男性のサービスも「やって当然のことのひとつ上を行くサービス」で、実に目端が利いていてそのうえジョークもしつこくない程度に入れて、本当に感心したんだけど、そんな彼の後ろからシェフが頻繁にニコニコ出てくるんです。このダブルのプッシュは効きました。料理の味と楽しい時間を二倍にも三倍にもしてくれます。

実は味についてはそれほどの期待はなかったんです。
田町の海側、あまり美味しそうな匂いのしない地帯にあるせいもあって、まぁ美味しいだろうけどどうかな、と、期待せず出かけました。で、その甘い予想は見事に裏切られます。うまい。ひ弱なトウキョウ・イタリアンではなく、芯の図太い土着イタリアン。いい意味でびっくりでした。メニューも多くバリエも豊富。そしてどれを頼んでも裏切られないレベルの高さ。

店名の「ラ・チャウ」は、鍵という意味らしいです。
シェフがピエモンテ州の「La ciau del Tornavento」で修行したらしく、そこから取ったみたいですね。シェフが少しチャウチャウ犬に似てるのでそこからと誤解してたのは秘密ですw

一階にはよりカジュアルな「Vineria La Ciau」があります。
ある日のこと、地下の「ラ・チャウ」の席が取れず、一階のその店にしたんですね。そしたら地下からサービスの人やシェフが様子を見に来てくれただけでなく、「料理、地下にオーダーしていただいても持ってきますので!」と。

そういう、なんというか、さりげないサービスがうれしいお店です。


posted by さとなお at 17:13| イタリアン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月31日

いとう:トラットリア ピッツェリア クチーナ イタリアーナ ウルグス(百合ヶ丘)

なるほど、ザーサイがペアリングの相手ですか・・・。
「ふーみん」のザーサイがどんなテイストだったか、今はもう記憶にないんですが、そこまでさとなおさんに言われると、ザーサイ目的で「ふーみん」に久しぶりに行きたくなりました。

そしてぼくもさらに、ペアリングと言えそうな面白い体験はなかったかなあと、考えを巡らしていたんですが、先日、それよりも先に(笑)お伝えしたい店と出会ったので、そちらを先に紹介させていただきたく思います。というのも、場所が飲食をするには相当外れていて、店舗はもっと奇想天外(なんでここに)。さらなる驚きはそこの料理にアリというわけでして・・・。

場所の説明からしますと、小田急線の百合ヶ丘、もしくは新百合ヶ丘からタクシーでしょうか。あの界隈ってかなりの高級住宅街なんですが、大きなお屋敷の塀を見ながら、タクシーは細い道を巧みに走っていきます。途中、東京の都心がすべて見渡せそうな高台もあり、なかなか眺めはいいですよ。
ぼくが乗ったタクシーは、実はお店のことをご存知でした。お迎えの車の依頼がけっこうあるのだとか。なるほど、帰りもお願いしますといいつつ(笑、店に到着。

坂の中腹といいますか、もともとはガレージだったという話も聞く、そんなお屋敷の一角にある不思議極まりないスペース。入口こそガレージっぽいけど、店内に入ると天井が高くて厨房も広くピザ焼く薪窯も見えたり。意外と席数もある快適なダイニング。ギンガムチェックのテーブルクロスや壁に掛かった絵画のセンスも抜群で、はるばるやってきた感は一瞬で吹っ飛び、その反動と長年のカンで、ここでは間違いなくおいしいものと出会える確信が芽生えてきます。

そんななか、さっきまでサッカーやってました!みたいな感じの青年が一人。彼が「ウルグス」のシェフ。彼ひとりきりでこの店と広い厨房を切り盛りしています。聞けば、シチリア最大の町、パレルモで修業をしたとのこと。
以前、パレルモ近郊の空港からレンタカーでパレルモの中心に向かった際、そのあまりの混沌ぶりと全く英語が通じない環境に青ざめ、いったん空港まで引き返そうかと思った、そんな記憶がよみがえってきました。

まずなんといってもメニューが魅力的。
シェフの手書きゆえ、その文字のクセに慣れるのに少々時間がかかりますが(笑、読み解くにつれ、えええっ、そんな料理がここで味わえるのかと相当アガること間違いなし。イタリア語メニューの横には日本語でも表記されているものの、イタリア語をローマ字読みして注文したくなる、そんな臨場感なのです。

シチリアでとかパレルモのとか、解釈が付け加えられているメニューを目ざとく探して、しかも魚介中心にピックアップしていきます。ブリのカツレツを見つけてシェフに聞くと、本来シチリアならカジキマグロで揚げるところだけど、それをブリでやってみました、という。日本にある食材を工夫しつつも現地のママの味を届ける柔軟性も見えてきます。

最初に瞠目したのは、ピッツァ。
ピザよりはパスタ派で、東京の有名店すべてを網羅するほどピッツェリアは体験してませんが、最初の一口でウマイ!と叫び、その味は過去に東京で食べたどの店よりも好印象。具が載っている辺りの生地が特に薄く仕上げてあり、ソースや具材とのバランスがちょうどいい。薄くて軽い分、食べるピッチもどんどん早くなります。
我こそはピザフリーク、そして「ウルグス」のピッツァを未体験の方はぜひトライしていただきたく。ランチは、ピッツァの週とパスタの週とを交互に行っているそうで、ランチでもこの味は堪能できそうです。

トータルとして、野菜を多用することなく色彩に富む皿でもなく華美なデコレーションもない。まさにトウキョウイタリアンと対極の、小手先や手数でのアレンジは加えない出来栄え。写真に写してもあまりおいしそうには見えないんだけど(笑、食べるととんでもなくウマイ。しかも、これはぼく自身がシチリアで実感したんですが、本場シチリアの料理って意外と塩が強くないんですね。
そして「ウルグス」もまた、塩を利かせるというよりは、ハーブやソースのうま味で食べさせるといった、そんな幸せな仕上がりなんです。

いやはや、久しぶりにあらゆる面で驚きました。
突然、亀戸のイタリアンが流行るような時代。
情報にのみ貪欲な魑魅魍魎の餌食にはならないでと願いつつ、
真のイタリア料理好きには、ぜひぜひオススメです。
なお、シェフ一人の店なので、予約は必須。
そしてラストオーダーが19時30分ゆえ、ご注意のほど。


posted by 伊藤章良 at 17:34| イタリアン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月30日

さとなお:ふーみん(表参道)

ティーペアリングって面白いですね。
ブレンドしたり抽出方法・温度・時間を変えたりするのって、ありそうでなかったし、それをフレンチに合わせる&ワイングラスで出すなんてことも、まったく発想しませんでした。なるほどー。しかもきっとここに書かなかった驚きも多いのでしょう。近ければすぐにでも行くんだけどな・・・すばらしい店のご紹介、ありがとうございます。

では、広い意味でのペアリングつながりで。
今回は表参道は骨董通りの「ふーみん」を書いてみようと思います。

表参道や骨董通り近辺の方で知らない人はいないくらい有名な中華風家庭料理のお店ですね。ボクは通い始めて10年ほどでしょうか。30年以上も通っている人が多い店なのでまだまだヒヨッコです。

店名は、オーナーシェフの斎風瑞(さい・ふうみ)さんの名前から取られています。
台湾出身の彼女、もうかなりのご高齢のはずですが、毎日キッチンのど真ん中に立って背中を丸めてせっせとフライパンを振っています。この姿を見るのが好きなので、ボクは、開いていれば、カウンターの一番左端に座って、食べている間ずっとキッチンを眺めています。

夜ももちろんいいのだけど、ここはランチが特にいいですね。
16時までやっているので遅いランチにも便利ですが、とにかく美味い。美味いので混んでいて、15時すぎでも行列なことがたまにあるほど。12時〜13時のラッシュ時は推して知るべしです。

人気の定番メニューはいくつかあって、「豚肉の梅干煮定食」(超定番)、「納豆ごはん」(納豆チャーハンなのですが、これが癖になる味)、「中華丼」(盛り沢山でとてもうまい)、「五目うまにそば」(具だくさんで濃厚)などをよく食べます。あとは「日替わり」「おこわ」「ふーみんそば」「ワンタンメン」かな。毎回とても迷います。美味いので。

中でひとつ、と言われたら、中華丼が好きですね。
ふーみん超初心者には勧めません。他に特徴ある美味しい料理が多いから。でも、慣れてくると勧めます。なんか満足度が異様です。ほんとクセになる。あぁ食べたい。

で、ペアリング、です。
別に一品一品になにかペアリングがあるわけではありません。
この店のペアリングは「ザーサイ」なんです。

昼はザーサイの大きめの器がテーブルにどんと置いてあり、取り放題なのですね(夜は別料金)。
このザーサイの味が「ふーみん」を象徴していて、入店するとまずテーブルのザーサイを小皿にとって食べながら料理を待つわけです。で、ザーサイを食べた途端「あぁ〜、ふーみんだ〜」と脳と胃袋が「ふーみん化」するわけですね。これは料理にも影響を与え、どの料理もこのザーサイによって「ふーみん化」します。

こういう「一定のペアリング」って、ボクはすごく有効だと思っています。
ザーサイをどっかで見るたびにふーみんを思い出すし、ふーみんの味付けのザーサイを食べたくなります。メイン料理もバラエティ富んでいるのに、ザーサイという副菜で味がふーみん方向に変わり、独自の「統一された個性」になります。

この「いつ来てもあり、必ず食べる同じ味の副菜(前菜)であるザーサイ」は、実はこの店の裏主役だと思っています。
どの料理も、このザーサイによって「ふーみん化」する。料理ごとにいろいろ味のマリアージュを作ってくれるのもうれしいけど、常に同じ味で迎えてくれるのも得難いペアリングかなと思います。

posted by さとなお at 12:07| 中国料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月31日

いとう:祇園MAVO(京都)

もう少し、ランチ特集で続けてみます。
といっても、店へのアプローチとか陽光とか、ましてや発見感とか、そういったものとは少し違って・・・。しかも12時一斉スタートという、あまりフレキシブル性にも富んでいない(笑。場所は祇園、しかも高名な「浜作」の前。おやおやという感じで恐縮ですが、京都のフランス料理店「祇園MAVO」のご紹介です。

もともとこの店は小田原にあり別の名前で営業していました。小田原時代に友人のsinpさんの誘いで訪れ、きめ細やかな食材へのアプローチや前衛的な料理との向き合いに驚き、共感したものでした。
そのときから、近々京都に移転して新たなコンセプトでレストランをスタートすると聞いており、やっと訪問することができた次第。八坂神社の近く、まさに高名な日本料理店が立ち並ぶエリアへの堂々たる参戦です。

「祇園MAVO」のステキなところは様々にあり、書くと長くなってしまうのですが、今回のテーマ、ランチに適したという面で言うと、ティーペアリングなる試み、つまりフランス料理とお茶のコースが選べるのです。
シェフも、京都で店を開いたからには、京都らしさを出したいとのコンセプトを掲げずっと試行錯誤されて来られたと聞いていたものの、ティーペアリングなる挑戦が、どこまで実現されているのかについては、ハッキリいって半信半疑でした。

ワインとお茶の両方出すコースもあるのですが、とにかくここはノンアルコールでいってみようとティーのみを選択。ちゃんとしたフランス料理の食事でワインを飲まなかったのは恐らく人生初、ですよ。ところが結論から述べると、あまりにも完璧にハマりすぎて、食後感としてはもしかしたら途中でワインを飲んでたのではないかと自問自答したほど。

これから試される方の愉しみをとっておくために中身を詳しく書くことはしません。世界中のお茶を抜群のセンスで何種類かブレンドしたり(それ自体が奇想天外なことですが)、抽出方法や抽出温度、抽出時間を変えたり(それを変えるだけで、まるでお椀のような旨味まで感じられるんです)。なにより特筆すべきは色。ほとんど全て(実は最後のコーヒーまで)ワイングラスで提供され、透明の中に色まで楽しませてくれます。例えば肉料理とのペアでは真っ赤なお茶だったり。

いやー、本当に驚き感激しました。そして、アルコール抜きでもフランス料理を愉しめることに気づかせてくださった、MAVOチームに大感謝です。
聞けば、こちらでブレンドしたお茶を何通りか小さな瓶に詰めて販売する計画もあるそう。酒飲みの妊婦さん、産後すぐのお母さんのために。というか出産のお祝いに今でもすぐにほしいですよ(笑。
また、このティーペアリングのみの店(アルコールを出さないレストラン)を東京に出す計画もお持ちのようで、そんな日が実現したら、また改めて、東京でのランチの名店として紹介させていただきます。

posted by 伊藤章良 at 17:55| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月29日

さとなお:ル・ビストロ・ドゥ・マ(南青山)

> 最近のイタリア料理店は、やっとトウキョウイタリアンの縛りから脱却し、それぞれがキチンとイタリアの地方色を出してくるようになりました

本当にそうですね。
一時期、東京の流行っているイタリアンって画一的でした。まさにトウキョウ風。でも最近は地方色がよく出てきていて食べていて楽しいですね。

あと、ランチ、わかります。

> ディナーの予習的な意味合いとかリーズナブルだからという観点ではなく、その店の個性や立地がランチに訪れたいと思うかどうか

これは意外とない。
ちょっと郊外に出るとわりとあるんですが、オフィス街や繁華街には特に少ないですね。すぐ思い浮かぶのは、築地「魚竹」とか西麻布「三河屋」とかの有名どころになりますが、意外と、駅の近くで老夫婦がやっている小さな定食屋さんなんかもボクにとってはそんな店かな。

去年の夏に、オフィスを乃木坂から骨董通りに引っ越して、まず探したのはそんな小さな定食屋さんです。でもまだ近くには見つかってません。ランチの名店としてはすぐ近くに「ふーみん」があるんだけど、ビルの地下という立地もあって伊藤さんが言う条件にちょっと届かない。

そういう意味で「ル・ビストロ・ドゥ・マ(Le Bistro de MA)」は、そんな感じに近いかもしれません。

 ※2016年にて閉店する予定らしいので、行かれる方はお電話を※

夜も行ったことがありますが、この店はランチかなぁ。
ちょっと天気のいい日の午後遅く、ひとりでふらりと訪れたい店だったりします。

骨董通りを青山通り方面からぶらぶら歩いて、小原流会館越えてスタバ越えて、最近よく行列ができている「クリントン・ストリート・ベイキング・カンパニー」を右手に見ながら左に曲がってひとつめの小道を右。その先に岡本太郎記念館があるのだけど、右に曲がってすぐの右側をよく見ると小さな小さなビストロがあるのです。

本当に小さいし、入り口が全く目立たないので、まず「発見感」があります。
入ってからもそのこぢんまりさに驚きます。小さなテーブルを無理矢理並べて12席ほど作ってる感じなので、人によっては落ち着かなく感じる方もいらっしゃるかもしれません。

混んでると確かに落ち着かない。
でも、すいているといきなり寛ぎの店に変わります。フランスの友人の部屋っぽくてちょっといいんです。耳を澄ますとBGMもフランスのラジオ。薄暗い奥のテーブルに陣取ってゆっくり時間を過ごしたくなります。

この店、素晴らしいことに、ランチを16時までやっているのですよ。
なので、15時くらいに行くとすいています。最近はカフェが増えてこの「午後遅めのランチ」需要を吸収してますが、ちゃんとしたビストロで午後遅いのはありがたいです。

ランチは夜のメニューをピックアップしたもの中心。
キッシュとかラタトゥイユとかの軽いセットがあってそんなに大量に食べたくない遅めのランチでも大丈夫です。
ちなみに夜は典型的なビストロ料理で美味しそうなメニュー名が安価に並びます。うれしいのは「オニオングラタンスープ」が「メインの前後に」という項目で常備されていること。最近ビストロから姿を消しているのでとてもありがたいです。

そして、この店の得意分野はこのあとに待っています。デザートです。

そう、この店、実はデザートがいいんです。
オーナーがパティシエで、もともと梅ヶ丘にあった「レ・トラス・ドゥ・マ(Les Traces de MA)」というパティスリーがレストランになったという経緯らしいので、まぁ想像つきますね。レジ横で焼き菓子やマカロンも売ってます。

でもって、ここのマカロンは「DEAN & DELUCA」でも売ってるとか。
外観が本当にさりげないので、そういう展開も意外性があって、これも「発見感」。

そんなこんなで、幸せな気持ちになってオフィスに戻る。
なかなか充実感ある、いい午後が過ごせます。

posted by さとなお at 22:46| フレンチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月31日

いとう: オストゥ(代々木八幡)

もう年明けから1ヶ月がたってしまい、おめでとうという感じは遠い昔ですね。
ここ最近も、対談を通じてさとなおさんから新しい刺激をたくさんもらっています。常に思考を止めない、いや刻々と変わるご自身の立ち位置に沿って思考を柔軟に変化されていくといいますか。食べ手としての次の段階を自分も模索している状況なので、今年もどうぞよろしくお願いします。

「ヴィノテカ・キムラ」、ずっと行きたい行きたいと、行きたい店リストの上位にいるんですが、未だ訪問叶わず。場所もいいので早々に訪問してみたいです。

ほくも、ニューヨークの「バスタ・パスタ」に行ったことあるなあ。東京の「バスタ・パスタ」にも、何度となく行きました。そういえば昨年でオープン30周年だそうですね。記念パーテイがあったらしく、そこに出かけた何人かに「バスタ・パスタ」に行ったことがあるの? と聞くと、誰もその存在すら知らなかったという。なんだかなあ・・・と、パスタ・バスタファンには悲しい感覚です。

ではぼくもイタリアン続きで「オストゥ」です。
ここは代々木八幡(メトロだと代々木公園)が一番最寄駅ですが住宅街の延長線上にポツリとあり、原宿から代々木公園沿いをぶらぶらと歩いてもたどり着く、なかなか得がたいロケーション。ぼくはかねてより、決してレストランの店内で待ち合わせはせず最寄駅から歩き、その間も食事の前哨戦として楽しんでほしいと言い続けてきました。そんな意味でも「オストゥ」へは、まずはアフーローチも含めて楽しんでいただきたいところ。

それとぼくは、ランチに格別に適したレストラン情報も密かに集めています。それはディナーの予習的な意味合いとかリーズナブルだからという観点ではなく、その店の個性や立地がランチに訪れたいと思うかどうか、という条件。
これも意外となくて、それこそビル内、特に地下の店は難しいし銀座や新宿等、人が多く行き交う場所も雰囲気的にきついかなと思うわけです。

「オストゥ」は、この二つの条件ともにぴったり合う、例えば立春の柔らかな日差しを浴びなから、原宿駅より代々木公園沿いを散策しつつたどり着けば、静かな住宅街の角、ガラス張りの店内にそそぐ陽光が絶妙のライティングとなるレストランに巡り合うんです。

もちろん、ただロケーションだけではなくて料理のすばらしさは言うまでもありません。最近のイタリア料理店は、やっとトウキョウイタリアンの縛りから脱却し、それぞれがキチンとイタリアの地方色を出してくるようになりましたが、「オストゥ」も、シェフが修業したピエモンテ州の料理と今月の料理の二本立てコース。まあ今月のコースもピエモンテの香りがプンプンする硬派な構成になっています。

ランチに最適、陽光きらめくコージーなレストランというキャッチを作ってしまうと、どちらかという女性向きとも受け取られがちなんだけど、特に夜のコースは、ここ最近のイタリア料理店の傾向と比較しても、嬉しいことに一皿の量がたっぷり。この「食べたなあ〜」感は個人的にはイタリアンに最も求めたい要素なんだけど、トウキョウではその現地的醍醐味がなかなか味わえず、皿の上の美しさ健康指向ばかりが求められるゆえか、どうも不本意だったんです。
ゆえ「オストゥ」のコースは、前菜にしろメインの肉にしろテーブルに置かれた瞬間おおっと心の中で快哉を叫びたくなるぐらいの幸せです。

肩肘張らない適度に個性や意志のつまったワインリストも好感。サービススタッフのバリトンボイスが、そんなワインと響き合ってます。
posted by 伊藤章良 at 18:02| イタリアン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月31日

さとなお:ヴィノテカ・キムラ(古川橋)

「ダ・ディーノ」の次の店、「ダディーニ」!

それはむちゃくちゃ行きたいです。
おっしゃるとおり、当時とても好きでした。
あの店がなくなって恵比寿に行く回数が減ったくらいは。

そうですかー。
ちょっと遠いけどいいなぁ。生きていく楽しみが増えましたw

さて、ではボクもイタリアンを。
古川橋の「ヴィノテカ・キムラ」です(白金高輪と言った方がわかりやすいかな)。

このお店、ここ2年くらい、わりと行っています。
好きな要素が揃っているんです。

お店なんかありそうもない路地にひっそり灯りがともってる外観の感じ。
ウッディな内装とその小さな規模の感じ。
カウンター中心で厨房の動きを見ながらゆっくり食べられる感じ。
ご夫婦でやっているとても親密な感じ。
ワインの揃えもよく良心的な感じ。

そしてシェフがフェイスブックをやっていて、日々の動向が伝わってくるのもうれしいです(ブログだと見に行かないといけないけど、FBだと日々の息づかいがさりげなく伝わってくる)。

ちょうど一昨日行ったのですが、シェフのフェイスブックで年末の余り物を心配してたので、年末の食材処理班として立候補したんですw
で、「余り物をおまかせで」ってお願いしたんだけど、逆に「いや、これ、余ってないでしょ」のオンパレード。いままではアラカルトで頼んでいたんだけど、これからもずぅっとおまかせにしようと決心するくらい、どれもこれもうまかったなぁ。

伊藤さんが引用したように、最近「相手の流れにただ乗って流されていく外食」が好きなんですけど、なんでしょうね、いままでは食べたいものが明確にあるときが多かったのだけど、最近は相手の世界観にゆったり乗っていたいんです。もうある程度食べたいものは食べた、という実感があるからかもしれません(生意気な言い方ですが)。

そんな流れのなか、「白トリュフのリゾット」(まぁ鉄板ではあるけど、これはマジでのけぞるくらいうまかった)、「牛頬の煮込み」(普段あまり頼まないんだけど、いやーうまかったなぁ)は、年末を飾る至極の逸品でした。

シェフの木村さんはニューヨークの「バスタパスタ」にいらしたことがあるらしく、ボクも2004年に二度ほどお伺いしててとても美味しかったから、そんな話も盛り上がりました。

パスタをお得意とするみたいですが、わりと話も合って、個人的にはとても楽しい店なのです。

ということで、2015年も月いち(いつも更新忘れがちですいません)ののんびり更新が終わりましたね。
伊藤さん、来年もよろしくお願いします!

posted by さとなお at 18:07| イタリアン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月30日

いとう:トラットリア・ダ・ディーニ(白山)

「今彩」、すごくいい感じですね。
神楽坂、最近かなり頻繁に行ってるのですが、なかなかこちらまで足が伸びませんでした。
さらにロブション出身者の新たな展開は、かなり注目です。フランスで店を開いたツワモノもいますし。大きな厨房ですから優れた料理人も数々排出するわけです。しかも皆さん、あまりロブション風をふかさず、そこに基軸のみを置いて、ご自身で個性的な展開を求めておられるところもかっこいいです。ロブションの名声にぶら下がって、やたらと高いレストランをやってる面々もいますが(笑。

さて、今回のぼくは、少しだけ矛先を変えてイタリア料理店にしてみます。
「トラットリア・ダ・ディー二」。
この名前でさとなおさんがピンときたらさすがですが(笑、そう、この対談で2007年にさとなおさんが紹介されていた、恵比寿の「リストランテ・ダ・ディーノ」のシェフが奥様と白山にオープンした店なんです。
と書くと、さとなおさんむちゃくちャ行きたいでしょ。
「ダ・ティーノ」お気に入りだったからなあ。

なぜか、最近文京区がいいんです。なんというか、形より質、な感じのレストランが文京区に続々と集まってきています。いずれの店も小さくてしかも少人数でのオペレーションですが、さまざまに個性やコンセプトや熱意がこもっていて、文字通りハッタリは一切なし、みたいな店ばかりです。
「ダ・ディー二」もまさにそんな形容がふさわしい一軒。一見すると本当に商店街の中に溶け込むふつうの喫茶店のようで(というか、この店が入る以前は本当に喫茶店だったのかも)、母娘が普段着で来てパスタ食べてコーヒー飲んで帰るとか、遅い時間に女性の一人客がカウンターで寛ぐ姿を見かけたり、まさに今のところは、近所使いがメインなのかもしれません。

でも、間違いなく「ダ・ディーノ」の料理は健在です。食材に対する焦点の当て方、味わいの引き出し方。付け合せのルーコラひとつひとつにまで、こまやかな気持ちを行き届かせた完成形へのこだわり。いやいや、久しぶりに本格的なそして気骨あるイタリア料理に相対したなあと嘆息するぐらいの、すぐれた皿の数々でした。

さとなおさんの前回の言葉、肉たっぷりのうはうは系ってオモロイなあ(笑。
「ダ・ディーニ」でその言葉を借りるなら、メイン久々に牛肉を頼んでみましたが、パチパチと炭の弾ける音が店内に響くあたりからもう待ちきれない。まさにうはうは。色、焦げ感、塩加減、歯触り・・・。
バスタまでの繊細さに加わる大胆さ。唸りました。

ワインも安価で、グラスやカラフェも豊富。ただ、最初にカラフェを頼んで後悔しましたが(笑。

さて、なぜ冒頭に「まさに今のところは、近所使い」と書いたかといいますと、先ごろぴあから発売された「東京最高のレストラン」冒頭、ニューカマーのコーナーで、選者の皆さんが絶賛されてるんですよ。なので、都内一円からイタリアン好きが訪れる日もあっという間かもしれません。
でも、あのシェフの、そしてマダムのスタイルは変わることはないとも確信します。

ところで、前回のさとなおさんの、相手の流れにただ乗って流されていく外食、というのが好きなので、という表現も、すごく気になりました。ぜひ次回はこのテーマで飲みましょう。
posted by 伊藤章良 at 15:50| イタリアン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月03日

さとなお:今彩(神楽坂)

「よねやま」、たしかに一時期ずいぶん露出してましたね。
ボクは新宿や四谷方面がわりと不得意で、荒木町をはじめ、そのあたりはあまり詳しくありません。
いまでは四谷三丁目の組織に縁ができ、週に一回は通っていますが、それでも仕事が終わるとそそくさと城西や城南のほうに戻ってきてしまいます。なんでなんでしょう? 大学時代はよく新宿で遊んだのに。

なので「よねやま」も、名前は知ってましたが、伺えてません。
いまはせっかく近くにいるので、今度伺ってみたいと思います。

そういう意味で、ボクにとって同じような方角にある神楽坂もそんなに足を踏み入れない地域です。
店数はそこそこ行ってますが、食べ終わったらそそくさと帰ってきてしまいますね(笑)

とはいえ、神楽坂は凄まじい勢いでいい店が増えていて(もしくは発掘されていて)目が離せません。

今回ご紹介する「今彩」は友人に連れて行ってもらった一軒。
ボクは知らなかったのですが、こういう店がさりげなく普通にあるあたりが神楽坂の凄みです。

ジャンルとしては、いわゆる創作料理系でしょうか。
シェフがロブション出身ということもあり、フレンチテイストを活かした和の創作系かと思います。

個人的には、創作料理系はあまり好きではありません。
たいていの創作料理店は芯がないというか、ある盤石な基礎の上に屹立しておらず、表面的な工夫が上滑っていて印象に残らないことが多いからです。

ただ、この店の場合、フランス料理の土台がきっちりあるのだけど、シェフの嗜好性・方向性がフランス料理からどんどん日本料理に移っていった感じで、これは好きでした。フュージョンですらない。なんというか、「和食シフト」的な。

なので、基本、和食です。
カウンター割烹に近い(内装はちょっと京都の暗い喫茶店みたいな感じだけど、長いカウンターが印象的です)。その底流にフレンチの基礎がある。でもシェフはそこにこだわらず、日本人である自分の個性も活かしながら、うまいもんを作っている。そういう印象を受けました。

そういう店は、わりとグルマン系というか、肉たっぷりのうはうは系だったりするのだけど、この店は(カウンターに野菜がずらりとディスプレイされているのですぐわかるのだけど)野菜重視の和食。ちょっとストイックな匂い。店名も根菜から取っているかと思われるし。

しかも、コースは大きめの籠に入った八品盛りで始まる。
この籠の設えがまたストイック感があり、シェフの嗜好がよくわかります。そしてだんだん「あ〜、この店はシェフがやりたい放題の個性的な店なんだな」とわかっていきます。

そうとわかれば、あとはシェフが作る小宇宙に乗っかるだけ。

ふと見回せば、そういうお客さんたちがたくさん笑顔で食べています。こういう店に批評やら食べログやらは関係ありませんね。

なんだかとってもロブションっぽい茶碗蒸しや、焼き加減が絶妙な肉料理などが、しゃくしゃくの野菜の合間に出てきます。
デザートも何種類もでて楽しかったし(すっごく凝っている)、ハーブティーに至るまでシェフの世界を楽しみました。こういう料理を広いカウンターで楽しめます。

すっと誰かの世界に乗っかってニコニコできる、そういう精神状態で行ってもらいたい店ですね。
ボクは最近、相手の流れにただ乗って流されていく外食、というのが好きなので、この店はとても好きになりました。
posted by さとなお at 18:58| 和食(小料理・割烹・郷土料理) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする